FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回から天狼島編に入ります!少しですが書き溜め出来ているので、ちょっとずつでも更新ペースを早めたいところですね。

……↑誰だ。




天狼島編
第31話  S級魔導士昇格試験


 エドラスから帰還して数日。リサーナさんが帰って来たときは皆すごく驚いていたけど、ちゃんと受け入れてもらえた。リサーナさんの帰還祝いとリリーの歓迎会も行われた。大変だったのはガジルさん、かな。しばらくテンション上がりまくってて大変だった…。リリーが仲間になった影響だろうか?リリー本人は大人なのでそこまで大事にならずに済んだから良かったけどね。

 

 そうしてようやくいつも通りに戻ったかなと思ったんだけど、皆仕事熱心になり始めた。全員そうなのかと思えば、中には平常運転の人もいる。まだギルドに入って日が浅いリリーはもちろん、ウェンディやルーシィさんも分からないみたいだ。

 

「ゴーシュ、雪だよ!きれいだね~!」

 

「ホントだ…。道理で寒いと思った。積もらないといいけど…」

 

「もう、急にお年寄りみたいに…」

 

 いや、大事だよ?雪が積もったら雪かきしないといけないし。僕の家の周りとか雪かき大変だろうなぁ…。魔法がある分、前世より断然楽だからいいけど。積もれば積もるほどトレーニングになるから結果オーライって考え方もできる。

 

「でも、明日はギルドに集まれなんてなんだろうね?」

 

「さあ?マスターが重大発表するって言ってたけど…。ま、明日になってみれば分かるわよ」

 

「シャルル、あんまり興味なさそうな言い方だね」

 

「だって興味ないもの」

 

「相変わらずだね、シャルルは」

 

 ホント、はっきり言うエクシードだなと思う。思ったことをはっきり言うって、結構難しいと自分では思っているんだけど。

 

「ま、明日になれば分かるさ」

 

「そうだね。あ、私達これから買い物していくからここで」

 

「手伝おうか?」

 

 二人ともよく僕の家に遊びに来る。時々家事を手伝ったりしてくれるからこっちとしては大助かりだ。それにナツさんやグレイさんみたいに勝手に上がっていることなんて……いや、あったわ。勝手に上がり込んでくつろいでたことが何度か。くつろいでたのはシャルルだけど。鍵閉めてたはずなんだけど…どうやってるんだろ?

 

「ううん、大丈夫!それじゃまた明日!」

 

「うん、二人とも気をつけてね」

 

「ええ。ウェンディ、気をつけなさいよ」

 

「…なんでシャルルまで私に言うの?」

 

「だってこのまま転んだら私が潰れるもの」

 

「本当にありそうだから怖い」

 

「そ、そんなことないもん!最近転ぶこと少なくなったんだよ!」

 

「でもまだ一日一回は転んでるけど」

 

「もう、シャルルっ!」

 

 うん、楽しい。やっぱり昔からの付き合いって大事だなと心の底から思う。今のところ、こんな風に軽口を叩けるのってこの二人だけだし。

 

―――いつか、君の秘密も分かち合える時が来る。

 

「……………いつか、か」

 

「え?」

 

「あ、いや。なんでもない!それじゃあね、二人とも」

 

「あ、うん!また明日!」

 

 ジェラールはそう言ってくれたけど、よく考えたら僕の秘密ってなんだろうか?

 

 前世の記憶があること、この世界を前世で、漫画という形で読んで知っていること。それだけだ。でも、本当はもっとあるんじゃないだろうか。

 

僕は五歳より前の記憶がない。前世の記憶があるのに、生まれてからの五年間の記憶だけがない。そして以前、ダフネが評議員に連行される直前に僕に向けて言っていた言葉。

 

―――…あの人形が、こんな感情豊かになるなんてね。魔法が解けたのかしら?まあ、もう関係ないけどね…

 

あの言葉を鵜呑みにするのなら、僕は以前にダフネと会っていた。そしてその時に何かしらの魔法をかけられた。でも、今はすでに解けている…?これも結局、彼女に聞くしか確かめる術はない。今度、面会に行ってみるのも手かもしれない。とにかく、現状分かっていることはこれくらいかな。

 

僕って、一体何者なんだろう……?

 

 

 

 翌日。妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドに魔導士が集まっていた。今まで仕事に行っていてあまり面識がない人とかもいる。これだけ大勢集まるのって滅多にない。これでもまだ全員じゃないのかな?

 

「あ、マスターだよ!それにエルザさんやミラさんも!」

 

「ギルダーツまでいるわね」

 

 マスターがステージの上に現れたことで皆がざわつき始める。これって、やっぱりアレなんだろうか。

 

「オッホン。これより、妖精の尻尾(フェアリーテイル)古くからのしきたりにより、S級魔導士昇格試験出場者を発表する!!」

 

「S級魔導士昇格試験!?」

 

「燃えてきたぞ!!」

 

 やっぱりか…。これ、どうやって関わればいいんだろう?僕はまだギルドに来て日が浅いし、仕事はそれなりに行ってるつもりだけど、目立った活躍はしてないし…。頑張って誰かのパートナーになるしかないか。

 

「皆、静かにしないか!」

 

「マスターの発表の途中だろ」

 

「今年の試験会場は天狼島!我がギルドの聖地じゃ!各々の力!心!魂!儂はこの一年見極めてきた!!参加者は九名!!」

 

 …ん?なんか今、違和感が…。気のせい?

