『TDD-1建造』相良宗介、軍曹から提督へ   作:ローファイト

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ご無沙汰しております。
復帰第一号です。
感想を返信させていただいてない方々申し訳ないです。
徐々に返信させていただきます。


長くなりすぎたので、前後編となっております。
タイトルが思いつかなくて……こんな感じに、なにか良いものがあれば、変更します。


第二十話 日本国の情勢 前

ミスリル時代の宗介の上司にして、ミスリル西太平洋戦隊のナンバー2だったマデューカス中佐がイギリス海軍時代に艦長を務めていた原子力潜水艦タービュレント。

宗介の建造によって、その思いを受け継ぎ、この世に顕現した艦娘タービュレントは、マデューカス中佐の思いの残滓により、宗介に反抗的な態度を取っていたが、紆余曲折の結果、宗介を提督と認め。メリダ島鎮守府相良宗介提督の指揮下に正式に就いたのだった。

 

それから4日後、メリダ島鎮守府基地内でとある会議を行っていた。

参加者は提督である宗介と秘書官の神通に、駆逐艦のまとめ役の川内。そして鳥海。メリダ島鎮守府に所属するすべての妖精たちのまとめ役である大佐と呼ばれる妖精。そして宗介の長年の相棒であるAIのアルだ。

 

「相良提督、第六駆逐隊の子達から、正式に日本国への帰還願いを受理したわ」

川内は会議の開口一番に宗介にそう報告する。

 

「うむ」

宗介はそれに頷く。

会議の前には既にその報告は受けていた。

この会議は、先般テッサが救助した暁、響、電、雷第六駆逐隊の日本への帰還について、打ち合わせを行う場であった。

 

「それとなしに、ここに残らないかとは勧誘したんだけどね」

川内はため息を付きながら話す。

 

「第六駆逐隊の意思は固いようです」

神通もどうやら暁達に確認したようだ。

 

「まあ、暁だけはごねてたけどね」

川内は半笑いをしながら、疲れたような表情をしていた。

確かに、暁はこのメリダ島の艦娘専用の宿泊施設がいたく気に入っていたようだった。

一人だけここに残ると駄々をこねる一幕もあったぐらいだ。

 

「うむ、前から彼女らは帰還を望んでいたからな。致し方が無いだろう」

 

「で、実際のところどうするんだい提督?」

大佐は自分の体格にあった小さな座椅子にチョコンと座り、円らな瞳を宗介に向ける。

 

「本来なら、遭難救助し帰還を望む兵士に対して、国際法に則って帰すべきだが、メリダ島鎮守府は日本国との国交もなければ、存在すら知られていない。帰すにも、日本国とも交渉を行う必要があるだろう。かなりの困難が予想されるがな」

 

「さすがに、私たちの事を黙ってもらって、そのまま帰すわけにもいかないですしね」

鳥海も交渉が困難である事をふまえ、第六駆逐隊を黙って日本へ帰すという代替えの安易な方法を思い浮かぶが直ぐに自ら否定する。

 

「そもそも第六駆逐隊の皆は既に自力では帰還することが出来ません。日本国の鎮守府とリンクが切れ艦娘としての能力を失効してるようです。

ただ、リンク切れの理由はわかりません。

第六駆逐隊は私達や鳥海さん達のように壊滅したトラック泊地とのリンクとは異なり、横須賀鎮守府隷下の木更津基地にリンクしてるはずですが、彼女らは早々に鎮守府とのリンクは切れておりました。

リンク切れを起こしてる理由としては、横須賀鎮守府隷下の木更津基地がすでに深海棲艦に攻撃され落とされた可能性、木更津基地の提督が亡くなられた又は、木更津基地を別の提督が引き継いだ可能性です」

神通は第六駆逐隊が早々にリンク切れしていた事について言及し、その説明を宗介に行う。

 

