FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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8月中にあと何話投稿できるんだろうか…


第12話  想いの力

魔水晶(ラクリマ)の破壊を、私が…!?」

 

 ウェンディとシャルルと一緒に6番魔水晶(ラクリマ)への通路を進みながら、攻撃はウェンディがやることを伝えるとすごく驚かれた。

 

「そう、滅竜魔法っていうのは、本来は竜迎撃用の魔法…なのにウェンディだけ攻撃用の魔法がないなんておかしいと思わない?今更かもしれないけどさ」

 

「確かにそうね…ナツの方が滅竜魔法ってイメージにピッタリだと思うわ」

 

「ひ、ひどいよシャルル…」

 

「た、ただの感想よ。そんなことで泣かない!」

 

 シャルルはウェンディを持って飛んで進んでいる。僕はもちろん走って。今はウェンディの魔力を温存しておかないといけないし。

 

「見えてきた…」

 

「これが…」

 

「6番魔水晶(ラクリマ)ね」

 

 通路を抜けると少し開けた場所に出た。床が半球状にくり抜いたような形状をしていて、その中心には灰色の大きなラクリマがあった。

 

「私…本当にできるかな?」

 

「大丈夫。ジェラールだって、そう思って託したはずだ。それに、僕もただ見てるわけじゃない」

 

「具体的にはあんた何すんのよ?」

 

「残り少しだけど…譲渡結界(ランブル)を全部砕いて魔力をこの空間の空気に満たす。後は…ウェンディが攻撃した瞬間が僕の頑張りどころかな」

 

「…?譲渡結界(ランブル)は分かるけど、あんた他に結界魔法あったの?私知らないけど」

 

「私も。ディフェンド、バウンド、ホーリー、ランブル、バルーン、サーチ…6種類じゃないの?」

 

「まだもう1つあるんだ…まあ、任せて。とりあえず、僕はもう少し譲渡結界(ランブル)を作っておくよ。ウェンディも、魔力を高めておいて」

 

 残り後3分。今の魔力を考えて…5個は作れるか。合わせて10個しかないけど…あるだけマシか。他の皆も、今頃魔力を高めていることだろう…ナツさん、大丈夫かな。あと心配なのはルーシィさんと一夜さんかな。ルーシィさんには気休めだけど譲渡結界(ランブル)を1つだけ渡したから大丈夫であってほしい。一夜さんもこっちに着陸する時にできれば助けてあげたかったんだけど…外には見当たらなかった。

 

 そして…残り、1分。

 

「できた…!ウェンディ、準備は?」

 

「大丈夫!…グランディーネ、力を貸して…!!」

 

「そろそろ時間よ!」

 

「よし…いくよ!!」

 

 今持っている全ての譲渡結界(ランブル)を空中に投げ、それらを防御結界(ディフェンド)(トーテム)を小さく細長くして貫く。全てが破裂し、空間に魔力が漂う。その空間の空気をウェンディが食べる。数十秒して、ウェンディが全てを食べ終えた。

 

「すごい…私の中に力が溢れてくる!!」

 

「後10秒!!」

 

「ウェンディ!!」

 

「うん…天竜の、咆哮ぉーーーっ!!!」

 

反射結界(リフレクション)!!!」

 

 ウェンディが口から竜巻のようなブレスを出し、ラクリマに直撃した瞬間に赤紫色の球状の結界が展開される。ウェンディの咆哮が結界内に入っていくが、ラクリマ側からは出られずにいる。つまり…結界に当たった竜巻が小さくなりながらも跳ね返り別方向からもラクリマに直撃していく。様々な方向からブレスが直撃し、ラクリマは粉々に粉砕された。

 

 反射結界(リフレクション)は、ジェラールーーーーミストガンの魔法を見た時のことを思い出して作った結界。これは片面が魔法を反射し、もう片面は何でも通り抜ける。本当はエンジェル戦でも使いたかったんだけど、この結界は防御結界(ディフェンド)より魔力の消耗が大きいし、反射する方向も定められないからあの時は使えなかった。使ったらエンジェルだけでなく、戦闘中の星霊たちや少し離れていたヒビキさんにも命中していただろうから。

 

「よし!!」

 

「他の皆は…!?」

 

 ラクリマが破壊され、屋根や壁も崩れ始める。そもそも、ラクリマが修復されないということは…!

