『TDD-1建造』相良宗介、軍曹から提督へ   作:ローファイト

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第十一話 メリダ島制圧海域拡大作戦

宗介たちは制圧海域拡大のため手始めに、メリダ島から南100㎞に位置する島を制圧することを決定する。

 

編成は川内を旗艦として、秋月、朝霜、早霜、そして、新艤装を装着後実戦は初となる清霜が参加、神通は今回は待機を命じている。新しい艤装は今までの艤装とは全く別物なため、海上を航行するのにも訓練が必要な代物だ。

テッサは……勿論待機だ。艤装も無いためだ。

 

そして宗介はぺイブ・メア輸送ヘリでレーバテインを吊り下げ(ドッキング)輸送し、川内達のバックアップに回る。

ぺイブ・メア輸送機にはECSが搭載されているため、不可視化し、川内達の後ろ5㎞に付け飛行する。

ぺイブ・メアのコクピットは勿論、妖精が操縦できるよう改造済みだ。さらに、電波塔や最低限の防衛ラインを築くための監視機器などを設置するための設備と作業員(妖精)を載せている。

 

南島まで、深海棲艦に遭遇せずに難なく到着し上陸。電波塔や監視機器などの機材を下ろしていく。

妖精たちが行う電波塔、監視機器設置作業は丸1日、島で一晩野営し艦娘達は交代で警戒態勢を取る。

その間、宗介は島内を足で見て回り状況確認をする予定だ。

 

宗介はレーバテインから地面に降り立つ‥‥

 

その瞬間

 

不意に視界を塞がれたのだ。

(くっ、しまった伏兵か……全く気配を感じなかった)

あまたの戦場を駆けずり回って来た宗介の戦士としての鋭い嗅覚と感、そして敵を察知する能力は超一流の領域なのだが……視界を塞いだその人間はその宗介の後ろを取ったのだ!背中には冷や汗が流れでていた。

 

しかし、後ろから視界を塞いだ何者かは、銃や刃物を突き付けることはしなかった。

「相良てーーーーとく、だーーーれだ♡」

 

その声を聴いて、敵ではないと安堵するも、思わず素っ頓狂な声を上げる宗介。

「………テッサ??」

 

「はーーい、提督の~テッサです!!直ぐに私って分かってくれたんですね!!愛の力です~」

そう、メリダ島基地で待機していたはずのダナン……いや、視界を塞いだ主はテッサだったのだ!

 

「な……なぜ、ここに、基地に待機するように言ったはずだが……」

宗介は、冷静さを取り戻し、テッサに詰問する。

 

「えーーだって、相良提督は、この島でお泊りなんですよね。だったら一緒に寝れないじゃないですか~」

 

「テッサ……誤解を招くような言い方はしないでくれ、一緒に寝た覚えはないのだが………どうやってここまで来た」

宗介はそう言うが、ここ5日で3回は早朝に私室のベッドにもぐりこまれているのだ。ちなみに後2回は神通が阻止していた。

しかし、宗介の感と気配察知能力は非常に高い。何故かこの少女の気配だけはまるで感じられないのだ。

いや、例外はあった……このテッサ、いやダナンのモデルとなっているテレサ・テスタロッサ大佐も宗介のベッドに何度かいつの間にか潜り込んでいた事があった。寝ている間も人の気配があれば目を覚まし鋭敏に動くことが出来る宗介だが……テレサ・テスタロッサ大佐には殺気や敵意がまるでないため、全く反応できないようなのだ。それ以外の要因もありそうだが……

 

しかし、作戦中である宗介は、普段の何倍もの鋭敏に周囲を警戒していたはずだ。

もしかすると……これがテッサの……世界最強の強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナンのステレス能力なのだろうか?

