古の観測者   作:北風北

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やっとあの人を出せそうです。


声をたよりに

 

 

「あれからどれ程経ったかな……」

 

 

 

一人の青年が呟く。背丈は百七十くらいか、少々長めの髪をクシでとめており前髪は適当に流している。体もそこそこ鍛えているような印象を受けるだろう。

 

あれから何年、という言葉の"あれ"がいつの事なのか分からないが、とても昔のことのように聞こえる。

 

 

 

「……さて、行くか」

 

 

 

その青年は歩き始める。

 

 

 

「……"人類"に会いに」

 

 

 

その歩調はどことなく浮かれているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかここまで来るなんてね」

 

 

はぁ、とため息をつく少女が一人森の中を歩いていた。

 

 

「薬草を一人で探しに来たあげく、こんな森の中で迷うなんて……。早く帰らないと、妖怪に遭遇したら大変だわ」

 

 

少々が呟く妖怪という言葉。人という存在が生まれてから少し経つと、妖怪という存在が生まれたという。それは人を騙し喰らうもので、形は様々だ。人の形をとっているものもいれば、獣や植物など様々なのだとか。

 

つまり、その少女にとって妖怪は危険な猛獣のようなものだろう。

 

 

「早く帰らなくちゃ」

 

 

平然そうに装っているようでも実際は怖いのか、少女はあたりを慎重に見渡しながら歩を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うーん、たしかこのあたりだと思うんだけど」

 

 

相も変わらず僕は旅を続けている。いつからか妖怪という存在が現れ、言葉を話す相手に巡り会えた、なんて思っていたのもつかの間、その妖怪に高確率で襲われる。逆にこちらを見て逃げていく奴もいたが、話を聞いてくれる妖怪もいた。

 

そういう話を聞いてくれる妖怪に分類される奴らは、大抵動けない者達ばかりだった。大樹から成る妖怪だったり、そういうものだ。

 

そんな妖怪に話を聞く限り、妖怪が生まれたのは近くに人間たちが集まる都市があるからということで僕はこの瞬間思ったものだ。

 

 

 

『なんとしてでもいってみよう』と。

 

 

 

まぁ、そんな訳でその都市とやらの近くまで来ているはずなんだが目の前には森が広がっている。

 

 

 

「もしかして、騙されてたりとか……?」

 

 

 

いやいや、騙して何のメリットがあるだろう。と言うか、その前に僕は奴らに対して何もしていない。

 

 

一面の森に対してなかば呆れかけながら歩いていると、何やら声が聞こえる。話し声などではないこの声は、なんとも甲高い叫び声のような……

 

 

「…………!」

 

 

妖怪の声か、人の声か。後者であれば嬉しい。しかし結局、今の僕にはどちらであっても嬉しいのだ。妖怪の場合は、近くに都市があるか聞くだけで答えがわかるからだ。都市が無かったらまた長い旅の始まりになる。

 

 

そんなことを考えているうちにも、どんどん声は大きくなっていく。相当切羽詰まっているような……

 

 

「……あっ、人間だったら妖怪に出会ったらひとたまりもないな」

 

 

そこまで考えると、急いでその声の元へと向かうのだった。

 

 

 

 




次話で正体が分かりますね!
(皆さん多分想像通りの人です)
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