 

「止まった…!ウェンディ、ゴーシュ!止まったわよ!!」

 

「うん…!ニルヴァーナが、止まった!!」

 

「僕達、やったんだ…!」

 

 結界魔法と天空魔法。どちらも、攻撃には向かない魔法だったけど…僕達だけで、やり遂げたんだ!

 

「ってまずい!早く脱出するよ、2人とも!!」

 

「え!?」

 

「ウェンディ、早く!脱出しないと、ニルヴァーナと一緒に心中よ!」

 

「う、うん!」

 

 急いで来た道を戻る。ニルヴァーナを支える魔水晶(ラクリマ)を破壊することに成功したということは、ニルヴァーナが崩れ去るということだ。…正直言って崩れることを忘れていたよ。

 

「きゃあっ!」

 

「ウェンディ!」

 

「危ない!!」

 

「岩鉄壁!」

 

 ウェンディが通路で転び、少しだけ距離が離れる。そうだ、ウェンディのドジさを忘れていた…ウェンディの頭上に岩が落下してきて、防御結界(ディフェンド)で防ごうとする前に岩の壁がウェンディを守った。っていうか、僕も一緒に抱えられてるんですけど?

 

「ジュラさん!」

 

「あんた、無事だったの?」

 

「魔力の回復に時間がかかってしまった。とにかく、急いで脱出せねば!」

 

「僕は降ろしてもらいたいんですが…」

 

「気にするな。これぐらい、どうということはない」

 

 ジュラさんがそのまま僕達を抱えたまま脱出してくれた。それがいいんだけど、その…近かった。いや、そこは気にしないでおこう。脱出すると、すでにエルザさんやグレイさん、マッチョ状態の一夜さんとルーシィさん、ハッピーがいた。後は…ナツさんとジェラールだ。

 

「皆無事だったか!」

 

「ついでにオスネコも…」

 

「ナツさんは?ジェラールは!?」

 

「見当たらんな…まだ中に?」

 

「そんな…」

 

「ナツ…!」

 

「あのクソ炎、何してやがんだ…!」

 

 …あれ、ナツさんたちはどうやって脱出してたっけ。確か、この場面でいたのは…あ。

 

「ハッピー、そこどいた方が…」

 

「へ?フギャ!?」

 

「愛は仲間を救う!デスヨ」

 

 ホットアイ、いやリチャードがナツさんとジェラールを抱えて地中から現れた。リチャードが地面を柔らかくしてここまで進んできたんだ。出てきたのがハッピーの真下だったけど。地面が盛り上がり始めてから言ったから遅かった…

 

「ったく、ヒヤヒヤさせやがる…」

 

「ナツさん!!」

 

 ウェンディがナツさんに抱きつく。これは、名シーンって奴だな。アニメではオープニングでも使われてたシーンだから、すごく印象に残ってる。

 

「本当に…約束、守ってくれた…!ありがとう、ギルドを助けてくれて…!」

 

「皆の力があったから、だろ?」

 

「皆の?」

 

「ウェンディの力もな」「私の…?」

 

「今度は、元気よくハイタッチだ!」

 

「…はいっ!」

 

 本当に、ギルドを守れて良かった。ナツさんとウェンディがハイタッチする姿を見て、そう思った。

 

 

 

「全員無事で何よりだね~」

 

「ヒビキさんたちも無事に脱出してますし、周辺にいるのではないかと」

 

「皆、本当によくやった!」

 

「これにて作戦終了ですな…」「きもっ…」

 

 六魔も全て倒せたし、ニルヴァーナも破壊した。これで今回の連合軍の作戦は成功だ。というか誰一人として犠牲が出なかったのだから、これ以上の成功もないと思う。

 

「で…あれは誰なんだ?青い天馬(ブルーペガサス)のホストか?」

 

「さあ…あんな人いたっけ?」

 

「…ジェラールだ」「何!?」「あの人が!?」

 

「だが、私たちの知っているジェラールではない」

 

「記憶を失っているらしいの…」

 

「いや、そう言われてもよ…」「うん…」

 

 グレイさんとルーシィさんはジェラールを見たことがないんだ。正直言って、原作の細かいところは覚えていない。…何せ、こっちに来てからの7年間は修行と依頼で手一杯だったからなぁ…。

 

