八十住あんみside
彼女にあう二時間前、私は病院内にある資料室で、調べ物をしていた。
私の上司に当たるおネエ気質に最近芽生えた男性は手にマニキュアを塗りながら
「君がこの前、担当した問題児。神楽みかどさぁんね。その子の資料を資料室から持ってきてくれないかしらぁん? すぅぐに見つかるはずだからねぇん?」
神楽みかど?
私がこの前、担当したといえば、七夕かなみのはずなのだけれど……。
そんな疑問を感じつつ私は返事をして資料室から、神楽みかどの資料はすぐにみつかったものの、七夕かなみという名前の患者とその記録すら存在しなかった。
一体どういう……
「!?」
急にとある映像が頭の中に流れ込むようにきた。
その映像は、七夕かなみと出会ってから今までの出来事。
なのだけど……七夕かなみのいた場所は神楽みかどに変わっている……義理の妹は七夕かなみじゃ……ないことを明確に示すものだった。
数分したら落ち着いた。
私はもう一度神楽みかどの資料をみた。
住所、名前、両親の名前、経歴どれをみても七夕かなみと類似した。
じゃあ七夕かなみって誰?
私はそれを確かめるべく、宝蔵院にテレパシーで病院に来るよう伝えた。
宝蔵院が来たことは16時を回っていた。
もう少し早く来るかと思っていたが、宝蔵院曰く、教授につかまっていたらしい。
私は、宝蔵院に神楽みかどの魂に七夕かなみが入り、記憶を書き換えていたということを大まかに伝えると、宝蔵院は驚きながら
「え……ここじゃ、七夕かなみという名前じゃ……なかったの?」
と訊いてきた。
私はうなずきながら、神楽みかどの資料を彼女に見せた。
宝蔵院はそれを受け取りマジマジと見つめたあと驚愕した。
「そ、………んな」
私はその時、あの言葉を思いだした。
あいつなら何かを知っているかもしれない!
「宝蔵院。このことを、美樹たちに教えてあげて! 私は、後で行くから!」
私はそういって、あの少女を探した。
橋の下、人が通らない路地裏を探しに探してみつけた。
高速道路が多い車道のド真ん中にインキュベーターと彼女はいた。
「見つけたわよ……! 説明してもらおうじゃない!!」
彼女の右手にはゴールドとシルバーが混じったソウルジェムがあった。
「へぇ? よくきたね。八十住あんみ」
彼女は不気味な笑顔を見せながら、私に近づき
「長年、君を陰ながら見守っていたけれど、成長はしているけれど、何かを失ってはいないかな? 八十住あんみ、何をそんなにためらっている? 初めて会ったときに君が願って手に入れた魔法を使えばいいものの。そしたら万事解決だ」
そう言われた。
確かに私は、彼女は怪しいと思ったが、深い詮索はいざこざの原因になると思い、やろうとはしていなかった。
「覗いてもいいのかしら? 貴女の心を?」
「構わないよ」
問いただすとすぐに答えは返してくる。
私は、少しためらいを感じながらも彼女の心を覗いた。