fate / archer in IS   作:タマテントン

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第2話

アーチャーが外に出て大きく飛び研究所の屋上で金髪ロールの少女を待っていると、黒い車が入り口に止まった。

 

(む?何か嫌な予感がする。)

 

すると、IS研究所から出てきた金髪ロールの少女は黒い車に乗り込みそのまま去っていった

 

(くっ、送迎車か。道端でどうにか話を聞こうと思ったのだがな。今日は思惑がとことん外れる日だっ。)

 

アーチャーは屋上から黒い車を眺める。

 

「さて、今日唯一の手掛りを失ってしまったか…。毎日ここに来るとは思えないし、一週間もかかろうものならこの身が持たん。また一からやり直しだな…。」

 

未練がましく車を眺めていると、その周辺に不審なものが見えた。

 

(む?あの車は…。)

 

金髪ロールの賞が乗っている黒い車の後をつけるようにして黒いワゴン車が走っていた。

 

(怪しいな。一応様子を見るか。)

 

アーチャーはワゴン車の様子を自慢の目で見ていると、黒い車の進行方向にワゴン車が停止し、中から数人黒ずくめの男達が黒い車に向かって走って行く。男たちの手には銃があり、彼らの目には殺気を含んでいることを確認した。

 

「街中で銃を持ち出すとは、これはまた随分と物騒な世界に来てしまったものだ。」

 

アーチャーは黒い洋弓を投影し、狙いを定める。

 

「2キロ半といったところか。」

 

アーチャーは男たちの足元へ矢を放つ放つ。放たれた矢は男たちの足元に刺さり、男たちは慌てたように物陰に隠れる。

 

「ふむ、良い判断だ。私も無駄な殺しはしたくないのでな。さて、意図を汲んでくれれば良いが。」

 

アーチャーはそう言うと、ワゴン車のタイヤを居抜いてパンクさせる。それを確認した黒い車の運転手はアクセルを踏み、その場を走り去る。後部座席に乗っていた少女は矢を放った人物を車の窓から必死に探していた。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「やれやれ、ドイツに、イギリス。二連続で事件に会うとは、我ながら余程事件に好かれているらしい。次はそうだな…フランス辺りにでも行けば再び事件に会えそうだな。」

 

アーチャーはそう自嘲気味に呟く。投影したものを消し、アーチャーはワゴン車に乗っていた男たちの元へ行く。

 

「な、何者だ!?」

 

男たちの一人がアーチャーの存在に気付き、銃をアーチャーに向けながら尋ねた。

 

「全く、物騒なことこの上ないな。私は、そうだな…一応ここでも、アーチャーと名乗っておこうか。君たちの方こそ、いったい何者かね?幼気な少女を襲うなど褒められたことではないと思うのだがね。」

 

アーチャーは片目を瞑りながら男たちにそう言うが、男たちは質問には答えず、皆が銃をアーチャーに向ける。

 

「なるほど、それが答えか…。」

 

アーチャーは肩を竦め、溜息をつきながら男たちを見る。すると、落ち着きお取り戻した男たちの中で、リーダー格が前へ出てくる。

 

「そういうことだ。申し訳ないが一緒に来てもらおうか。大人しくすれば危害は加えない。」

 

「……そうだな。丁重に断らせて頂こう。」

 

「そうか…やれ。」

 

男たちは一斉にアーチャーに向かって射撃を行うが、銃声はほとんど聞こえなかった。

 

(夜でサプレッサー付きとはいえ、発砲してくるとは。)

 

アーチャは建物の壁を使い銃弾を躱し、手に短剣を投影すると、それを男たちの銃めがけて投擲していく。

 

「ぐあ!」

 

「っ!!」

 

男たちは衝撃により銃を手から放してしまう。

 

「さて、無駄な抵抗は止め給え。これ以上は手加減はせんぞ。」

 