「大丈夫だよ!ジェラールは、本当はいい人だから!」

 

「僕達は以前、ジェラールに助けられたことがあります。それに今回も、ナツさんを助けてくれましたし…記憶喪失というのも本当みたいですから、今だけは信じてあげて下さい」

 

「そう、なのか…完全に信じたわけじゃないが…」

 

「一緒にニルヴァーナを壊してくれた、仲間なんだよね…」

 

 まだ不信感はぬぐい切れないみたいだけれど、どうにか今回のことだけは信じてくれたようだ。

 

「ゴーシュ殿、まだリオンたちを救ってくれた礼を言っていなかったな」

 

「ヒビキ達を救ってくれたこと…私からも礼を言わせてもらおう」

 

「いえ、僕がいなくても脱出はできたと思いますし…仲間なんだから、当然です」

 

「でも、クリスティーナから飛び降りるなんて…無茶にも程があるわよ」

 

「「飛び降りた!?」」

 

「え…だって僕も何か手伝いたかったし」

 

「だからって飛び降りるのはやりすぎだよ!もっと自分を大事にしないと駄目!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 まさかシャルルだけでなく、ウェンディからもお叱りを受けるとは…そこまで無茶だったかな?2人とも弾性結界(バウンド)があることを知っているんだから、そこまで心配することないと思うんだけど…

 

「ゴーシュ、まだ納得いかないって顔してるね…?」

 

「へ…そ、そんな顔してました?」

 

「お前、わかりやすいな…」「思いっきりしてたわよ」

 

「はぁ…心配するこっちの身にもなってよ」

 

「え?」

 

「いてメェーン!!!」

 

 ウェンディが何かを呟いたと思ったら、一夜さんが声を上げた。あ、しまった…このイベントがまだあった…!

 

「どうした、オッサン!」

 

「トイレの香り《パルファム》をと思ったら、何かにぶつかった~!!」

 

「何か、地面に文字が…」

 

「これは…」

 

『術式!?』「メェ~ン!!トイレが~…!!」

 

 術式とは、ローグ文字という特殊な文字が使用されていて、それが刻まれた範囲に入った者にあらゆるルールを課す設置型の魔法のこと。設置に時間がかかるけど、罠としては最適な魔法だ。これも結界魔法の1つなんだけど…僕は、文字が覚えきれなかったから扱えてない。いつかは習得したいと思う。

 

 ともかく、その術式が僕たちの周りに展開されている。一夜さんが出られなかったことから、多分ルールは『術式に入った者が外に出ることを禁ずる』とかか。外に出るには術式を書き換えたりとか…あとは圧倒的な力で破壊するとかかな。

 

「いつの間に!?」「どうなってんのさ!?」

 

「これが術式…初めて見た」

 

「ゴーシュ、そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

 

「フリードのあれと同じか…同等、いやそれ以上の魔力かもしれねぇ」

 

「閉じ込められちゃった…!?」「誰だコラーッ!!」

 

 あ、ナツさんようやく復活。さすが、危機にさらされた時には頼りになるな…!でも、今回は敵じゃない。ぞろぞろと沢山の人が僕達を取り囲む。

 

「な、なんなの?」「漏れるぅ~…!」

 

 一夜さん…そんなに限界だったのか。

 

「手荒なことをするつもりはありません。しばらくの間、そこを動かないでいただきたいのです」

 

「誰なの!?」

 

「私は新生評議員、第4強行検束部隊隊長…ラハールと申します」

 

「なっ!?」「新生評議員!?」「もう発足してたの!?」

 

 評議員っていうのは、秩序を保つためにルールを取り決めている機関のこと。検束ってことはおそらく、違反を犯した魔導士を検挙・拘束する権限を持つ魔導士部隊の隊長ってことか。

 

 ちなみに新生っていうのは、前にジェラールに利用されエーテリオンを使われてから大きく人員の入れ替えが行われたかららしい。

 

「我々は、法と正義を守る為に生まれ変わった。いかなる悪も、決して許さない」

 

「どういうこと?」「オイラたち何も悪いことしてないよ?」

 

「お、お、おお!!」「そこはハッキリ否定しようよ…」

 

 いや、ナツさんたちの考え方がおかしい。なんで自分たちが悪いことをしたみたいになってるんだ。…評議員にお世話になったことがあるってことか…?