「ふむ。所属している鎮守府が壊滅した場合はわかる。そして鎮守府を統括する提督が亡くなった場合も何となく理解が出来る。艦娘は提督とその鎮座する鎮守府と契約のようなものを結ぶようだからな。ただ、別の提督が引き継いだ場合はどうなるのだ?」

 

「私たちが相良提督の麾下に入らせていただいた時と同じく、引き継ぐ提督と所属する鎮守府にて直接互いの意思表明を行わなくてはなりません」

神通は宗介の質問に端的に答える。

 

「なるほど、第六駆逐隊が未帰還中に提督が変更された場合はリンクが切れると言う事か……」

 

「はい、作戦行動中にそのような事態となるケースはありますが、事前通達され、艦娘が力を失う前に帰還又は、近隣鎮守府と再リンクする慣わしです」

 

「何れにしろ、暁達はこちらで日本に帰還させる手配を行う必要があるな……黙って小笠原あたりに置いてくるわけにも行かないだろう」

宗介も鳥海と同じく、第六駆逐隊をそのまま黙って日本に帰す代替え案を想定していたようだ。

 

「そうね。それで無事本国に帰れたとしても、この3か月間の事を報告しなければならないし、暁達が私たちの事を隠し通せるとは思えないしね」

川内は暁達のここでの生活の様子をみて、自分たちの事を隠し通せるとはとても思えなかった。

 

「日本国の情報を集める必要があるな。以前に神通達からある程度情勢は聞いていたが、トラック泊地の敗北からはどう変化したかは現状では不明だ。そのため既に先行してテッサを日本近海へと派遣し情報収集を行わせてはいるが……」

 

「テッサさんなら有益な情報を得てくれるでしょう。既に把握してる情報は、トラック泊地壊滅以降、深海棲艦は、私達が敗走中で得た情報でも、フィリピン、台湾を落としたと……第六駆逐隊の情報では硫黄島を早い段階から占拠し、拠点としていたようです。その状況から、日本本土の太平洋側は深海棲艦の脅威にさらされていたと推測します」

神通は現在把握してる情報を報告する。

 

「うむ」

 

神通はさらに続ける。

「トラック泊地には日本国の艦娘の三分の一が集結しておりました。さらに北方勢力に対抗するために、舞鶴、大湊を拠点とする北方艦隊と日本海防衛に三分の一。九州から本土までの太平洋側防衛を三分の一、70隻弱の艦娘で防衛していることになります。トラック泊地を急襲した超大規模艦隊が太平洋沿岸にすべて現れたとしたら、とても抑えることができたとは思えません。いくつかの鎮守府や離島、沖縄、もしかすると九州や四国まで壊滅してる可能性があります。最悪は……」

 

「……下手をすると要の横須賀鎮守府もという事か」

 

「……はい」

神通は沈痛な面持ちで返事をする。

もし、横須賀鎮守府が壊滅したとなれば、日本全土は無防備に深海棲艦の脅威にさらされ、日本壊滅もあり得るのだ。そして日本本土の艦娘もほぼ生きてはいないだろうと……

 

「………」

「………」

川内も鳥海も神通と同じ気持ちなのだろう。

 

「まあ、あの超大規模艦隊を壊滅させたから、今は大丈夫だろうけどね。既にやられちゃってたらどうしようもない」

大佐は軽い感じでこんなことを言う。

 

「………」

しばらく沈黙がこの場を支配する。

 

「予定ではまもなくテッサが情報を送ってくるだろう」

宗介は一息つき、話を続ける。

この会議はテッサが現地で収集した情報をこちらに報告する時間帯に設定していた。

 

「……はい」

「……」

 

「ダーナから通信が来ております」

会議室にスピーカーから無機質な男性の声が響く。AIのアルだ。

 

「ベストタイミングだな。つないでくれ」

 

「了解(ラジャー)」

アルが答えるのと同時に会議室正面の壁に設置されてる大きなスクリーンが灯る。

 

