FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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思っていたより遅くなってしまった!

今回でエドラス編完結です!





第30話  バイバイ、エドラス

 大地から、武器から、魔水晶(ラクリマ)から、魔力が抜けて天高く昇っていく。その先には巨大アニマ。エドラス中の全魔力が別世界―――アースランドへと流れていく。幻想的だけど、すごく寂しい光景。それが今僕らの目の前にある。

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

 

「ゴーシュ!」

 

「ああ。ボロボロだけどな、火竜(サラマンダー)とガキが」

 

「俺はまだ戦えるっての!」

 

「魔力も残ってねぇクセに何言ってやがる」

 

「お二人とも、元気ですね…」

 

 うん、やっぱりこの三人はいつも通りだ。思ってた通り、僕がドロマ・アニムの防護壁発生装置を停止させたこと気づいてないみたい。まあ、何とかなったみたいだからいいか。緊急事態なんだから、ほどほどにしてもらわないと。

 

「二人とも、今は喧嘩してる場合じゃないですよ」

 

「そうですよ!早く王都に戻りましょう!町の人達が心配です!」

 

「こっちの俺ならなんか分かってるかも知れねぇ。ってなわけで、決着はまたにしてやるぜ。ギヒッ」

 

「こっちのセリフだってーの!急いで向かうぞ!」

 

 …この二人、体力無限なんだろうか?

 

 

 

 大急ぎで王都に到着すると、ナディが僕らの元へとやってきた。ミストガンとリリーの会話の内容を聞いてしまった彼は、僕らに悪役になってくれないかと頼んできた。また、魔力を体内に持つ僕達もアースランドへと強制的に帰されるという話も聞いた。

 

 手っ取り早く一般人に悪者だと認識されるには、まず気絶しているエドラス王を見せつける。縄で縛っておくだけでいいだろう。そしてこっちの仮の目論見を分かりやすくすること。世界滅亡とかそんなものを宣言すればいい。あとは…

 

「おらぁっ!!」

 

「ギヒィッ!!」

 

「あ~あ…やり過ぎ、じゃないかなぁ」

 

「二人とも、壊しすぎですよ~…」

 

 ナツさんが建物の屋根の上に捕縛したエドラス国王を引っ立てた後、二人そろって建物を派手に破壊。まあ壊すのは得意だろうけど、もう十件近く破壊している気がする…。ジェラール、リリー、早く来てくれ。あ、ウェンディと僕は参加してません。外見的に僕らは悪者には見えないから効果はほとんどないだろうし、やっておきたいこともあったから。

 

「よせ、ナツ!!」

 

「俺様は大魔王ドラグニルだ!」

 

 ナツさんがさらに破壊をしようとした時、城の方からジェラールの声が響いた。良かった、やっと来てくれた…。ナツさんの悪役がかなり幼稚に見えるけど、こんな危機的場面でパニックになっているのも手伝っているのか、民衆も悪人だと思ってくれているようだ。

 

「馬鹿な真似はよせ!王は倒れた!これ以上、王都に攻撃など…!」

 

「ファイアー!!」

 

「…危なかった」

 

「あ、ありがとゴーシュ」

 

 ナツさん、いきなり火竜の咆哮を僕ら含めた民衆の方に使うんだもんな…。ちゃんと威力は抑えられているけど、咄嗟に防御結界(ディフェンド)で防いでしまった。……良かった、皆気づいてないみたいだ。

 

「よせ!!」

 

「お前に俺様を止められるかなぁ?エドラスの王子さんよ!」

 

 ナツさんの発言で民衆がざわつき始める。これで唯一悪に立ち向かうエドラスの英雄という構図になった。それにしても、エドラスのガジルさんの誘導が巧みだと思う。こっちの意図もガジルさんとのアイコンタクトだけで分かってくれたみたいだし。

 

 それでも、まだジェラールのことを信用しきっていない。でも、これでナツさんを倒した所を見せつければきっと…!

