ブランクやらスランプやら新しい話やらで……。
「榊様がいないー!!」
突然半泣きの烏沙義にたたき起こされ、私の心臓は止まりかけた。
いつも榊が優しく起こしてくれるから余計にびっくりした。
紅葉はまだ寝てるのかな? あいつ寝起き悪いしなぁ。
榊は今日から学校だ。夏休みが終わったから昨日はずっとローテンションだった。
「学校に行ってるだけだから大丈夫だよ~。多分午後には帰ってくるし」
「帰ってこないかもしれない!」
「帰ってくるって!」
「ほんと!?」
「本当だって!」
夏休み中に我が家に来た烏沙義にとって日中榊がいないのは不安なのかもしれないが、流石に心配し過ぎだ。まぁそんだけ榊に懐いたってことなんだろうけど。妹的な存在が出来たのは嬉しいけど、ちょっと複雑だ。
まだしゅんと心配そうにしている烏沙義の腕をつかみ、布団の中に引きずり込む。烏沙義は驚いてたけど抵抗する様子はない。
「不安なときは誰かに抱きしめてもらうと落ち着くよ。榊が言ってた。私も雷の日とかは恐くて、榊に抱きしめてもらってたなぁ」
腕の中に私より一回り程小さな烏沙義を抱きかかえ、微笑みかける。さらさらな髪の毛を撫でてあげると、本当にお姉さんになった気分だ。今まで末っ子ポジションだったしね。
烏沙義が胸に頭を押し付けてくる。それが信頼されている証のようでなんだかうれしい。
まだ朝の八時だし、もうちょっと寝てから紅葉を起こして、そんでご飯を食べよう。
榊がいないと寂しいのは私も同じだけど、帰ってきたらきっと甘えさせてくれるから。
のんびり寛ぎながら、榊の帰りを待っていよう。
ああああ八重を撫でたい!
机に突っ伏した俺は心の中で叫んでいた。絶叫だ。
夏休みは毎日八重分(?)を補充してたから日中八重と一緒にいないと落ち着かねぇ!
いや別に紅葉と烏沙義に会えないのが落ち着かないとか、差別的なことを考えてるわけじゃない。それでも、好きな子に会えないというのは予想以上に精神が削られるものだ。
「やぁやぁ死んでるねぇ恋する男子」
「キャラ設定どうなってんだよアホ小鳥遊 」
「全校集会で疲れちった」
「それは俺も…って誰が恋する男子だこの野郎」
いつものように自由奔放な小鳥遊にツッコミをいれ、再び机に突っ伏す。
余っている机の上に小鳥遊が腰をかけ自分勝手に話しかけてくる。
「八重ちゃんが傍にいないから落ち着かないんでしょ〜。重度のシスコンだねぇ」
どうやら小鳥遊の中は俺たちは兄妹という認識をしているらしい。まぁ深く聞かずに自己解決してくれるのはありがたい。
重度のシスコン。あながち間違いではないので否定出来ない。顔は見えないが、小鳥遊がニヤニヤしている気がする。
家に帰ったら八重を撫でて、烏沙義と紅葉も撫でてあげて、八重を抱きしめて昼寝しよう。でもあいつらのことだからきっと寝坊してるな。
流石に昼寝するほど眠くはないか。いや、それでも抱き枕になってもらおう。
だから早く帰りたい。
担任が教室に戻ってきてホームルームを始めるまで小鳥遊は俺の側にいた。