FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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先日。フェアリーテイルの小説や短編漫画、あと真島ヒロ先生のフェアリーテイル落書きブックとかを衝動的に買ってしまいました。小説が1作目だけなので、後2冊も買いたいなと探すも見つからず。さすがに田舎には無かったです…


第16話  虹の桜

 桜の季節が、マグノリアにもやってきた。つまり、マグノリアの虹の桜が開花する時期。前世にそんな桜は存在しないし、ギルドの全員で花見なんてしたことがないから、僕は心なしか浮かれ気分になっているのを自覚する。そして、花見の前日。

 

「開け、時計座の扉!ホロロギウム!」

 

「うう~、私またここに薄着で来ちゃった…寒すぎる~!と、申しております」

 

「さ、寒いですね…」

 

「何よこれくらいで。だらしないわよ」

 

「なんでシャルルは平気なんだ?毛皮のおかげ?」

 

「毛皮って…寒さなんて心構え一つでどうとでもなるものよ」

 

「ウェンディもおいでよ、風邪ひいちゃうよ!と、申しております」

 

「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームと元化け猫の宿(ケットシェルター)組の僕達は、明日の花見のビンゴ大会の景品を入手するためにハコベ山へとやって来た。このハコベ山は一年中雪が降り続く山で、春だからということで薄着で来たルーシィさんとウェンディはとても寒そうだ。僕は行き先が分かった時点で寒いのは分かっていたから少し厚着してきたけどね。

 

「空模様も落ち着いてきたな」

 

「腹減ったなー、どっかに火でもねぇかなー」

 

「暖かーい!うう、早く帰りたい…と、申しております」

 

「…二人以上入ると、誰が何言っているのか分からなくてややこしいね」

 

「くそ、こんだけ積もってると歩きづれぇな…」

 

「それ以前に服を着ろ」「うおっ!」

 

 見てるだけで寒そうな人が他にいた…。いや、グレイさんは氷の魔導士だから寒くはないのか。でも、パンツ一丁で雪山を歩かれるとこっちが寒くなってくる。

 

「ねぇナツ。そんな便利な薬草って本当にあるのかな?」

 

「さぁな。依頼書に書いてあったんだからきっとあんだろ」

 

 そう、今回はその依頼品を多く採って来てビンゴの景品にするつもりだ。なんでも、お茶に煎じたりケーキに練り込んで食べれば魔導士の魔力が一時的にパワーアップするという薬草らしい。どうも胡散臭い話だけれど、本当にあったら魔導士にとっては嬉しいことだ。

 

「だってほら、旨い魚には毒があるって言うでしょ?」

 

「それを言うなら旨い話には裏がある、だ」「エルザに突っ込まれた!?」

 

 今更かもしれないんだけど、こういう日本の諺とかってなんでこの世界に存在するんだろう?元々漫画の世界だからと言ってしまえばそれまでなんだろうけど…。この世界の東方の国の人が、このフィオーレ王国に広げていったんだろうか?だとしたらご苦労なことだな。

 

「効果はともあれ、依頼はこの山にある薬草の採取だ。ついでに多めに採るようにな。皆喜ぶぞ」

 

「おーい、薬草!いたら返事しろー!」「するかよ、バーカ」「んだとコラーっ!」

 

「思ったこと何でも口に出せば良いってもんじゃねぇだろ、しかもてめぇのは意味分かんねぇし」

 

「やんのかこのカチコチパンツ王子!」「うぜぇんだよこのダダ漏れチョロ火野郎!」

 

「まあまあ二人とも…」

 

「止めんか!!」「「あい!」」

 

 おう…。やっぱり喧嘩の仲裁はエルザさんに任せるべきか。平和的に解決することはできそうにない。それにしても、その薬草の効果が本当だったら、もしかすると譲渡結界(ランブル)の改良には持ってこいかも知れない。六魔との戦いで、あれには多少問題があることが分かった。魔力回復の量を多くするか、もしくは新しい結界を作る必要があると思う。とはいえ、大分先の話だと思うけど。

 

 ルーシィさんとウェンディが明日の花見について盛り上がっている中、残りのメンバーは探索を続ける。途中バルカンに出会って、僕が必要以上に攻撃してしまってグレイさんやエルザさんが止めてくれたりとか、そのバルカンたちをナツさんがさらに攻撃して薬草について聞き出そうとしたりとか色々あったけど未だ薬草は見つからず。というかルーシィさん、一度も花見したことがないのにメッチャ語ってる…。ホロロギウムが代弁するのを止めるくらい。

 

「時間です。ではごきげんよう」

 

「「!寒い~っ!!」」

 

「おいおい…」「お前たちもちゃんと探さないか!」

 

「そうだよ、二人とも。早く終わらせたいならちゃんと仕事しなきゃ」

 

「だって~!」

 

「お!匂うぞ…これ絶対薬草の匂いだ!」

 

