駆け出しの冒険者たちが集う町 アクセル
僕、否もはや私が着いた町の名前だ。
中世ヨーロッパの街並みを彷彿とさせる石造りの道にレンガ造りの家々と、元日本人の私からすればまさにRPGなイメージ通りの街並みだ。転生先の一番最寄りの町が駆け出しの町というのも幸先がいい。
あれから一通り泣き叫んだあと、なってしまったものは仕方ないと諦め見えていたこの町にやってきた。
街中で情報を集めつつ、私は冒険者ギルドで冒険者登録をするのが当分の目標となった。
ただ登録には登録料がかかるらしく。
ギルドに向かう前にある程度稼がなくてはならない。
そこで私がとった行動とは……
「安いよ、安いよ~。今なら新鮮なレタスが一玉1000エリスだよ~」
自分で能力で造った野菜を売りさばくのである。
さきほど町で聞いたのだが、この世界野菜は動きまわるのが基本らしく。総じて価格が高いのである。
特にキャベツは飛ぶのでギルドでは一玉一万エリスで買い取ってもらえるらしいのだが
ズルしている気分なので申し訳なさで十分の一の価格が適正なレタスを売ることにしたのだがこれがいい感じに売れる。
「お嬢さん、レタス10玉だ。」
「はい、まいど一万エリスになります。」
「おう、これで。」
「毎度上がり。」
うん、これぐらいでいいかな。
あんまりやって注目されすぎるのもなんだし。
「すいません、冒険者ギルドってあっちであってますか?」
「そうだが、依頼か?俺が案内してやるよ。」
「いえいえ、お構いなく。」
親切そうに金髪のおにいさんが案内すると提案してくれたがやんわりと断っておく。ちょっと視線が怪しかったし
危ない危ない、さっきから男の視線がちょっとヤバいから急いだほうがいいかも。
「さっきの嬢ちゃん見たか?」
「ああ、なかなかの別嬪だ。しかも服で分かりづらいが巨乳と見た。」
「まじか、今度のサキュバスの店でお世話になろうかな。」
ぶるっ!なんだろ寒気が!
唐突に訪れた寒気を訝しながらも、私は冒険者ギルドの扉を開く。
「いらっしゃいませー!お食事なら空いてる席をどうぞ!お仕事案内なら奥のカウンターへ♪」
中はまるで酒場のような活気で、様々な冒険者たちで賑わっていた。
鎧を着た男や、ローブに杖といかにも魔法使いな恰好の女性など本当に異世界にきたのだと改めて感じさせられる。酒を飲んで騒ぐもの、掲示板の前で右往左往する上半身裸のおっさん。
なるほどまさに冒険者ギルドという感じだ。これは期待してもいいかもしれない。
「すいません、冒険者登録したいのですが。」
「それならあちらのカウンターにお願いします。」
「ありがとう。」
言われたカウンターに向かい、受付のおねえさんに話かける。
「すいません、冒険者登録したいのですが。」
「はい、登録料が1000エリスかかりますがよろしいですか?」
「はい、こちらでお願いします。」
言われた金額分をおねえさんに渡す。思ったよりも安くてホッとする。
「はい、確かに。では改めて説明を、冒険者にはかく職業というものがございます、そしてこれが登録カード、冒険者がどれだけ討伐をおこなったかも記録されます。レベルが上がるとスキルを覚えるためのポイントが与えられるので、頑張ってレベル上げをしてくださいね。それではこちらの水晶に手をかざしてください。」
言われた通りに私の手をガラス玉にかざす、そうするとカタカタと音を立て、カードに文字が刻み込まれる。
「これであなた方のステータスがわかりますのでその数値に応じてなりたい職業を選んでくださいね。」
ステータスに応じた職業決め、RPGのお約束だな。
というかこの冒険者カードって結構ハイテクだな。本当にステータスとかが浮かび上がってる。
ゲームみたいな世界というのはこういう所から来てるのかな
「ええっと……カザミユタカさんですね。スゴイです!筋力、生命力、知力、魔力、器用度、いずれも見た事ないほど高いですよ!敏捷性がやけに低いのと幸運がやや低いのが気になりますが、これならほとんどの上級職だって選べますよ!」
おねえさんの興奮した叫び声にあれだけ騒いでいたギルド内の冒険者が静まる。
その後再びザワザワと話し始めるが、多分私のことで話してるんだろうなぁ。
「あれ?見覚えのない職業がありますね『フラワーマスター』?」
フラワーマスター!?なにその職業。まるで私に風見幽香モドキになれと言わんばかりにピッタシな職業ではないか。ここまでされたらもはや運命すら感じる!
