FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

15 / 96
今回、アニメ数話分をまとめたので1万字位あります。


第15話  ドラゴノイド

「ルーシィ、一緒に来てくれ。他の者はギルドを守ってくれ!」

 

「エルザさん、僕も…」

 

「いや、お前の魔法は一番守りに向いている。ウェンディたちのことが心配だろうが、我々に任せてくれ」

 

「…分かりました。どうか、お気をつけて」

 

 ギルドでナツさんたちを待っていると、エルザさんが町で襲われたという話を本人から聞いた。マスターの判断で警戒するだけでいいということになったのだが、ナツさんたちが夕方になっても帰らず、グレイさんまでいなくなったことに何かあったと判断したエルザさんは、ルーシィさんを連れて西の荒れ地にある宿、ライズへと向かった。

 

「儂はそのダフネという人物について調べる。皆は引き続き襲撃者に注意せよ!」

 

「我々はギルドの周囲に術式を張るぞ、レビィ、ゴーシュ」

 

「うん!」「はい」

 

 マスターはそのままギルドを出て行った。フリードさんとレビィさんのレクチャーのおかげで術式の修正くらいはできるようになった僕は、二人のサポートに入ることにした。

 

 

 

 ギルドの周囲に術式を張り終わった頃、辺りは暗くなり始めていた。

 

「これくらいでいいだろう」

 

「うん、修正も大体終わったし」

 

「皆、マスターから伝言!ダフネって奴のことが分かったよ!」

 

 カナさんが教えに来てくれた。どうやらダフネという人物は音無しの町の出身で、住人たちを何らかの方法で行方不明にした張本人。そして、人工ドラゴンを作るマッドサイエンティストらしい。グレイさんはそのダフネと接触していたことが分かった。

 

 グレイさんがギルドを裏切ったとは思えないけど…マスターの命令で、エルフマンさんとマカオさんとワカバさんがグレイさんを連れ戻しに行ったそうだ。

 

「おーい、皆~!!」

 

「ルーシィさん、ウェンディ!無事だったんだ、良かった…ナツさんは?」

 

「その話は後!町の皆を避難させないと!」

 

「人工ドラゴンが、こっちに向かって来ているんです!」

 

 ナツさんは、ダフネの人工ドラゴン…ドラゴノイドに取り込まれてしまい、動力源にされているらしい。グレイさんはナツさんを罠にかけたんだとか。…それで、グレイさんはエルフマンさんたちがもうすぐ連れてくるらしい。

 

「ギルドへ町の住人を避難させよう。術式も書いた、他の場所よりは安全だ」

 

「ルーちゃんとウェンディは、そのまま誘導して!」

 

「分かった!」「はい!」

 

 ルーシィさんとウェンディはハッピーとシャルルに抱えられながら町の方へと向かった。僕らは一度、ギルドに戻ることにした。早くこのことを皆に知らせないと!

 

 

 

 それから約1時間後。マグノリアの町の住人たちの避難がほとんど終わった頃、西の方角に巨大な影が現れた。あれが例のドラゴノイドだろう。あの中に、ナツさんが…エルザさんも、あそこで戦っているに違いない。

 

「エルフマン!」

 

 レビィさんの声がする方を見ると、エルフマンさんがボロボロのマカオさんとワカバさん、そして気絶したグレイさんを背負ってやって来た。

 

「レビィさん、ミラさんを!ウェンディ、僕らは治療を!」

 

「分かった!」「うん!」

 

 僕の聖結界(ホーリー)でワカバさんを、ウェンディがマカオさんを治療し始める。グレイさんはただ気絶しているだけのようだから、とりあえず寝かせておく。

 

「エルフマン!何があったの?」

 

「ねぇちゃん…後は頼む。ナツを、助けてやってくれ…あいつは…」

 

「…分かったわ。後は任せて」

 

「頼む…ぐっ!!」

 

「エルフマン!!」

 

「私が、天空魔法で治します!」

 

 ウェンディはもうマカオさんの治療が終わったのか…!すぐさまエルフマンさんの治療に取り掛かるが、そんなペースではすぐに魔力を枯渇させてしまう。僕も早くワカバさんの治療を終わらせなくては!この中で一番軽傷なんだから、早く…!

