FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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ハデス戦長いので、全三話構成にしました。


次回は一週間後くらいかと思います。


それではどうぞ!



第45話  VS.ハデス 暴走

 天狼島の海岸。そこには、悪魔の心臓(グリモアハート)の本艦がある。その先端、と言って良いんだろうか…船首?のところに、人影が見える。

 

「まさか七眷属にブルーノートまでやられるとは…ここは素直に、マカロフの兵を褒めておこうか。やれやれ、この私が兵隊の相手をすることになるとはな。悪魔と妖精の戯れもこれにて終劇。どれどれ、少し遊んでやろうか…三代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 船首にいる老人――マスター・ハデスがこちらを見下していた。その立ち姿が、強さと威厳を表しているかのように思えた。

 

「来るが良い。マカロフの子らよ」

 

 最後にそう言い残し、船の中へと戻っていく。

 

「かぁーーーっ!!テメェが降りてこいーっ!!」

 

「偉そうに…!!」

 

「随分余裕ですね…」

 

「奴がマスターを…」

 

「あの人を懲らしめてやれば、この島から皆出て行ってくれますよね!」

 

「もちろん!全員追い出してやるんだから!!」

 

 魔力も体力も大分回復している。いよいよ決戦だ…!

 

「ハッピー達に頼みがある」

 

「何?」

 

「この船を探って、動力源みてーのを壊してくれ」

 

「万が一飛んだら大変だもんね!ナツが」

 

「分かったわ」

 

「そういうことなら、任せておけ」

 

 リリー…いつまで耳を押さえているつもりだろう。雷が止むまでずっとそうしているのかな。

 

「一応、トロイアをかけておきますよ」

 

「そろそろ始めようか…行くぞ!!」

 

 グレイさんが船の先端へと続く氷の階段を作り出し、全員で駆け上がる。

 

「奴はマスターをも凌駕するほどの魔導士…開戦と同時に全力を出すんだ!!」

 

「はい!!」

 

「一気に決めましょう!!」

 

「持てる力の全てをぶつけてやる!!」

 

「後先のことなんて考えてられない!!」

 

「やっとあいつを殴れんだ!!燃えてきたぞ…ハデスーーーーっ!!!」

 

 ナツさんが一番最初に階段を上りきり、ハデスと対峙する。右手には炎が燃え上がっていた。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力を、食らいやがれ!!」

 

 その言葉と共に、マスター・ハデスを炎が飲み込む。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力…だと?」

 

 ハデスは防いだようだが、全身を包み込むように広がった炎に隠れて、グレイさんとエルザさんが詰め寄っていた。

 

「換装!黒羽・月閃!!」

 

「コールドエクスカリバー!!」

 

 二人の渾身の一撃が襲いかかる。このまま、さらに畳みかける!!

 

柱百花槍(ブルームトーティスト)!!」

 

「開け、金牛宮の扉!タウロス!!」

 

「モォーーーーーレツッ!!!」

 

 僕が配置した柱をハデスに叩きつけ、タウロスの一撃によってハデスは宙を舞う。

 

「全員の魔法に攻撃力、防御力、スピードを付加(エンチャント)!!アームズ、アーマー、バーニア!!」

 

 さらにウェンディの付加術によって、全員の能力が上昇する。そのままエルザさんとグレイさんが近接戦闘に持ち込むが、ハデスはそれをギリギリのところで躱していく。

 

「ちょこまかと!」

 

「ぐっ!」

 

 ハデスの手から魔法の鎖が伸び、至近距離にいたエルザさんを捕らえグレイさんにぶつけて追撃を逃れた。が、すでに上にはナツさんがいる。

 

「火竜の翼撃!!」

 

「ふっ!」

 

「ぐわっ!?」

 

 またハデスに躱され、ナツさんは首の後ろに鎖を受けそのまま振り回される…あれだけ近いと結界が間に合わない。だったら、次に繋げる策を!

 

「はあっ!!」

 

「!」

 

 エルザさんがナツさんを繋いでいた鎖を断ち切った!そしてグレイさんがナツさんの飛ばされた先に待機している。ルーシィさんとウェンディとアイコンタクトをとる。よし、行ける!

 

「ナツ!!」

 

「おう!!」

 

「行っけぇっ!!」

 

 グレイさんの氷の巨大なハンマーに上手く着地し、ナツさんは勢いよくハデスへと接近する。

 

「天竜の咆哮!!」

 

「スコーピオン!!」

 

水晶結界(クリスタル)(アロー)!!」

 

合体魔法(ユニゾンレイド)…!?」

 

「火竜の、劍角ーーっ!!」

 

 よし、決まった…!まだ倒せないかもしれないけど、今のは確実に鳩尾に入った…相当なダメージになったはず!

 

 ハデスはナツさんの一撃によって吹っ飛び、奥の壁まで飛んでいった。煙でよく見えないけど…どうなった…?

