東方半魔日記   作:jhon

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1話

いつもの日常、いつもの時間だった。

 

朝起きて、飯食って歯磨いて、着替えて学校に行く。

 

冬も近く、カラッと雲ひとつない寒々しい空の下、自転車でいつも通りの道のりを行く。

 

その時の俺は、ただただ眠かった。それは4時くらいまでやってたゲームの所為でもあったし、そもそも俺が生来睡眠欲の強い方である事も手伝った。

 

ただ唯一言えることは、俺はただただぼうっとしていた、という事だった。

 

下り坂に差し掛かり、しゃーっと碌にブレーキも掛けずに下って、ふと前を見た。

 

女の人と目があった。一直線上の先に立っていて、犬にリードを繋げて散歩の途中だったのだろう、向こうも同時に俺に気が付いたようだった。

 

まずい、と俺はすぐに慌ててハンドルを切った。何がまずいって、下り坂を碌にブレーキも掛けずに下っていた自転車の先にその女性がいるのだ。

 

しかも唐突の事に身体が固まっている。このままだとぶつかるーーー考えたくもない光景だった。

 

だから、俺は半分無意識に、そして思いっきり自転車の頭をひねっていた。

 

それもまた、不味かった。

 

この下り坂の先には川があった。結構浅くて溺れる人間はまずいないが、この下り坂から直接川に行こうとすると、ガードレールを飛び越えて6、7m程の高さを飛び越えなければいけないのだ。

 

俺を乗せた自転車は、女性を何とか射線上から外し、そしてスピードもそのままにガードレールに突っ込んだ。

 

青空が、とても近くに見えた。

 

次の瞬間に、俺の身体を重力が捕まえる。視線を動かすと自転車だけはガードレールにぶつかってそこで止まっていた。どうやら奴は持ち主よりも自分の安全を優先したらしい。

 

俺は空を飛びながら、次に女性に目をやった。

 

女性は驚愕に目を染めながらこちらを見ていた。

 

足元の犬はつぶらな瞳で舌を出していた。

 

空は、青かった。

 

人生最後の教訓。『睡眠はしっかりと取ろう』。お兄さんとの約束だぞーーーー

 

それが、俺の人生最後の思考だった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

目を覚ます。

 

どうやら俺は寝ていたようで、暖かな布団の感触が心地良い。普段は寝起きが良い方なので割とすぐに起きれるのだが、今はまだ無性に微睡んでいたい。

 

何というか、母親の胸に抱かれているというか、そんな安心感に似ていた。まあ俺も良い歳した高校生だ。そんな感覚、久しく忘れていたけれど。

 

しかしそうは言ってもここでずっと寝ている訳にもいかない。俺は、そう、学校にいかなきゃならんのだから。

 

…そうだよ、俺は登校途中だった筈だ。

 

あれ?じゃあ何で俺、寝てるんだ?しかも明らかにベッドの上で。

 

いや、そもそもここはベッドなのか?なんか規則正しく揺れてるっぽいし、それに幾ら何でも暖かすぎるし。

 

そう言えば、あれから俺、どうしたんだ?自転車に放り投げられて、宙を飛んで、それから、それ、から…?

 

俺は恐る恐る目を開けた。こうして意識があるということは、俺は無事とは言えずとも生き残っていたのだろう。あの高さから落ちたのだ、足の骨の一本か二本覚悟しておくべきだろう。

 

そして俺は目を開けた。すると1人の美女と目があって、思考が一瞬で止まった。

 

美女はそれはもう近かった。どれくらい近いかというと、まるで俺を抱き上げているレベルで近い。っていうか抱き上げられてるっぽい。あるぇ、どうしてこうなったし。

 

「あうあうあー、あう?(あ、あのー、すいません…あれ?)」

 

って、何じゃこりゃ!言葉を言おうとしたら、口と舌から神経引っこ抜いたんじゃないかという程自由がきかない。

 

「あらあら、起こしちゃったかしら?」

 

美女は、眩い金髪を揺らしながら微笑んだ。

 

「あう、あうあうあー(ちょ、誰ですか?どうなってるんですかこれ!?)」

「元気だわぁ。あ、お腹空いちゃったのかしら?」

 

そう言うと美女はやおら服を脱いで胸をはだけさせた。

 

って、なんですとおお!?

 

お、女の子がそう簡単に男に肌を見せちゃ行けませんことよ!?っていうか今俺の目の前にそれはもう真っ白で柔らかそうなハリのあるおっぱぱぱぱぱ!?

 

「むちゅ…」

 

って、俺の唇が勝手におっぱおさんとドッキングしやがった!?完全に意識の埒外だよ!?

 

も、もしかして、俺ってそんなに溜まってたのか…?見知らぬ女性の胸に無意識に吸い付くほど見境なかったっていうのか!?そ、そんなのいやああああ!?

 

(って、あれ…?)

 

そこで俺は気が付いた。

 

俺は男子高校生だ。身長だってそれなりにあるし、冗談でもこんな細腕の美女に抱きかかえられるほどヤワな体はしていない筈である。

 

だというのに、目の前の美女は何のこともなく俺を持ち上げている。

 

そう、まるで赤ん坊を持ち上げるかのように、だ。

 

「ふふ、沢山飲んで、沢山大きくなってね…私の可愛いジュリア…」

 

…え?ヲイヲイ、マジですか…?

 

いや、待て。少しcoolになれ俺。現状を再確認するんだ。

 

自転車で吹っ飛ばされて高いとこから自由落下して?

 

目を覚ますと美女に抱かれてて?

 

喋ろうとしても赤ちゃんみたいな声しか出せなくて?

 

で、今授乳中なう…?

 

そしてジュリアと俺の事を呼びながら、とても愛おしいものを見るように俺の顔を覗き込んでくる美女。

 

…うん、あれ?いや、待て待てははは。

 

これじゃまるであの漫画なんかでよく見かける俺TUEEEEの温床となっている主人公とまるっきり同じじゃないですかやだー。

 

(…っていうか、それ以外に考えられないじゃないですかやだー…)

 

…どういう事なの…。

 

俺は、また意識を手放したのだった。

 

願わくば、起きた時にこの悪夢が消えて無くなっている事を信じて…

 

 

 

 

 




今授乳なう・・・頭痛が痛い。

転生テンプレ・・・ばっと通ったトラックが、君を引きずって鳴き叫んだりして神様がお詫び入れたりするアレ。

俺TUEEEE・・・俺が強い(確信)。

目を覚ますと美女・・・ぼくのかんがえたさいきょうの理想。
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