 

「…っ」

 

「!おい、起きてんのかグレイ!!一体何がどうなってんの!!答えないと…!」

 

「やめてください!グレイ様が妖精の尻尾(フェアリーテイル)を裏切るはずがありません!!ジュビアは信じてます…たとえ誰が何と言おうと、世界中を敵に回しても、ジュビアは…!」

 

「ジュビア…もういい。じいさんの所に連れて行くんだろ?グズグズしている暇はねぇはずだ」

 

 カナさんがグレイさんに問いただそうとするが、ジュビアさんが必死にそれを止める。グレイさんはジュビアさんを止め、アルザックさんとビスカさんに連れられてマスターの元へと向かった。

 

「…ワカバさんはもう大丈夫。ウェンディの方は…」

 

「エルフマン!」

 

「もう大丈夫です!あっ…」

 

「ウェンディ!」

 

 やっぱり無理をしたようで、エルフマンさんの治療が終わるとウェンディは倒れ込みそうになり、ルーシィさんに支えられる。

 

「大丈夫です…まだ、魔法も使えます」

 

「止めなさい!これ以上天空魔法を使うとあんたの命も危なくなるわ!!」

 

「…私のことはいいの!」

 

「良くないわよ!!」

 

「私は役に立ちたい!!そしてちゃんと妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲間になりたい!!」

 

「ウェンディ、君が倒れたら意味ないよ…ほら、これ食べて。二人とも興奮しすぎだよ」

 

「ゴーシュ…うん。シャルル、怒鳴ってごめんね」

 

「全く、頑固なんだから…」

 

「皆お願い!!力を合わせて、ナツを助けて!!」

 

 ルーシィさんの一言で、皆が一丸となる。これまで、ナツさんはギルドのメンバーに勇気を与えてきた。今度は自分たちが助ける番だと、皆気合いが入っている。

 

「待つんじゃ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)はマグノリアの町と共に生きるギルドじゃ…このまま町の崩壊を止めないわけにはいかん!!」

 

「マスター…あれを攻撃するんですか!?」

 

「あの中にはナツがいるんだよ!?」

 

「全妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士にマスターとして命令する!!手段は問わない、ドラゴノイドを食い止めろ!!なに、あいつなら大丈夫じゃ!!頑丈な体しとるからの!」

 

 どんな手を使ってでもドラゴノイドを止める。マスターの命令通り、できるだけ町を壊させずにドラゴノイドを止めてナツさんを助けるんだ。マスターと負傷したエルフマンさんたち、そしてグレイさん以外の皆はドラゴノイドの元へと向かった。

 

 

 

 ドラゴノイドの元へとたどり着くと同時に、それぞれが攻撃を仕掛けていく。僕は辺りが壊れることがないように弾性結界(バウンド)で周囲の建物を1つずつ守っていく。これ以上、破壊されることがないように。多分防御結界(ディフェンド)だとすぐに罅が入るだろうから、クッションの様に衝撃を吸収できた方が良いはず…って言っても、弾性結界(バウンド)を足場以外の用途でこんな大きくしたの初めてだから上手くいくか分からないけど。

 

「ドラゴノイドの破壊が最優先…それがマスターの決定だと言うのか。ナツのことは?」

 

「頑丈だから大丈夫だって…」

 

「そうか…ナツ!マスターの命令に従い、我々は全力でドラゴノイドを止める!その前に、お前の意志を確かめたい!声を聞かせろ!!」

 

『へへ…ああ、聞かせてやんよ…いいか、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!こいつを…俺ごと、ぶっ壊せ!!』

 

 ナツさんがそう叫ぶ。それはつまり、ナツさんを気にせずに全力で破壊しろってことだろう。

 

