FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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時間が空いてしまってすみませんでした。仕事とお盆で少々忙しくなってました。


第11話  天馬から妖精たちへ

 僕とシェリーさん、レンさんが魔法でクリスティーナの船体を支え、リオンさんは壊れた片翼を造形魔法で補ってもらう。イヴさんは魔導弾と雪魔法を融合して発射する役目だ。ヒビキさんには引き続きナツさんたちと念話ができないか、そしてニルヴァーナを止める手段を検索してもらっている。

 

「よし、この辺でいい。狙うは砲台側の前足のどっちかだ」

 

「イヴ、準備はできているか?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「しかし、これは中々…」

 

「厳しいですわ…」

 

「あと少し、頑張りましょう!」

 

 ここまで来れば、あとはイヴさんが魔導弾を発射。船体が持ちそうにない状態になったら、僕の浮遊結界(バルーン)に全員乗り込んで脱出する。エクシードの力を借りずに5人も乗り込めばさすがに重さで高度が下がって来るだろうけど、ゆっくりだから問題ない。

 

「見えた…皆さん、あれが化け猫の宿(ケットシェルター)です」

 

 ついにここまで来た…チャンスは一回のみ。頼むから、上手くいってくれよ…

 

 さっき、王の間の部分で爆発のようなものが見えた。あれは、ブレインのトラップだ。原作通りなら、ジュラさんがナツさんたちを庇って行動不能になってしまう。でも、確か魔力を使い果たしただけだったから大丈夫だとは思う。その後、どこからか鐘の音が響いたと思ったら、その王の間の内部で更なる戦闘のようなものがあった。気づかれないようにかなりの高度から見下ろしている形なのでよくは見えないけど…恐らく、ブレインのもう1つの人格…マスター・ゼロが目を覚ましたんだ。

 

 ブレインには、知識を好む表の顔と破壊を好む裏の顔が存在する。いわゆる二重人格って奴だ。ブレインはその裏の顔が危険すぎる為、生体リンク魔法で6つの鍵をかけ封印していた。六魔将軍(オラシオンセイス)は、6つの柱。それぞれの強い祈りが、封印の鍵となっている。六魔が全て倒された時、ゼロは解放される。

 

 彼は形ある物が全て塵になるまで破壊する。ナツさんたちが相対しているとしたら…想像を超えるくらいの攻撃を受けてしまっているかもしれない…

 

「おい、あれを見ろ!」

 

「あれが、ニルヴァーナ…」

 

「感じたことのない魔力だ…」

 

「イヴさん!!」

 

「任せて…必ず、成功させる!!」

 

 砲台に魔力が収束し始める。いよいよ、発射するつもりだ…!

 

「…今だ!魔導弾、投下!!」

 

 イヴさんの雪魔法と融合した魔導弾が、ニルヴァーナの足に直撃する。わずかに軌道をずらすことに成功、その直後にニルヴァーナが発射される。軌道がずれた砲撃は化け猫の宿(ケットシェルター)のわずか上を掠るのみだった。よし、成功だ…!

 

「誰か、聞こえるかい!誰か…無事なら返事をしてくれ!」

 

『この声は、ヒビキか!』

 

『ヒビキさん!』

 

『私も一応無事だぞ…メェーン』

 

「エルザさんにウェンディちゃん!それに先輩も…無事で良かった」

 

 どうやらエルザさんたちも無事みたいだ…そういえば一夜さんはどこにいたんだ?あれ、原作でどうなってたっけ…なんか棒に縛られていたのは覚えているけど…

 

『どうなっている?クリスティーナは、確か撃墜されたはず』

 

『樹海の入り口辺りで、あいつらにあっさり落とされたのよね?』

 

『まだ飛べたんですね』

 

「ああ、何とかね…僕たちは即席の連合軍だが、重要なのはチームワークだ。船体はゴーシュ君とレン、シェリーさんが、奴らにやられた方の翼はリオン君の造形魔法で補っている。さっきの魔導弾はイヴの雪魔法さ」

 

「でも、そろそろ皆限界です…船ももうすぐまた落ちる」

 

「でも、最後に聞いてくれ…ようやく古文書(アーカイブ)の中から見つけたんだ!ニルヴァーナを、止める方法を!!」

 

『本当か!?』

 

 ヒビキさんが説明を始める。ニルヴァーナは足のようなものが6本ある。それが地面から魔力を吸収するパイプの役割をしている。その働きを制御する魔水晶(ラクリマ)が、各足の付け根付近にあり、それらを同時に破壊しなければならない。1つずつでは、他のラクリマが破損部分を修復してしまう。

 

「僕がタイミングを計ってあげたいけど…それまで念話が持ちそうにない。だから、君たちの頭にタイミングをアップロードした。ニルヴァーナが次に装填完了する直前だよ」

 

『20分?』

 

「君たちならきっとできる…信じてるよ」

 

『無駄なことを…』

 

 突然知らない声が頭の中に響いてくる。いや、これは知っている。あのブレインの声…いや、ブレインのもう1つの人格。マスター・ゼロの声だ。

 

