FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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第35話  メスト

 ここは、一次試験を突破してきた者たちが集まる場所。ほとんどの組がすでに試験を終えている。そしてまた、この場所にやって来た魔導士が二人。

 

「グレイ!ロキ!やっぱり一次試験を突破してきたんだね!」

 

「とりあえず、おめでとう」

 

 長い長い洞窟を抜けてきたグレイとロキを、ルーシィとカナが出迎える。

 

「私たち、静のルートでラッキーだったね」

 

「どこが!誰も殴れなかったんだぞ!」

 

 少し後ろの方に、レビィとガジルが岩の上に座っている。その近くにはフリード、ビッグスローの姿もある。

 

「一次試験を突破できたのは、これだけか」

 

「ん?ナツは?」

 

「あっちにいるよ!」

 

「…………………………」

 

 グレイたちから少し離れたところにナツの姿もあったが、いつもの彼からは想像できないほど静かだ。何か考えているようにも見える。

 

「なんだ、アイツ?」

 

「どうしたんだ?」

 

「それがね…」

 

「さて、これで全員揃ったかな?」

 

「マスター!」

 

 ハッピーが一次試験での出来事を話そうとした時、どこからかマスター・マカロフがやってきた。それに反応して全員がマスターへと視線を向ける。

 

「では、これまでの結果を発表する!まずカナとルーシィ、レビィとガジルは運良く静のルートを通り、突破!」

 

「運が良いだと!?」

 

「へへ~ん」

 

 ルーシィとレビィは自慢げにしているが、ガジルは不機嫌だ。ガジルは誰かと戦うことを楽しみにしていたので、当然の反応とも言える。

 

「ナツとハッピーはギルダーツの難関をクリアし、突破!」

 

「嘘だぁーっ!!」

 

「オイラ何にもしてないけどね」

 

 ナツの思ってもいなかった結果に、グレイが叫ぶ。ギルド最強と言われているあのギルダーツのルートを選んで突破することが出来るなど、思ってもいなかったのだろう。

 

「グレイとロキはメスト組、フリードとビッグスローはジュビア組を破り、突破!」

 

 本来、フリード組はカナ組と当たっていたが、ゴーシュ組が参戦していることによってルートが変化している。本来当たるはずの無いフリード組とジュビア組が当たってしまい、フリードらが勝利した。

 

「後はゴーシュたちとエルフマンたちね…」

 

「グモォっ!!」

 

「な、なんだよじいさん…」

 

「ゴーシュとウェンディは、あの手の抜けない女騎士に当たってしまったのだ…!」

 

「あ~あ」

 

「残るルートは…………!」

 

「「ミラジェーン…」」

 

「可哀想に…」

 

「俺なら勝ってたけどな」

 

「待てぇぃ!!俺らも姉ちゃん倒してきたぞ!!!」

 

「一次試験突破よ!」

 

 ボロボロになりながらも、この地点に到達したエルフマンとエバーグリーン。これで合格したのは六組となった。ハッピーがどうやって倒したのか聞いても、二人とも話そうとしないので疑問に思っていた人が何人かいたが。

 

「これより、二次試験を開始する!!」

 

「ナツ、いつまで落ち込んでんの?」

 

「…………いや、ちょっと考え事」

 

「ナツが~、何かを~、考える~!?」

 

「どんだけ見くびられてんのよ…」

 

 ナツは今回の一次試験で、ギルダーツに立ち向かっていった。果敢に攻め続け、渾身の滅竜奥義でも傷一つつけることは出来なかった。それでも諦めること無く立ち向かったが、ギルダーツの全力を感じ取り、降参した。ギルダーツはその自身の刃を納める勇気を認め、合格としたのだ。

 

 

――――またいつでも勝負してやる……S級になってこい、ナツ!

 

 

「……へっ、分かったよ、ギルダーツ」

 

 誰にも聞こえないくらい小さくそう呟き、ナツが立ち上がった。そこには、いつもの彼の燃えるような瞳があった。

 

「グレイ、カナ、レビィ、エルフマン、フリード!!誰がS級魔導士になれるか、勝負だ!!!」

 

「お前にだけは負けねぇよ」

 

「私だって…!」

 

「その勝負、漢として受けて立つ!!」

 

「全力でいくぞ」

 

「あたしは絶対、カナをS級にするもん!!」

 

「たとえルーシィでも、僕は手を抜かないよ」

 

「ギヒッ、吠えてろ屑が」

 

「漢たる者~~~!!…ぐはっ!」

 

「エルフマン、しっかりしなさいよ…ぐふっ!」

 

「この二人はねぇかな~」

 

 こうして、二次試験が開始された。内容は、初代ギルドマスター・メイビス=バーミリオンの墓を六時間以内に探し出すこと。

 

 

 

「疲れた…」

 

「ゴーシュ、大丈夫?」

 