「そんなことしたら、ナツはどうなっちゃうんだよ!」

 

『四の五の言ってんじゃねぇ!!俺のせいでマグノリアがボロボロになっちまったら、寝覚めが悪いだろうが…!』

 

 とは言っても、すでに何人か攻撃をしているけれどほとんど効果がない。ただ歩いて進んでいるだけだというのに。僕の結界は予想通り衝撃の吸収は出来ているけど…思ったより攻撃の威力が大きすぎる。食い止めるだけでも精一杯だ。…このままじゃ、全部壊される。

 

 

「ナツさん、我慢してくださいね…!防御結界(ディフェンド)(トーテム)!」

 

『うおっ!?』

 

 このまま町を守っていてもすぐにまた結界が破られてしまう。こうして体の間に(トーテム)を通しておけば力が上手く入れられず動きを制限することができるはず。これで建物を守っている弾性結界(バウンド)への負担も少ないだろう。

 

「とりあえず、動きはこれで制限できるはずです」

 

「よくやった、ゴーシュ」

 

『はっ!こんなのただの時間稼ぎにすぎねぇよ!!このパワー…あの時と同じ、ドラゴンのパワーがあればなぁぁ!!』

 

 ダフネは語り出す。自分は本当にドラゴンを見たことがあると。だが、ドラゴンは気まぐれでいつ会えるか分からない…だったら自分で造ってしまおうと考えた。ナツさんもダフネに向け、ウェンディやガジルさんもドラゴンに会いたいんだと叫ぶけど、ダフネは聞く耳を持たなかった。こいつは、ハッピーの言う通りマッドサイエンティストって奴だ…手始めに町を破壊するとか言ってるし。ってか、ナツさんの声が複数聞こえるんだけど…?

 

「グレイ!」

 

「ったく、俺も読みが甘かったぜ…手短に真相を話す!信じるも信じないも、お前らの自由だ!」

 

 グレイさんは今回の件について話してくれた。ダフネの出身地である音無しの町。ナツさんはイグニールを探して、グレイさんはナツさんがイグニールの捜索で夢中になって問題を起こすことがないように気づかれないよう後をつけて行った時に、その町を訪れた。そこでナツさんは、ドラゴンを操る者を倒してくれという住人の声を聞いて約束を結んでいた。

 

 グレイさんは数日前にダフネの噂を聞いてその事を思い出し、ナツさんがドラゴノイドを破壊するように仕向けた。なんでも、ドラゴノイドは内部から滅竜魔法でしか破壊することができないとか。だけどグレイさんも、ナツさんが破壊できないでいることは想定外だったらしい。

 

「わ、忘れてたぁ?そんな大事な約束を?」

 

「全く…相変わらずにも程がある!」

 

「良かったぁ…!!ジュビア、グレイ様を信じてました…!!」

 

 ジュビアさんが天に召されそうに見えるほど喜んでいる。まあ、ナツさんがした約束も数年前のことみたいだから、忘れるのも仕方ない気もするけど…そこは気にしないでおこうかな。

 

「こうするより他に方法が無かった…だが、今はあのデカブツを止めるのが先だ!」

 

「何とかするったって…」

 

「あ、誰か倒れてますよ!」

 

「あれはケーキ屋の…」

 

「逃げ遅れたんだ!」「カバーしろ」「助けに行くぞ!」

 

 パティシエみたいなおじさんが道端に倒れている。それをジェットさんとドロイさんが助けに行こうとするが、それよりも前にドラゴノイドが動きを見せた。

 

『ハイハイハイハイ!!リザードマンver.3.1放出!!』

 

「チキショー、キリがねぇぞこりゃあ!」

 

 ドラゴノイドの周囲から魔法陣がいくつも展開され、ヒト型のトカゲ――――リザードマンが現れる。ギルドの皆が応戦してくれている間に僕とエルザさん、ウェンディとシャルルがケーキ屋のおじさんの所へ駆け寄る。

 

「こんな時に何をしていたのだ!」

 

