FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

56 / 96





第56話  透明ルーシィの恐怖

「だらしねぇな、ナツ!」

 

「ふーん、ルーシィ姉に叩き出されたのか」

 

「あぁ、折角一緒に仕事行こうと思ったのによ」

 

 どうやら、またナツさんがルーシィさんの家に入り込んだらしい。懲りないなぁ…ルーシィさんの家って鍵かかっていないんだろうか?確かグレイさんとかエルザさんもこの前入り込んでいたような…?

 

 シャルルの話だと、時々お風呂も使っているとか…それはさすがに怒られると思う。というかそこまでされているのに対策しないのはどうしてだろうか。

 

「でも、もう少し優しくしてくれても良いと思う!あんなだから、いつまで経っても彼氏が出来ないんだよ」

 

「そいつは言えてるな!」

 

「つか、彼氏が出来てもすぐ逃げられちまうんじゃねぇか?」

 

「元がお嬢様でも、中身は逞しいからな」

 

「真の荒々しさを持つ漢でなければ、太刀打ち出来まい」

 

「ルーシィも我らがシャドウギアのレビィを見習って!」

 

「もっと可愛くすればいいのによ!」

 

「私も、そんなにお淑やかなタイプじゃないと思うけど…」

 

 ルーシィさんが聞いたら怒りそうな内容だな…中身が逞しくない人なんて、このギルドにいない気がするけど。目の前の少女だって、礼儀正しくて良い子だと思うけどお淑やかってわけじゃ…

 

「…ゴーシュ?また変なこと考えてない?」

 

「いやいや、そんなことは」

 

 いい加減この感知能力どうにかしてほしいんだけど。心を見透かされているように感じる。

 

「テメェ、何すんだよこの野郎!」

 

「あ?何のことだよ」

 

「とぼけんな!今俺の頭から、酒ぶっかけやがっただろうが!」

 

「妙な言いがかりつけんな!」

 

「お前じゃなきゃ誰がやるんだ!」

 

「知るか!」

 

 急にマカオさんがワカバさんに怒り始めた…どうしたんだろう?なんかいつもの喧嘩騒ぎとは違うけど…

 

「いてて、何だよいきなり!」

 

「何すんだ!」

 

「先にやったのはそっちだろうが!」

 

「なんだなんだぁ!喧嘩かぁ!?」

 

 レビィさんの後ろにいたジェットさんやドロイさんまで喧嘩し始める。グレイさんは服を一瞬で脱いで喧嘩に加わろうとするし…いつも思うけど、それどうやってるんだろう。一瞬だからどう脱いでいるのか分からないし。

 

「どうしたの、急に?」

 

「なんか酒をかけられたとか何とか…」

 

 どんどん喧嘩の規模が大きくなり始める。…巻き込まれないようにカウンターあたりに待避しとこう。喧嘩に参加していないのは僕とイーロンとロメオ君と女性陣…あ、エルザさんが参加していった。というかなんでエルザさんにだけ椅子やらテーブルやらがピンポイントでぶつかるんだ。絶対誰かが意図的にやっただろ。

 

「エルザさんまで加わっちゃった…」

 

「こうなると思ったけど…」

 

「ハァ…成長してないのはエルザも同じみたいね」

 

「これ、建物壊れませんか…?」

 

「そろそろ止めさせないと!」

 

「キャーッ!どこ触ってんのよ!」

 

 その時、吹っ飛ばされたナツさんの方から叫び声と乾いた音が聞こえた。今の声…ルーシィさん?