 ここは試験敗退者用のベースキャンプ。僕は用意された簡易布団で横になっていた。近くで、エルザさんやミラさん達が、エルフマンさんとエバーグリーンさんについて話している。結婚がどうとか言ってるけど、ミラさんに隙を作る為の虚言だと思う……少なくとも今は。

 

「ゴーシュ、いつまでそうしているのだ。男として情けないぞ。試験での気迫はどうしたのだ」

 

「はは…辛辣ですね、エルザさん」

 

「二人とも、運が無かったね~。エルザと当たるなんて」

 

「ここにいる人は運が無かった人だけだと思うんですが」

 

 ジュビアさんたちもフリードさんたちとぶつかって敗北したのでここにいるわけだし。

 

「いや、私はお前たちの実力は認めていたぞ?」

 

「え?じゃあなんで?」

 

「僕が棄権したんで」

 

「え!?もったいない!エルザが合格にするとこなんて想像もつかないのに!!」

 

 リ、リサーナさん…それは言い過ぎじゃないかな?いや、でも最初にエルザさんが見えた時に絶望したのは確かだから…いいのか。あ、エルザさんの背後にオーラが見える気がする。

 

「だって、あれが今の僕たちの精一杯ですし」

 

「今回は僕が至らない点が多すぎたので棄権させて下さい、って」

 

「至らない点?」

 

「……ノーコメントで」

 

 エルザさんのアドバイスで分かったこととか、ウェンディのこととか。言われて初めて気づいた点が多かったから、まだまだ未熟だなって思った。だからちゃんと一人前になったと思えるようになってからS級になりたいって思ったんだ。ただの我が儘かもしれないけど。というか余計なことは言わなくて良いよ、ウェンディ。

 

「別に良いと思うんだけど」

 

「僕の心を読まないでよ…」

 

 これ、もう僕が分かりやすいってだけじゃないよね?ウェンディが察しが良すぎるだけじゃないの?これは最早一種の魔法でしょ…ウェンディ、いつの間にそんな魔法を…!

 

「…変なこと考えてるでしょ」

 

「そんなことないって!」

 

「お前たちは本当に仲が良いな」

 

「なんか前より仲良くなってない?」

 

「仲良くなるのは良いことですよ。………恋敵が一人減りますし」

 

 ジュビアさん……まさか、ウェンディもグレイさんの恋敵に含んでたの?いや、まさか…ね?あり得るような気もするから恐ろしい。

 

「そ、そういえばメストさんの組はどうしたんですか?」

 

「あ、話逸らした」

 

「だが確かに遅いな」

 

「結局メストのパートナーって誰だったのかしら?」

 

「知っているのはマスターだけでな…グレイたちなら分かったかもしれないが」

 

 原作だとメストさんのパートナーがウェンディだから…誰か別のギルドメンバーってことになる。背はメストさんと同じくらいだったから、リーダスさんとかはないと思うけど…気になるな。

 

「メストか~…彼とはエドラスで会ってないからよく知らないのよね。私のいない二年の間に入ったんでしょ?」

 

「……そうだっけ?」

 

「昔からいたような……」

 

「存在感ないのね…」

 

 結局メストさんはギルドの一員なのかな…?それとも……やっぱり思い出せないけど、嫌な予感もする。これ以上、不安要素は取り除いておきたい。それに、確かこの後はあのギルドもここにやって来るはずだ。そんな時に勝手な行動は取らないでもらいたいし。

 

「ジュビア、探してきます。少し心配だし」

 

「ならば、私も行こう」

 

「僕も行きます」

 

「あ、それなら私も!」

 

「お前たちは疲れているだろう。ここで休んでいると良い」

 

「大丈夫です。さっきまでゆっくり休みましたし」

 

「……エルザさん、ちょっといいですか?」

 

 ウェンディがエルザさんに何かを耳打ちしている。その後エルザさんが少し赤面したかと思ったらすぐに咳払いをして気を取り直す。……ウェンディ、何を言ったんだ?

 

「で、では二手に分かれて探そう。見つけるか一時間経っても見つからないようなら一度ここへ戻るんだ。ミラとリサーナはここにいてくれ」

 

「了解」

 

「よし、行くぞジュビア」

 

「え?ちょ、ちょっとエルザさん!」

 

「ほら、ゴーシュも行くよ」

 

「え?あ、うん」

 

 よく分からないけど、捜索に行けるならいっか…。エルザさんに引きずられていくジュビアさんが涙目になっていたような気がしたけど、気にしないようにしよう。

 

 

 

 キャンプを出てしばらくして。かなり森を進んだが、未だメストさんたちは見つけられない。

 

「……ウェンディ、今何か感じなかった?」

 

「え?ううん、私は何も。どうかしたの?」

 

「…いや、気のせいだと思うから」

 

