異世界転生したからって選ばれし勇者になれる訳じゃない。   作:アルトルト

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初めまして、アオアルトと申します。
今回が初投稿となりますが、生暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。


選ばれし勇者を羨んでも選ばれし勇者になれるわけじゃない。

「勇者様ー!頑張れー!」

「キャー!勇者様カッコイイー!」

「頼むぞ勇者!世界を救ってくれ!」

 

今日この日、王都では勇者とその一行が魔王討伐のために旅立つ。

なので、その出発を記念したパレード的なのが催された。

勇者の名はアラン。寡黙だが情に厚く、困っている人を頬っておけない人物。剣や魔法の腕も国最強クラスだし、女神の加護も受けている。強いて欠点を上げるなら凄まじい朴念仁でピンポイント難聴な所か。

仲間は旅立つ前からの仲だった幼なじみの僧侶と、王都で出会った小柄な盗賊の少女、酒場で出会った姉御系な女戦士、王の使いとして同行するクール系魔法使い。

そんなアランは、世界を救うために今日、旅立つ。

これはそんな勇者アランの物語ーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

を、横から眺めている俺とその仲間たちの物語である。

 

***

 

やぁ。俺の名前はケンゴ。いわゆる転生者というやつだ。

前の世界では普通のどこにでもいる陰キャ系オタクをやっていた。

で、そんな俺は運悪くテンプレの様に交通事故に会い、テンプレの様に死に、テンプレのように神様に転生させられ、気がつけばこの世界でケンゴという1人の少年になっていた。まあ、だからと言ってハーレムやっほいとか転生特典や原作知識で無双とかそんなことは無かったが。だって原作もクソもない世界で、転生特典的なのも貰えずに、ごく普通の平凡な人間に生まれてしまったからね…(遠い目)

 

そんな俺の周りには地味に人がいた。

俺の親友の1人はアランといった。つまりあの勇者様である。わーお俺有名人の友達じゃん!(白目)

俺のこの世界での初恋は幼なじみのある女の子だった。

…その女の子ってのが今のあの勇者御一行の僧侶である。つまり彼女はアランにゾッコンである。ちくせう。

あと、他にも幼なじみの悪友と女の子がいるのだが、それはまた後で。

 

俺とアランは村期待の若者2人とされていた。

だが現実はどうだ。アランはめきめきと剣や魔法の才を開花させ、気がつけば女神に選ばれし勇者の血統だということで救国の勇者扱いだ。

じゃあ俺はと言うと、たいした剣の腕もなく、魔法も使えなくはないが微妙、別に何かに選ばれた訳でもない。

アランという比較対象(チート野郎)のせいもあって俺は村ではガッカリ扱いされていた。

 

で、今の俺はというと、いろいろあって隠れた努力を続け、アラン程ではないにせよそれなりに強くなったので、村の皆に黙ってアランの後を追う形で村を飛び出した。その時に付いてきたのが今の仲間2人だ。

 

1人はボサボサ頭に鎧で身を包んだ男。

こいつは俺の昔からの悪友、ジョン。村にいた頃はアランの静止を振り切って2人でよくイタズラをしては怒られていた。戦いに関しては、そこそこ剣の腕前はある。攻撃魔法もそれなり。そして何よりも、手持ちの大盾を活かした盾役なのだ。流石、俺と並んで村の防衛団メンバー候補だっただけある。

 

もう1人は修道服に身を包んだ少女。

うちの村の教会の神父の娘で俺の幼なじみの1人、エリーだ。父親から数多くの癒しの魔法を習っているため、ヒーラーとしては勇者御一行の僧侶以上だろう。補助魔法もそこそこだ。しかし、それ以上の特徴として彼女、何故かアランではなく俺にゾッコンなのだ。理由?ぶっちゃけさっぱりである(朴念仁並感)。俺なんかのどこがいいのやら。

ちなみに、ぜってー俺よりアランの方がいい男だと思うんだけどな、とかそれに近いことを彼女の前で言うと彼女が何故かマジでキレるから普段は絶対に言わない。

 

