異世界転生したからって選ばれし勇者になれる訳じゃない。   作:アルトルト

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ダンジョンに行っても勇者のように華麗にかっこよく戦えるわけじゃない。

どーもどーも、ケンゴだよ。

俺たちは次の新しい町に来たのだが…

 

***

 

今回は勇者の後追いじゃなく少し寄り道…ということで新しい町に着いた俺たち。

 

だが。

 

「…なぁにこれぇ」

「暗い。俺もネガティブになりそうなくらいに暗いぞ雰囲気」

「あうー…嫌な雰囲気ですね」

 

暗いのだ。雰囲気が凄く暗いのだ。

どんくらい暗いって今にも誰かが首吊るんじゃないかってくらい暗い。

 

とりあえず、そこにいたおじさんに話を聞いてみることにした。

 

「あのぉ…すいませぇーん、お話いいですか?」

「……ん?ああ、旅の人か…ようこそ、何か用かね…?」

「いえ、なんでこんなに雰囲気暗いのかなぁーって…」

「ああ……それは、魔物のせいなんじゃよ。ワシはまだマシな方かね…」

「はあ、じゃあ俺たちがその魔物の討伐に行きましょうか?」

「……本当かい?それはとてもありがたいね…魔物な町外れの洞窟に住み着いているらしい…よろしく頼むよ」

「はい!頑張らせていただきます!」

 

***

 

「ということで魔物討伐をすることになりました」

「勝手だなケンゴは…」

「まあまあ、レベルアップにもなりますし、いいじゃないですか」

「そうかねぇ…」

「まあ、エリーの言う通り、レベル上げのための特訓と思ってさ、な?」

「…しゃーねーなぁ、行くか」

 

ということで俺たちは町外れの洞窟に向かうことになったのだった。

 

***

 

「ここかぁ」

「まあ普通の洞窟だな」

 

いざ来るとまあ普通の洞窟だった。驚きなんてありゃしない。

 

「何があるか分からないですから、用心するに越したことは無いでしょうけどね」

「それもそうだな。ようし、突入!」

 

と、中に入ると、まあ普通の薄暗くじめじめした迷宮状の洞窟だった。

 

「普通だな」

「普通だね」

「普通ですね」

 

もう全員考えが一致するくらい普通の洞窟だった。

逆に普通すぎて驚きそうだった。

 

***

 

数分後。

 

「モンスター強い…強くない!?」

「強いな…!」

「強いですね…!」

 

普通の洞窟と侮った結果がこれだよ、と言わんばかりに敵が強い。ナンテコッタイ、俺たちは押されまくっている。

これボス倒せるのん?と言いたくなった。

 

「ええい、とりあえず今回の依頼はあの暗い雰囲気の原因の排除…つまりダンジョンボスの撃破だ!こいつらザコは無視してボス部屋まで突っ切るのを俺は提案するね!」

「いいなそれ、俺らじゃこいつら全部相手してたら即やられてミンチだ!」

「それで行きましょう!ジョン、前衛お願いしますね!」

「おっけいエリー、任せな!」

 

ということで俺たちはジョンを先頭にエリー、俺と縦に並んで強行突破した。

 

***

 

「ほう…ここまで来たか、人間よ、この私が「よぉしテメェがボスだな!?さっさと終わらせたいから倒されやがれオラァン!?」何?とりあえず話を「るせぇ!俺もケンゴもエリーもイラついてるんだよさっさと狩られろ!」なんだと!?生意気な、ならば私の攻撃で「うるさいですね!さっさと倒されてください『エア・バインド』!」ぬうぉっ!?私を縛るか、しかしこの程度「「うるせぇ黙れぇー!!」」ぬわーーっっ!!」

 

※『エア・バインド』

風でできた不可視の鎖で敵を拘束する魔法。戦闘サポートから暗殺までなんでもござれな便利なやつ。

 

「ふぅ、討伐成功☆」

「ひどいリンチを見た」

「やったのは2人ですけどね」

「「オマエモナー」」

 

意外と大変だった強行突破で疲れていた俺たちは疲労からのイライラに任せて速攻でボスを倒していた。どれくらい速いってボスのセリフを聞かずに倒すくらい。速攻ってレベルじゃねーぞ。

俺はその光景を見て、多分勇者なら正攻法でザコを一掃した後にボスと対峙して話を聞いてから戦ってギリギリで勝つとかそんなんだろうなー、とか考えてしまった。

 

「さぁーて、これで町も元通りかね」

「だな。さてと、帰りますかねお二人さん」

「そうですねぇ」

 

よし、帰ろう!

 

と、その時。

 

「ま、待て…あの町の雰囲気が悪くなっているのは俺のせいじゃない…俺の部下の精神術師がやったんだ…ホラ、情報教えてやったし、俺はもう人に手出ししないからさ…だからよ、助けてくれよ…」

「「「えっ」」」

 

ウッソやろオイ。命乞いですかい。てか黒幕お前じゃないんかい。

…でもな?

 

「…まあだから、ではあるけどな?」

「情報はありがたいが…」

「見逃す理由にはなりませんよね?」

「へっ!?…こ、この卑怯者ぉー!」

 

俺たちはそんなことで見逃すほど聖人じゃないのです。

 

ということで俺たちはボスに恩を仇で返した後()、偶然部屋に入ってきた件の精神術師をぶっ転がして町へ帰還した。

まあ、途中でまた魔物の群れを強行突破しなければならなかったのでまた大変でフラストレーションが溜まったが。

 

***

 

そして町に戻ってくると、

 

「おお、兄ちゃんたち、おかえり。いやぁ、町に活気が戻ってきたよ」

 

戻ってきたら、真っ先にあのおじさんが声をかけてきてくれた。

 

「おお、そりゃ本当ですか。良かった良かった」

「ああ、これもかの勇者様のおかげじゃな!」

「…ハイ?ドウイウコトデス?」

「いや、どういうことも何も、あの件の魔物の倒したのは今町に来ている勇者様じゃないのかい?」

「…すいません、その話詳しく」

 

事情を聞いたところ、急になんか心に元気が湧いてきたと思ったら町に勇者アラン一行が現れ、彼らに「近くのダンジョンを攻略してくれたのはあなたたちですか?」と聞いたら、「はい」と答えたらしく、それで彼らが町の英雄扱いされてるのだとか。

 

…多分、アランの言うダンジョンとは、俺たちの行ったダンジョンとは反対側にある洞窟型ダンジョンのことだろう。いわゆる勘違いと言うやつだ。

 

「…ということなんですよ」

「はぁー、そういう事かね。だが、今更ワシ1人であの状況は覆せん。申し訳ないが、報酬は諦めなされ」

 

えっ何それは(困惑)

 

…ということで、また俺たちは勇者のとばっちりで報酬を受け取れなかった。何?あいつら俺たちの疫病神なの?

 

「何なのさもう…」

「骨折り損のくたびれもうけってとこか?笑えねぇ…」

「苦労するだけ損なのって、辛いですね…」

 

何かもう疲れた…嫌になっちまうぜもう…

 

余談だが、ある町人曰く、その時の俺たちの顔は今にもキレそうだったという。

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