FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回、ちょっと短めです。


第32話  運がいいのは誰?

「着いたのか…!」

 

「あれが天狼島!?」

 

「すげぇ形してんな!」

 

「島の上に、島?」

 

「すごい…。ここからでも、島のあたりの空気に魔力を感じますよ!」

 

 天狼島近海へと到着した僕たち。ここは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーにとってはまさに聖地。確か、初代マスターのメイビス=ヴァーミリオンに関係があったようななかったような…?

 

「ナツ、もうすぐだよ」

 

「ウップ…………」

 

 ナツさんがもうすでに瀕死に近い気がするけど、大丈夫だろうか…。陸に上がったら元気になるから大丈夫か。今更心配しても仕方がない。……今、ナツさんをカエル扱いしたような気がする。

 

「あの島にはかつて、妖精がいたと伝えられていた」

 

「マスター!」

 

「そして妖精の尻尾(フェアリーテイル)の初代マスター、メイビス=ヴァーミリオンの眠る地!」

 

 やっぱりそうだ。良かった、エドラスではほとんど覚えてなかったから不安だったけど、今回はちゃんと覚えてたよ。

 

「なんだよその服!」

 

「だって暑いんだもん!」

 

「服着てない人が言う?」

 

 さすがツッコミ担当のお二人。まあ片方はボケも入ってるけど。マスターがアロハシャツ着ていることにツッコんでくれるとは思っていた。

 

「これより、一次試験の内容を発表する!」

 

「一次試験…」

 

「大体、毎年何段階かに分かれているんだ」

 

「そうなんですか…!」

 

 メストさんがウェンディにそう説明している。…なんだろう、この気持ちは。前はウェンディが誰と話していても別に何とも感じなかったのに…。

 

「島の岸に煙が立っておるじゃろう?まずはそこに向かってもらう。そこには九つの通路があり、一つの通路に一組しか入ることができん。そして通路の先は、こうなっておる。ここを通過できた者が、一次試験合格じゃ!」

 

マスターの隣に表が現れる。闘が二つ、静が二つ、そして激闘が三つ。激闘にはそれぞれ、エルザさんとミラさん、そしてギルダーツさんの顔がある。

 

「闘のルートはこの九組のうち二組がぶつかり、勝った一組のみが通れる。激闘は現役S級魔導士を倒さないと進めぬ最難関ルート!静は誰とも戦わずこの一次試験を突破できるルート。一次試験の目的は武力!そして、運!!」

 

 まあ、運も重要か。と思ったら、結構口を開けてポカーンとしている人が何人かいた。ウェンディもなっているし。

 

「運なら行けるかも!」

 

「静を引き当てる確率は、九分の二しかないのよ?」

 

「理論的には、最大七組が合格できるってことね」

 

「む、無理だ!ギルダーツやエルザのいる道は突破できねぇ!」

 

「何弱気になってるのよ!」

 

 エルフマンさんって、たまーに漢らしくないこと言うよね…。でも、ちゃんといざって時には漢らしい一面を出してくれるからカッコいいと思う。

 

「最悪の場合は、四組しか突破できないのかぁ…」

 

「面白れぇ。どいつもこいつもボコボコにしてやるぜ!」

 

「あのねぇ…」

 

 レビィさん、完全にガジルさんの肘掛けになってしまっているんだけどそれはいいのか?

 

「さぁ、始め!試験開始じゃあ!」

 

「はぁ?」

 

「ここ、海の上じゃないか」

 

「ニヒヒ」

 

 マスターが悪い笑顔をしている。まるでイタズラ大好きな少年のように見える。つまり、ここからあの狼煙の立っている場所までは競争ってことか。急がないと!

 

「そういうことか…。ハッピー!」

 

「うん!」

 

「先に通路を選ぶんだ!」「あいさーっ!」

 

「うおっ、ずりぃ!」

 

「ナツ、てめぇ!」

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)!」

 

「うぎゃっ!」

 

「ナイスゴーシュ!それじゃあたしたちも…って痛!」

 

 とりあえず飛んでいこうとしたナツさんとハッピーを壁で止めたのはいいんだけど、これはフリードさんにしてやられたかも。ルーシィさんが空中で何かにぶつかっていた。船を囲むように、文字が敷き詰められている。

 

「術式!?」

 

「安心しろ、十分後に解けるようになっている」

 

「フリード!」

 

「てめぇ!」

 

「ずっと閉じ込めとけばいいじゃねぇか」

 

「それじゃ試験にならん」

 

 そっか、フリードさんとビックスローさんはそれぞれ空を飛んでいけるのか…。しかも十分って意外と長いし。ナツさんの妨害しなければもう少し短く出来たかもしれないのに…。やってしまった。

 

「じーさん、あんなのアリかよ!」

 

「まあ、レースじゃないし」

 

 でも、選択肢も静を選ぶ確率も上がるんだから先に行って損はないと思う。

 

「あいつを先に行かせたら、島を術式だらけにされちまうだろ!」

 

「クッソー!」

 

「そうだ、レビィなら!」

 

「うん、書き換えられるよ!」

 

 あ、そうか。書き換えればいいんだ。これくらい簡単だったら僕にだってできるはず!

