FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回もメッセージで頂いたアイデアを参考にさせて頂いております!本当にありがとうございます!








第33話  立ちはだかる壁

「これより一次試験を開始とする。……お前たちの力を示すことが出来れば、試験は合格とする。さあ、全力で来い!」

 

 エルザさんが換装し、黒羽の鎧を身に着ける。攻撃力重視にして僕の結界を破壊するつもりだろう。さて、勝てるのか?あのエルザさんに………いや、確かに攻撃は得意じゃないけど、僕らだって成長しているんだ!

 

「ウェンディ、付加術を」

 

「うん!攻撃力、防御力、スピードをエンチャント!アームズ、アーマー、バーニア!」

 

 ウェンディは能力を上昇させることができる付加術士(エンチャンター)だ。彼女がいることで、戦いやすさも格段に上昇する。

 

柱百烈拳(ハンドレッド・トーティスト)!」

 

「黒羽・月閃!」

 

 この一週間での修行の成果の一つがこの技。一瞬で大量に作り出した(トーテム)を、一気に相手へと突き刺す技だ。それをエルザさんは容易く切り裂き、躱しながらこちらへと接近してくる。接近戦に持ち込まれるのは確かに危険だけど、こっちにはリスクを冒すだけの価値がある。でも、まだだ。まだ早すぎる。

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)!」

 

「無駄だ!」

 

弾性結界(バウンド)立方(スクエア)!」

 

「くっ……!」

 

「天竜の咆哮!!」

 

「換装!」

 

 壁で行き先を限定し、予想した場所から飛び出してきたエルザさんを上から叩きつける。その隙を見てウェンディが追撃するが、間一髪で金剛の鎧へと換装されてしまった。

 

やっぱり、エルザさんは換装が早すぎる…。速度のある攻撃じゃないと今みたいに攻撃される直前に防御されてしまう。でもこっちの攻撃手段が僕は防御結界(ディフェンド)、ウェンディは天竜の咆哮しかない。

 

「どうした。もう終わりか?」

 

「くっ…」

 

「来ないならこちらから行くぞ!」

 

 またエルザさんが赤い鎧を身に着ける。確か、あれは炎帝の鎧…?なんでその鎧に換装したんだ…?ここは足場が水になっている。なのになぜ効果が半減するような鎧を…?

 

「ふっ!」

 

「きゃっ!?」

 

「……そういうことか!防御結界(ディフェンド)円蓋(ドーム)!」

 

 エルザさんは炎の斬撃を僕らへといくつも放った。でも、それらはどれも僕らから逸れたものばかり。囲むように放たれたそれらは足元の水にぶつかり、一瞬で水蒸気となって僕らの視界を遮る。それが目的だったということが分かり、僕らを包み込むように結界を展開した。その次の瞬間、雷撃が襲い掛かってきた。

 

「だったら…反射結界(リフレクション)!」

 

「…!ゴーシュ、ダメ!!」

 

「ぐっ……!?」

 

 防御結界(ディフェンド)反射結界(リフレクション)に切り替えると同時、ウェンディが叫んだ。結界に槍が突き刺さり、あっさりと打ち破る。自分の失策に気づいた時には、もう遅かった。

 

 

 

「……やはり、そうなったか」

 

 エルザがいつもの鎧に換装し、そう呟く。目の前にはまだ水蒸気による目くらましが広がっているが、二人の姿は視認することができた。

 

「ゴーシュ!!なんで……!?」

 

「ハァ……ハァ……!」

 

 ゴーシュは水蒸気と雷撃を合わせた攻撃を跳ね返そうと結界を切り替えた。エルザは以前に仕事を共にした際、赤紫色の結界は相手の魔法を跳ね返す効果があるというのは本人から聞いていた。その話を聞いた時に強い効果がある分、結界自体の強度はないのではと思った。少なくとも、普段ゴーシュが多用している青緑色の結界よりは脆いはずだと。

 

 なので雷帝の鎧による雷撃の軌道が不自然になった瞬間に、巨人の鎧へと換装し槍による一点突破の投擲攻撃をした。その結果、水蒸気によって雷撃はその場に帯電し続けていた為、結界が破られた瞬間二人に襲い掛かった。が、ゴーシュは反射的に防御結界(ディフェンド)をウェンディだけを覆うようにして彼女だけを守り、自分は雷撃と槍の攻撃を食らってしまった。