 

 

 

 どうやらさっきまでの騒動の原因は、透明になったルーシィさんのイタズラらしい。さっきの会話を聞いて腹を立てたそうだ。何故透明になってしまったのかというと、七年前に自作した魔法入浴剤を使用したからなんだとか。で、今僕らの目の前には衣服だけが見えている状態で椅子に座るルーシィさんがいる。

 

「なるほど、こういうことか…」

 

「見れば見るほど妙な光景だな…」

 

「ちょ、ちょっとそんなに見ないでよ、恥ずかしいじゃない…」

 

〔不気味だ!!〕

 

「何よ!!」

 

 その場にいたほとんどの人が口をそろえて言ったのに対し、ルーシィさんが怒る。だって表情分からないんだもんなぁ…昼間だけどちょっとしたホラーだよ、これ。

 

「困ったことになったわね。とりあえず服を着せてみたは良いんだけど」

 

「元に戻れないんですか?」

 

「うん…それで皆に何とかしてもらおうと思って」

 

「なーに、別に気にすることねぇんじゃねぇか?面白いからそのまま一緒に仕事行こうぜ!」

 

「行けるわけないでしょ!誰か知らない?透明になる魔法を解除する方法!」

 

 確かに、こんな服だけ浮いた状態で依頼人に会ったらビックリしちゃうし…こういう時、解除魔導士(ディスペラー)がいてくれれば助かるんだけど。ウチのギルドでそんな魔法使える人いないし…困ったな。

 

「そんなこと言われてもなぁ…」

 

「んー……よーし、良い考えがある!」

 

「何!?」

 

「火で炙ってみれば何とかなるんじゃねぇか?」

 

 …え?

 

「そ、それってなんか根拠あるの…?」

 

「確か前にも、石になった私にそんなことしていたな」

 

「でも他に思いつかないなら…しょうがないんじゃないか?」

 

「うむ…漢なら、あれこれ迷わずにやるべし!」

 

 入浴剤ってことは、皮膚から浸入したわけだから…効果がないわけじゃない、か?でも、もうかなり時間経ってるし意味ないんじゃ…

 

「よーし、行くぞルーシィ!」

 

「俺も手伝うよ、ナツ兄!」

 

「待って、まだ心の準備が…!」

 

「「せーの!」」

 

「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃ、あちゃ、熱!!」

 

「うーん…効き目なしか」

 

「当たり前でしょ!」

 

 炎で炙られてもツッコミは忘れないルーシィさん。まあ、こうなるだろうとは思ってた。

 

「元気出してルーちゃん、きっと何か方法が…」

 

「ウィ、こんな時こそ俺の出番かな?」

 

「何か手があるの?」

 

「任せて、俺がルーシィの顔を描けばいいんだ!」

 

 そう言ってリーダスさんがルーシィさんの顔を描き始める。そしてほとんど一瞬でルーシィさんの顔が出来上がった。ちょっと違和感あるけど、まあ何も見えないよりはマシか。

 

「に、似てるような似てねぇような…」

 

「ホントのルーシィより美人だね!」

 

 目の部分が急に透明になったので、ちょっと怖い。そりゃ瞼の上に描いたからそうなるのはしょうがないんだけど。

 

「なんか、複雑…」

 

「だったら、これなら!」

 

「こんなのやだ!」

 

 そしてしばらく、お絵かき合戦が始まった。ハッピーみたいな顔になったり、エルフマンさんと同じ顔になったり…グレイさんが氷で顔を作ったけど、それが溶けて恐ろしいことになったのは言うまでもない。結局ミラさんが持ってきた週間ソーサラーの写真を切り取ってテープで固定することにした。

 

「ただいま~」

 

「ウェンディとシャルル、どこ行ってたの?」

 

「ルーシィの部屋よ。薬の瓶と…」

 

「星霊の鍵を持ってきました!」

 

「そうか、星霊に頼るって手があった!」

 

 さっきから姿を見ないと思ったら、そういうことか。でも多分、ルーシィさんの星霊の中で解決出来そうなのはいない気がする。でも、魔法薬の成分が分かれば何とかなるかも!

 

 星霊を試している間、僕は魔法薬をレビィさんとフリードさんの元へ持って行く。

 

「レビィさん、フリードさん」

 

「うん、任せて!」

 

「やってみよう」

 

 二人にも伝わったらしく、魔法薬の成分を解析していく。まあ、魔法薬のレシピみたいなメモが瓶に貼ってあったので時間はかからなかったが。解析が終了し、フリードさんが術式を発動した。しかし、特に何も変わらず。

 

「本当に効き目あるの!?」

 

「ある。ただし七年前の薬だから…」

 

「…解除するのも、七年かかるの」

 

「そんなに待ってられないわよ~!!」

 

 本当にどうしよう。多分術式で駄目なら制限結界(リミット)でも無理。七年間展開し続ける?それこそ無理ってものだ。

 

「って、何コレ?」

 

「ルーシィさん!?」

 

 直後、ルーシィさんが身につけている衣服や写真が薄くなり始めた…なんか本格的にヤバくないか?