「店、踏み潰されちまって…何とか、これだけは…」

 

「これを、わざわざ…」

 

「新人さんたちを、迎えてやるんだろ?あんなデカブツに、負けんなよ…」

 

 おじさんはケーキを1つエルザさんに差しだす。どうやら、エルザさんが注文していたものらしい。残ってそれを作り続けていたのか…

 

「私、治療します」

 

「ちょっとウェンディ!!あんたもう魔力が…!」

 

「大丈夫、ゴーシュから譲渡結界(ランブル)もらったし」

 

「僕も一緒に」

 

「頼むぞ…ウェンディ、ゴーシュ」

 

 僕の聖結界(ホーリー)は回復が遅いけど、その分魔力の消耗は少ない。僕も治療に加われば、少しだけどウェンディの負担を抑えられる。

 

「その…私、梅干しが苦手で」

 

「梅干し?」

 

「はい、弱点なんです。どんなものにも必ずあるはずです、弱点って。私、まだ妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったばっかりで、何もかも始まったばっかりで…もっと、もっとナツさんと笑ったり、皆と笑ったり泣いたり怒ったりしたいんです。…もう一回、ナツさんとハイタッチしたいんです!」

 

「…ウェンディ、ストップ」

 

「え?……あ」

 

「ウェンディ!」

 

 ウェンディが倒れそうになるのをエルザさんが支える。治療は何とか終わったから、もうケーキ屋のおじさんは大丈夫。ウェンディはしばらく魔法は使えないだろうな。

 

「ウェンディ、譲渡結界(ランブル)をもう何個か渡すからゆっくり食べて回復を。シャルルはウェンディと一緒にいて」

 

「分かったわ」

 

「ゴーシュ……ナツさんを、助けて…」

 

「うん。僕だって、皆と、ナツさんと一緒にいたい。僕ももう一度、ナツさんとハイタッチするんだ!」

 

 とはいえ、現状は厳しい。何とかまだ結界は壊されていないみたいだけど、弾性結界(バウンド)も所々に罅が入っている。それにリザードマンの集団も現れたから、それを殲滅しなくてはいけない。

 

「エルザ、じいさんは俺に秘策を…」

 

「だと思っていた。皆まで言うな。お前たちは全力をあげてリザードマンを排除しろ!私はドラゴノイドを倒す!」

 

「でも、エルザ!」「ナツはどうするのさ!?」

 

「それがマスターの、つまりは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の意志だ。いいか!この町は何としても守る!ギルドの、私達の魂と誇りをかけて!!」

 

 天輪の鎧に換装したエルザさんはそう言い放つ。ハッピーはまだ、相棒のナツさんを攻撃することに躊躇いがあるみたいだけど…それでも、皆は覚悟を決める。

 

「…ジュビア、俺について来い」

 

「え?」

 

「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!」

 

 エルザさんがドラゴノイドに攻撃を始める。グレイさんとジュビアさんはどこかへ走って行ってしまった。多分ダフネが出したリザードマンの軍勢を一網打尽にするつもりだろう。だったら、僕もできることを!

 

 まず罅が入り始めている弾性結界(バウンド)を一度解除しもう一度展開していく。これでもう少しの間だけ周囲への被害は最小限にできる。この間にエルザさんがドラゴノイドの弱点を見つけてくれればいい。後は…エルザさんはリザードマンを倒せって言ったけど、ウェンディとの約束があるから…僕もドラゴノイドを!

 

防御結界(ディフェンド)立方(スクエア)!!」

 

「今のは…ゴーシュか!」

 

 エルザさんに向かって振るわれた尻尾による攻撃を、四角く展開した防御結界(ディフェンド)で弾く。エルザさんはやっぱり弱点を探っているようで、全体的に攻撃をしていた。

 

「僕も、一緒に戦わせて下さい!ウェンディと、約束したから…!!」

 

「分かった。サポートは任せるぞ!」

 

「はい!」

 

『後3%…もうすぐね。邪魔なネズミ共!!このドラゴノイドの力を、見せてやるわ!!』

 

 ダフネの声が聞こえた直後に、ドラゴノイドの動きを制限していた全ての防御結界(ディフェンド)(トーテム)に罅が入る。まさか、さっきまでちゃんと抑えることができていたのに…!?

