Fate/AlterZero   作:NeoNuc2001

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特に戦いません。たぶん。

2018/08/29 表現の変更


少女の約束
第零話 召還儀礼


「答えよ、貴様らが王の威光に縋らんとする雑種か」

 

 これがこの計画の最初の台詞である。もちろん、これ以前の活動は存在する。英霊を現世に固着させるための小聖杯の準備、霊脈の設定と強化、神樹様のバックアップと英霊召喚に必要な媒体の確保。いや、厳密に言えば特定のサーヴァントの召喚に必要な媒体の確保である。

 

 黒のジャンパー、古びた赤い布そして銃の形状を持つ魔術礼装等々。そして私に渡されたのは謎の石版。これらを利用して様々な英霊を召喚するらしい。そしてこの礼装は全て万華鏡の魔法使いが用意したものだ。

 

「意図的にアーチャーを引き出し、貴公が召喚するサーヴァントをキャスターに決定付ける重要な触媒だ。まぁ、この触媒で儂が出るならそれに越した事はないがな」

 

 触媒を見せられた時、万華鏡の魔法使いはそう説明した。その重要な触媒とはアーチャーのものか、私のキャスターのものか私には理解はできなかった。そして説明を求めようとも思わない。そう、そして、私が召喚するサーヴァントはキャスターなのである。そのはずなのだが、ステータスは魔術を得意とする様には見えずいやむしろ、単独行動を得意にしている様に見える。

 

「クラスはアーチャーか...まぁよい。その方が楽しめるものよ」

 

 その英霊は言葉を綴る。やはりアーチャーなのか。だとすればあちらでキャスターが召喚したと見える。いきなりドジを踏んでしまったか。しかし、どちらにせよ計画をここまでこぎ付けたのだから勝利は目前だと言っていいのだろう。

 

 多少の計画の変更に思案しているところに、何かを感じる。唐突に変化を感じる。方向は後ろ、扉の方だ。妙に騒がしい。まるで、鬼の狂宴を始めたかのように。時折、叫び声が聞こえる。バーサーカーを呼び出す予定はないはずなのに。

 

「おい、何の音だ..」

「サーヴァントが暴走しているのか」

「俺が見てくる」

 

 上司に確認すらとらずに、一人の部下が扉をあける。自分の魔術回路が警告音を奏でる。いや、これは共鳴? 

 

「なにやってるんだ。うゎ!」

 

 一人の魔術使いが引きづり込まれる。最後に見たその顔は恐怖と混乱に満ちていた。いやそれは疑問なのかもしれない。だが、どちらにせよそれは異常事態に間違いはなかった

 

 扉が開かれる、いや迫ってくると言う感じか。

 

「...!」

 

 魔術を紡ぐ、ゆったりとしたその詠唱は来るべき扉を目前で停止、静止させた。そして、当然ながら扉の目の前には確かに一人の魔術、いや魔法使いが立っていた。

 

「ふむ、やはりか。どうやら不味いことになったか。抑止力が弱まっているのが原因か。いや霊脈が限度を迎えてるのかもしれない」

 

 理解する。

 そしてアーチャーがやっと魔法使いを視認し、問いを放つ。

 

「ほう見たところ、貴様がこの群の長か。ならば問おう。なぜ貴様は王の面前で見るに値せぬ血を撒き散らし、食うに値せぬ肉を匂わせ、居るに値せぬこのみずぼらしい部屋にまねいたのだ?」

 

「それは英雄王に裁定してもらいたいからな、この世界を。それはこことはあまり変わらないが、つまらないとは思わんよ」

 

 魔法使いは答える、その手に狂気と欲望に満ちた仲間の頭を持ちながら。周りにいた部下は泡を吹きながらとうに倒れている。所詮は魔術使い。その急激な変化に耐えることができなかったのだろう。そう魔法使いのいったように、私が召喚したサーヴァントは最古にして最強の英雄、英雄王ギルガメッシュだ。

 