 

「ゴーシュ。それがお前の欠点だ」

 

「……ぐっ…!…欠点……?」

 

「お前は、仲間を守る為に自分を犠牲にしている。もっと仲間を頼っていいんだ」

 

 これまでの彼の行動を思い出す。同じ最強メンバーであるルーシィに聞いた話だが、ゴーシュは自らを犠牲にしてでも仲間を守ろうとする。六魔将軍(オラシオンセイス)と戦った時は敵の攻撃を魔力が無い状態で受けようとし、エドラスではナイトウォーカーを相手に相打ちを狙った。ウェンディの話では、他にも無茶をし過ぎて心配が絶えないとか。確かに、一緒に何度か仕事をしたこともあるが、自分を囮にするようなことをしたこともあった。

 

彼は、ナツやグレイと同じくらい無茶をする。自分を犠牲にしてでも仲間を守る。その勇気は評価に値するが、自己犠牲と覚悟は似ているようで違う。確かに肉を切らせて骨を断たなければ勝てない相手というのはいる。だが、自分を犠牲にすることは仲間に深い傷を残すのだ。それは、一生消えることはないだろう。エルザは楽園の塔での一件でそれを身をもって経験していた。

 

 とにかく、そんな自己を犠牲にする彼が今咄嗟にどんな行動をしたのかは一目見て察しがついた。エルザはゴーシュがここに来た時、この欠点を直せれば合格にしようと思った。性格は真面目で仕事熱心で、元々魔導士としての腕前は申し分ない。やや攻め手に欠けはするが、魔導士の仕事とは戦うばかりではない。それを補って余りある防御能力と多様性があるし、S級魔導士だからといって一人で仕事をこなす必要はない。自分が出来ないことは仲間を頼ればいいのだ。

 

「でも……。ウェンディが、仲間が傷つく所は、見たく、ないんです……!!」

 

「ゴーシュ……」

 

「ならばお前自身が強くなれ。仲間だけでなく己も守って見せろ。そうして初めて、お前は仲間を守ったと言える。……さて、もう一つアドバイスをしてやろう」

 

「え………?」

 

 エルザは換装し、天輪の鎧を身に着ける。それに対してゴーシュとウェンディが再度警戒態勢に入った。

 

「…………今の息の合っていないお前たちでは、私には勝てんぞ!」

 

「「!!」」

 

 ヒントを出し過ぎたような気がしつつも、弟や妹のように感じている二人なのだから仕方がないとエルザは切り替え、改めて戦闘へと突入する。また、以前のような二人を見れることを期待して。

 

 

 

 エルザさんに言われて初めて気が付いた。自分は守るという言葉の意味を間違えていたのではないかと。

 

 要するに、自分がこれまでしてきたのは自分勝手な行動だった。安全を意識するあまり、仲間たちがそれを見てどう思うのかを考えることが出来ていなかったんだ。自己を犠牲にする姿を見て、心配になったり怒ったりしていたウェンディの姿が頭に浮かんだ。多分、他の皆にも心配かけていたことが何度もあっただろう。なんで、こんな簡単なことに気が付かなかったんだろう。命を救うことはできても、心を傷つけてしまっていたというのに。エルザさんは仲間と共にこれからを生きていく為に魔法を使えと言っていたんだと思う。……ジェラール――ミストガンも言っていた。妖精の尻尾(フェアリーテイル)と共に助け合っていけって。

 

「防いでばかりでは、戦況は変わらんぞ!」

 

 あらゆる方向から飛んでくる剣を結界で防ぎ続ける。今はさっきの攻撃を食らってしまったせいでまともに動くことができない。ウェンディが治癒魔法をかけてくれているが、回復できるまでエルザさんが待ってくれるとは思えない。

 

「ゴーシュ、このままじゃ……!」

 

「分かってる。何とかしなきゃ……」

 

 僕の判断ミスで不利な状況になってしまったんだ。何か、何か作戦を考えろ……!考えろ、考えろ、考えろ、考えろ…………!