 

「ゴーシュ、離れろ!」

 

「くっ…!」

 

『言ったろ、こんなの時間稼ぎにしかならねぇってよぉ!!』

 

 僕らが離れた瞬間に結界は粉々に破壊されてしまった。防御結界(ディフェンド)は僕が今持っている結界では一番強固な結界。それが破壊されたことなんて、今まで一度もなかった。でも、さっきまでは問題なかったはずなのに急に力が強くなったのはなんでだ…?

 

『全部ぶっ壊してやる!!じゃなくって、俺ごとぶっ壊してくれ!!』

 

「…ナツさん?」

 

 どうもさっきから、ドラゴノイドから聞こえるナツさんの声がなんか変だ…言っていることがちぐはぐだし。ドラゴノイドもその言葉に合わせて動いているような気がする。

 

「おい、ナツの魂がその人工ドラゴンと一体化しかかってんぞ!!」

 

 ビッグスローさんが仮面を外してそう叫ぶ。ビッグスローさんはセイズ魔法という、人形に魂を宿す魔法の使い手。彼の目を見た者は人形に変えられて自由自在に操られてしまうらしい。

 

「一体化…エルザさん、早くしないと!」

 

「ああ。それに、グレイたちの方もそろそろだろう」

 

「グレイさん?……っ!冷たっ!」

 

『冷てぇー!!』

 

 背中になんか冷たいものが…!今のは、雪…?空を見上げると真上にオーロラというか、氷のカーテンのようなものがあった。これは、グレイさんとジュビアさんの合体魔法(ユニゾンレイド)だ…!氷の刃と化した雨が広範囲に降り注ぎ、リザードマンが次々と消えていく。しかも、ドラゴノイドにも少しだけどダメージがあったみたいだ。

 

合体魔法《ユニゾンレイド》は、別々の魔法を一つにして威力を高めることができる。でもそれは本当に息が合った者同士でないと発動すること自体困難で、中には一生習得することができない人もいる。

 

「ゴーシュ!!」

 

「っ、はいっ!!」

 

 エルザさんの声に反応して咄嗟に防御結界(ディフェンド)立方(スクエア)をスイングするイメージで動かし、エルザさんがそれを足場にして勢いよくドラゴノイドへと接近していく。

 

「換装!黒羽の鎧!!黒羽・月閃!!」

 

「僕も…!防御結界(ディフェンド)(トーテム)!!」

 

『いってぇ…何しやがる!じゃなくて、そのまま壊せ~!!』

 

『こんの、勝手に動くな…!』

 

 エルザさんの一撃と僕の結界が胸のコア付近に直撃する。するとドラゴノイドがその場でジタバタし始める…ナツさんの動きと被って見えてきた。これも一体化とやらが進んでいる証拠か。でもエルザさんの攻撃でもダメージがないわけじゃないし、ダフネの声を聞く限りだと制御もできなくなっているんじゃ…?

 

「聞こえるか、ナツ!!」

 

『グレイ!?』

 

「手も足も出ねぇのか、情けねぇ…!この口先だけのツリ目野郎が!!デカい図体にとけ込んでいつまで一人漫才やってやがる!!」

 

『んだとコラァ!!』

 

「どうしたんだよ、ひどいよグレイ!…あ!」「?」

 

 グレイさんが挑発するようにナツさんを怒鳴り散らす。ハッピーが静止するような言葉を言うけど、ハッと何かに気付いたような様子を見せた。

 

「てめぇが交わした約束を忘れやがって!!それでも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か!!そんなドラゴンもどき、とっととぶち壊せ!!」

 

「あ!」

 

『ハイハイ、それが狙いだったのね、グレイ・フルバスター。でももう手遅れ、火竜(サラマンダー)は魔力と一緒にその意識もほとんど吸収されてるんだから』

 

『壊せりゃあとっくにやってんだよ!あんな垂目野郎ぶっ潰してやんよ!』

 

 グレイさんが更なる暴言を言い放つ。それでルーシィさんもハッピーと同じ反応を見せているけど…ナツさんがさっきよりもさらに怒り始めた?