 

「普通に~輸送ヘリに便乗させて頂きました~」

にこやかに答えるテッサ。

 

「………アル、聞こえるか、妖精達はヘリにテッサが乗っていた事を知っていたのか?」

 

「……今、ヘリに同乗していた妖精に確認しましたが……気が付かなかったそうです」

 

「………」

宗介は目を大きく見開きテッサを見る。

 

「どうしました?そうだ!野営のテントは私と相良さんで~一緒に床に就きましょう!」

相変わらずマイペースなテッサ。

 

「…………川内来てくれるか?………テッサが輸送ヘリに忍び込んでいた様だ。すまんが面倒見てやってくれ……」

宗介は無線を取り出し状況説明をし川内を呼ぶ。

 

川内は直ぐに宗介たちの元に現れる。

「テッサ!あんた基地で待機のハズでしょ!まったく!!……あんたは直ぐ提督の邪魔をするからこっち!」

テッサの首根っこを掴んで引っ張り、連れて行く……

 

「やーーん、提督ーー!!助けて下さい!!」

川内に引きずられながら、宗介に助けを求めるテッサ。

 

宗介は額に手を当て、ため息をつく。

 

 

そんなトラブルはあったものの、電波塔、監視設備の設置は予定通り翌朝には完成させ、メリダ島へ帰還、その間も敵深海棲艦に遭遇することは無かった。

宗介も当初の予定通り島内を1日かけて散策し、人が居ないかを確認するが、無人島の様だった。

川内率いる艦娘達は交代で警戒態勢をとっていた。

その間テッサはと言うと、ペナルティだという事で、食事の用意や雑用をやらされていた……

 

1日挟み……

 

同じ編成でメリダ島東160㎞に位置する東島を制圧の為に出撃準備を進める。

宗介は出発前に妖精達にテッサが乗り込んでいないか確認するように伝える。

神通には出発までテッサを見てほしいと頼んでいた。

 

しかし……

 

宗介はレーバテインに乗り込むためにコクピットハッチを開ける。

 

「さーーが……」

コクピットのシートから何者かが笑顔を宗介に向ける

 

そして……静かにハッチを閉める宗介。

 

「…………アル!なぜテッサがレーバのコクピットに乗っている!!」

宗介は少し間を置いてから、レーバテインの顔に向かって叫ぶ。

 

「いえ、そんな……全く気が付きませんでした」

レーバテインの外部スピーカーでアルは答えるが少し混乱している様だ。どうやらアルも気が付いていなかった様だ。

 

レーバテインのハッチを開けスクール水着姿のテッサが顔を出し

「提督!!酷いです~なんで閉めるんですか!!」

プンスカと宗介に抗議する。

 

「……テッサ…一応理由を聞こう……」

 

「だって、また相良提督が1日お泊りで出掛けちゃうじゃないですか……でも、向こうで会うと川内さんとかが私をいじめるから、こうして、移動中は相良さんと一緒に乗って行くんです♡」

 

「テッサ……遊びに行くわけではない。作戦だ。……しかも、レーバテインは一人乗りだ」

 

「でも~」

 

「……神通来てくれ、テッサがレーバテインのコクピットに居座っている。すまんが面倒見てやってくれ」

宗介は無線を取り出し発令所にいる神通に状況を説明し、こちらに来るようにたのんだ。

 

神通はものすごいスピ―ドで地下発着場に現れる。

「テッサさん!!提督の邪魔をしてはいけないと何度言ったら分かるんですか!!」

 

「ぶーーぶーー、私も提督と密着してレーバテインに乗りたいです~。誰かさんは裸同然で相良さんと抱き合って乗ってたって言うじゃないですか~~~!!自分だけズルいです!!」

 

神通は反論するが

「テッサさん!!あれは緊急事態だったのです。それに裸ではないです!!……その、提督には優しく抱き留めて頂きましたけど………」

最後は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「やっぱりーーーー!!ズルいです!!私も密着したいです!!ASの中で相良さんと密着したいです!!」

テッサは訳が分からない抗議を神通にする。

 

「とにかく!!テッサさんは私と基地で待機です!!」

神通はそう言って、テッサの腕を取り関節を極め、ズルズルと引っ張って行く。

 

「いたーーい!相良提督ーー!!助けて下さい!!」

 

宗介は額に手を当て、深くため息をつくのであった。

 

 

出撃前にまたもやテッサがらみのトラブルが起ったが、東島制圧自体は順調に行き、敵深海棲艦に遭遇することなく、作戦は終了した。

 

 

