真田幸昌と申します。
皆様にとって一時の娯楽となりますよう、精進させて頂きます。
※この物語はフィクションです。
時代考察や口調もめちゃくちゃですが、生ぬるく見守って頂けますと幸いです。
戦、病、飢餓、天災。
事の大小に関わらず、事が起きれば人は簡単に死ぬ。
刃を前にしては武士も農民も関係ない。
どちらも刺されれば死ぬ。
城を囲まれ、立て籠った者の多くは死んだ。
死んだ者達は幸せだ。
こんな世の中を、これ以上生きなくて良いのだから。
惨めに逃げながら、いっそ自害しようかと何度も思った。
泥にまみれながらそう思う度に、悔しさと恐ろしさに負けて走り続けた。
悔しかった。
恐ろしかった。
死にたくなかった。
殿様は簡単に戦を起こす。
勝ったら御の字。負ければ降伏して助命嘆願すれば良い。
しかし、我々雑兵は嘆願する間もなく死なねばならん。
いつからか、そんな世が理不尽としか思えなくなっていた。
だから、汚くても生きてやると誓った。
生きるためにはなんでもやろうと誓った。
僅かでも良いから幸せを掴みたいと願った。
血と泥で汚れた甲冑を引きずりながら、男は山を下った。
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朝日が射し込み、目が覚めた。
古ぼけた小さな仏堂は永年雨風に晒されていたのか、壁や天井の所々から一筋の光がはしっている。
落ち延びたのが夢ではなかったと思いつつ、具足を外して床下に隠した。
まだ山狩りがあるかもしれない。
城からどれくらい歩いたかも覚えていないが、用心に越したことはない。
太刀を腰に差し、そっと堂から出た。
仏堂からは一本の小道が続いていた。荒れてはいるが、歩けない程ではない。
誰かが通っているのだろうか。それならば余計に長居は出来まい。
が、まずは飢えと乾きを満たすことが先だ。
辺りを伺いつつしばらく歩くと、仏殿の裏山に出た。数人の僧が何やら慌しく動き回っている。
寺ならば何かありつけるかもしれない。匿ってはくれなくとも、一飯与ることくらいは出来よう。
そっと斜面を下り、手近にいた僧に声をかけた。
声をかけられた僧は声をあげ、しりもちをつくほどに驚いてしまった。
これはいかんと慌てて二の句を継ぐ。
「驚かせてしまってすまぬ、先の戦でここまで落ち延びてきた。腹が減って仕方ないのだ、どうか一飯与れぬだろうか。」
僧は怯えた目でこちらを見つめている。
「狼藉は働かぬ、そのような力も残ってはおらん。どうか一飯与れぬか。」
僧はしばらく私の姿を眺めた後、すっと立ち上がった。
「ご無礼を致しました。お怪我などありませぬでしょうか。」
若く凛々しい顔立ちの僧だ。まだ若干の怯えはあるようだが、真っ直ぐこちらの目を見てそう言った。
私に怪我が無いことを確認すると、若僧は仏殿の脇にある大きな建物へと案内してくれた。
「和尚様、またお武家様でございます。」
戸を開けると、若僧は中でせわしなく動き回る人々に向かってそう告げた。
建物の中は、負傷兵とそれを看護する僧で溢れかえっていた。
あぁ、皆考えることは同じかと思いつつ、床に臥せる者の仲に知己がいないか確認しようと一歩踏み出した所で、眼前に老人が現れた。
「ご無事で何よりです。お怪我はありませぬか。」
柔和な表情を浮かべた老人は膳蓮(ゼンレン)と名乗った。
怪我は無く、一飯与りたい旨を述べると、和尚は若僧になにやら支持を出した。
「ここでは敵味方はありませぬ。皆等しく施しております故、刃傷沙汰は許しませぬ。」
若僧が建物から出ると同時に、和尚は強い声色でそう告げた。
こちらも騒ぎを起こすことは望まぬと告げ、改めて臥せる者達を見渡した。
ふと、一人の顔に目が止まる。見知った顔に思わず駆け寄り、床に手を付いて顔を覗き込んだ。
生きていたか。そう声をかけると、包帯で包まれた男はニヤリと笑った。
「お主も生きていたか。どこにいた。」
「二の丸に。火の手に乗じて脱した。それから山を下り、ここに来た。」
「そうか、こちらは櫓が落とされてな。そこにいた者達と共に敵に捕らわれたのだが、隙を見て逃げ出してやったわ。それからはお主と同じく、なんとかここまで落ち延びて匿ってもらっておる。」
この男、北原安芸衛門は弓の腕を買われ、先の戦では物見櫓に詰めていた。
身体中に打撲痕があるが、大事ないようだ。
無事の再開を喜んでいると、和尚に呼びかけられた。どうやら食事にありつけるらしい。
安芸衛門に一声かけると、和尚に続いて建物を後にした。
閲覧頂きましてありがとうございます。
本作が初めての作品ですので、読みにくく、分かりにくいと思います。
皆様がお楽しみ頂けますよう、精一杯勤めさせて頂きますので、何卒宜しく御願い致します。