「やっぱり教えない」
次に言った言葉はそれだった。
理由を問いただそう私が口を開く前に彼女は
「まだ教えるべきではない。教えた所で私はきっと後悔するだろうし、悔んでしまってソウルジェムがひどく濁ってしまうかもしれないからね」
私の視線を合わせないままそう言って、紅茶を一気に飲んだ後
「じゃあ、用事はもうないだろうし、私は去るよ。その超ド級の魔女を倒すまでに必要な手掛かりを掴むまではアンタたちに一切かかわらないでおくと約束するよ」
彼女はそういうと私の返事を訊かずに窓から飛び降りて行った。
「………名前だけでも教えてくれたっていいと思うわね」
私はそう言いながら立ちあがって、カップを片づけることにした。
宝蔵院こよみside
「へぶっ!」
人があんまり通らない場所であたしは盛大にこけてしまった。
人通りが多いほうを通るとこけることはないが、人にぶつかりやすくなるしどっちを選んでも不幸なのは代わりなかった。
「……あんたさぁ、大丈夫かい?」
そういって手を差し伸べてくれたのは、ひざ裏まで長くのばして帽子をかぶっている少女であった。
「あ、だ、だいじょぶ……」
その子の手を受け取ろうとする前に今度は鳥の糞が偶然か頭上に落ちてきてべちゃっと落下してきた。
「……不幸体質なのかい? 盛大のこけたり鳥の糞が落ちてきたりしてさ……」
その子は手慣れているかのように鞄からタオルを取り出し鳥の糞をどけてくれる。
「生まれつき……だから………」
私はそういいながら埃やら泥やらを払いのける。
「可哀そうに……。っつと。じゃあ、あたしの家に行かないかい? 髪とか洗いたいだろう?」
「え。そ、それは、悪いよ。不幸に……なっちゃうから………」
私はやんわり断ろうとするが彼女は
「まぁ、いいじゃないか。困った人を放っておけない。あたしは強引で我が強いタイプだって言われるからさ、断るつうなら、無理矢理でも連れていくよ?」
そういって私の腕を掴んで返事を訊かずに強引に連れて行かれた。
数十分歩いて、連れてこられた場所は、高級住宅地が立ち並ぶ、一軒家であった。
「さぁ中に入って。あ、あたしは潔癖症ではないから、散らかっているけれど、気にしないでくれよ。そういう性格なのさ」
彼女はそういって私を玄関に置いて行ったあと奥のほうに向かった。
なんというか大雑把な人だなと思う。
「お。おじゃまします………」
私は靴を脱ごうとする前にバランスを崩してしまいそのまま床に倒れるかと思ったら
「大丈夫かい? 本当に不幸体質のようだね……。とりあえず安心してほしい。あたしが臨機応変に君を対応させてもらうからね」
いつの間にかいたその彼女に支えられながらそういう言われた。