織斑一夏(有里湊)   作:たぬたぬたぬき

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第1話

 

群れる、目、目、目。

 

全く人前に立たない理由でもないし、姉に似て優れた容姿を授かっている自負はあるものの流石にここまで好奇の目に晒される経験はなかなかない。新しい学校生活だからと柄にもなく真面目に、遅刻をしない以上に余裕を持って登校したせいなのだろうか。

 

あまり人の目を気にしてもしょうがないと意識を切り替えてさてどう時間を過ごそうかと思案する。

 

まだ宿題を貰ってもいないのだからそれを進めておくことも出来ない、春休みの宿題とも言うべき分厚い資料も大方把握してある。何点か分からない部分もあったが、後程聞きでもすれば十分だろう。

 

或いは女子ばかりの学生生活に少しでも溶け込むために周囲とのコミュニケーションに励むのもありだろうか。

 

…………コミュニケーションは自身の特技とも言えるが、あれはあまり大人数との物を想定していない。最低でもクラス中、下手をすると廊下に潜んでいるであろう人数まで行わなければならない可能性を考えると止めておいた方が無難か。

 

あまり褒められたものではないけれど、音楽を聞いて時間をやり過ごそうか。周囲からの、一々自分の動作に対する視線や僅かな囁き声を背に耳に馴染んだイヤホンを着ける。代わりに響き始めたお気に入りの音楽に、無意識に身体を椅子に預け無駄に入っていた力を抜いて行く。

 

たかが大人数の視線に晒されただけだというのに……。自分の勇気もすっかり衰えてしまったと言うことだろうか。世界唯一のIS<インフィニット・ストラトス>男性パイロットとしては良くない体たらくだ。これを機に改めて自分を見つめ直す必要があるかもしれない。

 

決意を新たにしたものの。春休み明けという根本が緩んでしまったことと完全にコントロールされ心地の良い空調、お気に入りの音楽に包まれるという環境にふと眠気が襲って来た。

 

…。

 

……。

 

………。

 

良くないこととは分かっていつつ眠気に身を委ねてしまった。

 

 

 

 

………?

 

なんだろうか、身体を揺らす小さな力に目を覚ます。

 

……そう言えば、自分は今学校にいて。暇を持て余してついつい寝てしまっていたのだった。時間を見るにホームルームは始まっている時間であるし、目の前の女性が涙を浮かべて必死にこちらへ話し掛けている。

 

イヤホンを外すとようやく女性の声が耳に届いた。

 

 

「や、やっと目を覚ましてくれた…。あのぉ、織斑君。先生、流石にホームルーム中に音楽を聞いて寝ちゃうのは良くないかなぁって思うんだけど……ど、どうかな?」

 

 

言葉尻が聞き取るのが困難な大きさではあるが全く以て言われる通りだ。全面的に自分が悪い。だがどうしてこうまで腰が低いのだろうか。

 

容姿から察するに新人教師なのだろうか。IS学園の教員の採用に関して、一般的な学校と一緒なのかは分からないが初めてという瞬間があるのはどうあっても避けられないものだろう。

 

そんな人に対して、ホームルームから居眠りと音楽鑑賞で無視をしてしまっていたとは……どう考えても自分が悪いだろう。

 

イヤホンをプレイヤーごと渡し頭を下げて謝罪する。放課後辺りに返して貰えるだろうか。

 

 

「ほっ……。えっと、じゃあ放課後まで預かっておきますね。後次は織斑君の自己紹介の番なので……お願いしてもいいですか?」

 

 

やはり腰が低い。

 

幼い顔つきに自信の無い言動、自分が高校生までの人生を2回送っていてある程度は精神年齢を重ねたせいかまるで年下の妹を見ているような微笑ましい気分になってしまう。

 

浮ついた気分のまま、恐らく普段よりも愛想良い表情のまま自己紹介を始める。内容は名前と出身校、後は趣味などでいいだろう。

 

 

「初めまして。僕の名前は、あり………織斑一夏です。出身校は―――」






ちょいちょいP3ネタとか絡ませていきたい。

例えば…なんだろう。
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