アーチャーは鋭く殺気を出しながらそう勧告すると、男たちはその気迫に飲まれて後退る。

 

「畜生!化け物め!うっ!」

 

「くそ、ガキの分際でこんな手駒を引き入れやがったのか!ガハッ!」

 

アーチャーはそう憤る男たちの首の後ろに打撃を加え、リーダー格の男以外を気絶させた。

 

「……くそ、好きにしろ。俺らはただの破落戸だがそれなりのプライドがある。仲間は売らねえ。」

 

リーダー格の男は諦めた様子でうつむきながらそう答えた。

 

「何を勘違いしているかは知らんが、私はさっきの少女とは無関係だ。」

 

アーチャーがそう言うと、リーダー格の男は態度を一変させアーチャーに食い掛る。

 

「無関係だと!?ふざけるな!お前の気まぐれで俺たち、俺たちはなぁ!!」

 

リーダー格の男は興奮した様子で、アーチャーに掴みかかった。しかし、アーチャーは技をかけて男を倒した。

 

「君にどんな事情があるかなんてことは些末事だ。君たちが殺気をもってあの少女に襲い掛かろうとしたことは事実だ。救える命は救う主義でね、ただそれだけのことだ。」

 

男は倒された上体を起こし、壁にもたれかかる。

 

「俺たちの仲間が黙ってねえからな!お前を探し出して絶対に殺しt、うっ…。」

 

アーチャーは魔術を使い、相手を眠らせた。

 

「仕方あるまいこいつらには半日眠ってもらおう。そうすれば誰かしらが気づき警察に連絡するだろう。」

 

アーチャーは気絶させた他の男たちにも魔術をかけ、その場を離れた。

 

 

 

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アーチャーはその後情報収集をしていたが、結局大した収穫もなく、再びヒースロー空港にいた。

 

「イギリスには篠ノ之博士に関する手がかりはなしか…。仕方あるまい。そう何度も密入国するのは気が進まないが…。」

 

アーチャーはそう言いながらイギリスを旅立っていった。

 

 

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アーチャーはイギリスからフランスへと旅立つ。アーチャーがシャルルドゴール空港に到着したころには既に夕方になっていた。人目につかないよう霊体化した状態で街中を歩く。すると、体調の悪そうな見た目の若い女性が自分に似た少女を連れていた。

 

「お母さん、大丈夫?」

 

「ええ、大丈夫よ。少し休めばよくなるから…。」

 

しかし、その女性は壁に寄りかかり、その場に座り込んでしまう。それを見ていたアーチャーは声をかけた。

 

「……フゥ。調子が悪いのかね?マダム。」

 

アーチャーがそう声をかけると、女性は弱々しくアーチャーを見た。

 

「すみません…。お邪魔でしたでしょうか…?すぐにどきます…。」

 

女性は無理に体を動かそうとしたため、アーチャーがそれを止める。

 

「無茶は止したまえ。すぐそこに公園がある。そこで休んでいるといい。」

 

「ですが、配達の仕事が…。」

 

「それは私がやる。君は良いから座っておけ。」

 

アーチャーは負担の掛からないように女性に肩を貸し、女性が手に持っていた荷物と配達先の紙を取ると、女性を公園のベンチに座らせた。女性は返事をする元気もないのか、申し訳なさそうな顔をしており、少女はどうして良いか分からず、オロオロしていた。アーチャーはそんな少女になるべく優しく声をかけた。

 

「君はお母さんについていたまえ。」

 

少女は一瞬だけ唖然としたが、すぐに言葉を理解して返事をする。

 

「はい!!」

 

「いい返事だ。すぐに戻る。」

 

アーチャーはそういうと走り去っていった。

 

 

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「仕方あるまい。耐久性に問題があるとはいえ、ボディアーマーに赤原礼装では不審者と変わりない。服は投影品で我慢するしかないか。」

 