『こちらトゥアハー・デ・ダナンです。相良提督、皆さん、ご機嫌麗しく』

アッシュブロンドの髪に意思の強い瞳、カーキ色のミスリルの女性用将官服を着こなし、落ち着いた雰囲気の美少女が鋼鉄の椅子に座り、挨拶する姿が映し出される。自らの艤装ダーナに乗り込んだ際のトゥアハー・デ・ダナン。テッサの姿だ。

 

「うむ。テッサも任務ご苦労だ」

宗介が挨拶を返すと、会議室の皆も軽く会釈をする。

 

『先に報告書をデータ送信いたします』

すると宗介の前に置いてあるタブレットに報告書が届く。

 

「早速だが報告を聞こう」

 

『はい、現在日本国太平洋沿岸、紀伊半島沖を深度100、24ノットで航行中です。日本国沿岸に到着し、この3日間で太平洋沿岸主要都市の状況を確認してまいりました。無人機(ドローン)にて得た映像を流します』

 

スクリーンに次々と都市の映像が流し出される。

 

『残念ながら深海棲艦によって沖縄、那覇基地は壊滅いたしました。住民にもかなりの被害が出ており、沖縄南部はほぼ壊滅状態です』

 

「……」

 

『九州では佐世保鎮守府は半壊、その他の港や基地は何とか機能してる状況です。四国ではやはり港を要する都市が攻撃の対象となり、被害が出ております。瀬戸内海まで進出はしていないようで、呉鎮守府、神戸港基地は被害なし。東海地方は港を要する都市が散発的な攻撃がありましたが被害は軽度です。横須賀鎮守府を始め、横須賀管轄基地群は攻撃を受けた跡はありますが、威力偵察を行った程度と想定されます』

 

「ふむ。想定していた最悪の事態は免れている。いや、かなり状況はましな方だ。日本国の防衛指揮した指揮官は相当優秀のようだ」

 

「……うーん」

「……どうかしら?」

「………」

川内、鳥海、神通は宗介の指揮官が相当優秀だという意見に首を傾げていた。

 

『但し、幅広い情報や詳しい情報は通信網が発達していないこの時代の社会では、得ることができません。無人偵察機による空撮と通信傍受などで得た情報のみです。その通信もほぼ、軍事関連のみで、日本国政府内部情勢をつぶさに知ることはできませんでした』

 

「いや、十分過ぎる成果だ。ネットもなく、有線での電話通信網がようやく普及しだした頃の時代だ。致し方が無いだろう」

 

『先ほどの日本の防衛の司令官の話ですが、通信傍受で判明したことですが、日本国太平洋側の防衛指揮を執っていたのが大隅大将だと。北方艦隊の司令官だった彼は、トラック泊地壊滅の報を受け、大半の艦娘を北方から引き連れ横須賀鎮守府に戻り日本太平洋側海域防衛に指揮を任されたそうです』

 

「まあ、そうなるわね。トラック泊地に移動した田中大将の後の横須賀の司令官になったのはアレだしね」

川内はテッサの報告に納得していた。

 

「なんだ。横須賀鎮守府の先の司令官は無能なのか?」

 

「まあ、田中大将と違って、後任の川地中将は提督の素養はあるんだけど……軍将校というよりも政治屋ね。周りにゴマ擦ってのし上がった。指揮官としての能力はたいしたことなさそうね。最低限の事が出来るってことぐらいかしら。しかも私たちの事を兵器としか見てないしね。田中大将が存命ならば、あの政治屋をも使いこなせただろうけど、トップがあの政治屋じゃねー」

川内の評によると、田中大将の次に横須賀の司令官になった川地中将なる人物は、軍将校としては、不適切な人物に聞こえる。

 

「ならば大隅大将は有能な人物なのだな」

 

「はい、ただ堅実な方ではあるのです」

神通は大隅大将の能力に対して肯定はするが、ただ疑問も残っているようだ。

 

「いや、北方にわずかな手勢しか残さずに、太平洋防衛など、かなり大胆な作戦を敢行したように思うが、北方防衛を手薄にする危険性があると言うのにだ」

 

