FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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ここまで遅くなってしまった言い訳。

体調不良で寝込んでました。ごめんなさい!




第39話  ゴーシュvs.ラスティローズ

「よし、こんなもんかな」

 

 術式もかなりの数を設置したし、ベースキャンプも結界で五重に覆った。さらに術式と併用して、この術式の中だけ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークを持つ者は結界を通過できる」ようにした。これで万が一敵が襲ってきたとしてもかなり戦いやすくなるだろう。三十個近くあった譲渡結界(ランブル)のうち二十個は渡しておいたし…多分、今できることは全てやった。

 

「それじゃ皆、後は任せます」

 

「本当に行くの、ゴーシュ?」

 

「ええ。他の皆が心配ですし」

 

 時間をかけてしまったので、もう日が沈み始めている。少なくとも近くでは大きな音はしなかったが、この天狼島はかなりの広さだ。あちこちで戦闘が行われているに違いない。

 

「レビィさん、後で術式の修正お願いしますね」

 

「ええ、任せておいて!」

 

 あれからレビィさんとガジルさんも合流した。どうやら一番最初に敵と接触したらしく、あの信号弾は二人を見つけたエルザさんとジュビアさんが放ったものらしい。敵は煉獄の七眷属ではなかったものの息の合った連携で二人を追い詰め、ガジルさんがギリギリで勝利したようだ。レビィさんもかなり負傷しているので今は休んでもらっている。

 

「あ、それとシャルル…」

 

「分かってるわ。あの子が無理しないようちゃんと見てるから、あんたは自分の心配してなさい」

 

「うん。行ってきます」

 

 残る気がかりもこれで大丈夫。ウェンディにはさっきちゃんと話したから問題ない。少し心配そうな顔をしていたけど、ちゃんと分かってくれたし…皆と無事に帰ってくるって、約束したから大丈夫。

 

 とりあえず、浮遊結界(バルーン)水晶結界(クリスタル)を併用して空から探すとしよう。森が多いから敵にも見つかりにくいし、そもそも普通は空を警戒すること自体少ないはずだ。

 

「…!」

 

 浮遊結界(バルーン)に乗り浮かび上がっている途中で、ふとウェンディの方を見る。治療中だったウェンディもこちらに目を向け頷いたのを見て、僕も頷いて返す。約束を必ず守るという意思を込めて。

 

 

 空を飛び始めて三十分くらいか。さっきマスターが倒れていた森から崖を登った付近、天狼島の中心の巨木(天狼樹というらしい)の根の一部が見える所から爆発が見えた。急いで方向転換し向かう。

 

目を凝らしてよく見ると…エルフマンさんとエバーグリーンさんが倒れていた。他にもう一人…青いコートを着た眼鏡の男もいる。何か喋っているみたいだけど…

 

「あいつは…!?」

 

 その男はエルフマンさんたちの方へ歩きながら、左手で宙に円を描くように動かす。そしてその左手が通った後に、男がかけていた眼鏡がいくつも出現した。あの男を見た時に既視感があったからそうかもと思ったけど、間違いない。煉獄の七眷属だ。あの魔法は確か…想像したものを具現化するとかそんなふざけた魔法だったはず。

 

 男がエルフマンさんたちの間を通り過ぎ、ある程度距離をとる。そして男が振り返って何かを叫んだ次の瞬間、巨大な塔がエルフマンさんたちを飲み込んだ。

 

「間に合え…!」

 

 塔はどんどん高く、感じる魔力も大きくなっていく。加速し塔へと接近するけど…多分、このままじゃ二人を助けることは出来ない。これほどの技、きっと本体を攻撃すれば…!