アーチャーは自身の服装をガラスケースに飾ってある服一式に変え、配達品を送り先へと届けていく。英霊のスペックをフル活用し、配達を速攻で終えると、アーチャーは店先においてある飲料水を手に取る。

 

「金の持ち合わせは無いが…。仕方がない。」

 

アーチャーは自身の知りえる最高級の鋭さを持つ包丁を投影し、それをさらに投影した箱で包むと、紙に『最高品質の包丁をあなたに。その代り、水を一本いただきます』と書き、それを置いて去った。

 

 

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アーチャーが急いで先ほどの公園に戻ると、女性の顔色が少しだけよくなっていた。

 

「あ、申し訳ありません!あの、本当に何とお詫びしてよいのやら…。」

 

「ごめんなさい!」

 

女性と少女はアーチャーに向かって深く礼をする。

 

「いや、私が勝手にやったことだ。礼には及ばん。それよりも、君は病人だろう。少し良くなったからといって、無茶をするとまた悪化するぞ。家はこの近くか?もし遠いのであれば近くまで送ろう。」

 

「ですが、そこまでして頂くわけには…っ。」

 

「っ!?お母さん!」

 

女性は言葉を最後まで言い切ることができず、脱力してその場に倒れそうになるところを、アーチャーが咄嗟に支えるが、女性はそのまま意識を失ってしまった。

 

「…酷い熱だ。ここまで無茶をしていたとはな。私をアーチャーという。君の名前を聞かせてもらってもいいかな?」

 

「シャルロットです。」

 

「よし、ではシャルロット。君のお母さんは私が運ぼう。道案内を頼めるかね?」

 

アーチャーはシャルロットにそういうと、シャルロットはそれを引き受けた。10分ほど案内されるとシャルロットとその母親の家に着く。シャルロットはポケットから自宅のカギを取り出し、玄関を開錠する。

 

「どうぞ。」

 

少女に招かれ、アーチャーは家の中へと入る。家はあまり大きくなく、リビングにはソファと机と引き出しが得るだけで他には何も置いていなかった。アーチャーは女性をソファに寝かせる。

 

「仕方ない。シャルロット、冷蔵庫のものを少しだけ使ってもいいかね?これから夕食の時間だろう。君と君のお母さんの分の夕食は私が作ろう。」

 

シャルロットは母親を心配そうに見つめ、首を縦に振る。

 

「さて、手早く済ませるとしよう。」

 

アーチャーは速攻で料理を作り、皿に盛り付ける。そして机に持ってい行くと、シャルロットはソファに寄りかかりながら眠っていた。

 

「ふむ…。なるべく急いだつもりだったのだが、それぞれ二人に異なる品を作ったのが原因だな…。30分もかかった私の落ち度か。」

 

アーチャーは皿にラップをかける。

 

「このままカギをかけずに外に出るわけにもいくまい。」

 

アーチャーは部屋をぐるりと見渡す。

 

「ふむ、確かに整理整頓はされているが……。」

 

アーチャーは窓の淵を人差し指で撫でると、微かに指に埃がつく。

 

「………投影開始。」

 

両手に掃除道具を投影する。

 

「確かに奇麗だろう。だが、それでは足りない。」

 

アーチャーは生前に呼ばれたブラウニーの二つ名に恥じぬ働きをしていった。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「ん…うぅ…。」

 

女性は陽の光を感じ、ゆっくりと目を覚ます。

 

「あれ…?えっと、昨日は確か…。」

 

女性は上体を起こすと、自分の娘がソファに寄りかかって寝ているのを発見する。女性は少女を抱き、ソファに寝かせる。

 

「そうだ…。昨日体調を崩して…。」

 

辺りを見回すと、玄関へ続く廊下で壁にもたれかかりながら目を瞑る男性を見つける。

 

「迷惑かけてしまいましたね…。」

 

更に机の上には朝には少し多めの量の料理が置いてあり、ラップがかかっていた。

 