『相良提督、通信傍受で得た情報によると、大隅大将は北方に副司令官であり、参謀である林水大佐を残しているようです。今回の太平洋防衛プランはその林水参謀が立てたプランだと……かなり優秀な将官だと判断いたします』

 

「……林水………」

 

「聞いたことがあるわ。元々中央のエリートだったんだけど、上官と衝突して北方に飛ばされたとか……その北方で、廃墟同然だった大湊鎮守府を立て直し、大湊鎮守府を舞鶴鎮守府と同等かそれ以上の一大拠点へとし、北方防衛網を盤石のものにしたとか……数々の功績を積みあっという間に大隅大将の右腕にまでのし上がったと……ただ、残念なことに彼も提督の素質には恵まれなかったようです」

鳥海は思い出したように林水中将の実績を語りだす。

 

「……まさか……いやそんなはずはな」

テッサと鳥海の話を聞いて、宗介はどうしてもとある敬意を持つ人物と林水大佐を重ねてしまう。

 

『その他にテレビやラジオなどから情報解析を行っております。今回のトラック泊地の壊滅は報道は規制されているようで、行っていないようです。しかし第二次世界大戦の敗戦の影響でしょうか、敗戦を悟り、雰囲気は陰鬱としております。国民は戦争に疲れております』

 

「流石だテッサ、そこまで調べたか……確かに戦争は人心を疲弊させる。そして人の心までも荒廃させて行く」

 

『ただ、先ほど申し上げた通り、日本政府上層部の勢力構成や軍内部の情勢は測りかねます』

 

「うむ。ご苦労だったテッサ、そのことについては一考している。……ところでタービュレントの様子はどうだ?」

 

『はい、試験運行も問題ありません。単独での遠洋偵察にも耐えれるものと判断いたします』

テッサの偵察任務にタービュレントを同行させていた。タービュレントの性能評価も同時に行わせていたのだ。

 

「うむ上々だな……了解だ。テッサ。一度帰港してくれ」

 

『了解いたしました。……相良提督。お会いするのを楽しみにしてます』

テッサは先ほどまでの真剣な表情とはうって変わり、にこやかな笑顔を宗介に見せる。

 

「う、うむ」

宗介は曖昧な返事をし、そこで通信が終了する。

 

 

 

「テッサさんからもたらされた情報から、日本は壊滅的なダメージを負わずに済んだようです」

そんなテッサと宗介の様子を見て、神通は少々声を大きくし、話を続ける。

 

「しかし、トラック泊地は壊滅的被害のようだ。トラック泊地から日本へ逃れた艦娘は、テッサが先ほど送ってきた報告書によると駆逐艦雪風のみが通信傍受で判明したとあるが……」

 

「トラック泊地で防衛任務に就いていた艦娘に田中大将は日本本国への撤退命令を下しました。しかし、敵の数に攻勢があまりにも激しく、私と摩耶は逃げるのに精いっぱいでした。私が目撃しただけで、空母赤城、加賀、蒼龍、飛龍の轟沈を目の当たりに……超ド級戦艦武蔵も……生き残って脱出したものは数少ないでしょう。もしかすると無事に本国にたどり着いたのは雪風だけということも……」

鳥海はトラック泊地での惨状を回想するかのようにゆっくり語る。最後には苦しそうに、目を瞑っていた。

 

「私達、第六偵察隊は外の任務でトラック泊地から離れていたから、逃れてここまで来られたけど……それでもこのありさまだった」

川内も俯きながら答える。

 

「すまない……」

宗介は安易な質問をした事に、詫びの言葉を一言述べる。

 

「いえ、司令官さん。これは重要な事です。日本国の歴戦の主力正規空母の半分が消失したことになります。日本の航空戦力は半減したと言っても過言ではありません。今後しばらくは日本は防衛で精いっぱいだと言うことです」

鳥海はあえて語気を強くする。

つらい記憶ではあるが、今は目の前の問題を解決させようとする意志が強いようだ。

 