***

 

そして今、俺たちはアランとその仲間たちのパレードを群衆の中から見ていた。

 

「…いやさジョニーよ、俺とアラン、どこであんなに差がついたんだろうな、ホント?」

「知らねぇよ。それこそ天運とかそんなのじゃねえのかケンゴよ」

「大丈夫ですよ。ケンゴはあんなチャラチャラヘラヘラしたナヨナヨしいハーレムクソ男よりも何倍もかっこいいんですから」

「随分酷い言い草だなエリー!?」

 

とまあこんな具合に、ボケのエリー、ツッコミのジョン、ボケツッコミ両刀の俺といった感じのカオスな楽しいパーティです(白目)。

 

「さてと…じゃああのハーレムクソ男…じゃなかった、勇者サマのパレードも見終わった事だし、俺たちも出発しますか」

「そうだな。あとエリーの口調が移ってるぞケンゴ」

「おっとしまった」テヘペロ

「うっわぁ気持ち悪っ」

「うーんジョンの対応が辛辣ぅ!」

 

こうして俺たちは別に選ばれたりはしてないけれど、魔王討伐の為に出発するのであった。

 

***

 

関所を通り、安全区から出る。

ここからはいつ魔物に襲われてもおかしくない地帯だ。

 

※安全区…魔物が入ってこれない、人の守りの硬い場所(町、村など)や神の加護で守られた土地のこと。

 

「お、馬車の跡があるな。それもついさっきの」

「てことはこれがアランたちの馬車の跡か?」

「ですね。これを辿れば彼らに追いつけるでしょう」

 

しばらくはその馬車の跡を追う形で先へ進んでいた。

 

…のだが。

 

「なんでこんなに魔物が湧くんだよぉ!?勇者倒せよオイ!」

「多分勇者とのレベル差に恐れをなして逃げていたのかと。で、私たちといういいエサが見つかったから襲ってきたのだと思います。まあ、私とジョンが死んでもケンゴだけは守り通しますが」

「うんその心構えは嬉しいけどとりあえずまずは次の安全区まで逃げよう!?」

 

早速ス○イムとかド○キーといったモンスターの大軍に追われてました。

ちくしょう、選ばれてないってだけで俺らは勇者の露払いかよ!?

 

「ぬわぁぁぁん!疲れたもぉぉぉん!」

 

いろいろ酷すぎてついつい前の世界でも多用していたクッソ汚い某語録が出てしまった。

 

***

 

「チカレタ…」

「あー…疲れた…」

「はぁ…お疲れ様でした…」

 

あの後どうにかして安全区の村までたどり着いた俺らは、そこの村の防衛団たちと協力して追ってきたザコの群れを倒していた…のだが、騒ぎを聞きつけて駆けつけた勇者御一行が俺らの努力とはなんだったのか、と言わんばかりにザコを軽く一掃。

俺らと騎士たちは「もうあいつらだけでいいんじゃないかな」となっていた。

 

「…やっぱチートくせぇわアラン御一行。俺らって何なの?ってなる。いやホントに」

「だよなあ…俺やケンゴ、エリーがどんなに頑張ってもいつもその上を行くんだからなぁ…」

「ほんっと腹が立ちますねあのハーレムクソ男は…!ケンゴのいいとこ取りしただけじゃないですか!」

「まあまあ落ち着いてエリー」

 

俺らは力不足とアラン御一行のチートっぷりに呆れるしかなかった。

 

「「「はぁー…」」」

 

3人同時にため息が出るレベルだった。

 

 

余談だが、今回アラン御一行が活躍しすぎたせいでアランたちは街の人々から英雄と持て囃され、俺らも頑張ったのに町にモンスターを呼び込んだ悪い奴ら、ということで追い出されて野宿しなければならないという凄まじいとばっちりを受けた。ただ、そんな俺らに流石に可哀想だからと詰所のボロ寝床(1人用)を貸してくれた防衛団のおっちゃんには良くも悪くも感謝しかなかった。が、それはまた別の話。

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