とある血盟物語 -Lineage-   作:三方真白

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#4 ナイト

 血盟。父王を倒した反王を討つには『血盟』しか他に手はない。

 

 だがどうやって? 

 

 強い者を集めて自らが統率を取る。本当に出来るのだろうか?

 自分が・・・。

 本当についてきてくれるか? この自分に。

 優柔不断を人間にした(自分ではそう思う)ようなヤツに。

 相手は父王を殺した人間。ヤツが「憎い」これは確かである。

 しかし敵(かたき)討ちとなるととまってしまう。勝てるのか?と。

 世間から死んだ人間が、ただのちっぽけな青年にすぎない人間が。

 

 王に、反王に。

 

 そんな色々な複雑な事を混乱しつつも、ゲレンの家から帰る途中にずっと考えながら歩いていた。

 

「・・・・それは、貴方が決める事です」

 

 情けない自分を哀れむような、そんな声に聞こえた。

 答えは出ているはずだった。ただ、前に進めないのだ。それが彼の悪い癖でもあった。

 次第にブツブツと呟き始め下を見ながら歩いていると、ドンっと不意に何かとぶつかった。

 

「あ、すいませ・・・」

 

 ん、と言おうとした時だった。鼓膜が破れるかと思うくらいの大きな音を上げて目の前に雷が落ちた。

 

「うわあ!」

 

 間一髪当たりはしないものの、尻餅をついてしまった。

 ぶつかった相手は何も言わず、橙じみたローブを羽織っており顔も見えない人物だった。ただ、再び落雷を起こそうとしているのだけはハッキリとわかる。

 

「! ・・・・・・え??」

 

 ヤバイ! と思って逃げだそうとしたが、こんどは何故かそのローブの人物が前のめりに倒れてしまった。

 

「ふう、間一髪でしたね」 

 

 そう言って現れたのは一人の若い男。この島でよく見かける魔法使いの服ではなく、私服。ルダーのような屈強な海の男的なものは感じないが、戦い慣れているのではないか。通常、手刀で人を気絶させる事は難しい。だが、ソレをこの男はやってのけたのだ。

 

「気をつけてください。エルダーは悪人を見つけ出しては攻撃する習性があります。それと自分に危害を加える者にも。みかけはこんなお爺さんですがね」

 

 ハハッと笑う。

 

「あ、ありがとうございます」

「いえ、私がここを通りかかってよかった。丁度、師グンターの買い

物の帰りだったんですよ」

 

 今、この男は『師グンター』と言った。

 

「グンター!? 今、その方に会いに行こうとしていた所なんです! 

会わせてください」

 

 グンターの弟子ならば若い男は恐らくナイトということになるだろう。それなら手刀で気絶させた体術の理由も納得できる。若い騎士は案内役を快く引き受けてくれた

 

「はい、いいですよ。修行ですか?」

「いえ・・・・」

「ふむ、何かワケありですか・・・・ついて来て下さい。ご案内します」

 ジュンが言いだし憎そうにすると、気遣ってさっさと話を折って歩き

出してしまった。

「私はクレインと言います。以後お見知りお気を」

 

 騎士はそう名乗った。

 

「ジュンティーヌです・・・・・・ジュンで構いません」

 

 少なくとも、ここに来てからはそうとしか呼ばれなくなっている。とは付け足さなかった。それと、元アデン王国王子だという事はゲレン以外知らないようだ。

 

「ジュンさんですね・・・・ふむ、貴方ですか。島の外から来たうわさ

の人は」

 

 随分広まっているようだ。

 

「不思議ですよね。世界地図に存在しない歌う島はここからのナビゲー

ターを利用しないと行けないんですけど、あるンですねこう言う事って」

 

 自分でも何であそこにいたのかサッパリ分からないので、笑うしかなかった。

 

 ガサガサ

 

 ほとんど聞こえない草かげからの物音に気づいたのはクレインだった。

 

「伏せてっ!」

 

 クレインはとっさに手に持っていた買い物籠を投げ出しジュンを庇う。

 飛び出してきたのは巨大クモ、ジャイアントスパイダーだった。

 話せる島でも、島の南と西へは行かないようにと厳しく言われている。ここがソイツの巣の近くだったのだ。

 クレインのおかげでなんとかよける事は出来たが――――。

 

「くっ・・・・」

 

 その騎士が左手を負傷していた。ジュンを庇った時にやられたのだろう。

 

 ピキュイ ピキュイ

 

「くっ」

 

 ジュンは腰に収めていたダガーを抜き、巨大クモに斬りかかる。

 

「てやあぁぁぁぁ!」

 

 ザシュッ!

 ピルルッ

 

 手応えありだ。だが、仕留めたわけではない。さっきまでクレインを狙っていたが、今度は自分が狙われる事になった。

 目前にせまるクモ。さっきは咄嗟で斬りかかったが、今はその時の勢いが消えてしまっている。

 

「うわあああぁぁぁ!」

 

 足がすくんで動かない。真っ向から怪物の口に入りこみそうな形だった。

 しかし―――

 

「はあああぁぁぁ!!」

 

 ザンッ!

 ピキュウウウウィ・・・

 

 クレインが加勢に入り一閃した。しかも、先程までどこにも見当たらなかった剣を持っている。

 これはどう言うことだろう。

 

「ふう、間一髪でしたね」 

 

 初めて顔を合わせた時と全く同じセリフを口にしながら、剣を鞘に収めた。

 

「ありがとうございます・・・・」

「いえいえ、こちらこそ」

 

 意味がわからない返事だ。と、さっき自分を庇って負傷したはずの左手が治っている。それこそ何もなかったかのように。

 

「あ、これですか? もう大丈夫ですよ」

 

 人間では有り得ない治癒能力なのだろうか? なんて疑問を持ち始めようとしたときだった。

 

「おい、隠れてないで出て来い」

 

 と、まるで初めからそこにいたかのようにフッと男と女の姿が現れた。いや実際、そこにいたのだ。一人は外見から判断すると女ウィザードであろうか。

 

「ちっ、バレたか・・・・」

 

 そしてもう一人は既に合っており、ゲレンの家で分かれたはずの緋之元だった――。 

 

 

 

【リネージュ 豆知識】

 

ジャイアントスパイダー

 

 リネをやった最初の頃、コイツに殺されたことがある。という質問をすればほぼ100% ”Yes”なのではないか。と言うくらい初心者キラー。旧名シェロブ。

 その後仕様変更によりジャアントスパイダーに改名。ジャイアントじゃないのか!?って言う苦情が多数あったのだろう(予想w)、晴れてジャイアントになりました。しかし!! イベントアイテムの爪は相変わらずジャアントだったりする。(五月現在)同型でドレッドスパイダーがいるが、堅いし毒あるしでおいしくない。

 

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