「それだけではありません。先ほど話題に上がりましたが、トラック泊地には、太平洋方面軍田中大将が自ら手綱を執り、その下に艦娘を指揮する3名の提督がいらっしゃいました……あの状況ですと、全員お亡くなりに……となると、日本軍内では、艦娘に対する風当たりが厳しい状況下にあると判断します」

そう言う神通は厳しい表情を浮かべていた。

 

「日本軍内では君たち艦娘の人格を擁護する勢力と単なる兵器として見る勢力があると聞いていたが……」

 

「はい、その通りです。田中大将は人格擁護派、そして横須賀の現司令官の川地中将は兵器派です」

 

「では、北方方面軍司令官であり、現太平洋防衛の指揮を行ってる大隅大将はどうだ?」

宗介は神通が示したその二人だけでは現在問題視している横須賀鎮守府の艦娘に対する勢力状況を判断しかね。もう一人の人物の名を出す。

 

「大隅大将は中立と聞き及んでおります。噂程度でしかありませんが……」

 

「ふむ、兵器派が台頭していた状況で第六駆逐隊の暁達が所属する横須賀に単独で無事帰還した場合どのような扱いを受けると予想されるか」

宗介はその答えで、横須賀が兵器派が台頭している可能性が高いとし、この質問をした。

 

「帰還に時間をかなり要してますから、あらぬ疑いを掛けられるかもしれませんね」

鳥海は憮然と答える。

 

「……わかりません。ただ、人道的な扱いを願うばかりです」

神通は心苦しそうに答えた。

 

「ならば、ますます日本国と正式に交渉し、暁達の立場を守らなければならないな」

宗介は改めて言葉に力を入れてこう皆に言った。

 

「相良提督……なぜそこまで」

川内は宗介がそこまで、暁達を守ろうとするのか疑問であった。

暁達は他国の艦娘であり、他勢力である宗介達がそこまでする必要が無いからだ。

 

「俺自身は平和とは縁遠い世界で生きてきた……しかし一時的にだが、平和というものを日本国で知り、そこで生きている人々を見てきた。……誰もが笑って過ごせる日常というものを……だが俺は、その掛け替えのない日常を………壊してしまった。俺は俺の目的のために………だからか、暁達を見てると彼女らを何とかしたくなる。罪滅ぼしのつもりなのかもしれん」

宗介は昔の口調に戻し、自分の言葉で皆に語る。

宗介が壊した日常とは、アマルガムいや、レナード・テスタロッサが千鳥かなめを奪うために、宗介とかなめが過ごした街を学校を戦場と化し、街や人々を傷つけたのだ。宗介はその際、かなめを守る事に精いっぱいで、街や人々を二の次にしたのだ。

そう語る宗介の表情は無表情ながら、どこか寂しげであった。

宗介は、あの平和な街で、笑い、楽しく遊ぶ子供たちと暁達の姿が重なったのだろう。

 

「軍曹、今はそう呼ばせてください。あれはあなたのせいではありません。断言します。あれはあなたのせいではありません」

会議室のスピーカーから無機質な男性の声でアルは宗介にそう言った。

 

「…………司令官さん、あなたは」

鳥海はその二人の言葉で、相良宗介という人物がただ優しいだけの人間ではないとは思っていたが……その過去に何か大きな重荷を背負っているのではと……そしてその語る言葉があまりにも重く、そして尊い様に聞こえた。

 

「相良提督、やっぱり……」

川内も宗介が未来から来た軍人だとしても、普通に日本で過ごしてきた人間ではない事に気が付いていた。もしかすると自分たちと同じような立場の人間だったのではと……

 

「提督……」

神通は沈痛な面持ちで宗介を見ていた。

神通は宗介が歴戦の戦士で生死の間を生き抜いてきた人間だと感じていた。

そんな宗介自身の過去の心情を一切今迄語らなかったが……今の言葉だけでも宗介の過去は凄惨なものだったのではないかと……胸が苦しくなる思いをしていた。




堅苦しい話がもう一話あります。

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