 

 

 

「人は己の過ちを経験などと語る」

 

 

 

「!!?」

 

 

 

「だが本当の過ちには経験など残らぬ…私と相対したという過ちを犯した汝らに、未来など無いのだからのぅ」

 

 

 

「そんな…」

 

 

 

「化け物め…!」

 

 

 

「全く効いてないの!?」

 

 

 

「…!」

 

 

 

「おい…こっちは全力出してんだぞ!!」

 

 

 

「魔力の質が、変わった…!?」

 

 

 

 傷どころか、羽織っていたマントが無くなっただけ。それ以外、砂埃すらついていないような…これまでの僕たちの攻撃が無かったかのような姿でハデスはこちらへと歩み寄ってくる。そして…ナツさんの、言う通り…魔力が、さっきまでと何か違う…!

 

 

 

「さて…準備運動はこのくらいで良いかな?」

 

 

 

その言葉の後、ハデスから得体の知れない魔力が僕たちへと発されているのを感じた。これは…何か分からないけど、まずい!!

 

 

 

「来るぞ!!」

 

 

 

「喝っ!!!!!!!」

 

 

 

「ウェン―――」

 

 

 

 ハデスの目が、ウェンディを捉えていたのに気づき結界を展開する。が、結界は一瞬で消え、後に残ったのは…ウェンディが今まで着ていた衣服だけだった。

 

 

 

「ウェンディーーーーっ!!!」

 

 

 

「跡形も無く消え去ってしまったか…他愛も無い。このまま汝らを一人ずつ消していくとするかな?」

 

「ウェ、ンディ……?」

 

「そんな……」

 

「何をしやがった…」

 

「嘘だろ……」

 

 全員が、ハデスが何をしたのか分からず困惑していた。ウェンディにどんな魔法を使ったのかそれすらも分からず、仲間を一人失ってしまったという事実を徐々に理解していく………ただ、一人を除いて。

 

「…!」

 

「な、なんだ!?」

 

「ゴーシュ…!?」

 

「ああ…………ア、アア………!!」

 

 船から彼らを見下ろした時すでに、ゴーシュが、以前ダフネにドラゴンの情報と引き換えに引き渡した、あの実験体の少年であることには気づいていた。魔力の質が普通の人間とは少々違う。大抵の魔導士は気づかないかもしれないが、あの門から現れた時の異質な魔力は今も僅かながらに感じることが出来る。

 

 

 

 その魔力が今、変化した。

 

 

 

「アアアア………!!!」

 

「ど、どうしたっていうの!?」

 

「ゴーシュ!!しっかりしやがれ、おい!!」

 

「なんて魔力だ…!?」

 

 先程の戦闘時の魔力とは明らかに違う。精神面への影響によって、恐らくダフネに施されたであろう力が覚醒されようとしている。

 

 

 

「面倒なことになっておるようだな……童子(わらし)よ」

 

 

 

「アア……………あアアああああアアア!!!!」

 

 

 

 せめてこの世に生を与えた者として、一撃で屠ってやろう。

 

 

 

 ハデスが、ゴーシュへトドメを刺そうとしたその瞬間、彼にとって救いの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 ウェンディが………消えた。

 

 

 

 どうして…?

 

 

 

 僕の力が、足りなかったのか…?

 

 

 

 力が………足りない………………チ、カラ、が………!

 

 

 

「アア……………あアアああああアアア!!!!」

 

 

 

「ゴーシュ、止めて!!と、申しております」

 

「ホロロギウム…!?」

 

「アア……あ?」

 

 ホロロ……ギウム?それに、今……微かにだけど、確かに……ウェンディの、声が…

 

「ご、ゴーシュ…?」

 

「あ、あれ………僕…?」

 

「収まったようだな…」

 

「ったく…脅かすんじゃねぇ…」

 

 ……?なんで皆グッタリして…?

 

「そうだ、ウェンディは……!」

 

「ホロロギウム!あんた、なんでここに?」

 

「自動危険察知モードが発動されました」

 

「あの……あたしも、結構危険が一杯だったような気がするんですけど」

 

 ウェンディは、無事なのか……!よ、良かった…

 

「今回は危険のレベルが違いました…申し訳ありません。ありがとうございます、ホロロギウムさん!と、申しております」

 

「相変わらずややこしいな…」

 

「てか、なんで服だけ落ちてんだ?」

 

 そうだ、確かにさっきまで着ていた服があるってことは…まさか。

 

「緊急事態でしたので、ご本人のみをお守りしました」

 

「ってことは、おい…その中でウェンディは…」

 

「きゃーっ!と、申しております。さ、早くお召し物を」

 