 

「オイラ、ナツを見損なったよ!どんなピンチだって切り抜けてきたじゃないか!!俺ごと壊せなんて、聞きたくないよ!!」

 

「そうよ!皆が、妖精の尻尾(フェアリーテイル)皆があんたを必要としてる!!だから必死に頑張ってるのに!!仲間の想いに答えないナツなんて、ナツじゃないよ!!」

 

『ハッピー、ルーシィ……てめぇら…!!!』

 

「皆の言う通りだ!!手もなく捕らえられたまま、お前は簡単に諦めた!!」

 

『俺がいつ諦めた!!いや、諦めろ!じゃねぇっつーの!!』

 

「俺ごと壊せと言ったな?その言葉が諦めだと言っている!!そしてそれは、弱音以外の何物でもない!!ならば望み通り、その巨体ごと葬り去ってくれる!!」

 

 ルーシィさんとハッピー、エルザさんが立て続けにナツさんを罵っていく。ナツさんの怒りがどんどん大きくなって、ドラゴノイドの動きが活発になっていく…。足元がもう滅茶苦茶だ。僕の弾性結界(バウンド)のクッションなんてすぐ破壊されてしまった。…ルーシィさんたちの言葉辺りで。

 

『やってみろやコラーー!!!!……うおっ!?』

 

「ちょっ…!!?」

 

 ドラゴノイドのコアから炎が出始め、口から特大の火竜の咆哮が放たれた…パワーがおかしいよね?明後日の方向だったから良かったけど、もし町に向かって放たれていたら僕の結界なんて役に立たないレベルの攻撃なんだけど…?

 

『ハイハイ、リザードマンは全滅したけど、このパワーさえあれば…!』

 

『すげぇ…!』

 

「…自らの命を小さく見る者は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)には必要ない!」

 

『んだとコラァ!』

 

 マジか…エルザさん、あれを見た後にあんなこと言えるのか…もしかして、今のレベルの攻撃も金剛の鎧なら防げるのかな…確か魔導収束砲(ジュピター)も防げるんだし、あり得ない話じゃないか。僕ももっと強くならないと…

 

「そんな中途半端な者に、気高き竜は会いたいとは思わんぞ!会って懐に飛び込んだところで殴り返されるのがオチだ!!」

 

『ふざけんな…!!!このパワーがあればエルザに勝てんじゃねぇか!?…はっ!!!?面白れぇエルザ!!今日こそお前に勝ぁーつ!!!』

 

 一人漫才でエルザさんと戦う気になったナツさん。しかもエルザさんも攻撃力・防御力が共に高性能の煉獄の鎧に換装している…どうするんだろうか、コレ?

 

『だから、ちょっと!勝手に動くな!?』

 

『オラァ、ビビったかエルザ!!』

 

「貴様という奴は!!ゴーシュ!!」

 

「は、はいっ!!」

 

「はぁぁっ!!!」

 

『うおぉ~っ!?やっぱこえぇ~!!』

 

 ドラゴノイドがまた足をジタバタしているけど、そんなことを気にも留めずさっきと同じ要領でエルザさんがコア部分に剣を振るう。今までエルザさんに喧嘩を売ってボコられてきたナツさんからすれば、トラウマモノなんだろうなぁ…あ、僕も段々現実逃避してる気がする。せめて僕は町を守ることに徹しようかな。原作ってこんな感じだったっけ?

