少ない!(文字数)
続く!(次話は今回の続きです)
書く!(番外編を書くかもしれません)
ただ居候するのも申し訳ないのでせめて家事を手伝わせてほしい。
家に来た八咫烏の少女、命名「烏沙義(うさぎ)」は、そんな提案をしてきた。何とも律儀な奴である。
ちなみに名前の由来は昨晩の夕飯にでた生キャベツを嬉々として頬張っていたからである。
その場に一緒に居た八重を横目で見遣ると、罰の悪そうな顔をしながらぷいと横を向いた。
「どこぞの八咫烏とは違ってお前はいい子だな」
褒めつつ頭を撫でてやると、顔を真っ赤にして半泣きになってしまう。未だに優しくされるのに慣れていないのだ。
でも嫌がってはいないから俺はためらいなく撫で続けた。
「あ、あの。本当に私、ここに居てもいいんですか?」
烏沙義は昨日うちにやってきて、今朝対面したらなぜか敬語になっていた。
それこそ、メイドか何かかと思うほどだ。なにせ、俺の呼び方が「榊様」だからな……。
昼飯前に烏沙義は紅葉から家事のやり方などを教わり、その間は相も変わらず八重はぐうたらしていた。
何十歳か年下の八咫烏は頑張って働こうとしているのに……そんな八重も可愛いけどな!
「折角だから昼ご飯を一緒に作ろう」
烏沙義にそう言うと、張り切って「はい!」と元気よく返事をした。紅葉も手伝ってくれると言うので三人で台所に立つ。
八重ちゃんは自室で寝てますよ。
それはさておき今日作るのは非常に簡単なポテトサラダとオニオンスープ、フレンチトーストだ。
なに、朝飯みたいなメニューだって?
実はまだみんな朝飯食っていない。
日曜日ということもあり、皆寝坊してしまったからだ。つまり、ブランチとかいう奴だな。
さぁ、紅葉と俺のお料理教室開幕!
――数十分後
「うぼぁ」
「ごふ……」
何故だろう。何故なのだろう。
俺達は、自分で言うのもなんだが的確に指導した。
小さな子にもわかりやすいように懇切丁寧に説明した。
にもかかわらず、だ。
岩石のように荒々しいポテサラ。マグマのように煮えたぎるオニオンスープ。プルーンを塗りたくったかのように黒く艶めくフレンチトースト。
上記のおぞましい面々が生み出されてしまった。
よくある「見た目はおぞましいが味は旨い」という展開を期待して紅葉と味見したところ、全身の力が抜けて呻き声しか出せなくなった。
今現在、俺と紅葉はリビングのカーペットに突っ伏している。烏沙義には大変申し訳ないが、あれを食べるというのは過酷すぎる。
しょんぼりと項垂れる烏沙義を慰めようとなんとか上体を起こして頭をガシガシと撫でてやる。
「別に烏沙義のことが嫌いになったりしたわけじゃないんだから、そんな落ち込むな」
「でも、お二人に迷惑をおかけしました……」
「私達のことは気にするな……それより、早く昼ご飯を作らなければ」
「いや、外食しよう。ファミレス行こう」
「ふぁみれす?」
首を傾げる烏沙義にそれとなく説明して、俺は八重を起こしに二階へ上がった。
身体を揺すぶるも、「んぅ~」と唸って一向に起きる気配がない八重に、悪戯心が芽生える。
八重が両腕を上げた瞬間、思い切りわき腹をくすぐった。
「ひゃうっ!?」
身体がビクンと震え、八重は俺から逃れようと必死にうごめくが、爪を立ててくすぐり続けると次第にぐったりとしてしまった。
やり過ぎたか?と反省していると、八重は顔を蕩けさせてニヘへ~と笑っていた。流石ドM。
「ほれ、ファミレス行くぞ」
「帰ってきたらさっきのもっかいね」
「はいはい」
ファミレスに行く準備が終わり、俺達は家を出る。
いつも通り八重は俺の右手を握り、烏沙義はまだ幼いので左手で手を繋いでやった。案の定顔を真っ赤にしていたがやはり嬉しいようで少し顔がにやけている。
……紅葉がふくれっ面なのは何故なのだろう。