僕とシェリーさん、レンさんが魔法でクリスティーナの船体を支え、リオンさんは壊れた片翼を造形魔法で補ってもらう。イヴさんは魔導弾と雪魔法を融合して発射する役目だ。ヒビキさんには引き続きナツさんたちと念話ができないか、そしてニルヴァーナを止める手段を検索してもらっている。
「よし、この辺でいい。狙うは砲台側の前足のどっちかだ」
「イヴ、準備はできているか?」
「うん、大丈夫だよ」
「しかし、これは中々…」
「厳しいですわ…」
「あと少し、頑張りましょう!」
ここまで来れば、あとはイヴさんが魔導弾を発射。船体が持ちそうにない状態になったら、僕の
「見えた…皆さん、あれが
ついにここまで来た…チャンスは一回のみ。頼むから、上手くいってくれよ…
さっき、王の間の部分で爆発のようなものが見えた。あれは、ブレインのトラップだ。原作通りなら、ジュラさんがナツさんたちを庇って行動不能になってしまう。でも、確か魔力を使い果たしただけだったから大丈夫だとは思う。その後、どこからか鐘の音が響いたと思ったら、その王の間の内部で更なる戦闘のようなものがあった。気づかれないようにかなりの高度から見下ろしている形なのでよくは見えないけど…恐らく、ブレインのもう1つの人格…マスター・ゼロが目を覚ましたんだ。
ブレインには、知識を好む表の顔と破壊を好む裏の顔が存在する。いわゆる二重人格って奴だ。ブレインはその裏の顔が危険すぎる為、生体リンク魔法で6つの鍵をかけ封印していた。
彼は形ある物が全て塵になるまで破壊する。ナツさんたちが相対しているとしたら…想像を超えるくらいの攻撃を受けてしまっているかもしれない…
「おい、あれを見ろ!」
「あれが、ニルヴァーナ…」
「感じたことのない魔力だ…」
「イヴさん!!」
「任せて…必ず、成功させる!!」
砲台に魔力が収束し始める。いよいよ、発射するつもりだ…!
「…今だ!魔導弾、投下!!」
イヴさんの雪魔法と融合した魔導弾が、ニルヴァーナの足に直撃する。わずかに軌道をずらすことに成功、その直後にニルヴァーナが発射される。軌道がずれた砲撃は
「誰か、聞こえるかい!誰か…無事なら返事をしてくれ!」
『この声は、ヒビキか!』
『ヒビキさん!』
『私も一応無事だぞ…メェーン』
「エルザさんにウェンディちゃん!それに先輩も…無事で良かった」
どうやらエルザさんたちも無事みたいだ…そういえば一夜さんはどこにいたんだ?あれ、原作でどうなってたっけ…なんか棒に縛られていたのは覚えているけど…
『どうなっている?クリスティーナは、確か撃墜されたはず』
『樹海の入り口辺りで、あいつらにあっさり落とされたのよね?』
『まだ飛べたんですね』
「ああ、何とかね…僕たちは即席の連合軍だが、重要なのはチームワークだ。船体はゴーシュ君とレン、シェリーさんが、奴らにやられた方の翼はリオン君の造形魔法で補っている。さっきの魔導弾はイヴの雪魔法さ」
「でも、そろそろ皆限界です…船ももうすぐまた落ちる」
「でも、最後に聞いてくれ…ようやく
『本当か!?』
ヒビキさんが説明を始める。ニルヴァーナは足のようなものが6本ある。それが地面から魔力を吸収するパイプの役割をしている。その働きを制御する
「僕がタイミングを計ってあげたいけど…それまで念話が持ちそうにない。だから、君たちの頭にタイミングをアップロードした。ニルヴァーナが次に装填完了する直前だよ」
『20分?』
「君たちならきっとできる…信じてるよ」
『無駄なことを…』
突然知らない声が頭の中に響いてくる。いや、これは知っている。あのブレインの声…いや、ブレインのもう1つの人格。マスター・ゼロの声だ。
『俺はゼロ。
ヒビキさんと同じ魔法をブレインも使用できる…
『聞け、光の魔導士よ!手始めに、仲間を三人破壊した…
「ナツ君たちが!?」
『そんなの嘘よ!』
『てめぇら、
「ぐっ…!ゼロとの念話が切れた」
ナツさんたちがやられたか…いや、まだだ。きっと、立ち上がってくれる!
