東方半魔日記   作:jhon

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2話

時が経ち、俺は歩ける程度に成長した。

 

ジュリア・アーカード。齢3歳。あの事件からもう3年の月日が経とうとしている。

 

そこまで時間が経てば、流石にもう自分の身に何が起こったのか理解するには十分な時間を得ることが出来た。

 

結論から言おう。俺はどうやら転生してきたらしい。自転車からテイクオフした俺は、恐らくそのまま死んでしまったのだろう。

 

その後の事は考えたくない。自宅のPCだったりベッドの下のブツだったり、友達に返そうとバッグの中に入れてた肌色の本の行方だとか、考えるだけで鬱になりそうなので。嫌な事は考えないに限る。

 

まあ普通に葬式があって、普通に時が経って忘れ去られるのだろう。惜しむらくはあそこまで育ててくれた親に孝行出来なかった事だが、考えても仕方がない。

 

そして転生してきた後の話に戻るわけだが。

 

俺の今世での名前はジュリア。ジュリア・アーカード。ジュリアが名前でアーカードが性だ。

 

名前からして分かってしまうかとは思うが、女である。何がとは言わないが無かったのでこれももう諦め済みだ。

 

顔は母親似、目元が父親に似ていると良く言われる。髪の毛は黒髪の父と金髪の母両方に似ず、色素を無くしたかのような真っ白な髪の毛である。

 

俺はどうやらもう一生童貞を捨てる事は出来ないらしい。諦めた…諦めたさ…。

 

だが、そんな事も吹っ飛ぶほどの事実が実はある。

 

「ジュリア、今日のご飯はシチューにしましょうね」

「あーい」

「ふふ、うんと美味しく作るから、ジュリアは帰ってきたお父様におかえりするのよ?」

「わかったー!」

 

俺が住んでいる場所は、森の奥の洋館である。ここの屋敷から出たことが無いので詳しくは知らないが、どうやらこの世界の文明は中世ヨーロッパ並らしく、良く俺の父親は夜中に薪を取ったり動物を狩ってきたりしている。

 

ちなみに、俺の喋り方だけど、うん、自分でも気持ち悪いと思ってるから何も言わずにそっとしておいてほしい。いきなり男口調でペラペラ喋る3歳児とか親でも気味悪がるに決まってる…っていうのもあるけれど、この間ふとした気のゆるみから男口調をぽろっと話してしまった時、母親の逆鱗に触れたらしく、それはもう笑顔で調教…もとい躾を受けたのは記憶に新しい。しかも原因が父親にあるんじゃないかと推測した母親と父親との間に少しの間だけだが確執が生まれて家の中が絶対零度に見舞われたのだ。俺は絶対に母親の前では男口調は話さないと誓ったのだった。

 

とりあえず母親に言われた通りに父親の帰りを待つことにする。

 

ちなみに、母親の名前はキャロル、父親の名前はリガルドだ。キャロルは金髪の美女で、リガルドは髭の良く似合うダンディーなイケメンだ。イケメンは死すべし慈悲は無い。しかもキャロルのような絶世の美女を娶っているのだから、言うべき言葉は既に無い。

 

とかなんとか頭の中で愚痴っていると、ちょうどリガルドが帰ってきたらしい。

 

がらっと窓を開けて入ってくる一つの影。そして俺をすぐに見つけて、にやっと口角を上げたその男ーーリガルドは、次の瞬間そのイケメン面に似合わない程相好を崩して俺を抱き上げてくる。

 

「ジュリア~。今帰ったよ~」

「父さま、お帰りなさい!」

 

じょりじょりじょりと顔を擦り付けてくるリガルドに、俺はさりげなく手で押しやりつつ抱かれたままキャロルの元へと向かった。

 

ちなみに、リガルドの背はとても高いので、窓の外が良く見えるわけだが。

 

そこから見える風景が、明らかに3,4階程高い視点にある件について、どう思う?

 

うん、見間違いではないんだ。だってここ間違いなく3階だし。

 

父親のマントがゆらりと揺れる…が、それは本当はマントではない。まず首や肩に掛かっていないし。

 

すると俺がリガルドのソレに意識を向けていたのが伝わったのか、リガルドが笑顔を作ってソレを大きく動かした。

 

「いやー、今日は特に飛びまくっちゃったからね。もう肩が凝って仕方がないよ」

 

ばさ、とソレーーー蝙蝠の翼が開かれて、リガルドの月に照らされた影が大きく揺れた。

 

「ははは、そんなに翼が欲しいのかい?大丈夫、きっと大きくなったら生えてくるさ」

 

そう、リガルドは人間ではない。

 

リガルドは、正真正銘の吸血鬼。所謂ヴァンパイアと呼ばれる人ではないモノ、悪魔なのである。

 

しかも純血である。真祖に近い吸血鬼なのだと本人は言う。

 

それに比べて、キャロルはただの人間だ。こちらも純血、何の力も持っていない。

 

そんな二人がどうしてであったのかと言うと。

 

「愛だね。僕らは愛の下、運命に導かれて出会ったんだよ」

「もう、あなたったら…」

 

とは本人たちの言である。その夜二人してどこかへこそこそと出ていくのを見ながら、まだ見ぬ妹か弟に思いをはせたのだった。

 

しかし、うん。なんていうかさ。

 

え?なんで吸血鬼が実在してるの?なんで?っていうかどうしてキャロルは吸血鬼と結婚したの?っていうかこれってつまり俺吸血鬼と人間のハーフって事になるんだけど、それでFA?

 

 

うん、どうやらここは異世界だったらしい。まあ、世界が変わったからって俺にはどうする事も出来ないので、意識しない方向で善処したい。

 

逆にこの世には魔法や魔術と言ったファンタジー要素も多くあるらしい。男の子なら一度は憧れる異能の力である。オラわくわくすっぞ。

 

そういう事で、案外精神的ダメージは少なく済んだのだった。

 

まあ、今はまだ3歳児なのでできることも少ないんですがね…魔法教えてって言っても駄目って言われるし。

 

今は気長に成長するとしよう。

 

 




投稿する文章を間違えました…ユルシテ


アーカード・・・吸血鬼と言ったらこのお方


ベッドの下のブツ・・・よくカアチャンに見つけられて晒し者にされるアレ


男の子なら一度は憧れる・・・男の子なら一度は中二病に掛かった筈

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