すごく首が痛い今日このごろ。(寝違えました)
最初見た時は大砲かと思った。あまりに早く、私を襲う妖怪を一瞬で粉々にする様はとても人間業ではなかったからだ。結局のところ、その大砲の正体は人だったのだけど。
「……私が知ってる中でも、あそこまで速くて妖怪に効く武器なんて知らないのに……」
それは目の前に降り立つと、尻餅をついてしまった私を怖がらせないように手を差し伸べてくれた。
『今の妖怪、確かに見た目だけは怖いですからね』
多分こう言いたかったのだろう。しかし、
「い、いまのの妖怪、確かに見た目だけは怖いですからね」
噛んだ。かっこいいセリフが台無しだ。心ここに在らず、といった感じだ。目がザバンザバン泳いでいる。
助けてもらった相手の目の前だが、思わずクスリと笑ってしまう。
私が笑顔を見せたおかげか緊張がほぐれたようで次の言葉をかけてくる。
「もし良かったら、都市まで連れて行って貰えますか? 道に迷いまして……」
嘘か本当か分からないが、私は自分を助けてくれた人を疑いたくはなかった。
事情があったとしても、聞くつもりはさらさらなかったけど。
出会って間もない私にも、そう思えるくらい柔らかい雰囲気を持った人だったから。
「は、はい。では自己紹介を。私の名前は八意 永琳と言います。どうぞ永琳、と呼んで下さい」
「で、ではこちらも星(せい)と呼んでください」
あんな事があったばかりなのに、何だか照れくさくて少し笑ってしまう。
この時一瞬、釣られて笑顔を見せたこの人に見とれてしまったのは心にしまっておこう。
♤
叫び声が聞こえた。恐らくこれは妖怪のものでは無く、人の声だろう。待ちに待った人の声だが、叫び声というのがまずい。嫌でも襲われているのがわかる。殺されてしまっては、都市の場所にも案内してもらえない。
能力で自分の体を掌握し、制御する。これで的確で完璧な形で殴り込みができる。ちなみに今森の中を走っているが、それなりの速度が出ている。
体に来る痛みや衝撃に関しては、常に自分の周りの空気に逃がしている。個人的には逃がしているつもりなのだが、実は体の周りに溜まってしまっているようで定期的なガス抜きが必要になる。つまり空気に逃がすのではなく、自分の周りの物質に直接逃がす。
そうすることによって爆発的な大ダメージを相手や物に与えることが出来る。
しかしそのガス抜きをしなかった場合、自分に対して精神的なダメージが降りかかる。簡単に言うとかなり運が悪くなる。不幸になる、という事だ。
基本一人で、今までガス抜きをしていなかったため今回はそれを使うことにする。
「……あ」
いた。見つけた。案の定妖怪に襲われている少女が一人。幸い、まだ無事なようだ。
視界に入れば、もうこちらのものだ。力を込めて勢いを付けたまま跳躍すると、そのまま妖怪の左半身に触れる。
その瞬間、手が触れた位置から妖怪の体が爆散する。前方に吹き飛ばしたので少女に血肉は飛んでいないようだ。
前方に吹き飛ばしたと言っても、少々は自分にもかかるというもので僕は血を軽く拭うと少女に向けて手を差し出した。
「い、いまのの(アアァァァ噛んだぁぁぁ!!)……」
なるべくスマートにやろうと思っていたのだが、久しぶりに会う人類を前に緊張しすぎて心の中で叫び声をあげる僕だった。
やっと人に会えました。笑