これによって、メリダ島周囲海域の制圧は完了し、メリダ島鎮守府としての機能が上昇し、新たに妖精達が100人が召喚され、メリダ島鎮守府に所属する妖精はこれで450人となった。

 

 

 

 

宗介は神通、川内と大佐(妖精)、そしてアルとが基地会議室で会議を行っている。

「うむ、予定通り、南島と東島の制圧は完了した。深海棲艦に遭遇することなく、上手く事が運び上々だ」

宗介は今回の作戦を評する。

 

「なんか拍子抜けよね」

川内はつまらなそうに言う。

 

「重巡棲姫を撃破しましたから、一時的にこちらの方は手薄になっているだろう事は、想定してましたので、これも予定通りです」

神通は川内にそう答える。

 

「ここからが問題だな、この海域を支配している深海棲艦の泊地の捜索だ」

 

「相良提督、このメリダ島を中心に敵泊地があると予想される島は南にトラック泊地、西に硫黄島、南西にはマリアナ諸島、1000㎞~1500㎞圏内、東は大分離れミッドウェーにハワイとあります。硫黄島、マリアナ諸島、トラック泊地は片道3~5日で大規模行軍は可能な距離となります。

トラック泊地は先の自爆により、復旧はまだできていないはずですので候補からはずれます。

マリアナ諸島及び硫黄島に敵泊地がある可能性が高いと判断いたします」

神通は敵の泊地候補を報告して行く。

 

「但し、それより近隣に規模が小さな泊地がある可能性もあるわよ」

川内は神通の説明に補足する。

 

「うむ、取りあえずは無人偵察機を飛ばし、敵の動向を探りつつ、敵泊地を捜索する。流石に1000㎞以上の範囲は電波の関係上の捜索は困難ではあるが、近隣に小規模泊地の有無を確認できるだけでも次の布石を打つ事は可能だろう。それまではメリダ島周囲200~300㎞を防衛ラインの完備を優先する」

宗介が無人機による偵察が完了するまでは、周囲警戒と防衛ラインの構築に専念することを命令した。

 

「了解です」

「了解」

「了解」

神通、川内、大佐(妖精)は了承の返事をする。

 

 

「……相良提督、微弱電波キャッチし、無人偵察機を送ったところ、人影を発見いたしました」

アルが会議室のスピーカーを通じて報告する。

 

「発令所に行く」

早速敵泊地を発見した可能性がある。宗介はそう言って、神通、川内を引き連れ発令所に向かった。

 

発令所では妖精たちが慌ただしく動き、正確な位置確認や電波状況、及び敵妨害電波への対処をしている様だ。

 

「アル、状況は?」

 

「南島から南南東に大凡300㎞海域にある半径2㎞もない小島海域から微弱電波が出ておりました。しかし、特に電信でも救難信号でもありません。無人偵察機で撮影した上空からの映像です。さらに赤外線センサーでも確かに熱源確認しておりますが……泊地などの基地ではないようです。映像をだします」

 

上空から島全体が鬱蒼と木々に覆われている島が映し出されている。そこには、1人の女性が映し出されており、どうやら釣りをしている様子が映し出されている。

 

「……鳥海さん?」

神通はその女性を見て名前を呼ぶ。

 

「うん、鳥海さんだよ!相良提督、トラック泊地で散り散りになった仲間の一人、重巡鳥海です。生きていたんだ……」

川内はその映像を見て嬉しそうに宗介にそう伝えた。

 

「相良提督、赤外線センサー、熱感知センサーでは森の中にもう一人感知しておりますが、一向に動いておりません。センサーの反応から生きてはいるようですが……」

アルはもう一人の存在について報告する。

 

「ケガをして動けない可能性があるという事か……」

その後を宗介が答える。

 

「相良提督、早速救助に行かないと」

川内は急かす様に宗介に言う。

 

「了解した……しかし微弱電波は何なのか解析はできたか?」

 

「はい、無線装置の故障で電波が流れっぱなしになっている様な反応です」

 

「……罠の可能性が高いな……しかし、実際に救助対象者はいる……」

宗介は長年の感と状況判断で罠の可能性があると踏んでいる。通常、敵の勢力範囲内で救難信号などを出すことはないからだ。しかし、実際に救助対象者はそこにいる。

宗介は少し考え込んだ後指示を出した。

 