 

「存じております。我々の目的は、六魔将軍(オラシオンセイス)の捕縛。そこにいるコードネーム:ホットアイを、こちらに渡してください!」

 

「待ってくれ!!」

 

「いいのデスヨ、ジュラ」

 

「リチャード殿…」

 

 ジュラさんがリチャードを庇おうとするが、それをリチャードが止める。

 

「たとえ善意に目覚めても、過去の悪行は消えませんデス。私は一からやり直したい…。その方が弟を見つけた時に、堂々と会える…デスヨ!」

 

 リチャードがお金に固執していた理由。それは生き別れになってしまったたった一人の弟を探す為。ニルヴァーナの影響を受けたのは心の中ではずっと悪いことをしていると思っていたからで、こうしてニルヴァーナが破壊された後も善人でいられるのは…心の底から、やり直したいと思っているからだと思う。

 

「ならば、私が代わりに弟殿を探そう」

 

「本当デスカ!」

 

「弟殿の名前を教えてくれ」

 

「名前はウォーリー。ウォーリー=ブキャナン」

 

「「「ん?」」」

 

「ウォーリー…!?」「「「「四角~!?」」」」

 

「あいつは…ウォーリーは、本当に素直で優しい弟デシタ」

 

 六魔将軍(オラシオンセイス)は元々、ブレイン以外は楽園の塔にいたことがある。ジェラールとつながっていたブレインは、それを利用して彼らを引き入れたということだ。魔力が高く、自分と生体リンクを繋げることができる者を探していたんだろう。

 

 先ほど話にあったウォーリーというのは、エルザさんが楽園の塔にいた頃の仲間だ。以前に確か争ったことがあったはず。でもジェラールに騙されていたことが分かってからは、和解できていたはずだ。

 

 リチャードは楽園の塔に連れてこられる前の話をしてくれた。元は枯れ果てた土地で野菜を育てようと頑張っていた2人だった。枯れ果てた土地でも諦めずに育て続け、ジャガイモが1つだけ実った。最初はウォーリーがかじりつこうとしていたが、お腹の調子が悪いからと言って、半分ずつにしてくれたんだと言う。ウォーリーはお腹の音をずっと鳴らしていたので、説得力はなかったらしいが。

 

「…あの時のジャガイモの味は、未だに忘れられないデス」

 

「その男なら知っている」「な、なんと!」

 

「私の友だ。今は元気に、大陸中を旅している」

 

「オ、オオ、オオッ…!!これが、光を信じる者だけに与えられた、奇跡というものデスカ…!!ありが、とう…ありがとう…!!」

 

 ちょっと、うるっと来てしまった…。リチャードがエルザさんの顔を見て、涙を流しながら崩れ落ちる。きれいな月明りに照らされていて…これが、奇跡なんだと思った。

 

 リチャードが落ち着いた後、彼は罪人護送用の馬車に連れて行かれた。なんか可哀そうだけれど、これが、彼がウォーリーと堂々と会う為に選んだことなのだ。

 

「も、もういいだろ!!術式を解いてくれ!漏らすぞ!」「やめてーっ!!」

 

「いえ…我々の本当の目的は六魔将軍(オラシオンセイス)ごときではありません」

 

『!?』

 

 おい…僕達がこんなに頑張ってやっつけた六魔将軍(オラシオンセイス)をごときって…じゃあお前ら、残りのバラム同盟どっちも捕えろよ?六魔ごときっていうぐらいの強さを持ってるんだったらやれよ?と、他の皆は本当の目的とやらについて考えている瞬間に僕はそう思いました。

 

「評議員への潜入・破壊…エーテリオンの投下。もっととんでもない大悪党がそこにいるでしょう。…貴様だ、ジェラール。来い!抵抗する場合は、抹殺の許可も出ている」

 

「そんな!」「ちょっと待てよ!!」

 

「その男は危険だ。…二度とこの世界に放ってはいけない。絶対に」

 

 それを聞くとジェラールは…ただ無言で、ラハールの元へと歩いて行った。

 

 

 




リチャードが意外と好きだったりします。すごくいい兄ちゃんだと思う。

最近少し書くスピードが落ちてきている気がする…。もうすぐ書きだめが全て消費されてしまうのではないかという不安が…実際はそんなことないはずですが。
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