 

「ナツ=ドラグニル!」

 

「よっしゃ!!」「やったね、ナツ!」

 

「グレイ=フルバスター!」

 

「やっとこの時が来た!」

 

「ジュビア=ロクサー!」

 

「え?ジュビアが!?」

 

 そういえばジュビアさんも幽鬼の支配者(ファントムロード)から移籍して間もないのに選ばれているんだな。まあジュビアさんが強いことは分かり切っているから当然といえば当然か。ガジルさんはまだ信頼度が低いから選ばれなかったんだっけ?

 

「エルフマン!」

 

「漢たるもの、S級になるべし!!」「頑張ってね、エルフ兄ちゃん!」

 

「カナ=アルベローナ!」

 

「…………」

 

「フリード=ジャスティーン!」

 

「ラクサスの意志を継ぐのは…」

 

「レビィ=マクガーデン!」

 

「私、とうとう…!」「「レビィが来たーっ!!」」

 

「メスト=グライダー!」

 

「メストか!」「昨年は惜しかったよな!」

 

「ゴーシュ=ガードナー!」

 

 …へ?

 

「ゴーシュ、やったね!!」

 

「……僕?」

 

 しばらく僕の頭の中は真っ白になった。

 

 

 

 頭を切り替えるのに時間はかかったけど、何とか説明を頭に入れる。試験は一週間後。各自、一名パートナーを決めること。妨害役でエルザさん、ミラさん、そしてギルダーツさんも参加するっぽい。集合場所はハルジオン港らしい。

 

「大丈夫?ゴーシュ、聞いてんの?」

 

「え?あ、すみません。ちょっとまだ選ばれた実感無くって」

 

「そりゃそうだ。俺だって驚いたぜ」

 

「まだギルドに入ってからそれほど時間経ってないのにね~」

 

「そういえば、マスターになんか聞いてなかった?」

 

「ああ、選ばれた理由を尋ねてました」

 

「なんだったの?」

 

「えっと、最強チームについて行った時に建物の破壊を防いだ件数が多かったことと、それなりに場数もこなしていると判断したとか…」

 

 つまり被害を最小限に留めることに貢献したからってこと。あとはコツコツ地道に仕事をする直向きさが良かったとか。単純にお金を早く稼いで借金返済したかっただけなんだけど。まあ、結果オーライだ。S級試験に出られるなら、原作に簡単に関われる。

 

「そういえばあんたたち、パートナーは決まってるの?」

 

「俺はもちろんハッピーだ」「あい!」

 

「ハッピーはずりぃだろ!もし試験内容がレースとかだったら、空飛べるなんて勝負にならねぇ!」

 

「別にいいんじゃない?」

 

「俺も別に構わねぇよ。戦闘になったら困るだけだしな」

 

「ひどいこと言うねグレイ…。オイラはナツをS級魔導士にするんだ!」

 

「こればかりは、仲間と言えど絶対譲れねぇ!」

 

「ってなわけで!」「修行だーっ!!」「あいーっ!!」

 

 相変わらずだな、二人とも…。そういえば僕もパートナーどうしよう?ちゃんと考えないと駄目だ。でも急がないと他の人に強そうな人はパートナーに選ばれちゃうし…。

 

「あの、ジュビアはこの試験を辞退したい」

 

「え!?なんで?」

 

「だって…その………ナーが……その」

 

「なんだって?」

 

「だ、だから……!」

 

「あんたのパートナーになりたいんだって!」

 

「ほら、やっぱりルーシィが狙ってる!!」「狙ってないわよ!」

 

 ジュビアさん、積極的だなぁ。その妄想癖がなければグレイさんともあっさりくっつけると思うんだけど。そういえば、この二人って結局くっついたんだろうか?くそ、やっぱり原作を最後まで読めなかったというのは悲しい。気になるな…。

 

 

 

 結局グレイさんはロキさん、ジュビアさんはリサーナさん、エルフマンさんはエバーグリーンさん(睨まれていただけだったが)に決定した。僕はまだ、決めかねている。僕に足りないのは攻め手だ。だから攻撃力のある人をパートナーにした方がいいんじゃないかなって思っている。

 

 だけど、一番連携が出来るのはきっとウェンディだ。一番付き合いが長いし、互いの魔法のことも把握している。さっきは何となく誘えなかったけど、お願いしに行こうかな。

 

「……今どこにいるんだろ」

 

 もうすっかり夜だし、降雪量も昨日より多い。これは積もるだろうな…。もしかしたらもうフェアリーヒルズに帰ってるかもしれない。よし、行ってみよう。

 