「無人偵察機は周囲の調査を徹底させ、救助は俺とアルとで行く。ぺイブ・メア輸送ヘリにレーバテインをドッキング、無人攻撃機を一機随伴、艦娘の艦隊は待機または周囲警戒を強化」

 

「相良提督!!自ら単独出撃など考え直してください!……もし提督に何かあったら……」

神通は宗介の指示に悲痛な声で意を唱え、留めようとする。

 

「ふむ、輸送ヘリ、無人攻撃機はECS不可視モードが搭載されている。レーバテインもこのほどECSが取り付けられた。敵の目を掻い潜っていけるだろう。もし、何か問題があっても、一機だけなら対処しやすい。十中八九罠だろう、部隊をあちらに引き付け、留守中のここ(メリダ島)が狙われる可能性が高い。

神通も作戦行動が出来ない今、艦娘の部隊をここで待機警戒した方が良いだろう。これが最善と思うがどうだ?」

宗介は神通に諭す様に説得する。

 

「……了解いたしました……提督、無茶だけはしないでください」

宗介の采配は理にかなっていたため、神通は心情的には留まってほしいがしぶしぶ了承する。

 

「もし、ここに、敵が押し寄せてきたら、神通が指揮をとってくれ、サポートは大佐とアルがしてくれる。川内は旗艦として迎撃体勢を念のため整えてくれ……大佐(妖精)基地を任せた」

 

「はい……」

「了解」

「了解」

 

「では、アル準備を進めてくれ……俺は着替え次第、レーバテインで待機する」

そう言って宗介は発令所を出て司令官室に戻り、AS用の戦闘服に着替える。

 

「ご武運を……」

神通は心配そうに宗介を見送った。

 

 

 

 

レーバテインと(吊り下げ)ドッキングしたぺイブ・メア輸送ヘリと無人攻撃機は、ECM不可視モードを発動させながら、メリダ島を発進する。

ぺイブ・メア輸送ヘリには小島に設置するための簡易的な電波装置と、ケガ人がいる事を考え、ストレッチャーなどの傷病人の搬送設備などを搭載し、妖精達も数人同乗している。

 

今回幸いにもテッサが邪魔することは無かった。

ただ、発進準備中のレーバテインコクピット映像に割り込みこんな約束をしてきた。

「今回は、流石にご一緒できませんけど、早く帰って私とその分お話してくださいね」

宗介は「ああ」とだけ生返事をするにとどめる。

 

 

鳥海ともう一人が遭難していると思われる小島には、道中何事もなく到着するが、木々に覆われているためヘリが発着するスペースが全くない。輸送ヘリは海岸縁に空中でホバリングさせ、宗介だけが、島に降り立つった。

 

宗介は携帯端末で、ケガ人が居るだろう場所を確認し進む。

そして、木々で簡単に作られた。テントのような物に、一人の女性が横たわっていた。

しかし、息はあるようだが、見るも無残な姿であった。

宗介はそっと近づく。それに気が付いたのか、その女性は首だけ動かし弱弱しく

「……お前誰だ……なんでもいい……あたしを殺してくれ……もうあいつに迷惑かけるわけには……」

 

「安心しろ、救助に……」

宗介はその女性に静かな声色で話しだしたが……

 

「離れて下さい!!摩耶から離れて!!」

宗介は後方から怒声を浴びせられた。

 

宗介はゆっくりと振り返り、宗介に艤装の砲身を構えている眼鏡をかけた女性に話しかけた。

「うむ、貴官が鳥海だな。川内と神通から聞いている」

 

「深海棲艦じゃない?男の人?川内、神通…え?あなたはその、友軍の方ですか?」

鳥海は黒ずくめのAS用戦闘服を着た宗介を上から下へと見て、問いかける。

 

「まあ、そうだ、君たちを救助しに来た」

正確には違うのだが、警戒心を上げないためのにも、宗介は頷く。

 

「助かる……摩耶助かるわよ!もう少しの辛抱だから!」

鳥海はホッとした表情をし、砲身を納め、横たわっているうれしそうに摩耶のそばに行く。

 

