眠い。
「いや〜、それにしても楽しかったな!」
帰り道。三人の少女と一人の英霊が遠足からの帰宅の途中だった。
遠足では子ギルが愛想を振り撒き、銀が勇者としての注目を一点に集め、園子と須美はそれを遠くから眺める。
注目を集め調子に乗ったのか、銀はアトラクションを危険な方法で攻略しようとしが、事故の一歩手前までの事態となり須美にきつく叱られた。
いわく、「口数を減らします!」とのことだが、気付けばそれは風に流れ、さらに須美たちはそれを気にする様子はもはやなかった。
そして
今日もあの昔ながらの音楽が流れる。夕日も沈み始める。別れの時間だ。
「明日は休みか。なら、イネスに...」
しかし、音楽が止まる。夕日は沈まず、全てが静止する。鳥も動かず、全てが硬直する。
つまり、戦いの時がやって来た。
「敵の襲来ね。」
「最後の最後でこんなのってアリかよ!本当に、なんでさ!」
「バーテックスが空気を読んでくれないな〜。トホホ〜。」
三人の少女は不平不満を漏らしながらも変身する。
一人は情熱の花に。
一人は優雅の花に。
一人は清楚の花に。
そして三人が変身を終え、顔を上げた頃には樹海化はとうに終わっていた。
樹海。そこはたくさんの色が存在していた。しかし、英雄王の宝とは一味違う。
光を強く発さず、周囲の光をもって自身の美しさを表す。
それはまさしく謙虚とも言える姿勢であり、日本特有の「わびさび」に通じるものもあるかもしれない。
そしてその謙虚さが神としての存在の確定、神秘の認知へと繋がっていく
しかし、ギルガメッシュはこの景色に不満げな表情になっている。
「なんだ、このみずぼらしい光景は。あまりにつまらぬではないか。」
「これが日本人の持つ感性よ。いつかあなたも理解できるわ。」
不満を漏らしたギルガメッシュは既に大人ギルガメッシュに戻っていた。子ギルフォームの時点で異変は察知し大人ギルガメッシュに戻っていた。いわく
「お前らが対峙する魔物、バーテックス、この我が見定めてやろう。なに、お前らを苦しめたとはいえ、所詮は魔物。この我が軽く裁定するのがちょうどよい。」
と、イネスのジェラートをぺろぺろ食べていながら宣言し、その裁定を行うために本来の性格である大人ギルガメッシュに戻ったのだ。
「それじゃ、行くよ〜。えいえいお〜。」
「おー!」
「お、おー...」
「ふん、下らん。このような児戯、すみやかに終わらせよ。」
リーダーの園子が掛け声をかける。銀は素直に答え、須美はそのテンションの無さにペースを崩され、アーチャーはいやな時間が来たとばかりに不機嫌な表情を浮かべている。
これから向かうは大橋。異型と争う戦場の地。
跳躍を数回繰り返し、大橋にたどり着く。今回は比較的大橋に近かったため、跳躍回数が少なく、短時間で到着ができ、時間の余裕が生まれる。
時間の余裕は集中するために使われる。そして、ひたすら相手を待つ忍耐力も消費する。
そして、敵はやってきた。
一体は大きな鋏を尾に持ち、複数の盾?のような物を周囲に展開させている。
もう一体は手のような物で水のらしき液体が内封されている球体を持ち、それらの上部から尾が出ており、こちらは針状となっている。
つまりはニ体。これまで一体ずつやってきたパターンを破って新たなプランをもって四国を攻めてきたのだ。
「えっ、ええ〜!」
「2体。そう来たか。」
「何を驚いている。魔物とて幾度も敗れて尚単身で乗り込む程の阿呆ではなかろう。だが所詮は魔物。本来通りに行動せよ。」
「うん、そうだね〜。それじゃミノさんと私で一体ずつ相手をするから、ワッシーは後ろから援護をお願い〜!ギルギルはズガ〜ンってやっちゃって〜!」
「「了解!」」
「ああ、お前らに王の財宝、その一端を見せてやろう。」
アーチャーはそう口にしながら自身の後方に数十の門を展開する。そこに現れるのは一つ一つが伝説を持つ宝具。
それらの一斉掃射。
轟音をたてながら放たれたその砲撃は戦いの号令となった。
「突撃~!」
園子の更なる号令のもと銀と園子は敵に向かっていく。須美は弓に矢を構え、二人の援護を行う準備を行う。アーチャーは敵に次の手を打たせないためにさらなる連撃を加える。
「じゃぁアタシは、気持ちわるいほうと戦う!」
「どっちの敵も気持ち悪いと思うんだ~。」
銀は気持ち悪い敵、巨大な鋏を持つバーテックスと、園子は針を持つバーテックスと対峙していく。
須美も援護を始める。鋏を持つバーテックスに矢を放てばすでに派手に動いている銀がさらに派手に動き、大ダメージを与える。その様子はまさに炎。
針を持つバーテックスに矢を射れば回避しながらも防戦一方だった園子が攻撃に反転し、同じく大ダメージを与える。その様子はまさに蜂と蝶。
そして二人のいずれかが与える大ダメージ。それはリスクを負いながらの攻撃。
そのため、その攻撃後には体勢を立て直す必要がある。
その後退に合わせ、アーチャーが後方から宝具の乱射によって敵の追撃を許さない。
本来、アーチャーは訓練に参加せず、連携を取れるかは問題点であったが、この作戦ならば
戦いが本来の予想よりうまく進む。連携は訓練のみで培われたものではない。アーチャーの能力も然り、四人の信頼も然り。なればこそこの戦いは勇者側の必勝パターンに持ち込まれつつある。
ここまでは。
晴れの次には曇りが来る。そして時には雨も降る。
「!?上からなにか来る!!」
「これ、広域だ逃げられない。」
「みんな~。こっちに来て~。」
降り注いだは幾千もの矢。それは正に"雨"と呼ぶにふさわしい量であった。
しかし、その盾はこれまでのバーテックスに最も有効的な手であった。それが封じられたとすれば、バーテックスが出る手段は当然、
「うぁぁぁあああああっ!!。」
矢のダメージを受けながらも針を持つバーテックスが横からの尾ごと振り回し攻撃した。銀は辛うじて自身の斧で防いだが、園子と須美は空中に跳ねられ、さらに地上に叩き落とされた。
バーテックスは自慢の回復力を利用し、矢のダメージを回復。こちらに向かおうとした。そしてその矢を放った張本人は
「三対目...」
現れたのは不気味な口を持つ三体目のバーテックス。これは己の回復力、陽動、等を利用したバーテックスの作戦。信頼が無ければ達成できないものであり、同時に須美たち三人より強固な信頼を持っていたという証明になる。
「銀!今は撤退だ。だが、勘違いするなよ。あくまで須美と園子を置いていくためだ。」
「えっ?あぁ、わかった!」
一瞬困惑しながらも銀は意図を理解し、須美と園子を肩に担ぐ。銀は足場から飛び降り、バーテックスから高速で離れた。その刹那の後、巨大な矢が元居た場所に突き刺さり、爆砕音が響いた。
アーチャーもともに下へと下っていく。状況をそれなりに楽しみながら。
死にそう。(精神的に)
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