 

「でも、私とガジルだけ!」

 

「れ、レビィちゃん!?」

 

「ごめんね、ルーちゃん!じゃあね、皆お先~!」

 

「この野郎!」

 

 え、レビィさん早くない?まだ一分どころか三十秒も経ってないよ?

 

「ウフフ、私もフリードとは付き合いが長いからね」

 

「エバーグリーン!」

 

「もっと複雑ならともかく、これくらいの術式の書き換えくらいならできるわ。さぁ、行くわよエルフマン!」

 

「漢ーっ!!」

 

「よし、こっちもようやく終わった!浮遊結界(バルーン)!ウェンディ、乗って!」

 

「うん!」

 

「ゴーシュ!お前もか!」

 

「すみません、皆さん!お先に行きます!……ウェンディ、頼んでいい?」

 

「うん!天竜の咆哮!!」

 

 これで推進力もでるから、もしかしたらレビィさんやエルフマンさんの組よりも先に着けるかもしれない。あの二組、単純に泳いで行ったみたいだし。あとはどの通路を行くべきか…

 

 

 

 狼煙が立っている地点に到着した。塞がっていない通路は、七つ。

 

「もう二つ塞がってる!」

 

「一つはフリードさんたちだとして、もう一つは…?」

 

 僕らは二番手のはずだ。だって海面に二組いたのを確認したし。だから、まだフリードさんたちしか道を選んでいないはず。なのに通ったのは二組…?そういえば、ナツさんが飛び出そうとした時から、メストさんとパートナーのローブの人を見てない気がする。

 

「…もしかしたら、メストさんの組が通ったのかもしれないね」

 

「え!?でも…」

 

「メストさんかパートナーの魔法が空間移動系なんだと思う。瞬間移動できるなら、ナツさんを止めていたあの瞬間に移動したのかもしれない」

 

 確か、メストさんがそんな魔法じゃなかったっけ。それにしても、あのローブの人は誰なんだろう?マスターがちゃんと分かっているみたいだけど…

 

「あ、そっか…。すごいね、ゴーシュ!」

 

「…そ、それで、どのルートにする?」

 

 か、勝手に声が裏返る…!やばい、思ったより意識しているじゃんか、僕!冷静になるんだ、冷静に…

 

「…?私はどこでもいいよ!運もそこまでないと思うし…」

 

「そ、そっか…。えっと、じゃあDルートにしようかな」

 

「理由とかあるの?」

 

「…いや、ただ何となくというか…」

 

 確かナツさんが、エルザのEがどうとかって原作で言っていたような気がする。結果ナツさんがS級の誰かに当たっていた気がするから、というのが理由。

 

「それじゃ、行こう!」

 

「あ、ウェンディ!走っていくと転ぶよ…!」

 

 ウェンディを追いかける形で僕も後に続いていく。入口を潜って後ろを見てみると、入り口が塞がれてしまっていた。なるほど、地雷式の魔法ってことか。多分これも僕が使う結界魔法の一種。結界魔法は造形魔法と同じくらい自由な魔法だ。使う人によって様々な効果を作れる。

 

「きゃっ!」

 

「ウェンディ!って、なんだ…」

 

「いたた……」

 

「ウェンディ、ほら」

 

「あ、ありがとう、ゴーシュ」

 

「……それじゃ、行こうか」

 

「あ……。う、うん!」

 

 転んだウェンディを見て、安堵する。いつもので良かった…。何かあったのかと、必要以上に心配してしまった。

 

 僕はやっぱり、ウェンディのことが好きなんだろう。でも、他の思いの方がどんどんと大きくなっていく。自分は本来ここにいない人間だとか、ウェンディの想いを盗み聞きしてから告白するなんて卑怯だとか。

 

 僕がもし、ウェンディに想いを伝えたとして、その先は?正直言って、僕は自分が好きになった人に隠し事をしたくない。つまり、ウェンディに僕が異世界から来た人間だってことを話すことになる…。そう考えると、怖くなった。ウェンディなら受け入れてくれるかもしれない。それでも……。今だって、ウェンディに心配をかけ続けていることも分かっているのに、僕は自分が情けなくなる。

 

 ジェラールが言ってくれた言葉通りになるのは、まだまだ先の話になるかもしれないなと思っていると、やがて少し開けた場所に出た。ずっと遺跡か何かのような通路が続いていたけど、そこから先は足元が浸水しており、所々遺跡の残骸のようなものが飛び出している。

 

「ゴーシュ、ウェンディ。よく来たな」

 

「!」

 

「え、エルザさん…!」

 

 離れた場所に、エルザさんがいた。…自分の半端な原作知識のせいで、こんなことになってしまった。ごめん、ウェンディ。

 

 




次回が長くなりそうだったので、ここで一区切りしました。




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