 

「ナツ、そこを動くな!!」

 

「ナツではない。大魔王ドラグニルだ」

 

 ジェラールがナツさんの元へと飛び出す。町の中を駆け抜け、ナツさんを射程に収めると、魔法を使おうと杖を振るう。が、その瞬間に魔力がアニマに吸収された。

 

「魔力が…!」

 

「どうした!魔力がねぇと怖いか?そうだよなぁ?魔法は、力だ!!」

 

「ナツさん!やり過ぎですよ!」

 

「いいんだよ。これで強大な魔力を持つ悪に、魔力を持たない英雄が立ち向かう構図になるんだ」

 

「もう十分だと思うんですが」

 

 ジェラールがナツさんの元に到着するまで、何軒破壊しているんだろうか…。もうすぐ三十は超えるかも…

 

 少し離れた位置からナツさんとジェラールの攻防を見る。何かを話しているみたいだけど、民衆が応援したりしているから全然聞こえない。ただの殴り合いにしか見えないけど、僕は何だか涙が出そうになった。

 

 ナツさんはナディの話を聞いた時、真っ先に悪役を引き受けた。ラスボスをやってみたいとか言っていたけど、一番の目的はミストガンの壮行会をする為だろう。…最後の、倒れる時のナツさんが、すごく満足そうな笑顔をしていた。言いたいことを全部言えたんだ。

 

「…!始まった…!」

 

「さーて、派手に苦しんでやるとするか!お前らも、さっさと用事済ませてこい」

 

「…はい!行こう、ウェンディ」

 

「うん!」

 

 僕とウェンディは民衆の波を潜り抜けて、ジェラールの元を目指す。その為にナツさんとガジルさんだけに悪役をやってもらったんだ、急がないと。

 

「ジェラール!」

 

「…ゴーシュ、ウェンディ?」

 

「お別れを、言いに来たんだ」

 

「お別れ…?」

 

「僕達はもうすぐ、逆展開されたアニマによってアースランドに帰る。その前に、ジェラールに伝えておかなきゃいけないと思って」

 

「私達、ジェラールには沢山お世話になったから…。本当に、ありがとう、ジェラール…!」

 

 ウェンディが涙目になっている。……大好きだった、お兄ちゃんみたいな人ともう一生会えないんだ。僕だって、多分涙目になっていると思う。一緒に過ごした時間は短かったけど、色々なことを、ジェラールから教わった。僕にとっても、兄と言える人。それがジェラールだ。優しくて、魔法を使う時とかもカッコよくて、強くて…。この世界に来て初めて会ったのがこの人で、本当に良かったと思う。

 

「ウェンディ…。あんなに泣き虫だったのに、ドロマ・アニムを倒してしまうほど強くなった。君と再会するまで心配していたが…もう大丈夫だと、安心できた。君は君のまま、頑張れ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆と明るい未来を過ごせるよう願っているよ」

 

「うん…、うん…!私、もっと頑張るから!ジェラールに負けないくらい、強くなるから!」

 

「ああ」

 

「ジェラール…。僕は…」

 

「ゴーシュ、大丈夫だ。君は立派な魔導士になった。君の力はアニマすら防ぐことが出来た。これからも、大切な物を守れるさ…でも」

 

「でも?」

 

「ウェンディはもう、守られるだけの存在じゃない。以前に聞いた君の誓いはもう、必要ない。ウェンディや妖精の尻尾(フェアリーテイル)と共に助け合っていくんだ。……いつか、君の秘密も分かち合える時が来る」

 

「……うん!ジェラール、ありがとう!」

 

 最後の方は僕へ耳打ちして、ウェンディには聞こえないようにしてくれた。僕の秘密、か…。いつか、皆に話せるといいな。

 

「体が…!」

 

「もう会うこともないだろう。だが、君達は俺の家族だ。世界が違っても、繋がっている」

 

「元気でね、ジェラール…!」

 

「ありがとう…。さよなら!」

 

 体が地面を離れ、空へと昇っていく。僕とウェンディだけじゃない、ナツさんやガジルさん、近くにいたらしいルーシィさんやグレイさんの姿もある。…ナツさんとガジルさんは苦しんだフリをしているから、なんだか少し笑ってしまった。

 

「ゴーシュ、あそこ!」

 

「あれは…」

 

 ウェンディが指差した場所には、こっちの世界の僕がいた。民衆を避けるように、建物の屋根に座り込んでいた。

 

「頑張れ、こっちの僕…!」

 

「ゴーシュ、そんな小声だと聞こえないんじゃない?」

 

「いいんだ。きっと伝わってるよ」

 

 僕が呟いた言葉にウェンディがそう言ってきた。けど多分大丈夫。同じ僕だから、伝わってる。こっちの僕の表情を見て、そう思ったんだ。

 

 

 

 アースランドからエドラスに来た時は一瞬だったし、すぐに岩壁に引っかかったから何も思わなかったんだけど、アースランドに来た途端、感じたのは浮遊感だった。まあエドラスに転送されたときも最後は浮いていたけど、今は落下していた。

 

「うわ~~っ!!」

 

「ハッピー、シャルル!僕達を一か所に!」

 

「ええ!」「あいさーっ!」

 

 二人が(エーラ)で僕らを掴んで少しずつまとめていく。少し時間はかかるけど、ここは遥か上空。地面に激突するまでまだ時間がある。

 