『ちょっと待って、
『私、は、破壊の魔法は…使えません!ごめんなさい!!』
『こっちは2人だ…他に動けるものはいないか!』
『マイハニー…私がいるではないか。縛られているが…』
「僕も、攻撃の魔法は使えません…」
『あと3人…ゴーシュは無理なのか?』
「…?あれ、僕の声聞こえてますか?」
「…ゴーシュ君の声だけ、皆に届いていない?なんでだ…すまない、ゴーシュ君。僕の魔力が後わずかだからかもしれない。僕が代弁するよ」
「…すみません、お願いします」
なんでか僕の声だけ聞こえていないみたいだ。いや、今はそんなことを気にしている場合じゃない…このままでは6人揃う前に念話が切れてしまう!もし僕とウェンディも加わったとしても、まだ1人足りない…
「グレイ…立ち上がれ。お前は誇り高き…ウルの弟子だ!こんな奴らに負けるんじゃない!」
「私、ルーシィなんて大嫌いですわ。ちょっと、可愛いからって、調子に乗っちゃって…馬鹿でドジで弱っちいくせに、死んだら、嫌いになれませんわ…後味悪いから、返事しなさいな…!!」
『ナツさん…』
『オスネコ…』
『…ナツ!』
リオンさんが、シェリーさんが…ウェンディとシャルル、エルザさんが…皆が、立ち上がれと言っている。そうだ…こんなところで倒れるナツさんたちじゃない…!!
『ぐっ…!ハァ…ハァ…』
「これ…!」
「聞こえるかい?僕たちの声が…」
『き、こえ、てる…!』
『6個の、
『運が良い奴は、ついでにゼロも殴れる…でしょ』
『あと18分…急がなきゃ。シャルルとウェンディとゴーシュのギルドを守るんだ!』
「も、もうすぐ念話が切れる…頭の中に、僕が送った地図がある。各
『1!!』
『2!!』
『3に行く!ゼロがいませんように…!』
『私は4に行こう…ここから一番近いとパルファムが教えている』
『教えているのは地図だ。『そんな、マジで突っ込まなくても…』私は5に行く』
『エルザ、元気になったのか!』
『ああ…おかげさまでな』
『俺は…』『お前は6だ』
『他にも誰かいるのか…?今の誰だ?』
どうやら、原作通りだ…つまり、ナツさんが行く1番
「ぐっ…!」
「ヒビキさん!大丈夫ですか?」
「ああ、だが…すまない、念話が切れた…」
よし、それじゃ急いで向かわなければ…!残り16分、時間がない!
「皆さんは急いで
「ああ。ゴーシュ君、頑張ってくれ!」
「…はい!!」
降下し始めているクリスティーナから飛び降りる。ニルヴァーナが丁度真下にくる位値だったので、ここから方向転換をしていけばすぐに…!あれは…ウェンディとシャルルに、ジェラール?
