というか、モチベーションが下がり気味だからかな…。
毎回で申し訳ありませんが、遅くなって申し訳ありませんでした!
ナツさん達最強チームにウェンディ、シャルル、ミッシェルさんが同行しルーシィさんの元実家――今は売りに出されているハートフィリア家の屋敷へと向かった頃、僕とイーロン、ロメオ君、そしてデジモン達は僕の自宅にいた。
「それじゃ、早速始めよう。時間が勿体ないし」
「兄貴、一体何をするんスか?」
「っていうか何で俺も?」
「イーロンにも話があるから。ロメオ君は暇そうだったからかなぁ」
「暇そうって…まあそうだけどさ」
これからはこの二人も戦闘に参加していくことになるだろう。レギオン隊と出会し、一対一では無いだろうけども強敵であることには変わりは無い。もう一人前同然のこの二人だが、
「まあ、ちょっと待っててよ。すぐ終わらせるから」
とりあえず、今はデジモン達と反省会だ。元々は彼らと話し合う為にわざわざ帰ってきたんだから。そう考えた僕は、デジモン達の方へと向き直る。
「レギオン隊のマリー=ヒューズ達との戦いで、僕らの欠点がいくつか見つかった…そのことについて、こうして話し合いたかったんだ」
「欠点…」
「皆、思い至る点はある?」
僕の一言に、ドルモンとプロットモンは俯き考え込んで、パタモンは僕の方を見て言った。
「僕とプロットモンが動けなかったこと、かな?」
いつもの間延びした喋り方でないことに少し驚いた。普通に話すことも出来るんだ…まあ、今はそんなことどうでもいいや。
「そう。今まで交代で常に君らの中の一体を出していたけど…ハッキリ言って、意味ないよね?今回みたいに勝手に出て行っちゃって、限界時間を迎えてたんじゃさ」
「ご、ごめんなさい…」
好奇心旺盛なプロットモンには酷なルールだったが、今までの行動を見返しているとほとんど守れた試しがない。今回は、プロットモン捜索でパタモンも同じ時間飛び回っていたから、ドルモンしか戦闘に参加できなかった。
「それに、この交代制のルールではもう一つ問題があった…僕も、気づいたのは今回の戦闘の後だったけどね」
「もう一つの問題?」
「……敵を、甘く見すぎだったんだよ。僕たちは」
今までの敵は強敵揃いだ。僕が戦った人…六魔のエンジェルも、煉獄の七眷属のラスティローズも、僕は仲間と協力しないと勝てない相手だった…エドラスの時は不意打ちしたからカウントしないけど。
とにかく、これからもそんな強敵達が僕らと戦うことになるというのに、なぜ交代制にしてしまったのか。強敵だということの認識の弱さのせいだろう。
「僕とこの中の誰か一体だけじゃ、これからの敵には相手にもならないのはよく分かった…だから、単純に三体に増やそう」
「ということは…」
「これからは基本三体ともデジヴァイスの中にいてもらって、戦闘では僕と一緒にチームで戦ってくれってこと」
「うぅ……分かったぁ…」
三体とも落ち込んでいるが、やっぱりプロットモンが一番ガッカリしている。それでも言うことを聞いてくれるのはちゃんと反省している証拠だろう…子犬が超落ち込んでいる姿を見ていると、精神的にダメージが来るというか…次の話にいこう。
「…で、君たちに守ってほしいことがあるんだ」
「守ってほしいことって?」
「僕の指示の
「だって、仲間を置いていけるわけ…!」
「その気持ちは痛いほど分かってる…でも、今回は一番危険に晒されていた仲間は他でもないルーシィさんだったよ」
僕の言葉にドルモンとプロットモンは疑問符を頭に浮かべている…ように見える。パタモンは何となく言おうとしていることを分かってくれたような反応をしている。やっぱりこの三体の中じゃ、パタモンが一番頭良いな。作戦考える時とか相談してみても良いかも。
「今回の敵の三人はルーシィさんを…というか、ルーシィさんが持っていた遺品の針を狙っていたでしょ?だからあの時にドルガモンが二人を抱えて飛んで逃げていれば、他の仲間達はどうなっていたと思う?」
「んん~……?」
「えっと…」
「…目眩ましだけして、ルーシィ達を追いかけたんじゃないかな~」
あ、話し方戻った。
「多分そう。だからあの時は、ルーシィさんを逃がすっていうのが全員にとって一番良い行動だった」
「そ、そんな…」
「まぁ、初めての戦闘だったからね…こうして振り返っているのは、次に活かす為だ。相手の狙い、こっちの目的、戦いの状況…その時の
「はーい!」
「オッケ~」
「…分かった!」
ここからだ。今回の敗北から、少しずつ学んでいけば良い。それが、僕達を強くする一番の近道だから。
さて、それじゃ…
「イーロン、ロメオ君」
「何スか兄貴!」
「話は終わり?」
「うん。ここからは、君たち二人とデジモン達も交えて戦闘訓練をするよ。ただし…」
「「ただし?」」
「全員で、僕と戦って貰う」
〔…は?(え?)〕
