今回は前回正義感いっぱいだった一誠が如何にして無情に近付いたのか。今回でその謎?が解けます。いつも通り今回も無理くり。そして3話目にして奥義登場。
分かる人はわかると思いますが時間軸でいうと3巻辺りになります。
「少し場所を変えようか。ここからの話はあまり人に聞かせられるようなものでもないし。それにここに長居しては周りの人に迷惑だからな。」
2人の少女を連れて俺は会計を済ませた後、店を出る。
2人には少し狭いかもしれないが俺の拠点に連れて行くか。
そう考えた俺はこちらを監視する悪魔の目を僅かな間誤魔化し、拠点に2人と共に転移する。
2人はいきなりの転移に驚いていたがあえて悪魔が監視していたことは明かさず単に距離が離れているからと説明しておいた。
2人を椅子に座らせ、俺は冷蔵庫に入れて冷やしてあったほうじ茶とこの前買った煎餅などの菓子を2人に出す。
「食ってもいいぞ。つっても安もんだけどな。それじゃあ話を再開するぞ。」
師匠のいた世界から出た俺はいろんな世界を回った。まぁ、100はいかないけどな。
そして行く先々の世界で俺はがむしゃらに修行を繰り返した。時には転生者だらけの世界にも行ったことがある。そこの人達は結構いい人達でお世話になったよ。転生者の中にもいい奴はいるって分かった。
それから暫くして俺はある世界に着いたんだが何の因果かその世界を救うことになってな。後から聞いた話だが俺が転移してきたのとほぼ同時に異世界から勇者を召喚する儀式をやってたんだと。そこに偶々同じタイミングで俺が転移してきたから勇者の1人と間違えたんだそうだ。
その後は召喚された奴らと一緒に旅をして色々やったさ。時には魔族を、時には人間を相手に戦った。
自信家で戦いに至っては最強とも思えたソウタロウ、臆病な癖に人一倍仲間の為に体を張ってたヒナノ、そしてバカだけど誰よりも人の心を動かしたケンイチ。
そんな日のうちのひと時だったよ。あの悲劇が起きたのは。その時は漸く魔王の前に辿り着いたところでさ。魔王を倒して平和を取り戻すってところでヒナノが同じソウタロウに刺されたんだよ。
(そろそろ語り風にやるのが作者的に辛くなってきたのでここからは普通のに切り替えます。)
それは正しく不意打ちだった。いざ魔王と戦わんって時に後ろの、しかも仲間に刺されたんだ。刺された本人以上に俺も驚いた。
刺した剣を抜いたと同時にヒナノは倒れ、ソウタロウは何も言わずに魔王の所に行った。
「おい、ソウタロウ!お前何しやがる。ヒナノは仲間じゃねぇのかよ!」
ケンイチはソウタロウに向かって叫んだ。だがソウタロウは何も思うことは無いようで逆に高らかに嘲笑い、最悪の一言を放った。
「仲間?冗談はよしてくれよ。僕の周りにいるのは君達を含めて僕の作った世界のおもちゃさ。これで18回目になるけどやっぱり面白いね。思い通りに動く世界にそこに生きる人間達。ゲームみたいで何度やっても飽きないよ。」
その言葉に俺もケンイチもはらわたが煮えたぎるような怒りを感じた。だが、今は刺されたヒナノが大事だった。ヒナノの所まで行き、素早く治療を始めようとするも何故かヒナノの傷は塞がることがなかった。
「おい、如何してだよ!このアイテムで傷が回復するはずだろ!」
焦る俺の様子にソウタロウは大笑いしていた。
「アハハハハハハ、回復するわけないじゃん。さっき言ったじゃないか、この世界は僕が作ったって。この世界の人間も、アイテムも召喚された人間も僕の思うがままなのさ。まぁ、召喚された人間に関しては余程弱ってない限り操ることはできないんだけどね。」
殴りかかろうとするケンイチを止め、ケンイチにヒナノを魔王の城の外に出すように指示する。ケンイチはそれに反対したが、ヒナノの容態と見たこともないほど怒りを露わにしている俺の気迫に押され、頷いた。
ケンイチがヒナノを連れてこの部屋を出たところで俺は口を開く。
「この世界はお前が作ったと言ったな。それはどういう意味だ?」
「そのままの意味さ。君には理解できないだろうけども僕は転生者と呼ばれる存在でね。神に誤って殺され、そして素晴らしい力を与えてもらって僕はこの世界を創造したのさ。この世界の住人の運命は、行動は全て僕が握っている。故にこの魔王だって僕の下僕同然。僕の思うがままに動くのさ。」