「
クッションのように使いながら勢いを殺し、落ちる場所を調節していく。ウェンディたちが1と6の間にいたので、少し話をしてもすぐに向かえば大丈夫だろう。
「ウェンディ、シャルル!!」
「え?…ご、ゴーシュ!?」
「あんた、どっから来るのよ!?」
何とか
「えっと…空から?」
「なんで疑問形なのよ…あんた、念話で声が聞こえなかったから何かあったんじゃないかって心配してたのよ!?」
「いや、ヒビキさんたちと一緒にいたんだけど、僕の声だけなんでか届いていなくて…って、今はそんなことはいいよ。クリスティーナの皆は
「そうなんだ。良かった~…」
やっぱり、ウェンディは気になっていたようだ。あの念話では、クリスティーナに乗っていた人がどうなったか分からないだろうからね。やっぱり僕の声は聞こえていなかったらしいし。
「君は…?」
「ジェラール…」
「待ってゴーシュ!ジェラールは記憶が混乱してて…私たちのことも、エルザさんのことも…分からないんだって」
「…そっか。ジェラール、僕はゴーシュ。ウェンディと同じように、7年前にあなたに助けられたんだ」
「ゴーシュ…君も、俺の知り合いだったのか」
「無理に思い出さなくていいよ。それより今は、ニルヴァーナを!マスター・ゼロは何番にいるか分かる?僕はゼロと戦うことになる人の援護に行く!」
ヒビキさんがアップロードしてくれたタイムリミットは…残り14分。急がないと、間に合わなくなる。それに…見れば見るほどあのジェラールと同一人物に見えるけど…この人は、僕らを助けてくれたジェラールじゃない…。
「エルザさんが言うには、ナツさんの所だって。…ナツさんは鼻が良いから、分かってて選んだだろうって」
「っていうことは1番
「ウェンディ、ゼロと戦うことになるナツの体力を回復できるか?」
「えっと…それは」
「何言ってんのよ!!今日だけで何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!これ以上は無理!元々この子は…!」
「そうか…では、ナツの回復は俺がやろう」
「え?」
「思い出したんだ…ナツという男の底知れない力、希望の力を。君達は俺の代わりに、6番
ジェラールはこれからナツさんの所に行って残った全魔力を炎に変えて回復させるつもりだろう…ん?君達?
「ちょ、ちょっと待ってよ、僕も?」
「ああ」
「いや、僕もナツさんの所に行くよ!攻撃魔法は使えないけど、防御だけなら少しは役に立てるはず!」
「ゴーシュ…君の言う通りだと思う。だが、恐らくゼロの攻撃は…君の魔力では太刀打ちできない」
「そんなのやってみなきゃ…!」
「君の魔法で、六魔の攻撃は防げたか?防げたとしても…彼らの全力の攻撃を、完全に防げるほどでなければ…」
「!!そ、それは…」
六魔の中で僕が戦ったのは、エンジェルのみ。エンジェルの攻撃力は、六魔の中ではお世辞にも強い方とは言えないだろう。だがそのエンジェルの攻撃でさえ、僕は重たいと感じた。あの時防ぎきることができたのは、僕の魔力がなくなる前にルーシィさんが倒してくれたから。つまり、あのまま攻撃をくらい続けていたら…
「…君は、ウェンディを助けてやってくれ。君たちは、昔からの付き合いなんだろう?君がいれば、ウェンディも不安が少なくなるはずだ」
「ゴーシュ…」
「…分かった。本当に、すごく、悔しいけど…ジェラールの言う通りだ。僕は、ウェンディと一緒に6番
「よし…それでは頼む、2人とも」
ジェラールはそのまま1番
「ウェンディ、シャルル…行こう。6番
「ゴーシュ、いいの?」
「…うん。大丈夫。ここで無理やりついて行って、足手まといになったら…それこそ、僕は後悔する…なんて、ただの臆病者かな?」
「そんなこと…ゴーシュは、臆病者なんかじゃない。仲間を守ることができる、優しい魔導士だよ」
「…ありがとう、ウェンディ。よし、急ごう!」
「うん!」
「ええ」
当初の目的とは変わってしまったけれど…これも重要なことだ。ナツさんとジェラールを信じて…僕達は僕達にしかできないことをするんだ。
最初はナツVSゼロに加勢させようとしていたんですが、ウェンディと同じ12歳の男の子がそこまで強くなるかなと思いこういう形にしました。
また少しだけ時間が空いてしまうことが9月頃までは続いてしまうと思いますが、少しずつ更新していくつもりですのでよろしくお願いします!