「相変わらずすごい鼻だね」

 

「っていうか、あんたその薬草の匂い嗅いだことあるわけ?」

 

「いや、嗅いだことねぇけど間違いねぇ。行くぞハッピー!」

 

「あいさー!」

 

 ナツさんが勢いよく走って行ってしまった…。相変わらず猪突猛進というかなんというか。そしてこのナツさんだけ走って行っちゃうの、なんかデジャヴ。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「ったく、せっかち野郎め」

 

「とにかくついて行くことにしよう。あいつの鼻は侮れないからな」

 

「ウェンディは分からないの?」

 

「そういえばさっきから不思議な香りがするけど…。これがそうかな?」

 

「何かしら。すごく嫌な予感がするんだけど」

 

「シャルルの勘は良く当たるもんね」

 

 すでに無自覚で未来予知をしているせいなのか、シャルルは予感とかデジャヴとか、何度もあるらしい。連合軍に参加する時もすごく嫌な予感がするって言ってたし。

 

「あった~!」「あい~!」

 

「はやっ…」

 

「速ぇことは良いことだ」

 

「さすがだな」

 

「ナツさんすごい!」

 

「まるで野生動物…」

 

「同感。というより獣ね」

 

 まあそのおかげで早く依頼が達成できるならいいことだけど。というか、シャルルの嫌な予感はなんだったんだろう。珍しく外れたか?と思ったら、山の頂上に上ったナツさんとハッピーが白いワイバーンに襲われているのが見えた。ごめん、シャルルの言うことは正しかったよ…。急いで頂上へと向かうと、白いワイバーンが依頼の薬草を守るように立ち塞がっていた。

 

「まさか、こいつって草食?」

 

「あの薬草が好物なのね…」

 

「何っ!?」「独り占めする気だ!」

 

「確かこういうのを一石二鳥とか棚ぼたって言うんだよな…白いワイバーンの鱗は高く売れるって知ってっか?」

 

「よーし、薬草ついでにこいつの鱗全部剥ぎ取ってやんぞ!」

 

「ここは私達に任せて、ルーシィ達は下がっていろ。私達があいつの注意を引き付ける。その隙を窺ってルーシィ達はあの薬草を採取するんだ」

 

「はい!」「仕方ないわね」「なんで偉そうなのさ…」

 

「ええ!?なんか一番危険なポジションではないかと…」

 

「た・の・ん・だ」「ええ、やります喜んで!」

 

 エルザさんが雷帝の鎧に換装しそう告げる。ルーシィさん、口答えは無意味です。

 

「僕も戦闘に参加します!」

 

「よし、行くぞ!ナツ、グレイ、ゴーシュ!」

 

「「おうよ!」」「はい!」

 

 多分ルーシィさんの言うように薬草を採取するのが一番危険だとは思うんだけど、ボコったら終わりだと思うから先にこいつを倒すことにする。それに、こいつの鱗をより多く剥ぎ取っておきたい。早くマスターや皆に家の件でお礼したいから。

 

 戦闘が始まり白ワイバーンの攻撃を躱しつつ、こっちに注意を逸らすように攻撃しながら、ルーシィさんたちが少しずつ薬草に近づいていくのを確認する。白ワイバーンが空に飛んでいき、ナツさんが追撃する体勢に入る。

 

「火竜の煌炎!」

 

「え?」

 

「ナツさんの炎が!」「風圧で跳ね返された!?」

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)!」

 

「ゴーシュ、ありがとう!」

 

「いいから、早く採取を!」

 

 ま、まさかナツさんの攻撃を撥ね返すとは…!このワイバーン、中々強いかもしれない。僕はできるだけサポートに徹するようにしておこう。離れていた方がウェンディたちを守りやすいし。

 

氷造形(アイスメイク)(ソーサー)!」

 

「また!?防御結界(ディフェンド)立方(スクエア)!」

 

「これならどうだ!」

 

「おい…!」「待てコラ…!」

 

「ちょっ…!防御結界(ディフェンド)円蓋(ドーム)!」

 

「馬鹿者!ゴーシュに頼るな!ちゃんと避けないか!」

 

「つーかあれだな…」「先に謝れっての!」

 

 グレイさんの攻撃も弾かれたのでそれを横から攻撃してルーシィさんに当たらないようにして、エルザさんの上空からの雷攻撃も白ワイバーンは飛んで回避。今度はナツさんとグレイさんに当たりそうだったのでそれも防いだりと中々忙しい…。もしこれから最強チームと一緒に仕事をするとなると、周囲への被害やフレンドリーファイアを防ぐことの方が多そうだ…。

 

「ぐっ!」

 

「意外と強敵だ~!」

 

「皆!よーし、あたしだって負けてられない!」

 

 エルザさんが雷で白ワイバーンの攻撃を防ぐと、また上空へと逃げていく。あいつ、このままヒットアンドアウェイで仕留めるつもりか!

