異世界転生したからって選ばれし勇者になれる訳じゃない。 作:アルトルト
やぁやぁ皆、ハローハロー。ケンゴだよー。
さて、休憩も終えまして時刻は昼。いざ「女神の神殿」攻略開始ですよっと。
***
「はぇ〜ひっろい」
「でけぇ広間だな」
「あっ、これ女神様の石像ですね」
俺らが神殿に入るとそこにはクソ広い広間が広がっていた。
すると、
『よくぞ来た。これから貴様らには貴様らが勇者足り得るかどうかの4つの試練を受けてもらう』
黒いローブに白の仮面を付けた男(?)が宙に浮きながら現れ、そんなことを言った。
「試練?」
『ああ。勇気・力・知恵・絆。この4つを試す試練だ。どれか1つでも達成出来ぬのであれば、貴様らに宝を渡すわけにはいかん」
「ふぅーん…。
で、早速始めたいんだけど、いいかな?」
『良いだろう。では、始める時は私に声を掛けろ』
「りょーかい」
***
「で、どれから行くよ?」
とりあえず俺はエリー、ジョンと集まって相談していた。
「とりあえず言葉のニュアンス的にゴリ押し効きそうな力からでいいと思うぞ」
「私はどれからでも構いませんよ」
「んー…じゃあ、ジョンの言う通り力の試練からで。
…おーい、力の試練から始めたいんだけどいいかなー?」
するとスッと黒ローブが現れて、
『力の試練だな?いいだろう。では、こちらの扉を潜るといい』
そして広間の扉の1つが開いた。
「よっしゃー、イクゾー!」
***
「何ですかこのゴーレム…」
「凄く…大きいな」
「うーん、ガ○ダムかな?(すっとぼけ)」
いざ扉の中に入ってみると、どでかい石の玉座に座ったレンガのゴーレムがあった。見た目某機動戦士の半分くらいのサイズはあるか。
すると黒ローブ…めんどくさいから管理者でいいか…の声が響く。
『力の試練はあのゴーレムの破壊だ。私の開始の宣言と共にあれは動き出し、蹂躙を始めるだろう。では、始めよう。
…開始』
するとゴーレムの目が光り、ズゴゴゴ、という音と共に動き出す。
「…はぁーめんどくせぇ…が、やれなくはないな!ジョン、エリー、『大物殺し』頼める?」
「私はいつでも大丈夫です!」
「オッケーだケンゴ。足止め頼むぜ、ミスんなよ?」
「もちろんだ、『バインドチェーン』!」
俺が魔法を唱えると、ゴーレムの体に鉄の鎖が巻き付き、動きを封じる。
バインドチェーンの魔法は俺のイロモノ魔法セレクションの記念すべきNo.1にして相手の動きを止めるための鉄鎖を呼び出す魔法だ。それ以外に使い道ないから微妙扱いされてるが。
「では。『エンチャントパワー』!」
「ようし、準備オッケーだ!『ビッグブレード』!」
エリーが使った魔法、エンチャントパワーはその名の通り対象のパワーを強化する魔法だ。サポーターの必須魔法の1つだろう。
そしてジョンの使った魔法、ビッグブレードは剣のサイズを倍以上に巨大化させる特殊魔法だ。取り回しが超劣悪になるため誰も使いたがらない魔法だが。
「うぉぉぉぉーー!!」
ジョンが剣を構えて駆け出す。
ゴーレムは迎撃しようとするが鎖で身動きが取れてなかった。
「真っ二つじゃオラァァァァ!!」
そして持ち前の脚力で飛び上がったジョンは剣を袈裟斬りの形で振り下ろす。
ゴーレムは身動きが取れぬまま左肩からバッサリと真っ二つに切り裂かれ、ピクリとも動かなくなった。
これぞ俺らのコンビネーション攻撃の1つ、「大物殺し」だ。読んで名のごとく、デカブツを倒すためだけの戦法だ。欠点は俺がミスった瞬間全部瓦解するとこだが。
『…なんというスピードクリア。おめでとう、力の試練はクリアだ。次の試練に進みたまえ」
「「「よっしゃー!」」」
***
試練を終えた俺たちは、少しの休憩の後に、早速次の試練へ挑戦することにした。
「次は…『勇気』の試練だ!」
『了解した。ならば、あの部屋に入るといい』
次の試練の間への扉が開き、俺たちはそこを潜っていく。
***
「おお…これは」
「迷宮…か?」
「随分複雑そうです」
そこにはレンガの壁で作られた迷宮が広がっていた。
『勇気の試練は迷宮からの脱出。勇気を持って、罠とモンスターの蔓延る迷宮より脱出せよ』
なんだその脱出ゲーム的レジャーアトラクション風の概要は…
しかし、この迷宮…アレできるかな…
俺は管理者に問いかける。
「えーと、とりあえずゴール見つけて脱出すればいいんだな?他に禁止事項とかある?」
『いや、特に存在しない。己の力・英智・能力…全てを用いて脱出するといい』
「オーケー、了解だ」
ふむ、なんでもあり…つまりは、だ。
「…おーいジョン、エリー?久々にドリルってもいい?」
「え、あれやるんですか?」
「あれ使ったらこの迷宮が先に崩れそうだが…」
2人が「マジでやんの?頭大丈夫?」的な視線を向けてきている気がするが気のせいでしょう(現実逃避)。
「ヘーキヘーキ!そう簡単に崩れるほどヤワじゃあるまいよ」
「ハァ…仕方ねぇな…じゃ、やってこい」
「よーし言ったな!?エリー頼む!」
「はあ…『エンチャントパワー』」
「ようしやるぞ…『グランドドリル』ゥ!」
グランドドリルは己の手にドリルを出現させる掘削用魔法だ。なんでこんなの覚えてるのかって?俺のイロモノ魔法セレクションの1つだからSA☆
「『ビッグシャドウ』!
…さあ、行くぜェ…!」
ビッグシャドウは物体を一時的に巨大化する魔法。巨大化した後が取り回しづらいとかでめんどくさいのが欠点だ。これもイロモノ魔法セレクションの1つである。
「……うぉぉぉぉぉ!!
ギガァ!ドリルゥ!ブレェェェェェイク!!」
ドガガガガガガガ!!!
俺が巨大化したドリルを突き出し走り出すと、どんどん壁が巨大なドリルで削られ、砕け、破られていく。ついでにモンスターと罠も巻き込まれて粉々になっていく。哀れ。
見よ、これぞ我が前世知識から生み出した全てを砕く巨大なドリルアタック…ギガドリルブレイクよ!
…はい某天元突破なロボットアニメのパク…オマージュですスイマセン!
「インパクトだけで被害はやばいからなあの魔法…こういう所じゃなきゃ撃てないね」
「ですねー…ほんと、前に村の洞穴で撃ったときなんて悲惨極まりなかったですもんねー…こういう所じゃないと…」
はいそこジョンとエリー、遠回しに産廃とディスらない。まあロマン魔法なのは認めるが。
そしてしばらく壁を削っていると、出口らしき扉が見えてくる。
「お、あれが出口か」
「またスピードクリアですね」
「フゥーーいいドリルした!」
…そう、管理者はさっき、「何をしてもいい」と言ったのだ。ならば…
ドリルで壁をぶっ壊してクリアするのもありでしょう?
『…………勇気の試練、クリア』
俺がスッキリしてる裏で、管理者が信じられない物を見たと言わんばかりの声音でクリアを宣言していたのだった。