 

 

 

「存在が消えかかってるのよ!」

 

 

 

「何だと!?」

 

 

 

「透明になるだけじゃなく、元々いなかったことになるってこと!」

 

 

 

「じゃあ、今頃ルーシィさんの部屋は…」

 

 

 

「空き部屋になってるはずよ」

 

 

 

「そ、そんな!あたしはここにいるわよ!ねぇ、皆――――」

 

 

 

「あれ…私、何の話してたんだっけ」

 

「さぁ…」

 

「何だ…この感じ」

 

「何かが足りないような…変な感覚だ」

 

「俺もだ…」

 

 何を話していたのか、思い出せない。何か大切なことを話していたような気がするんだけど…なんで集まっていたんだっけ?

 

「とりあえず、仕事にでも行くか」

 

「兄貴、次の仕事探すの手伝って下さいッス」

 

「え?あ、うん」

 

「あ、俺も一緒に行くよ」

 

 何だろう。いつもと同じ会話、いつものギルド…だと思うんだけど。何かが変だ。何がかは分からないんだけど、異常なことだけは感覚で分かる…ような気がする。気のせいなのかな…

 

 クエストボードに近づこうとしたその時、カウンターでご飯を食べていたナツさんが立ち上がった。

 

 

 

「よーっし!腹ごしらえも済んだし、仕事に行こうぜ!ルーシィ、ハッピー!」

 

 

 

「あいさーっ!」

 

 

 

「…!」

 

「「そうだ、ルーシィ!俺(オイラ)達と同じギルドの、同じチームの!」」

 

 ナツさんが言ったその一言で、その名前で、徐々に記憶が戻ってきた。皆も同じようで、ルーシィさんのことを皆が思い出していく。そして気がつくと、ルーシィさんが窓際に立っていた。レビィさんがルーシィさんに駆け寄り喜ぶ。

 

「魔法が解けた!」

 

「ナツさんがルーシィさんのこと思い出したから?」

 

「ギルドの絆は簡単には消えねぇってこった!」

 

「そういうことだぜ!」

 

「あんたたち、綺麗にまとめているけど…今回全く役に立ってないわよね?」

 

 シャルルの言うあんたたちとは、マカオさんやワカバさん、その後ろでドヤ顔しているマックスさん達である。シャルルのツッコミを受けても彼らは無視することにしたようだ。図星だったからかな…

 

「にしても、ただの魔法薬がこんな恐ろしいことになるなんて…」

 

「他の皆も、持ち物の管理には気をつけてくれ」

 

 エルザさんが天狼組にそう言って、全員が頷く。もうこんなことは起こらないようにしないと。…もし、また同じようなことが起きてしまった時の為に、新しい結界魔法を考える必要があるかもしれない。今回はナツさんが思い出してくれたから良かったけど、下手すればルーシィさんは誰にも思い出されることなく存在が消えてしまっていたかもしれない。…いや、多分フリードさんの術式の効果で七年後には解けたと思うけど。

 

「…ってハッピー!何する気――――」

 

「うわっ!?」

 

 ハッピーが蓋の外れた魔法薬の瓶を何処かに運ぼうとして中身を溢す瞬間を見ていた僕は、結界を駆使して皆を守った…そしてエルザさんにハッピーがシメられたのは余談である。

 

 

 




何とか日付変わる前に間に合った!今日遅くなったのは、朝一番に映画館に行っていたからです。もちろん目的はデジモンの最終章を見る為。自宅に帰ってきたのは夕方でした。

疑問点も多かったですが、途中泣きそうになった場面が何回かありました…涙腺緩くなったかもしれません(^^;)

……今回、デジモン達出てきてませんがね。しかもかなりダイジェスト。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。