「ゴーシュ、これでいい!?」

 

「ありがとう!それじゃ…浮遊結界(バルーン)!!」

 

「きゃっ!」

 

「た、助かった~」

 

「おお!サンキューゴー……ウップ!」

 

「助かったぞ、ゴーシュ」

 

「ナツさん、大丈夫ですか?もうすぐ地面ですから」

 

「降ろしてくれ…ウップ」

 

「情けねぇな、クソ炎」

 

「全くだぜ、ギヒッ」

 

 全員集まるとやっぱり賑やかだな、なんて考えながら浮遊結界(バルーン)の高度を落とし、地面と接したところで解除する。

 

「帰って来たぞーっ!」

 

「復活早っ!」

 

 ナツさんも元気になったみたいで何よりだ。

 

 天気は雨。そういえばアニマが発動する前も雨が降っていたっけ…。僕達がエドラスにいた数日、こっちの世界では時間ってどれくらい経ったんだろう?異世界だし、時間の経過が違ってもおかしくない。デジ○ン的な。

 

「おお!元通りだ!」

 

「マグノリアの町も!」「やった!」

 

「待て、まだ喜ぶのは早い。人々の安全を確認してから…「大丈夫だよ!」…!?」

 

 エルザさんの言葉を遮るように聞こえたその声の方を見ると、沢山のエクシード。エクスタリアに住んでいたエクシードが勢ぞろいしていた。

 

「一足先にアースランドに着いたからね!」

 

「色々飛び回って来たんだ!」

 

「ギルドも町の人達も無事だったよ!」

 

「皆魔水晶(ラクリマ)に変えられたことすら知らないみたい!」

 

「アースランドってすげーな!魔力に満ちてる!」

 

「…どういうことよ。なんでエクシードがアースランドに!?」

 

 シャルル以外の皆が唖然としていた。僕はそりゃそうだよねと思っていたけど。ナツさんたち三人は気づいてなかったのか。エドラスで唯一魔力を体内に持つエクシードも、アースランドに流されたってこと。

 

 

 

「冗談じゃないわよ!こいつらは危険、エドラスに帰すべきよ!」

 

 エクシード達に一度近くに降りてもらってすぐのシャルルの一言。シャルルとハッピーは利用されてたことから、好感を持てないのも無理はないと思うけど…。エクシードってそこまで危険かな…?どっちかというと力があまりない種族だと思うけど。…リリー以外ね。

 

「まあまあ」

 

「エクスタリアだって無くなっちゃったんだよ?許してあげようよ」

 

「嫌よ」

 

 …即答だ。ハッピーとウェンディの言葉に聞く耳持たず。エクシード達も口々に謝っているけど…。シャルルは、そんなことはどうでもいいと言った。…シャルルがここまで怒っている所を初めて見た気がする。

 

「あんたたちは私に、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を抹殺する使命を与えてアースランドに送り込んだ!」

 

「そうさ!女王はオイラたちの卵を奪った!忘れたとは言わせねぇ、かぁ~っ!!」「あなた…」

 

「あ、おじさん!」

 

 なんか、白毛で眉毛が太いエクシードがシャルルに続いて物申している。ハッピーの知り合い?傍にいる青毛のエクシード、ハッピーにそっくりな気がするけど…。

 

「でもよぉ、帰れと言われてもなぁ…」

 

 シャルルは俯いたまま黙っている。エクシード側にいるシャゴットも同じ反応だ。…この二人も似てる、と思う。

 

「まだきちんと説明してませんでしたな」

 

「これは、六年前の話になります」

 

 シャゴットの近くにいる老エクシード達の話によると、ある日シャゴットの未来予知でエクスタリアが大地に堕ちる光景を見た。それを人間達が暴挙に出るのだと考えたシャゴット達は、卵を回収してアースランドに逃がすことにした。表向きには、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を倒すという目的で。

 

「もちろん、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に恨みがあったわけではありません」

 

「分かってます。そういう設定が必要だったってことですよね」

 

「それに本当のことを公表していたら、パニックになっていたと思うわ」

 

「だな」

 

「…人間のアニマを借り、私達の作戦は成功しました。しかし、たった一つだけ計算外のことが起きたのです。それは――――シャルル、あなたには私と同じような予言の力があったのです」

 

「え…?」

 

「しかし、それは無意識に発動しているようで…。貴女の記憶を混乱させたのです。避難させた百人のエクシードのうち、貴女一人だけが…」

 

「そんな…」

 

「恐らく、断片的なエドラスの未来を予知してしまった。そしてそれを使命だと勘違いしてしまったのです」

 