 

「……ゴーシュ!!」

 

「!?ウ、ウェンディ……?」

 

 突然、ウェンディが大声を上げた。それにビックリして、思わずウェンディの方を向く。……なんでか、泣きそうな顔をしていた。

 

「ど、どうしたのウェンディ!?ま、待って、今作戦を考えてるから、落ち着いて……!」

 

「ゴーシュ、変だよ……。一週間前から、私のこと、避けてるような……」

 

「そ、そんなこと……!」

 

「換装!煉獄の鎧!」

 

「ま、まず―――」

 

「はぁっ!!」

 

 巨大な大剣を振り下ろし、一撃で僕の防御結界(ディフェンド)を打ち砕く。このままじゃ、この流れのまま接近戦に持ち込まれる…!

 

「天竜の……!!」

 

「え、ちょっ、まっ……!?」

 

「咆哮ーーーーっ!!」

 

 ウェンディの渾身の一撃がエルザさんに向けて放たれる。すぐ近くにいた僕もあまりの威力に何歩か後退ってしまった。ウェンディの魔力が、上昇しているような……?

 

「惜しかったぞ、ウェンディ」

 

「上!?」

 

「換装!明星・光粒子の剣(フォトンスライサー)!!」

 

「うわぁっ!!」

 

「きゃあっ!!」

 

 飛翔の鎧で上へと回避したエルザさん。またも換装で明星の鎧を装着し、両手の剣から放たれた光弾が僕らを襲う。距離が近かったせいで、結界を展開することも出来ずに被弾してしまった。

 

「ウ、ウェン、ディ……!」

 

 ウェンディの姿が見えない。さっき水に何かが落ちたような音がしたから、ウェンディが落ちたのか…?いや、まずは追撃されないようにしないと…。状況を立て直せるだけの時間を稼ぐんだ……!

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)…!」

 

 よし、これで通路は塞がれた。エルザさんもさすがにこの大きさの防御結界(ディフェンド)を破壊するのは時間がかかるだろう。

 

「ウェンディ、返事をしてくれ!ウェンディ……ぐっ!」

 

 思ったよりダメージが大きい……。そうか、今までこんなにダメージを受けたことなかったけど、よく考えたらまだ十二歳なんだよな、僕は…。前世に比べたら体の強度はあるかもしれないけど、まだ成長途中の体なんだ。これ以上のダメージを受けるのはまずいか…。ウェンディも、かなりダメージを受けたはず…!

 

「ウェンディ…そうだ!索敵結界(サーチ)!!」

 

 多分ウェンディは水の中のどっかに落ちたんだ。僕は運良く岩に叩きつけられただけだったけど、あの勢いで水中に落とされたら…。もしかしたら、気を失っているかもしれない。索敵結界(サーチ)を最大限10mまで広げる。水中でもこれなら…!

 

「……いた!ウェンディ!」

 

 僕以上に飛ばされていたらしく、さらに数m離れた場所の水中にいた。全然動く気配がない…。急がなきゃ…!

 

 ふらつく体を抑えつけながら、近くの岩まで飛び移り、そこから水中へと飛び込む。やっぱり気絶していたウェンディを見つけてすぐに浮上する。結界を使って岩場の上に移ったけど…

 

「ウェンディ!しっかりして、ウェンディ!!」

 

「………………………」

 

 …少しの時間だったと思うけど、大分水を飲んでしまっているかもしれない。

 

 

 …………

 

 

 …………………

 

 

 ……………………………

 

 

「……ああ、もう!!……………………………………………ごめんね、ウェンディ」

 

 命を救うためだから、勘弁してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんと、責任はとるから。

 

 

 

 

 




最後、何したか分かるかな?上手く書けているのか全然分からん…これが作者の限界です。

また、前書きにも書いてある通り、魔法のアイデアをメッセージでいくつか頂いたのですが、これによってこの小説のラストが何となく見出すことが出来ました。本当にありがとうございます!!…多分年単位で先の話ですが、気長にお願いします。

ちなみに柱百烈拳の元ネタ、ヒントはペ〇サスかな?これだけで分かった方もいるはず。自分はこれのアイデアを頂いた時、元ネタが分かっていませんでした(^^;)

次回でエルザ戦は完結です。

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