 

防御結界(ディフェンド)(トーテム)!!」

 

「何っ…!?」

 

 一か八かで男を攻撃してみたけど、やっぱり予想通りだ。攻撃は躱されたけど、塔は消え二人は解放された。すかさず弾性結界(バウンド)をクッション代わりに展開する。

 

「ゴーシュ!?」

 

「二人とも、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ…すまねぇ、助かったぜ」

 

 二人はゆっくり立ち上がろうとしているけど、まだ動けそうにない…ここは、時間を稼いででも二人を逃がすか休ませるかしないと。

 

「お前は…!?」

 

「…?」

 

「待てよ…そうか、そうか……!!まさか妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたとはな!!」

 

「こいつ…いきなりなんなの?」

 

エバーグリーンさんが僕らの考えを代弁するように呟く。急に笑い出したら、確かにそういう反応になるだろう。

 

「ああ、すまないな。嬉しくなってついな」

 

「……変人に興味ないです」

 

「誰が変人だ!」

 

 僕の発言にきっと後ろの二人も頷いていると思う。

 

「…まあいい。それより、貴様だ!」

 

「僕ですか………やっぱり」

 

 僕が来た途端にこんな反応し始めたんだから分かってたよ、うん。

 

「それで、なんですか」

 

「あの研究者が評議員に捕らえられたという話を聞いて、一緒に捕まってしまったものだと思っていたが…こんな所で会えるとはな」

 

 …!この人、まさか…僕の知り合い?あの研究者って…思い当たる人物は、僕の中では一人しかいなかった。

 

「ちょっと、何の話をしてるのよ!」

 

「…あの研究者って、ダフネのことですか?」

 

「なるほど。どうやら記憶が混乱しているようだな?」

 

 二人の方へと手を向ける。そして相手の問いに頷く。この人は、僕の過去を知っている。ダフネと悪魔の心臓(グリモアハート)に繋がりがあったことにも驚きだけど…僕のルーツを、知ることが出来るかもしれない。

 

 以前ダフネが捕まった時は、皆がいたから聞けなかった。気にしないようにしようとしたけど、やっぱり気になるものは気になってしまう。

 

「それにしても、随分とお喋りになったじゃないか?人形のようだったあの頃とは大違いだ」

 

「………僕は、ゴーシュ=ガードナー。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士です。人形じゃない」

 

「…ふむ。名乗られたら名乗り返すのが礼儀か。俺は煉獄の七眷属が一人、ラスティローズだ」

 

「貴方を倒して…さっきのこと、詳しく教えてもらいますよ」

 

「ほう?この俺を倒せると?」

 

「変態には負けません」

 

 アズマと対峙した時はもう駄目だと思った。正直に言うと、この人には勝てないんじゃないかと思った。逃げに徹したのはその考えが大きかったからだ。同じ煉獄の七眷属だとしても、この人にはなぜかそこまでの畏怖は感じない。確かに強い魔力は感じているけれど、アズマには劣っている。

 

 それに、後ろの二人を守る為にはこうするのが最善だと思う。僕の昔話を聞けば答えてくれるかもとも思ったけれど…敵同士だし、話している間に二人に危害を加えてくる可能性もある。だったら、先に倒す!

 

防御結界(ディフェンド)円蓋(ドーム)…二人は少し休んでいて下さい」

 

「だがゴーシュ、お前一人じゃ…」

 

「そうよ!三人がかりで戦うべきだわ!」

 

「大丈夫ですよ。そう簡単にはやられません」

 

「でも…!危ない!!」

 

「我が右腕に宿りしは、漆黒の剣!」

 

 二人に防護壁を張り、会話の途中で鋭い爪をもった黒い魔物のような腕が僕に迫る。けど、その程度なら問題ない。

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)

 

「俺の漆黒の剣が防がれるだと…!?」

 

水晶結界(クリスタル)(アロー)!」

 

「ちっ…我が左腕に宿りしは、黄金の盾!!」

 

 いくつもの水晶の矢がラスティローズに迫り、それに反応して左腕から金色の盾のようなものを具現化させた。

 

「…やっぱり」

 

「どうだ、分かったか!お前の力では俺に勝つことなど不可能だ!」

 

「いえ…そんなことないですよ。多分貴方は、煉獄の七眷属でも弱い方じゃないですか?」

 

「なんだと!!人を馬鹿にするのも大概にしろ!!疾風の……ぐあっ!?」

 

 ラスティローズが何かを具現化させようとしたその時、上から(・・・)水晶の矢が降り注ぐ。ラスティローズは反応できず、体のあちこちを切り裂かれる。突然の痛みに耐えきれず、膝をついた。

 