「じゃあ、オイラは…?」

 

「元々そんな使命は無かったのですよ。本当に不運に不運が重なり、貴女は自分の、ありもしない使命を作り出してしまった…」

 

「…」

 

 シャルルは、呆然としてしまった。でも、予言の力に関して思う所があったのか何も反論することはなかった。

 

「ぼきゅ達は君が自分の力を知らないのをいいことに、さも自分たちが操っているように言ってみたんだ。ごめんね」

 

「全ては女王様の威厳を演出するための猿芝居。…本当に申し訳ない」

 

 ナディとニチヤさんがシャルルに謝罪した。なぜかナディを怖いと思った記憶が何となく残っていたけど、その時のことかな?目が死んでるように感じたんだよな…。

 

「沢山の不運と、民や人間に対する私の虚勢が貴女を苦しめてしまった。…いいえ、六年前に卵を取り上げた全ての家族たちを不幸にしてしまった」

 

 やっぱりさっきの白毛と青毛のエクシードは、ハッピーのご両親…?じゃあ、シャルルはシャゴットの…!?

 

「だから私は、貴女に剣を渡したのです。悪いのはエクシード全てじゃない…。私一人です」

 

「うぉ~~っ!!メェーーーン!!」

 

「それは違いますよ!女王様!」

 

「女王様の行動は、全部私達のことを想ってのこと…!」

 

「俺達だって、自分たちの存在を過信してたわけだし…」

 

「せっかくアースランドに来たわけだし、六年前に避難させた子供たちを探そうよ!」

 

 エクシードのうちの一人が言ったその言葉に、他のエクシード達もそうだと声を上げながら空を飛ぶ。新しい目標だと、人間とも仲よくすると言っているエクシードもいた。

 

「前向きな奴等だな!」

 

「皆…」

 

「新しい始まり…!素晴らしい言葉ではないか!」

 

「………いいわ。認めてあげる」

 

「……!シャルル…!」

 

 やっと、シャルルが根負けしてくれたか。この流れでまだ、いいから帰れ的なことを言い出したらどうしようかと…。

 

「でも、なんで私にあんたと同じ力があるわけ?」

 

「ど、どうしてかしらね…?」

 

「ねぇおじさん!」

 

「おう?」

「女王様とシャルルってなんか似てない?」

 

「そうかい?」

 

「ほら、動きとか?」

 

「動きだぁ?」

 

 な、なんだこれ…?え、まさか二人とも気づいてないの?二人とも、今自分の親と会話してることに気づいてないの?嘘でしょ?……これ、教えてあげるべきなのか?いやでも、シャゴットとかあの白いエクシードとか誤魔化してるっぽいし…。うん、やっぱり本人が自分で気づくまで待つべきか。その方がいいよね。

 

「とりあえず、無事に終わって良かったな!」

 

「はい!」

 

「おい、感染ってんぞナツ!」

 

「あんたもね…」

 

 ナツさんとグレイさんがナディと同じように右手を動かし始めたり、エルザさんがニチヤさんに拳を叩き込んだりしたけど、エクシード達は今いるマグノリア郊外の森の近くに住むことになった。別れ際、シャゴットはシャルルを抱きしめる。ハッピーも自分の両親にいつでも遊びに来ていいって言ってもらえたみたい。いつか、自分の親だって二人とも気づけるといいな。

 

「おーしっ!俺達もギルドへ帰るぞ!」

 

「皆にどうやって報告しよう?」

 

「いや、皆気づいてねぇんだろ?今回の件」

 

「しかし、ミストガンのことだけは黙っておけんぞ」

 

「皆、手…」

 

 ナディ化が進んでいるようだ。ツッコミしたウェンディと僕はやってないけど。あとガジルさんが慌てたように辺りを見渡しているけど、どうしたんだろう?

 

「ちょっと待て!」

 

「どうしたガジル!お前も真似してぇのか?」

 

「楽しいですよ!」

 

「それに価値があるならな!」

 

「価値があったらやるんだ…」

 

「リリーはどこだ!パンサー・リリーの姿がねぇ!!」

 

「リリー?」

 

「あのごっついエクシードのことよ」

 

「俺なら、ここにいる」

 

 リリーの声がしてそっちを見ると、ハッピー達と同じくらいの大きさに縮んだリリーがいた。

 

「「「「「「「小っちゃ~っ!!?」」」」」」」

 

「随分可愛くなったね…」

 

「どうやら、アースランドと俺の体格は合わなかったらしいな」

 

「あんた、身体なんともないわけ?」

 

「ああ、今のところはな」

 

