織斑一夏(有里湊)   作:たぬたぬたぬき

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第5話

寮に着くと館内の地図にて自身に割り当てられた部屋の番号を見比べる。

 

場所を把握した部屋までの道中共学の中学校時代にはなかった女子特有の甘いような匂いを感じつつ女子ばかりの学園に男子が住んでしまっていいのかと思う。流石に自分には個室が与えられているだろうがひとつ屋根の下で一対多だ、多の数も半端ではない。………逆にかけ離れた比率だからこそ問題を起こしはしないと判断されているのだろうか。

 

取り留めのないことを考えていると部屋に着いた。

 

 

 

中へと入ると想像より上の内装にしげしげと目を巡らせる。

 

 

(凄い豪華……流石はIS学園、学校自体にもお金が掛かってそうだったけど寮にもか。ベットなんかも家に置いてあるのよりよっぽどお高い様な気がする)

 

 

基本は二人で一部屋を割り当てられるので二つ並んだベットやモニターを眺めつつ感心しているも途中で目に入った自分の物ではない、竹刀の刺さっている荷物に目を留めると柄にもなく二度見をして動揺する。

 

 

「あれ………」

 

「同室の者か?今日から――」

 

 

何だかつい数時間前にも聞いた気がする声だが、声の主の詳細よりも明らかに響きが女性の者であることで頭の隅に過ぎっていた不安が当たっていたことを確信する。

 

一人部屋を割り当てられてなどおらず、女子と二人であるのだ。

 

基本的には流されることが多いのは自覚しているが流石にこれは如何な物かと受け入れ難く眉間に皺が寄るのを自覚する。百歩譲って世界唯一の男性ISパイロットという点において安全のため自宅通いではなく寮に入れ、寮も女子寮然としているのは仕方ない。だがわざわざ男女混合の部屋割りにする必要は無いと思う。

 

女子だらけの環境の中唯一のプライベート空間をも異性と共有しなければないないのか。一応自分は思春期の、お年頃の男子なのだが。そんな風に文句も内心にではあるが漏らしてしまう。

 

同時に声の後ろで響く音から声の主である人物がシャワーの最中でありこのままだとモロに見えてしまうと目を瞑る。あらぬ誤解を少しでも防ごうと瞼に腕を重ねてがっちりと視界を塞ぐ。

 

声の主が此方を確認してから話をつけて寮長か或いは職員室に戻り千冬姉さんを問い詰めようと考えていると気配が固まり驚いている様子が分かる。

 

 

「割り当てられた部屋に来ただけ」

 

「は…?」

 

「織斑先生に聞いた」

 

「………」

 

「出て行くからちょっと隠れてて」

 

「う、うむ……いや、待て……!」

 

 

静止の声を大人しく聞かずしっかりと視界を隠したまま振り向き手探りで扉を開けて部屋を出る。上手くトラブルにならず切り抜けられた、後で恐らく箒であったろう女子生徒とには謝罪をしなければと思いつつ後ろ手にノブを抑えて開かないようにする。

 

今顔を合わせるのは流石に気まずいし下手をすると彼女は裸か裸に準ずる薄着である筈だから外に出す訳には行かないだろう。如何に同性ばかりだからと言ってはしたないし、折角男子である自分の視界から外したのに元の木阿弥だ。

 

なので幾ら扉を叩いて大声を上げられようとも開ける訳には行かないのである。

 

 

「いちかーっ!ここを開けろ、このっ、この…!」

 

「箒……!まずは自分の格好を…省みて…!」

 

「馬鹿者っ、ちゃんとタオル位巻いている!………何を想像しているこの不埒者め!」

 

「不埒なのは自分の格好でしょ…!」

 

 

興奮しているのか箒の羞恥心の回路が飛んでしまっているようだ。男子の前に出ようとしているのにタオル一枚で大丈夫だと思っているとは。もし此処で大人しく開けたとしてもまともに話し合いになるとは思えず脱出するタイミングを図る。

 

足に力を溜めノブを離した瞬間に走り出せる様にしなければならない。

 

………。

 

(今だ!)

 

ノブの開けようと音を立てている時間の合間を狙って離し走り出す。数メートルもしない内にけたたましく扉が開け放たれる音がするも気にせず走る。ちらほらとやけに肌色の多い寝巻きを着た女子がいる合間を縫って寮の外に向かって駆け抜ける。

 

幾らか走ったところで出会い頭に衝突しそうになってしまった。慌てて身体を捻って避けようとするも遅い。ならばと首の後ろや背中に腕を回して相手の身体を支え回転で勢いを消費することで衝突事故を避ける。

 

ダンスの決めポーズみたいになってしまい、薄着のせいで色々と際どいことになってしまった。掌と背中の間の布地もほぼないに等しく感じる。

 

 

「大丈夫?」

 

「………へ、平気ですわっ」

 

「ごめん。ちょっと急いでるから……」

 

 

離れていた距離がまた縮まっている気がする。一言の謝罪しか出来ていないがこれ以上時間を使えば追いつかれてしまう。まだ何か言いたそうな衝突相手に軽く頭も下げてから再度走り出す。

 

………。

 

……。

 

…。

 

 

実は寮長であった千冬姉さんが寮に帰ってきた所に丁度出くわし、追い付いてきた箒も交えて話をすることでようやく落ち着いた。追い付いてきた箒に千冬姉さんを盾にする第三者から見るととても情けない姿を晒してしまった訳だが……どうでもいいことか。

 

女子と同室なのはおかしいと訴えても千冬姉さんには現状のままだと押し切られてしまった。同室なのが変えられなかった箒が何故か不機嫌だったのだが……妙な疲労感と若干の不満で、着替えとシャワーをそこそこに不貞寝のように眠りについた。





やったねセッシー、出番があったよ!
セッシーは果たしてどんな格好だったのか…イラストのスケスケネグリジェしか頭に残ってない。

あと原作だと同居人は箒→シャル→一人部屋→会長だったと思うんだけど、シャルの後で一人部屋に出来る余裕があったなら、何故最初から一人部屋にしなかったんだろうか、学園側。ちゃんとした設定あったっけ?
それともラブコメだからだろうか。

一人部屋の設定とセッシーの寝巻きの設定(或いはこんなのな筈という妄想)があったら教えてください。
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