「おいしそう…。それに、部屋もなんだか綺麗になってる気が…。」

 

女性は感心しながら周りを見ていると突然声がかかる。

 

「体調はどうかね?」

 

アーチャーは目を覚まし、立ち上がる。

 

「あ、えっと。何から何まで本当にすみません。何とお詫びをしたら良いのか…。えっと、私はカトリーヌと言います。貴方は…?」

 

「私はアーチャーという。私が勝手にしたことだ。何かを思う必要はない。君は病み上がりだ、しばらく待っていたまえ。温め直そう。」

 

アーチャーは皿を取り、レンジに入れよとするが、長く使われていないのか少しガタが来ていた。

 

「ふむ、仕方あるまい。」

 

アーチャーは一度料理をキッチンに置くと、レンジに手を添える。

 

「ーーーー同調開始。」

 

使い慣れた詠唱を行い、レンジの構造を把握する。

 

「…回路が断裂しかかっているな。これでは漏電の危険があるか…。他も少し調整が要るな。すまないが、少しだけ待っていてくれ。」

 

アーチャーはそう声をかけると、レンジを修理し始めた。

 

しばらくすると、修理が終わり、暖められた料理がカトリーヌの前に出された。

 

「うわぁ〜。すごく美味しそう。あ、シャル、起きなさい。もう7時になるわよ。」

 

カトリーヌは少女を揺すると、目を擦りながら少女が起き上がる。

 

「はぁい…。あ、昨日のオジちゃんだ。」

 

「そこはせめてお兄さんと言ってほしいなぁ!いや、済まない。取り乱してしまった。さぁ、取り敢えずは冷めない内に食べたまえ。」

 

昨夜夕食を抜いたために、腹をすかせている二人は直ぐに朝食をとった。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

女二人は朝食を終え、身支度を整えるとアーチャーと机を挟んで向かい合うようにして座った。

 

「今回は助けてもらうどころか、こんなに美味しいご飯を作っていただきありがとうございました。」

 

「ありがとうございました。」

 

カトリーヌが深々と頭を下げると、シャルロットも真似るようにして頭を下げる。

 

「全く、君も存外に頑固だな。分かった。有難くその感謝を受け取ろう。それで、体調はどうだ?」

 

「はい、お陰様でこの通り元気です。」

 

カトリーヌは力こぶを作るようにするが、微塵も力強さを感じることが出来ないほど細い腕をしていた。

 

(この腕…細いというレベルではないな。栄養失調気味か。冷蔵庫の中身もほとんど無かった。加えて、この部屋の生活痕跡からすると、夫はいないのだろうな。)

 

「君は病み上がりだ。今日一日は休んでいたまえ。それではな。」

 

アーチャーはそう言うと席を立ち、玄関へ向かおうとする。

 

「どこか行くのですか?」

 

カトリーヌは不思議そうにアーチャーに尋ねると、アーチャーは深く溜息をついた。

 

「フゥ…、カトリーヌ。私は確かに君を介抱したが、君と私はそもそも昨日が初対面だ。もう少し危機感を持ちたまえ。私が暴漢だったら、君たちは危険極まりない状況にあるのだぞ?」

 

アーチャーがそう言うと、カトリーヌは不思議そうな顔をしたが、何を言ったのか理解すると突然笑いだした。

 

「…笑うところではなかったのだがね。」

 

アーチャーは呆れたようにカトリーヌに視線を向けるがカトリーヌは笑うことをやめなかった。

 

「フフ。そうね、たしかに不用心だったわ。でも、それなら私が倒れている間に行動に移しているはずでしょう?なのに貴方はこんな美味しいご飯を作った上に、部屋の掃除までしたみたいだもの。それでそんなことを言ったら笑ってしまうのも仕方ないわ。」

 

「…全く、私はどうも強かな女性と縁があるらしい。」

 

アーチャーはそう呟き額に手を置いた。

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