『俺はゼロ。六魔将軍(オラシオンセイス)のマスター・ゼロだ…まずは誉めてやろう。まさかブレインと同じ古文書(アーカイブ)の魔法を使えるものがいたとはな…』

 

 ヒビキさんと同じ魔法をブレインも使用できる…古文書(アーカイブ)でニルヴァーナの存在を知ったんだ。魔法開発局にいたって話があったから、最近の魔法を使えてもおかしくはない。

 

『聞け、光の魔導士よ!手始めに、仲間を三人破壊した…滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)、氷の造形魔導士、星霊魔導士…ククッ、それと猫もか』

 

「ナツ君たちが!?」

 

『そんなの嘘よ!』

 

『てめぇら、魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ったな…俺は今、その6つの魔水晶(ラクリマ)の、どれか1つの前にいる!フハハハハハ!俺がいる限り!6つ同時に壊すことは、不可能だ!!』

 

「ぐっ…!ゼロとの念話が切れた」

 

 ナツさんたちがやられたか…いや、まだだ。きっと、立ち上がってくれる!

 

『ちょっと待って、魔水晶(ラクリマ)を壊せる魔導士が6人もいないわ!!』

 

『私、は、破壊の魔法は…使えません!ごめんなさい!!』

 

『こっちは2人だ…他に動けるものはいないか!』

 

『マイハニー…私がいるではないか。縛られているが…』

 

「僕も、攻撃の魔法は使えません…」

 

『あと3人…ゴーシュは無理なのか?』

 

「…?あれ、僕の声聞こえてますか?」

 

「…ゴーシュ君の声だけ、皆に届いていない?なんでだ…すまない、ゴーシュ君。僕の魔力が後わずかだからかもしれない。僕が代弁するよ」

 

「…すみません、お願いします」

 

 なんでか僕の声だけ聞こえていないみたいだ。いや、今はそんなことを気にしている場合じゃない…このままでは6人揃う前に念話が切れてしまう!もし僕とウェンディも加わったとしても、まだ1人足りない…

 

「グレイ…立ち上がれ。お前は誇り高き…ウルの弟子だ!こんな奴らに負けるんじゃない!」

 

「私、ルーシィなんて大嫌いですわ。ちょっと、可愛いからって、調子に乗っちゃって…馬鹿でドジで弱っちいくせに、死んだら、嫌いになれませんわ…後味悪いから、返事しなさいな…!!」

 

『ナツさん…』

 

『オスネコ…』

 

『…ナツ!』

 

 リオンさんが、シェリーさんが…ウェンディとシャルル、エルザさんが…皆が、立ち上がれと言っている。そうだ…こんなところで倒れるナツさんたちじゃない…!!

 

『ぐっ…!ハァ…ハァ…』

 

「これ…!」

 

「聞こえるかい?僕たちの声が…」

 

『き、こえ、てる…!』

 

『6個の、魔水晶(ラクリマ)を…同時に、壊す…!』

 

『運が良い奴は、ついでにゼロも殴れる…でしょ』

 

『あと18分…急がなきゃ。シャルルとウェンディとゴーシュのギルドを守るんだ!』

 

「も、もうすぐ念話が切れる…頭の中に、僕が送った地図がある。各魔水晶(ラクリマ)に番号を付けた。全員がバラけるように、決めるんだ…」

 

『1!!』

 

『2!!』

 

『3に行く!ゼロがいませんように…!』

 

『私は4に行こう…ここから一番近いとパルファムが教えている』

 

『教えているのは地図だ。『そんな、マジで突っ込まなくても…』私は5に行く』

 

『エルザ、元気になったのか!』

 

『ああ…おかげさまでな』

 

『俺は…』『お前は6だ』

 

『他にも誰かいるのか…?今の誰だ?』

 

 どうやら、原作通りだ…つまり、ナツさんが行く1番魔水晶(ラクリマ)にゼロがいる!

 

「ぐっ…!」

 

「ヒビキさん!大丈夫ですか?」

 

「ああ、だが…すまない、念話が切れた…」

 

 よし、それじゃ急いで向かわなければ…!残り16分、時間がない!

 

「皆さんは急いで浮遊結界(バルーン)に!!」

 

「ああ。ゴーシュ君、頑張ってくれ!」

 

「…はい!!」

 

 降下し始めているクリスティーナから飛び降りる。ニルヴァーナが丁度真下にくる位値だったので、ここから方向転換をしていけばすぐに…!あれは…ウェンディとシャルルに、ジェラール?

