異世界転生したからって選ばれし勇者になれる訳じゃない。 作:アルトルト
おっす、オラケンゴ!
続きましては知恵の試練。さてさて、何が待ち受けているやら…
***
『知恵の試練はその名の通り知恵を試す。代表者を1人出し、私の出す問題に答えてもらう。30問、全問正解で突破、リトライは可能だ。では、代表者を決めるがいい』
勇気の試練の後、すぐさま知恵の試練を開始した俺たち。
ふむクイズ勝負。
俺もジョンもそこら辺苦手だし…
「ふぅーむ、クイズが得意…となると」
「まあ、そうなるよな…」
俺とジョンが示し合わせるように顔を合わせる。
「どうしました2人とも?」
不思議そうに見つめてくるエリー。
そして俺らは、
「「エリー頼むわ!」」
「丸投げじゃないですかー!!」
エリーに全部丸投げした。
仕方ねぇじゃんクイズ勝負なんてできるのエリーくらいしかいねぇんだし!
俺は悪くねぇ!(責任転嫁)
『決まったようだな…では、始めるぞ』
「はぁ…仕方ないですね。行きますよ」
***
『…なんてことだ』
「あの程度、そこそこ勉強していれば簡単だと思うんですけど…」
知恵の試練は、うちのパーティ、引いては村1番の秀才だったエリーがやったら全問1発正解だった。
しかしねエリーさん、そこそこ勉強しててもあの内容を1発は無理ですハイ。
内容は古代史中心の雑学問題だったが、どれも難易度の高いものばかり。俺もほとんど分からなかった。
エリーすげぇ(小並感)。
『…知恵の試練、クリア』
あまりに俺たちがさっくりとクリアするもんだから、裏で管理者泣いてるんじゃねえのと考えてしまった。
***
そして俺たちはついに最後の試練、絆の試練に挑戦することになったのだ。
『…さあ、入るが良い』
管理者に誘導され、部屋に入る。
…誘導する時の管理者の声は、心なしか震えている気がした。哀れ。
入った先には2つの鍵付きの小部屋への入り口と1つの鍵が置かれたテーブルのある小部屋だった。
「…これは?」
『とりあえず、今からそこの
管理者に従いジョンとエリーはそれぞれ別々の小部屋に入る。
そして鳴り響くガチャン、というキーロックの音。
そして、
『…なんだ!?水!?水が部屋ん中に入ってきてるぞ!?』
『キャッ!?嘘、水攻め…!?』
中からジョンとエリーの悲鳴が。
「はぁ!?おい、試練の内容を説明しろ!」
『絆の試練は二者一択。エリーとジョン、彼らの入っている部屋はどんどん水が溜まり、最終的に溺死へ誘う作りになっている。そしてそこにある鍵はこの2つの部屋の鍵だ。しかしどちらか片方の鍵を開いた瞬間、もう片方の部屋の鍵は永久的にロックされる仕組みだ』
「…つまり、俺にジョンかエリーかを選べってのか?」
『まあ、端的に言えばそういう事だな』
「…クソッタレめ…!」
『なんとでも言うがいい。制限時間は
…クソッ、なんつー試練だ…
しかし、なぜだろうか。
この試練、今までと違い、最初から正攻法ではクリアは出来ないようにしているのではないのか、という気がしてならない。多分、このままどちらかの扉を開けただけじゃ失格だろう。
俺の知る限り、この手のやつは、(前世のセオリー通りなら)何かしら「両方を助ける手段」があるはずだ。しかもこれはあくまでも勇者の剣に相応しいかを見極めるための「試練」。俺たちを殺す気は一応無いはずだ。つまり、「どちらとも助ける」ことがクリア条件かもしれない。
で、そうだとして俺はどうする…?考えろ、考えろ…!
『クソッ、ケンゴ、俺のことはいい!エリーを助けてやってくれ!』
『ケンゴ、私なんかよりもジョンを助けてあげてください!』
部屋からあいつらの声がする。
…でも、そんな自己犠牲の声なんか聞きたかない。シャットアウトする。
「アレは?…いや、ダメだ、ならアレなら…これもダメか。なら…」
『そら、残り半分を切ったぞ?』
管理者が急かしてくる。でも、そんな言葉に焦らされたら負けだ。
「…そうだ!」
その時、俺に電流走る…っ!!
鍵を手に取り、「あの魔法」を唱える!
「『コピーシャドウ』!!」
すると、鍵と全く同じ形をした
コピーシャドウの魔法は対象の物体と全く同じ形の「実体を持った影」を実体化させる魔法だ。しかし、形しか模倣せず、機能や色はオリジナルには程遠い上に1分くらいで消えるため、イロモノ魔法扱いされている魔法だ。
…でも、今ならこれは有効!鍵は「形」さえあってりゃ問題ない!
「…よしっ、形成完了!」
『…貴様、何をする気だ?」
「決まってらぁ、2人を助けるんだよ!」
俺はオリジナルの鍵と偽物の鍵を同時に鍵穴に差し込み、同時に解錠する!
かちゃり
扉が開く音と同時に2人が部屋から飛び出してくる。
「!!開いたァ!助かったぜぇーヒャッホー!」
「はうっ!
…はふぅ…やっぱり、ケンゴならどっちも助けてくれるって、私信じてました。やっぱりケンゴはかっこいいです。私の王子様です」
「んなこたぁないさ。仲間を助けるのは当たり前だろ?
…で、これで文句ないよな?」
『よくやった。「仲間をどちらも見捨てない」。それが「正解」だ。これでお前たちは全ての試練をクリアしたことになる』
「てことは…」
『広間へ出ろ。宝の間へ案内しよう』
「「「やったぁーー!!!」」」
俺ら3人の歓声が部屋中に響いた。