「なるほどな。この我を理解しているようだ。だがこの俺が聞いているのはそのようなことではない。他のサーヴァントはどうした。この魔力、強力なサーヴァントが召喚したようにも思えるが」

 

「お前が奪った、全部。本来五基の英霊を召喚するために用意したすべての魔力と四人のマスターの魔力をお前が全部持っていた。さすがは暴君として名高い英雄王だ。お陰で理性をなくした人間を処理することになってしまった」

 

「ほう、そうか。それは惜しいことをした。強力なサーヴァントと争うためにセイバーとして顕現しようとしたのが失敗か」

 

 魔法使いの言葉に英雄王は激情し、この場にいる全ての人を殺すのかと思ったのだか、英雄王は後悔こそはしたものの殺意をそこに見いだすことができなかった。一体なぜ。いやそもそも、英雄王が検知した魔力とは。

 

「ならば、マスターはどうした。貴様の口振りからすれば一人生き残っているのではないのか」

 

「今、お前の目の前にいるが」

 

「なに? 貴様がこの我のマスターだと。いや、待てよ。なるほどな、そういうことか」

 

 英雄王は私を凝視し、納得顔でくっくっくと笑いながら、何か言っていたが、どうやら英雄王から見れば私はマスターとしての資質が足りなかったらしい。それもそのはずだ。なにせ、私は7歳になったばっかりの子供に過ぎないのだから。

 

 どちらにせよ、私はただの渡し役に過ぎない。実際にマスターとして間接的に、一時的に魔力を捻出し、共に戦うのは三人の少女なのだから。計画における今回の私はサーヴァントを召喚するために魔力を一点に集める魔術使いに過ぎない。いわゆる中継地点。実際には聖杯が行うべき仕事だが、急造の礼装のためにマスターが代行することになった。しかし、他の四人は上手く制御できなかった。その隙をこの英霊が突いたのだろう。

 

 やはり、私はこういうことが得意らしい。

 

 しかし、実際にサーヴァントと向かい合うと「このサーヴァントと一緒ならば何かを得ることができたかもしれない」そのような後悔の念がある。やはり、自身も戦闘に参加すべき立ったのだろうか。

 

 ただ、バーテックスとの戦闘で得るものはあっても、この英霊に献上すべきものがほぼない。それでは意味がないのだろう。下手すれば、勇者やサーヴァントの戦力を削る恐れがある。やはり、譲るべきなのだろう。

 

「では、説明してもらうぞ。一体この我をどのような戦いに導くのか」

 

 英雄王に説明する。この世界の成り立ち、戦うべき敵、共に戦うべき味方、隠匿すべき事実。そして勝利の先にある報酬、つまり受肉を。

 

「なるほどな、ではこの我はその雑種のところに向かえば良いのだな。くだらん戦いとは言え、ある程度はやらぬ訳にはいかん」

 

「あぁ。できれば、あいつらと信頼関係を築けよ。三度目の戦いの後だ、ある程度のグループが構築されて、連携がうまくいかないかもしれない。心配するな、バーテックスの襲来はまだ先だ」

 

「信頼など、そのようなものはこの我には要らん。ただ、羨望と敬愛の意をもってこの我を見ればよい」

 

 英雄王は己の信念を曲げずに前に進む。魔法使いは心配する、勇者との連携は上手く行くのか。だが彼は知らない、それが杞憂だと言うことを。英雄王は知らない、勇者と確かな信頼関係を得ることを。

 

 この戦いは、王の庭を荒らし、愉悦を略奪した神を誅罰するものだ。そして、人にそれを返すものだ。

 

 今のところは。




万華鏡の魔法使いにかんしては、特別な事情(裏設定)で弱体化しています。具体的にいうと色位と冠位の中間ぐらいです。魔法と魔術の両方が阻害されています。

英雄王ギルガメッシュは設定上ステータスがやや上です。また、聖杯の誘導でスキルが多少変化しています。これについてはまた後日。

ギルさんとNOT慢心については”万象の夜”によって引き起こされた、とだけ書いておきます。

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