「それが人にものを頼む態度なの!」

 

「…?シャルルの声?」

 

 ということは、ウェンディも傍にいるかも!ということで声のした方へと小走り気味で向かうと、川の傍でウェンディとシャルルがメストと話している所を発見した。

 

「ウェンディ、君の力があれば、俺はS級の世界を知ることが出来る。頼む、力を貸してくれ」

 

「え、でも私なんか…」

 

「駄目に決まってるじゃない!」

 

「……知りたい。冬の川の中というものを俺は知りたい」

 

「こんな変態に付き合っちゃダメよ!!」

 

 メストさん、変人過ぎる…。あの人、確か評議院に関係があった人物だった気がしたんだけど…。どうだっけ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーだった気もするし…?

 

「あの、メストさん」

 

「はっ!すまない、気にしないでくれ」

 

「あ、はい。えっと……その、私もうパートナーになる人決まってるんです」

 

 …!!なんだと…!?え、誰だ…?カナさんとかか?他にパートナー決まってない人誰かいたっけ…?

 

「そうか。ゴーシュのことかな?」

 

「えっと、その……はい」

 

「そうか。……話を聞いてくれてありがとう。俺はこれで失礼するよ」

 

「誘っていただいてありがとうございました、メストさん」

 

「試験で競えるのを楽しみにしている。ゴーシュにもそう伝えておいてくれ」

 

 メストさんはそのままギルドの方へと歩いて行ってしまった。僕は、混乱したまま動くことが出来なかった。そのまま、建物の陰に隠れたまま動けなかったんだ。

 

「…初めてね」

 

「え?」

 

「あんたがあんな嘘をつくなんて。しかもギルドの仲間に」

 

「悪いことしちゃったかな…」

 

「いいのよ。あいつは怪しすぎるわ。あんな変人よりゴーシュを選んで正解よ」

 

「でも、まだ選んでもらったわけじゃないけどね」

 

「あいつは慎重すぎるところがあるからね。多分、自分の魔法との相性とか考えてるのよ」

 

 …なんでシャルルには僕が考えてることがいつも分かってしまうんだろう。まさか、これも一種の予知能力?

 

「そうかもね。……私じゃ、力不足かな?」

 

「大丈夫よ、あんたは強いわ。それに……」

 

「それに?」

 

「愛に勝る力無しって言うでしょ」

 

「シャ、シャルル…!!」

 

「本当のことじゃない」

 

 そこから先の会話は何も耳に入らなくなった。

 

 

 

一週間後。ハルジオン港から出港した船があった。帆には妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章が描かれている。S級魔導士昇格試験を受ける為、僕達九組の出場者とそのパートナーたちは天狼島を目指す。

 

「暑い~……。冬だってのになんでこんなに暑いのよ~…」

 

 この辺は海流の影響で年中常夏らしい。冬だからと厚着して来なくて良かったけど、それでも暑い。ルーシィさんとかカナさんは水着を着ているし、グレイさんに至っては全裸だ。フリードさんとかジュビアさんとかいつもの恰好なのに平気そうなのはなんでだ。

 

「ナツ、こっちに来ないでくれるかな…」

 

「ウェンディがトロイアをかけてくれねぇんだよ……ウップ」

 

「しょうがないよ、ゴーシュのパートナーなんだし」

 

「すみません、ナツさん……」

 

 そう、メストの誘いを断っている所を目撃してしまった日の次の日。朝早くギルドで会った時に僕はウェンディにパートナーになってくれと頼んだ。だけど、まだウェンディの気持ちに関しては何も答えが出ていなかった。あの日は全く眠れず、ずっと頭の中がグルグルと混乱して考えをまとめることが出来なかった…。

 

 盗み聞きしてしまったという罪悪感もあり、パートナーになってもらってから何度か二人とシャルルで特訓したりしたけど上手くいかず、あっという間に一週間が過ぎてしまった…。

 

「…ゴーシュ、大丈夫?」

 

 皆から少し離れた場所にいると、目の前にウェンディが現れた。

 

「っ!だ、大丈夫。ウェンディは?」

 

「暑いけど、大丈夫だよ…。ねぇ、ゴーシュ?なんか隠してない?」

 

「え?なんで?」

 

「何というか、困ってる、というか悩んでる?ように見えたから…」

 

「……いや、大丈夫だよ。ありがとう」

 

「なら、いいんだけど……」

 

 なんでか、ウェンディと前みたいに話すことができない。彼女が僕のことを好きって言ってくれていたことは嬉しい。けど………

 

「見えてきたね」

 

 ロキさんの声が聞こえ、皆が見ている方を見る。そこには、まるで海の中から一本の大樹が生えているように見える島、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地、始まりの場所――――天狼島があった。

 

 




タグ追加しました。理由はまあ言わずとも、ですよね。

恋愛小説なんて書いたこともないもんで、至らない描写とか多いかと思いますが、頑張っていきますのでよろしくお願いします(^^;)

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