「でも……どうやってここまで?貴方はいったい?」

鳥海は振り返り宗介を見据える。

 

 

しかし……

「相良提督、やはり罠だったようです。南方80㎞東方70㎞海域に敵深海棲艦らしき艦影を複数確認。こちらに向かっている模様、どうやら、ヘリホバリングの轟音が敵音響センサーに引っかかったようです。だからこのタイミングなのでしょう。目視確認ならば、もっと早く動いていたと想定します」

無線越しにアルから敵襲撃の知らせが入る。

 

「それならば、十分、先に離脱できるな」

 

「いえ、敵艦載機多数接近、急いでください」

 

「了解した……一人はかなりの重症だ、ストレッチャーを降下させろ」

 

「了解」

無線を切る。

 

「すまんが敵襲だ。急いで離脱する」

 

「でも、摩耶が……」

 

「……あたしを置いていけ」

 

「痛みは我慢してくれ……」

宗介はそう言って、摩耶を抱き上げる。摩耶は重症しかも両足が欠損している状態なのだ。

しかも、ろくな治療も受けていない状態、痛みは激しいだろう。

 

「ぐっ」

 

 

 

「相良提督、さらに、西方100㎞に敵影多数、部隊を分け、北進路を取っております。我々の退路を断つようです。………さらに北東100㎞から敵影多数、こちらも部隊を分け、北に進路を取っております。予想では15分以内に離脱しないと、包囲網が完成し先制離脱ができません」

アルはさらに敵が出現したことを知らせるが、かなりの大部隊が包囲網を形成しつつあるようだ。

 

「了解だ!予想以上に大々的だな……それだけこちらを脅威と思っているらしいな……アル、敵西方と北東の部隊は艦載機の状況は?」

宗介は摩耶を抱えながら、鳥海を連れ、ペイブ・メア輸送ヘリが待機している場所に向かう。

 

「……艦載機多数……先制離脱は困難になりました」

 

「くっ、この海域近くに大規模な泊地でもあるのか?……要救助者を乗せ次第、離脱だ!」

宗介はそう言って一度無線を切る。

 

「……もしかして、私たちは囮にさせられたのでは…」

鳥海は宗介の後を走りながら、申し訳なさそうにする。

 

「いや、罠であると想定したうえで救出にきている……ただ想像以上に大規模であったことは否めない」

 

「……すみません」

 

「……大丈夫だ」

 

 

宗介たちは、ペイブ・メアが待機している場所まで到着。

何やら轟音はするが鳥海には何も見えない。

しかし実際には上空で不可視モードのぺイブ・メア輸送ヘリが待機しているのだ。

「え?船ではないのですか?」

 

「いいや、とりあえず、鳥海はこのロープにつかまっていろ、手を離すなよ……引き上げろ」

 

「へ?きゃーーーー」

鳥海は悲鳴を上げながら、掴まっていたロープと共に一気に輸送ヘリへと引き上げられて行く。

 

「うう……」

 

「摩耶、よく耐えた。もう少し我慢してくれ」

そう言って、ストレッチャーに摩耶を固定し、自動ウインチで引き上げられる。

 

宗介もロープを掴み、引き上げられレーバテインのコクピットに搭乗する。

 

「アル!ドッキング解除だ……レーバテインで殿と囮をやる。その間に不可視モードのままペイブ・メアは離脱、無人攻撃機はペイブ・メアに追従しろ。バレるまでこちらから攻撃するな……ECSと言えども、バレる可能性がある。特にヘリは音響センサーに弱い、いくら敵が旧式だからといってもな……レーバテインが敵を引き付けた後、空域を離脱しろ。それまでは東に進み敵艦載機との距離を保て!」

 

「了解……ドッキング解除、レーバテインECS解除」

 

ペイブ・メア輸送ヘリと無人攻撃機はECS不可視状態のまま島を離脱。

 

レーバテインはECSを解除し、しばらく島に待機する。南と東から飛来する敵艦載機を目視で確認し引き付けてから北に向かって島を離脱した。

「アル、行くぞ、精々踊ってやるとするか」

 

「敵が驚くぐらい派手に行きましょう。レーバテイン水上航行モードに移行」

 




次は戦闘シーンに移ります。

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