 ……うん、まあ、無事だったならいい。ホロロギウムにはいつかお礼しないといけないなー。無事に戻れたらルーシィさんに相談しよう……謝罪もあらかじめしておかないといけないか。機会があったらお礼(物理)をしてやる。

 

「とにかく、助かった。礼を言う」

 

「私が守れるのはこの一回限りです。皆さん、くれぐれも気をつけて下さい」

 

「ありがとう、ホロロギウム!」

 

 天井に張り付いていたホロロギウムが消え、黒い衣装を纏ったウェンディが現れた。そして着地し、ハデスを――

 

「ゴーシュっ!!」

 

「ぐふっ!?」

 

 ――気にすること無く、僕の方へと飛んできた。勢いのまま床に倒れてしまいそうになったけど、ギリギリ耐えることが出来た…でも、どうしたんだろう?

 

「ど、どうしたの?」

 

「だって、だって……!」

 

「ゴーシュ、覚えてねぇのか?」

 

「え?」

 

 ナツさんにそう言われるけど、よく分からない…何かしたっけ………?そういえば、さっきの記憶が曖昧なような……?

 

「そりゃ、ウェンディも心配するわよ!あたしたちだって―――」

 

「待て。今はその話は後にしよう」

 

「だな……お待ちかねだぜ」

 

「!ウェンディ…」

 

「……うん。分かってる」

 

 ウェンディが目元を袖で拭い、ハデスの方へと振り向く。よく分からないけど、ややこしいことは後回しだ。

 

「…これがマカロフの子らか。やはり面白い」

 

「お前…じっちゃんと知り合いなのか?」

 

「何だ、知らされてないのか…今のギルドの書庫にすら、私の記録は存在せんのかね」

 

 ……知らせるも何も、あそこまでマスターを痛めつけたのはどこの誰だよ。

 

「私はかつて、二代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター…プレヒトと名乗っていた」

 

「「「「!?」」」」

 

「嘘つけ!!」

 

「私がマカロフを、三代目ギルドマスターに指名したのだ」

 

「そんなのあり得るか!!ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!」

 

ナツさんがそう叫びながら、ハデスへと向かっていく。ハデスはそれを見て左手…正確には、左手の立てられた人差し指と中指の指先に魔力を集中していく。

 

「ナツさん!待って――」

 

「ぐあっ!」

 

「ナツ!!」

 

「くっ…防御結界(ディフェンド)円蓋(ドーム)!!」

 

 ナツさんがハデスから放たれた一撃に飲み込まれ、そのすぐ後こちらにも追撃をしてきた。咄嗟に結界を張って防御する。

 

「くそっ!!」

 

「ナツ!!」

 

「まだです!追撃、来ます!!」

 

「バン!」

 

「ぐっ!!」

 

 鎖攻撃は防げたけど…ハデスはナツさんや僕たちに銃でも扱っているかのように魔力を弾丸にして打ち出してくる。ナツさんの方にも結界を張りたいけど…一発一発が、重すぎる…!このままじゃ…

 

「ディ、防御結界(ディフェンド)(ウォール)…!」

 

「そんな結界では、防げんよ……バン!!」

 

「うあっ!?」

 

「ゴーシュ!!」

 

 魔力を一瞬長く込めただけで、結界を貫通させてきた…!?しかも、(ウォール)円蓋(ドーム)を二枚抜きするなんて…なのに、僕を後方へ吹っ飛ばすほどの威力。実力が、違いすぎるのか…!?

 

「ハハハ!私は魔法と踊る!」

 

「…弾性結界(バウンド)!!」

 

「何っ!?」

 

「がっ!いてぇじゃねぇか!!」

 

「俺もいてぇっての!!」

 

 皆を一カ所に固める為に一人先行しているナツさんをこっちに戻そうとしたんだけど…上手くいかなかったらしい。ごめん、ナツさん、グレイさん。

 

「何のつもりだ?汝の結界は…」

 

「それでも、諦めない…!防御結界(ディフェンド)!!弾性結界(バウンド)!!水晶結界(クリスタル)!!」

 

 (ウォール)円蓋(ドーム)(ボックス)を大量に作り出す。そして結界と結界の合間にクッション材として弾性結界(バウンド)水晶結界(クリスタル)を作る…ここまでしても防ぎきれるか……

 

氷造形(アイスメイク)(シールド)!!」

 

「換装・金剛の鎧!!」

 

「グレイさん、エルザさん…!!」

 

「守り切るぞ、ゴーシュ!!」

 

「ナツ達は少しでも休め!私たちが攻撃を通させはしない!!」

 

 まだ、反撃のチャンスはあるはず…!その時を、待つんだ!!

 

「良かろう……汝らの足掻きを見せてみよ!」

 

 

 

 




今回書くのがちょっと難しかったです。


一週間後くらいから、ようやく現実の諸事情が終わるのでもっと短期間で投稿できるよう頑張りたいと思います。




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