転生者。その言葉を聞いた時に俺はまたか、と思った。今まで巡ってきた世界でもそういう奴はいた、特別な力をもらった自分こそが主人公であり他の人間はただ自分をよく見せるためだけに生まれた存在。自分の世界とは違う世界の人間だから何をしてもいい。
「そうか…ならこの世界で身につけた技術全てはお前には通じないってことか。」
「そうさ、この世界で生み出された技術もまた僕が操ることのできるものの1つ。つまり君にはもう勝ち目はないっt…ガハァ!」
そろそろ聞くに耐えなくなってきたので俺はこのクソを殴り飛ばした。
「詰まる所ここで身につけてないもんならお前を嬲り殺しにする事も可能ってわけだ。」
クソを殴り飛ばした時に付いたクソの血を軽く払いながら俺は準備を進める。
「ちょうど良かった。一回何も考えずに本気で暴れてみたかったんだ。生憎とそういった機会に恵まれなくてな。そのことについては感謝しとくぜ。だが…」
今まで巡ってきた世界で学んだ技術。その中で3つの世界で身につけたこの力は師匠との修行の中で身につけることのできなかった俺だけの奥義を完成に至らせてくれた。
1つは仙術チャクラと呼ばれるもの。身体エネルギーと精神エネルギーを練ることによって生まれるチャクラに加えて外からの自然エネルギーを更に加えて練る仙術の奥義。
2つ目は波紋法。こちらは特殊な呼吸法によって血液の流れをコントロールし、波紋を起こすことによって得られる超濃密な生命エネルギーの奔流である仙道の奥義。
そして最後は気功。前に挙げた2つとは似通っているようで違う力。仙術チャクラや波紋法とは異なり純粋なエネルギーの塊であり、そのままで打ち出すことも可能。3つの中では操作性が段違いに良い。
そしてこれら3つともう1つの俺の中に残ったとある力を合わせて生み出したのが
「俺はてめぇみたいな命の価値を分かろうとしないクソ野郎が大嫌いなんだ。ヒヨミの痛みも、ケンイチの怒りも纏めて、てめぇのその澄ました顔に叩き込んでやる。覚悟しろよ。俺を怒らせた代償はかなり重いぞ。」
俺は赤天功を纏った拳でクソを殴りつける。クソは魔王を楯にして難を逃れたようだがその一撃で魔王の上半身は消し飛び、残った下半身は力なく倒れて崩れる。その様子に余裕をこいていたクソの表情は醜く歪む。
大方今までこの世界全てを操るという力で負けなしだったんだろう。初めて思い通りに戦えないという状況に戸惑い、そしてこんな奴に負けるなどあってはならないという安っぽいプライドが刺激された故のものだろう。
「おいおい、この程度で余裕をなくすなんて随分と弱っちいじゃねぇか。」
「余裕をなくしたわけではないさ。ただ、君程度のくだらない存在にこれを使うのを迷っただけさ。見せてあげ…ゴバッ!」
俺はそんなクソの顔を殴る。
「てめぇは一々口上が長いんだよ。それにこっちは完封試合目指してんだ。させるわけないだろ。」
腹、胸、脳天と気絶させないように、だが確実にダメージが入るように攻撃を加えていく。そして攻撃の回数が50を超えようとしたところで
赤天功を右腕に集中させて一息のうちに間合いに入る。そして鳩尾に拳をめり込ませながらそのままクソの体ごと腕を持ち上げ、クソの体から衝撃が逃げないようにする。
俺がこの一撃で殺しにかかるのが分かったのかクソはわめき始める。だがそんなのを聞いて許してやるほど俺の怒りは小さくはなかった。
「その侘びは今までてめぇのおもちゃにされた奴等にあの世でやってこい…転拳流奥義、
その言葉と共に放った赤天功がクソの体を駆け抜け、内臓の1つ1つを確実に破壊していく。最後は体中の穴という穴から大量の血を吹き出し、カラカラのミイラのような死体が俺の拳の上にあるだけだった。
そこで俺の話は終わり、グラスに注いだほうじ茶を飲み干す。
「ま、そのあとはあいつの事を思い出してしまうのが嫌で他の奴等に内緒で次の世界に行ったって訳だ。そっからしばらくしてこの世界に漸く戻ってきた。荒唐無稽な話しではあるがこれが俺が経験してきた全てだ。」
話を聞き終えた後の2人の顔はどちらも良い顔というわけではなかったがツインテの方は俺の話を聞いて漸く納得したような顔をしていた。
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