 

防御結界(ディフェンド)(トーテム)!…グレイさん!」

 

「任せろ!オラァ!!ナツ、エルザ!今だ!!」

 

「おう!」「任せろ!」

 

「てやぁ!!」「火竜の鉄拳!!」

 

 グレイさんを狙って降りてきた白ワイバーンの動きを(トーテム)で封じ、グレイさんが足元を凍らせて飛べなくさせる。そこにエルザさんとナツさんの止めの一撃が入った。

 

「採ったー!!見て見てー!私だって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの一人なんだからー!…ん?雪崩~!?」

 

「ルーシィさん!防御結界(ディフェンド)(ボックス)!!」

 

 雪崩に飲み込まれそうになったルーシィさんを覆うように結界を張ったけど、間に合ったのか分からない…。僕はナツさんたちと気絶した白ワイバーンに乗って雪崩をやり過ごし、ウェンディはシャルルに抱えられて退避する。

 

「皆、無事か!?」

 

「ウップ…」

 

「そりゃあんだけ暴れればこうなるか…」

 

「あれ?ルーシィさんは!?」

 

「ルーシィさんならさっき雪崩に飲み込まれてた。結界が間に合ってればその辺に…」

 

「ルーシィ、どこー!?」

 

 その瞬間、すぐ近くにルーシィさんの薬草を持った手が現れた。

 

「さ、寒い…!」

 

 (ボックス)で多少防げてはいたけど、足元が崩れて結局飲み込まれてしまったルーシィさんの姿があった。

 

 

 

翌日。

 

「へ、ヘックシ!」

 

「大丈夫かルーシィ?」

 

「な、なんとか…」

 

 花見会場にて、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆で花見をしている。そこには、ルーシィさんの姿もあった。

 

「ルーシィさん、やっぱり休んでいた方が…」

 

「だ、大丈夫!ウェンディにも魔法かけてもらったから平気だって!」

 

 風邪をひいてしまったけどまだ微熱程度しかなかったからか、ルーシィさんは無理をしてまで参加していた。僕やウェンディも止めたんだけど、昨日すごく楽しみにしていたからそこまで強く止められなかった。原作よりもひどくはなさそうだけど…倒れたりしないように祈ろう。

 

「それではこれより、お花見恒例のビンゴ大会を始めまーす!」

 

『ビンゴー!!』

 

「今年も豪華な景品が盛り沢山じゃ!皆気合い入れてかかってこーい!!」

 

『おーっ!!』

 

 それぞれで飲み食いしてたけど、ミラさんとマスターからビンゴ大会の開始が宣言され、ほぼ全員が集まっていく。ビンゴの機械も魔法が組み込まれているから、数字が出る時に派手なエフェクトが出る。最初にビンゴになったのは…。

 

「ビンゴだーっ!!」

 

「マジか!」「ノリノリだな」

 

「初ビンゴはエルザね」

 

「運も修練の賜物だ!で、景品はなんだ!?」

 

「はーい、コレ!一時的に魔力もアップすると噂の薬草でーす!」

 

「何!?これは私達が採ってきた物…!しかもすでに枯れている…!?」

 

「急に暖かい所に持ってきたからかの」

 

 残念なことに、一等はすでに枯れてしまった薬草だった。エルザさんは運があるのかないのか分からないな。枯れていても、お茶に煎じるくらいはできるだろうか?

 

「ビンゴ!!」

 

「やりましたね、ルーシィさん!」

 

「うん!行ってくるね!…ヘックシ!」

 

「…ルーシィさん、なんかフラフラしてない?」

 

「うん…。もう休んだ方がいいかも…」

 

 ルーシィさんのビンゴの景品は、光ペン全72色セットだった。リーダスさんが持ってきた物らしい。でもルーシィさんも持っている物が何色かあったらしいので一本もらった。これ、3Dお絵描きとかできるのかな?

 

「ビンゴです!」

 

「ウェンディもか…僕も早くビンゴしないかな」

 

「私は当たらない気がするわ」

 

「シャルル、ドンマイ…。あ、当たった!」

 

「最後はゴーシュね!景品は…なんと、アカネリゾート高級ホテル二泊三日のペアチケット!」

 

「あ、ありがとうございます…こんな豪華な景品、いいんですか?」

 

「気にせんで良い!お主の運が良かっただけじゃ!」

 

 ま、まさか最後にそんな景品があるとは…!でも、どうしようかな…。これ、期限はないみたいだけど…。まあ、その内使い道があるか。

 

「ルーシィさん!?」

 

「おい、しっかりしろルーシィ!」

 

 結局、ビンゴ大会が終わると同時にルーシィさんがダウン。ナツさんとウェンディがルーシィさんの家まで運ぶことになった。その日の夜、虹の桜の木がマグノリアの川を流れるという不思議な事件が起こった。

 

 




ちょっと、いやかなり幸運だったゴーシュ。いつ使えるのかは未定ですが。
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