合わなかったって…。アニマの幅にリリーが挟まりそうだから縮められたってこと?確かリリーってずっとこのサイズだったような…。まあ、大きさを変えられるって便利だしいいのかな?よし、本人が言い出さない限り気にしないようにしようっと。

 

「俺は王子が世話になったというギルドに入りたい。約束通り、入れてくれるんだろうな?ガジル」

 

「ギヒッ…。もちろんだぜ、相棒―っ!!!」

 

「泣いた!?」

 

 ガジルさん、よっぽど自分だけエクシードのパートナーがいないの気にしてたんだな…。

 

「で、それとは別に、怪しい奴を捕まえたんだ」

 

「おお!早速手柄か!さすが俺の猫!」

 

「ガジルさん、親バカみたいになってる…」

 

「言ってやるな、ゴーシュ」

 

 エルザさんも思ったってことですよね?

 

「来い!」

 

「ちょ、私、別に怪しくなんか…きゃっ!」

 

 リリーが持っていたロープを引っ張り、ある人物が僕らの目の前に連れてこられた。その人は…

 

「っ!?」

 

「ちょっと…。私も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだけど」

 

「リサーナ……!?」

 

「なんなのこの猫?ていうかエクシード?」

 

「パンサー・リリーだ」

 

「なんだテメェ、俺の猫にケチ付けようってんのか、あぁ?」

 

「ガジルさん、落ち着いて…!」

 

 親バカと不良が合わさった感じになってきたよ。っていうか今大事な場面みたいだから大人しくしててください。

 

「そんな、まさか…?」

 

「リサーナ…」

 

「なん、で…?」

 

「もしかして、エドラスのリサーナが?」

 

「こっちに来ちゃったわけ!?」

 

「どうしよう…!」

 

「…っ!ナツ~っ!!」

 

「うおっ!?」

 

 リサーナさんがいきなりナツさんへと飛び掛かり、そのまま押し倒してしまう。リサーナさんは、涙を浮かべていた。

 

「また、会えた……!本物のナツに……!」

 

 本物…そっか、このリサーナさんは…

 

「ハッピー、私よ!リサーナよ!グレイとエルザも久しぶりだね!うわぁ、懐かしいわね!その子たちは新しいメンバーかしら?小さいウェンディと、もしかしてルーシィ?」

 

「ちょっと待て…!まさか、お前、こっちのリサーナ……!?」

 

「…………うん」

 

「嘘!?」

 

「えぇっ!?」

 

 そうだ、やっぱりこっちのリサーナさんだったか。……この場面にならないと思い出せない僕って…

 

「リサーナ、生き返ったのか!?」

 

「あい~っ!!」

 

「二人ともストップ…!」

 

「お前は二年前、死んだはずだ…!生き返るなど、あり得ん!」

 

「……私、死んでなんかなかったの」

 

 リサーナさんは語る。二年前にエルフマンさんのビーストソウルの暴走でダメージを受けたリサーナさんは、その時開いていた小さなアニマによって吸い込まれた。エドラスにいたリサーナさんが亡くなり、世界がそれを補完するかのようにアースランドのリサーナさんをエドラスへと連れて行ってしまったのだと。

 

 エドラスの皆がリサーナさんをエドラスのリサーナさんだと思い込み、リサーナさんは記憶喪失ということにしてそのままエドラスのリサーナさんのフリをした。そして数日前、エドラスの妖精の尻尾(フェアリーテイル)にアースランドのナツさんたちがやってきた。その時はエドラスの皆を悲しませない為に、エドラスで生きていくことを覚悟していたそうだ。でも、最後のアニマの逆展開でリサーナさんもアースランドへと流された。……エドラスのミラさんとエルフマンさんには、エドラスのリサーナさんじゃないことはバレてたらしい。

 

「……行きましょう」

 

「え…?どこに…?」

 

「カルディア大聖堂。きっと、二人とも待ってる」

 

「そうだ!リサーナ、早く行くぞ!!」

 

「ナ、ナツ、ちょっと待ってよ!」

 

 その後、カルディア大聖堂では、リサーナさんとミラさん、エルフマンさんが、三人揃って涙を流しながら互いの存在を確かめるように、抱きしめ合っていた。

 

 

 

 

 




自分が持ってる小説ではエドラス編と天狼島編の間のお話があるのですが、もう天狼島編を早く書きたいので飛ばしますw

もしかしたら全てが終わった後の閑話として出すかもしれないです(いつになるやらw)

というわけで、次回から天狼島編突入!エドラス編終了から天狼島編開始までの期間が分からなかったので数日後ということにしてますがあしからず!




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