ここでこれを選ばずにいられるだろうか、いやない!
「フラワーマスターでお願いします。」
「いいんですか?こういう新職業は前例がないためなにもかも手探りになって大変ですし、スキルの内容もギルドの方に報告することが義務づけられますが。」
「構いませんよ、だって冒険者ですよ。新職業の開拓ぐらいしてみなきゃね。」
「はあ、そういってもらえるとこちらとしても助かります。」
受付の完了した冒険者カードを受け取る。
「それでは改めて。ようこそ冒険者ギルドへ。スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!」
それじゃあ、スキルポイントみたいのもあるみたいだし、少しスキルを習得したら実際にクエスト受けてみますか。
**このすば!**
とりあえずクエスト受けてみた。
内容はジャイアントトードの討伐、巨大なカエルモンスターらしく牧場に現れて羊などの家畜を食べるという。人間も捕食対象になることもあり、5体狩って来てほしいとのことだ。
というわけで町を出て草原に来たわけだが……
なるほど、デカい。自分の2倍はあろうかというサイズだ。
これなら人は丸のみできるな。
とりあえず覚えたての魔法で攻撃してみる。
どうもスキルを覚える前から特典としてもらっていた能力はスキル扱いになってるらしく、そこから派生するスキルを習得という形になった。
まずは中級魔法で……
「シードパス!」
呪文を唱えると同時に魔力を消費し、私の足元から巨大な植物が生え花を咲かせる。
そして開花した花の中心から巨大な種が高速で目標であるジャイアントトードに飛び出し……
「グェッ!」
一撃で貫いた。
「なかなかの威力だ……ね。発動から種が発射されるまでのタイムラグが気になるけど。要練習だな……よね。なかなか女性の言葉遣いは難しいわね。こっちも要練習っと。もう女性だし割り切らないと。」
今まで通りの言葉遣いではダメだ。心は男の子だけど、身体はもう女の子。これからの長い月日を考えれば開き直って生きていくしかいよね。
ズズッ
そうこう考えると次の目標が私の近くの地面から出てくる。
ついでだし、接近戦も試してみるかな。木をもへし折る我が剛腕の一撃を受けるがいい……フハハハ
っとイケナイイケナイ。意識してしないと、口調が荒れる。注意しないと。
「とりあえず……ふつうパンチ!」
ポヨン
「あ、あれ~?あなたの身体って思ったより柔らか……『バクン』
ぬぉわああ、ヌルッヌル!!生温かいけどヤバイヤバイ!
「シードブランチ!」
ジャイアントトードの口の中で暴れつつ咄嗟に手に取ったリンゴの種に魔法をかける。
すると種は急速に成長し、枝がジャイアントトードの身体を突き破って外に生える。
そうしてるうちにジャイアントトードが死んだらしい。私は這うように外に出た。
「う~、ヌメヌメする。駄目ね、ちゃんと情報を集めてからにすればよかった。調子にのって油断するなんて、幽香モドキ失格ね。」
そうこのままだと無様な姿を晒すなんて、と蔑まれること間違いないだろうし。
ズズズ
先程の騒ぎを聞きつけたのか、ジャイアントトードの群れが現れる。
数はヒー、フー、ミー……7体か。
「ここからは油断しない。もう醜態はさらさない。ボコボコにしてやる。」
「シードミステトーズ!!」
複数のジャイアントトードの足元から細い蔓がジャイアントトードを捕える。
少なくないスキルポイントで獲得した一番ポイントのかかったスキル
捕えられたジャイアントトードは徐々に元気をなくし、ついには死に絶える。
蔦の正体はヤドリギに近い。巻き付き寄生したあと、寄生先の魔力を奪い吸収する。
吸収した魔力は自分自身に反映されるからかなり強力なスキルだ。
難点は耐久力が低いので力あるモンスターだと引きちぎられることか。
ジャイアントトードの群れの中で一体デカいのがいるがその個体のはちぎれかけている。
なんにしても討伐目標数は達成しているのでこれぐらいにするかな……
これが私、風見穣の冒険者生活の始まりだった。
オオガエル 丸のみされて トラウマに
マスパ撃ちたいね!