強さの次元が違うんだが、一体どうやって過ごそうか 作:黄金聖闘士
神奈川県川神市
親不孝通り
「おいおい、こんな所で一体何してるんだ。あぶねえからさっさと帰れ、有り金全部おいていきな」
「ぎゃはは、お前は本当に親切だな」
薄暗い路地裏で一人の人物にヤンキーがカツアゲをしていた。人数は六人。全員体格も良く、手にはナイフや鉄パイプが握られている。それに対し、カツアゲをされている方は、何も言わずに佇んでいる。帽子を目深にかぶり、マスクをし、目を閉じているのに眼鏡をかけているさまは、まるで不審者の様だ。
「おい、何とか言ったらどうだ」
「ビビッて、声も出せねえのか。良いから早く有り金全部寄越せ」
ヤンキーのうち一人が、掴みかかる。だが、相手は一瞬のうちにその目の前から消えた。
「な、どこに行きやがった」
「探せ探せ」
ヤンキーが辺りを見渡すと、自分たちの後方に相手が佇んでいるのが見えた。そして、右手を引き何か構えをしている。
「スカーレット・ニードル!」
真紅の衝撃がヤンキーたちを一瞬で打ち抜いた。
路地裏で、ヤンキーたちがうずくまり、あまりの激痛にのたうち回っている。
「治安が悪いのは噂通りだな」
マスクを外し、懐からリンゴを出し齧る。この川神市に引っ越してきて、初めての探索だったのだが、いきなりヤンキーに絡まれるとは思わなかった。
「師匠達に、あんまり目立つなって言われてるんだがな」
一人呟く。だが、それにしてもこのヤンキーたちは弱かった。ここは武の聖地川神市である。少しはと、期待をしていたのだが、やはり俺の相手になりそうな奴は居ないのかもしれない。
「第一、俺や師匠達に勝てる奴なんて、この世界のどこにもいないだろうしな」
食い終わったリンゴの芯を、ゴミ捨て場に捨てる。
「おい、ヤンキー共、これに懲りたらもう二度と、カツアゲなんて馬鹿な真似するんじゃないぞ」
「うう、畜生。痛え、痛えよ」
ヤンキー共は、余りの痛さに俺の声も聞こえていないようだ。ヤンキー相手に、スカーレット・ニードルはやりすぎだっただろうか。
「まあ、黄泉比良坂に送られなかっただけましだろう。アナザーディメンション」
空間が開き、その中に身を投じる。そして、路地裏から完全に姿を消した。
自宅のリビングに着地する。転生してから早数十年。ようやく一人暮らしが出来る。今までは、師匠達との鍛錬で、殆どのの時間を使っていた。これからは好きに過ごすことが出来る。
「ま、鍛錬を怠る気は無いけどな」
俺は、荷物の整理もほどほどに、結跏趺坐を始めた。