 

弾性結界(バウンド)!」

 

 クッションのように使いながら勢いを殺し、落ちる場所を調節していく。ウェンディたちが1と6の間にいたので、少し話をしてもすぐに向かえば大丈夫だろう。

 

「ウェンディ、シャルル!!」

 

「え?…ご、ゴーシュ!?」

 

「あんた、どっから来るのよ!?」

 

 何とか弾性結界(バウンド)で着地に成功。最初はあまりいらない能力かなと思っていたが、やっぱり作っておいてよかった。浮遊結界(バルーン)ではこんな速く降りられないし、方向転換もすごく遅い。空中戦ではこれは必須だな。

 

「えっと…空から?」

 

「なんで疑問形なのよ…あんた、念話で声が聞こえなかったから何かあったんじゃないかって心配してたのよ!?」

 

「いや、ヒビキさんたちと一緒にいたんだけど、僕の声だけなんでか届いていなくて…って、今はそんなことはいいよ。クリスティーナの皆は浮遊結界(バルーン)で脱出してるはずだから、安心して」

 

「そうなんだ。良かった~…」

 

 やっぱり、ウェンディは気になっていたようだ。あの念話では、クリスティーナに乗っていた人がどうなったか分からないだろうからね。やっぱり僕の声は聞こえていなかったらしいし。

 

「君は…?」

 

「ジェラール…」

 

「待ってゴーシュ!ジェラールは記憶が混乱してて…私たちのことも、エルザさんのことも…分からないんだって」

 

「…そっか。ジェラール、僕はゴーシュ。ウェンディと同じように、7年前にあなたに助けられたんだ」

 

「ゴーシュ…君も、俺の知り合いだったのか」

 

「無理に思い出さなくていいよ。それより今は、ニルヴァーナを!マスター・ゼロは何番にいるか分かる?僕はゼロと戦うことになる人の援護に行く!」

 

 ヒビキさんがアップロードしてくれたタイムリミットは…残り14分。急がないと、間に合わなくなる。それに…見れば見るほどあのジェラールと同一人物に見えるけど…この人は、僕らを助けてくれたジェラールじゃない…。

 

「エルザさんが言うには、ナツさんの所だって。…ナツさんは鼻が良いから、分かってて選んだだろうって」

 

「っていうことは1番魔水晶(ラクリマ)か…よし、それじゃ「待ってくれ」…ジェラール?」

 

「ウェンディ、ゼロと戦うことになるナツの体力を回復できるか?」

 

「えっと…それは」

 

「何言ってんのよ!!今日だけで何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!これ以上は無理!元々この子は…!」

 

「そうか…では、ナツの回復は俺がやろう」

 

「え?」

 

「思い出したんだ…ナツという男の底知れない力、希望の力を。君達は俺の代わりに、6番魔水晶(ラクリマ)を破壊してくれ」

 

 ジェラールはこれからナツさんの所に行って残った全魔力を炎に変えて回復させるつもりだろう…ん?君達?

 

「ちょ、ちょっと待ってよ、僕も?」

 

「ああ」

 

「いや、僕もナツさんの所に行くよ!攻撃魔法は使えないけど、防御だけなら少しは役に立てるはず!」

 

「ゴーシュ…君の言う通りだと思う。だが、恐らくゼロの攻撃は…君の魔力では太刀打ちできない」

 

「そんなのやってみなきゃ…!」

 

「君の魔法で、六魔の攻撃は防げたか?防げたとしても…彼らの全力の攻撃を、完全に防げるほどでなければ…」

 

「!!そ、それは…」

 

 六魔の中で僕が戦ったのは、エンジェルのみ。エンジェルの攻撃力は、六魔の中ではお世辞にも強い方とは言えないだろう。だがそのエンジェルの攻撃でさえ、僕は重たいと感じた。あの時防ぎきることができたのは、僕の魔力がなくなる前にルーシィさんが倒してくれたから。つまり、あのまま攻撃をくらい続けていたら…

 

「…君は、ウェンディを助けてやってくれ。君たちは、昔からの付き合いなんだろう?君がいれば、ウェンディも不安が少なくなるはずだ」

 

「ゴーシュ…」

 

「…分かった。本当に、すごく、悔しいけど…ジェラールの言う通りだ。僕は、ウェンディと一緒に6番魔水晶(ラクリマ)へと向かうよ」

 

「よし…それでは頼む、2人とも」

 

 ジェラールはそのまま1番魔水晶(ラクリマ)へと向かっていく…その背中を見送るだけしかできない自分が、嫌になる。でも、このまま追いかけることの方が…邪魔になることも、分かっていた。

 

「ウェンディ、シャルル…行こう。6番魔水晶(ラクリマ)へ」

 

「ゴーシュ、いいの?」

 

「…うん。大丈夫。ここで無理やりついて行って、足手まといになったら…それこそ、僕は後悔する…なんて、ただの臆病者かな?」

 

「そんなこと…ゴーシュは、臆病者なんかじゃない。仲間を守ることができる、優しい魔導士だよ」

 

「…ありがとう、ウェンディ。よし、急ごう!」

 

「うん!」

 

「ええ」

 

 当初の目的とは変わってしまったけれど…これも重要なことだ。ナツさんとジェラールを信じて…僕達は僕達にしかできないことをするんだ。

 

 

 




最初はナツVSゼロに加勢させようとしていたんですが、ウェンディと同じ12歳の男の子がそこまで強くなるかなと思いこういう形にしました。

また少しだけ時間が空いてしまうことが9月頃までは続いてしまうと思いますが、少しずつ更新していくつもりですのでよろしくお願いします!
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