 何か寒気がするような感覚がして、誰かの魔力かなって思ったんだけど…ウェンディが何も感知していないようだから気のせいなんだろう。今の僕が魔力感知に長けているとは思えないし。

 

「…それよりゴーシュ、聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?」

 

「あのね?一次試験の時に言ってたことなんだけど…」

 

「一次試験?…………あ」

 

 ま、まずい。そうか、この為にエルザさんに頼んでたのか…どうしよう?確かに後で言うからとは言ったけど、こんなすぐに聞き出しに来るとは思わなかった。

 

「聞いちゃ、ダメかな…?」

 

「いや、その……」

 

 まだ前世のことは話す気はない。それ以外は……いい、のかな?でも盗み聞きしたことも一次試験であったことも、どっちを話しても怒られる気がする…いやいや、何を躊躇っているんだ僕は。後で話すって言ったし、そのタイミングが今になっただけじゃないか。

 

「話すけど、とりあえず話し終わるまで怒らないでね?」

 

「……怒られるようなことしたの?」

 

「えっと……はい」

 

「ゴーシュ~…!」

 

「ま、待って!どっちも不可抗力に近いんだって!せめて言い逃れだけはさせて!」

 

「どっちもってことは、複数あるの!?」

 

「あ、えっと………………すみません」

 

「……とりあえず、話だけは聞いてあげるよ」

 

 一旦冷静になってくれたみたいだけど…これは一発もらうことも覚悟しておこう。

 

「えっと…「ウェンディ~!ゴーシュ~!」…シャルルに、リリー?」

 

「無事だったか、お前たち」

 

 先ほどウェンディと話していた場所のすぐ近く、海を見渡すことができる場所にたどり着く。そこで、シャルルとリリーがこちらに飛んできた。

 

「二人とも、なんでこの島に?っていうか無事って…」

 

「見学で来たのよ」

 

「よほどウェンディのことが心配だったらしくてな。それに先ほど、ここからかなり離れた森の方で争っているような光景が見えた」

 

「あんたたちが無事で良かったわ」

 

「無事って、そこまで心配しなくても…ナツさんとかガジルさん辺りが怪物倒しながら進んでるだけじゃないかな?」

 

 これまで見たことが無いような生物が多く生息してはいるけれど、この試験に参加している人たちの中でそれらを危険と呼ぶ人は少ないと思う…まあ、ここにいるウェンディとかルーシィさんやレビィさんも言いそうではあるか。それでもウェンディのパートナーとして僕がいるんだからちょっとは信用してほしいんだけどな…

 

「違うのよ」

 

「え?」

 

「違うって…」

 

「別に試験内容がどうってことじゃないの。ここにいるモンスターくらいなら、今のあんたたちなら問題ないと思う」

 

「だったらなんで?」

 

「メストだ。俺は、奴がギルドのメンバーではないかもしれないと思っている」

 

「え…?」

 

 リリーがそう言ったすぐ後、空に赤い光の球が出現した。この試験中に何か想定外の出来事が起こった場合の為にいくつか信号弾を用意している、という説明を試験前にマスターから聞いていた。あれは、その中の一つだ。

 

「あれは…!」

 

「ゴーシュ、あの信号弾って何の合図だっけ?」

 

「ウェンディ、あんた覚えてないの?」

 

「う…ご、ごめん…」

 

「赤の信号弾は警戒態勢。つまり、敵だ」

 

「敵って、まさか?」

 

「メスト、かもしれんな。もしくは奴の仲間が攻めてきたか」

 

「皆、あれ!」

 

 シャルルが指さす方向を見る。ベースキャンプからここまで続いていた森をようやく抜け、海を見渡せる崖になっている。その先端に、探していた二人がいた。

 

「メストさん!」

 

「ウェンディとゴーシュ?お前たち、どうしてこんな所にいるんだ?」

 

「帰ってこない貴方を探していたんです。……何してたんですか?」

 

「年甲斐も無く探検していたんだ。心配かけたようですまない」

 

 そう言ってこちらへと近づいてこようとしていたメストさん。それを遮るように、シャルルとリリーが前へと出てくる。

 

「メスト、あんたは一体何者なの!」

 

「え…俺は、ミストガンの弟子で――」

 

 リリーが元の大きさに変身し、メストさんのすぐ後ろにあった岩を殴りつける。

 

「ミストガンがこの世界で弟子をとるはずがない。この世界からいなくなった人間を使ったまでは良かったが…設定を誤ったな、メストとやら……お前は、何者だ!」

 

「…すみません、メストさん。あと、貴方も誰か分かりませんが動かないようにお願いします」

 

 複数の防御結界(ディフェンド)(トーテム)でローブを着た人を囲む。両手を挙げたのを確認した僕は近づいてローブを掴んで、取り払った。

 

 

 




ウェンディって結構抜けてるっていうか、やっぱりドジっ娘なんだとここら辺のアニメ見てて思いました。



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