 

「どうした、そんなもんか!!!」

 

『うおぉぉっ!!ふざけんなコラァァァ!!!!どいつもこいつも、好き勝手言ってんじゃねぇぞーーっ!!!!』

 

 最後のグレイさんの声が効いたのか、今まで溜めこんできた怒りが噴き出すかの如くドラゴノイドの体のあちこちから火柱が立ち上る。ナツさんの怒りで生み出された炎に耐え切れなかったようだ…。これにも対応されていたら、どうするつもりだったかとかは聞かないでおこう…。

 

「ったくイカれてるぜ。せっかく忠告してやったのによ…暑苦しい奴がさらに暑苦しい姿になりやがって」

 

「「ガジル!」」

 

「手間かけてんじゃねぇ!!滅竜奥義!業魔・鉄螺旋!!」

 

 どこからか現れたガジルさんがドラゴノイドに向かって大きく飛び上がり、両足を巨大なドリルにしてコアへと突っ込んでいく。ナツさんの発する内部からの炎で脆くなっていたのか、すぐにコアが粉砕された。僕達があれだけ頑張った意味は…?

 

「ガジル…?」

 

「ギヒッ、俺もまだまだだな。ドサクサに紛れててめぇをぶっ潰してやろうと思ったのによ」

 

「……ってめぇ!」

 

「ルーシィ!!あの馬野郎を呼べ!!ありったけの炎をここにぶち込め!!」

 

 あ、これ離れといた方がいいね。後はもう、流れに任せよう。マッドサイエンティストだし同情なんてしないつもりだったけど…ドンマイ、ダフネ。きっといいことあるさ。お前が考え方を改めたらだけど。

 

 今更だけど、原作変えるのって難しいね…これ、後々の悲しい出来事を減らそうとしてる僕には大問題だなぁ……。

 

 

 

 崩壊したドラゴノイドの残骸の中から今回の事件の犯人であるダフネを捕らえ、評議員に引き渡す。その時に、意識を取り戻してからほとんど喋っていなかったダフネが僕を見ながら呟いた。

 

「お前………あの時の…?」

 

「…?僕?」

 

「ゴーシュを知ってるの!?」

 

「…あの人形が、こんな感情豊かになるなんてね。魔法が解けたのかしら?まあ、もう関係ないけどね…」

 

 ダフネはそれだけを言い残して評議員に連れられて行った。…僕のことを、知っている?この世界ではイレギュラーと言ってもいい存在。本当は存在しないはずの僕を…?それに、人形って…どういうことだ?

 

「ゴーシュ…行かせちゃって良かったの?もしかしたらゴーシュの両親が見つかるかもしれないよ?」

 

「ゴーシュの両親?ウェンディ、どういうこと?」

 

 ウェンディが皆に、僕にX777年より前の記憶がないことを説明している間に、僕はただ考えていた。そういえばだけど、この世界での僕の両親はどこにいるかとかは考えたことがなかったな…。今更だけど、僕はなんで5歳の姿で転生したんだろう?でも、ダフネに聞いても多分教えてくれなさそうだからなぁ…。

 

「うーん…確かに気になるけど、僕は親の顔なんて覚えてないし…それに、今はギルドの皆が家族だから、いいよ」

 

「でも…」

 

「本人がいいって言ってんだから、ほっとけよ」

 

「そうです。それより、早くギルドに戻りましょう!エルザさんが買ってくれたケーキを食べたい人がいるみたいですから」

 

「わ、私はそんな…!」

 

「そうだな、早く頂くとしよう!!」

 

「エルザ!?それ、2人の為に買ったケーキでしょ!?」

 

 エルザさんが用意してくれたケーキで、また僕達の歓迎会がギルドで行われる。多分また大騒ぎになるのは、間違いない。ダフネの言葉が気になるけれど、考えたって仕方ないし今は目の前の皆が一番大事だから…気にしないようにしよう。それに、原作を改善させるって目標もあるし。とにかく、修行あるのみ!これからも、壮大すぎる物語が続くんだから!

 

 

 

 




ちょっとグダグダ感が…。でもこれを分解するとエドラス編がかなり後になっちゃいそうなのでこういう形にしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。