 最初から思っていたけれど、恐らく具現のアークの発動条件の一つが名称を唱えること、なんだと思う。もしくは名称を唱えることでイメージを固める為か…でなければわざわざ能力を発動しますよと言っているようなものだ。だから、さっき放った水晶結界(クリスタル)の一部の軌道を変え、上から落とした。意識の外からの攻撃であれば、さっきの金色の盾を具現化が間に合わない。

 

「いいんですか?まだ終わってませんよ」

 

「な、何を…がはっ!?」

 

 膝をついた瞬間に作った掌サイズの防御結界(ディフェンド)立方(スクエア)で、ラスティローズを背後から攻撃する。そのまま、僕の方へと吹っ飛んできたので…

 

「はあっ!!」

 

 鳩尾を狙って、思いっきり殴った。

 

「あ、あぁ……!!」

 

 急所にヒットしたことで、ラスティローズは蹲ってしまった。

 

「す、すげぇ…」

 

「ゴーシュがこんなに強かったなんて…」

 

「いえ。二人が戦ってるのが途中から見えていたからですよ」

 

 情報が先に手に入っているというだけで、大きなアドバンテージになる。それに対してラスティローズからすれば僕の魔法は推測しにくかっただろう。結界魔法(バリアー)は造形魔法にも負けないくらい自由な魔法だと思う。

 

「お、おのれ……!おのれ、おのれ!!」

 

「…!」

 

「俺は、煉獄の七眷属!!妖精の雑魚などに負けるわけがない!!」

 

「あいつまだ…!」

 

「…!!ゴーシュ、上だ!!」

 

 エルフマンさんの声で上を確認すると、数mはある巨大な魔物がこちらに拳を振りかぶりながら降ってきていた。防御結界(ディフェンド)円蓋(ドーム)を展開して身を守る。

 

「…くっ!?」

 

 が、魔物の拳が結界に罅を入れる。これは、まずい…!

 

「我が右腕に宿りしは、漆黒の剣!!!」

 

「ぐぅっ!!」

 

 そこにラスティローズが攻撃を加えて結界を破壊し、その瞬間に魔物に押しつぶされてしまった。こ、こいつ…!見た目通り相当な重量…それに力が加わったことで通常であれば防げただろう一撃の威力が強くなったのか…!

 

「形勢逆転、だな?」

 

「いっ…!」

 

 こちらに歩いてきたラスティローズが、僕の頭を踏みつける。

 

「どうだ、自分が痛めつけられる気分は?…ベルクーサス、やれ」

 

 魔物―ベルクーサスは右腕を大きく振りかぶり…僕に向かって、振り下ろした。

 

「かはっ………!」

 

「お前ごときが俺に勝つなど、不可能だったんだよ!!ハッハッハッハッハァ!!」

 

 ベルクーサスがそのまま、連続で僕を殴り続ける。攻撃の度に、体の中の空気が吐き出され呼吸を整えることも出来ない…!

 

「あ、あいつら…!!!」

 

「子供相手にあそこまで痛めつけるなんて…!!」

 

「何とでも言え。戦争に大人も子供も関係ない…よし、ベルクーサス」

 

 ラスティローズのかけ声でベルクーサスの動きが止まる。そしてラスティローズがしゃがみ、僕の髪を掴んで引っ張り上げる。

 

「ハァ……ハァ……!!」

 

「…さすがだな。ここまでベルクーサスの攻撃を食らって生きているとは。さすがはマスター・ハデス」

 

 ラスティローズが僕だけに聞こえる声で、嘲笑うかのように囁いてきた。それに対して、僕は屈辱とかよりも疑問が真っ先に浮かんだ。

 

 なぜ、そこでマスター・ハデスが出てくる……?

 

「どう、いう……こと」

 

「ああ、お前が俺を倒して聞き出すとか言っていたな…別に、教えてやってもいいんだぜ?」

 

「…………………………」

 

 

 

 

 そのまま、ラスティローズは語り出す。

 

 

 

 

 僕の…記憶がない5年について。

 

 

 

 

 僕もそれを、ただ黙って聞いていた。

 

 

 

 

 聞く人が……………いないこと(・・・・・)を確認し。

 

 

 

 

 口角が上がらないように気をつけ、ただラスティローズを睨めつけた。

 

 

 




ようやく、ゴーシュの起源が書けます。

これまでの疑問があった部分とかもこれで分かる、はずです。





全部は明かしませんけどね!


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