八十住あんみside
私は七夕の言葉に耳を疑った。
ワルプルギスの夜を倒したら、元の世界に帰る?
何を言っているの?
「私の名前は七夕かなみで通っているけど学校ではなんて呼ばれているか知っています?
ルナって呼ばれているんですよ? この世界の私の名前は『湯浅ルナ』なんです。この時
初めて、私はこの世界にとどまってはいけないんだって。だから最大の難関であるワルプル
ギスの夜を討伐を乗り越えたらすぐにでも移動しようかと思うんです。いい加減に、『湯浅
ルナ』に身体を返さないといけませんから」
確か……七夕がここにいた期間は、二か月近く。
「いつ……それに気付いたの?」
「実はもうここに来た時から。入院していた時に、隣の部屋にいる患者さんに言われたんだよね。
『どうして湯浅ルナって名前なのに七夕かなみなんだい?』ってね。その時思ったんだ。
もしかしたら今まで通ってきた時間軸も、全て違う名前じゃなかったのかってね。移動できる
ことも可能だったけど、その時魔法の使い方をマスターしてなかったから……」
私はそう聞くと七夕は即答で返してくる。
まるで予想していたように。
あ、そっか。七夕は美国の固有魔法が使えるんだっけ。
私は少し息をのんで
「元の世界って貴女が中学三年生のころの?」
そういうと七夕は小さく頷いた。
「そうだよ」
暁美ほむらside
七夕かなみがまた移動する。
そんな言葉にマミは
「そんなわけないじゃない! 冗談は好きじゃないわ」
怒鳴り散らすようにそういうと萩原楓は
「信じたくないのもわかるけど…………事実なんだよ。それに八十住あんみから聞いたけど、
七夕かなみは別の時間軸に移動するたびに年齢が違うって……」
困った風にそういった。
確か宝蔵院さんが
『わたしは……ともかくとして、かなみさんの年齢は定まっていない……だよ? ……最初……
かなみさんがいた時間軸はマミさんと同い年、次も同い年、次は……まどかさんたちと……
同い年で、前はあんみさん………より三つ歳上な……んだよ』
七夕かなみが常にアクセサリーとして付けている魔女文字を説明する際にその時宝蔵院こよみの年齢が明らかにされていなかった時のついでに話していたのを思い出した。
さらに萩原楓は付け加える様に
「巴マミにも教えたけど、七夕かなみというはどの時間軸でも名前が一致するわけじゃないの。
名前、容姿、性格、その他もろもろ。名前や性格が一致しても容姿が違うとか名前すら違うの
高野かなめの両親とその親友を殺した七夕かなみの最初の願いによる影響でそうなっているの。
私の目的は、その七夕かなみを連れ戻すことなの。私はどの時間軸にも存在しないからね」
萩原楓は笑顔でそう言った。
萩原楓の秘密とそのたもろもろ。
う~ん。難しいなぁ