強さの次元が違うんだが、一体どうやって過ごそうか 作:黄金聖闘士
「あのすいません、転入は転入生と同時、じゃなかったんでしょうか」
「そのつもりだったんじゃが、お主には一日早く来てもらう事になったのじゃ。制服等はもう受け取っておるじゃろう」
「ええ、受け取ってますけど」
「それじゃあお主は今日から川神学園の生徒じゃ。遅れずに登校するのじゃぞ」
「分かりました」
その連絡がきたのは、朝の七時頃だった。昨日の話と随分と違う。だが、転生後学校には全く通ってなかったので通うのは楽しみだ。逆に嬉しい誤算だった。
「ってことで、今から学校に行くことになった」
朝食を食べながら、俺は他の四人に話しかけた。因みに、この朝食はマカが作ってくれたものだ。彼女達は大きな机の反対側におり、俺とは一定の距離を置かせている。この家で、一緒に生活する上で彼女達には俺にあまり近づかないように言っておいた。俺の体質上、仕方がない判断なのだが彼女達は不服そうだ。今度、俺の体質について詳しく説明する必要がありそうだ。
「家の事はちゃんとやっておきますから、安心してください」
「じゃあ頼んだ。ああ、あと家の庭の一角にバラが植えてあるんだが、絶対に近づくなよ。一嗅ぎでもしたら五感を失い死ぬ毒バラだからな」
「おいおい、何て物植えてるんだよ」
「仕方ないだろう、修行をする為に必要なんだから」
俺はそれだけ言うと、制服を着ていつもの格好をして学校へと向かった。学校でも周囲には常に気を配っておかなくてはならない。もし、血が少しでも流れるような事になれば大惨事が起こりかねないからだ。学校でも、決闘はあまりやらずに周囲とは一定の距離を置いておこう。
変態橋に差し掛かった時である。目の前から爆走してくる一台のバイクが目に留まった。その手には、明らかに学生のものであるバックが握られている。つまりは、ひったくりだ。
「どけどけー、轢いても知らんぞ」
おまけに人を轢きそうな勢いで俺に向かって突っ込んでくる。
「はあぁー、朝からめんどくせえな」
俺はコスモを燃やし、右腕の手刀を構える。そのバイクが俺の横を通る瞬間、手刀を振るった。シュッ!
「なんだぁ!うぐぁあああああ」
バイクのタイヤ部分を綺麗に斬り裂きバイクを横転させた。更に、その際にバックを奪い返す。だが、目の前から今度は矢が凄い勢いで飛んできた。
「フン!」
再び手刀を振るい、矢を真っ二つに斬り裂いた。
「やっぱり一回振るうだけで精一杯か、師は一本の矢を一瞬で四分割してたそうだしなあ」
「俺の剣(つるぎ)は未だ師の域に届かず、か。だがいつかは届いて見せる、神すら斬り裂くその領域へ」
俺は、再び歩を進める。すると、目の前に昨日橋の下で会った女性を含む一団が居た。その内の一人がカバンを持ってないところを見ると、恐らく彼女がひったくりに合ったのだろう。何人かが俺を信じられないようなものを見る目で見ている。あまりいい気はしない。
「ほら、これあんたのカバンだろう。ひったくりには気を付けろよな」
そう言って、カバンを渡した。
次回はファミリーサイドの話です