全員の表情が固まっているのを見て、僕は少しおかしくなって笑ってしまった。
☆
今までまだ早いと考えてやって来なかった僕やウェンディとの戦闘訓練。それが仇となって、今回の戦闘では僕を相手に本気で戦うことが出来なかった。
今回のマリー=ヒューズのように僕が操られた時、ベルベノのように僕の姿や魔力をコピーした敵と相対した時、そしてあり得ないとは思うけど…僕自身が敵になった時。そんな場合に今回のような調子では不味い。
そして今回の敵であるレギオン隊がもう襲ってくることがない今だからこそ、僕と全力で戦って貰うことにした。
「いい?僕に一撃でもいれたら君たち全員の勝ち。もちろん掠めただけでもクリアだ」
「でも兄貴、その怪我じゃ…!」
「心配されるほどの怪我じゃ無いよ。それに―――全力で来ないと、怪我するのはそっちだよ」
〔!?〕
今まで彼らに、というか仲間に殺気を放ったことはない。だからか、全員が一瞬身震いしたように見えた。良かった、ちゃんと威嚇出来たようで。今さっきああ言ったけど、まだ全身痛んでるんだよね。
「先手はそっちからいいよ」
「舐められたもんだぜ…!皆、行くぞ!」
一番最初に仕掛けてきたのはロメオ君。紫の炎――パープルフレアを球状に打ち出したが、何の問題も無く
「メタルキャノン!」
「
「うわっと!?」
横からのドルモンの攻撃は
「エアショット!」
「パープルネット!」
パタモンの空気弾に加え、下からはロメオ君が網状にパープルフレアを展開…ここまでは、ちゃんと連携出来ている。しかし、まだ戸惑っているのが約一名。
「…
「イーロン!!」
「…!ぐっ!?」
イーロンの方向へと反射させたことで、イーロンは紫色の炎の網に捉えられた後、パタモンの空気弾を食らい後方に飛ばされる。
「何やってんだよ!」
「す、すまねぇッス…!」
「君に言いたかったことは今のだよ、イーロン」
「言いたかったこと…?」
デジモン達の攻撃を躱したり防いだりしながら、僕は話し続ける。
「魔道舞踏会の時、君はベルベノに怒りに任せて攻撃したらしいね。君はどうやら戦闘に僕が絡むと、感情のコントロールが出来てないみたいだ」
僕がやられたと知れば仇を討とうと躍起になり、今のように敵として立ちはだかれば傷つけたくないという気持ちが優先されて咄嗟に動けなくなる。僕に依存しすぎているんだと思う。
「パピーハウリング!」
「くっ…」
「メタルキャノン!」
「エアショット!」
「
危ない危ない、イーロンへ話しかけるのに集中しすぎる所だった。プロットモンのパピーハウリングは相手の動きを止めるのに最適だなぁ…耳を押さえたくなる。っていうか、話している最中でも容赦ないんだね?そう教えたの僕だけどさ。
「戦いの最中に余計なことを気にしちゃ駄目だ。僕がどんな状態になったとしても、持てる力を出せるようにならないとね」
「でも、兄貴に何かあったりしたら、俺は…!」
「イーロン、君の目標は何?」
「…俺の?」
以前、天狼島に行く前に一度だけ今と同じ質問を彼にした。その時の答えは「兄貴と一緒に戦うこと」だった。それが叶っている今、次の目標が必要だ。僕をではなく、その目標を最優先にする。そうすればきっと、イーロンは化ける。
「俺の目標は…兄貴に、いや、兄貴を追い越すことッス!!」
「よし!仕掛けてこい、イーロン!皆で、僕に一撃食らわせてみろ!」
「はいッス!!」
ハッキリ言って今の僕とイーロンが戦ったら僕が勝つ。そんなことはイーロンも分かってるし、だから今回は五対一にしたんだ。
「ドルモン、進化だ!」
「え、でも…」
「大丈夫、自分を信じろ!」
「…!うん!!ドルモン、進化!!」
ドルモンが全身に力を溜めてそう叫んだのと、僕が額のゴーグルから光が発せられているのに気づいたのは同時だった。ドルモンも光に包まれ、獣竜型デジモンへと進化を遂げる。
「ドルガモン!!」
「
「ドルガモン、俺達を乗せてくれ!」
「ああ!」
「
「パープルフレア!!」
鎖のついた巨大な鉄球と、さっきよりも大きさも威力も増した紫の炎が僕へと放たれる。もう一度
「エア…!」
「
パタモンが背後から攻撃を仕掛けてきたので、それに反応して
「羽ビンタ!」
「よっ!」
「まだまだぁっ!!」
「
体を仰け反らせてパタモンの攻撃を避けたけど、パタモンはそのまま縦回転で攻撃してきた。咄嗟に左腕にだけ
「今だ!」
「頼むッス!!」
「せー…のっ!!」
ドルガモンの尻尾に捕まっていた二人が、遠心力で勢いよく僕の方へと飛んでくる。僕も
「
「
両手をクロスさせて放った一撃は、イーロンの鉄の盾に阻まれる。その結果、盾は粉々に砕け散り、イーロンは地面へと吹っ飛ばされる。
「いっけぇっ!!」
「うおおおおっ!!!」
ロメオ君が右腕に紫色の炎を宿し、僕の顔面へと一撃を入れた。
「や……った……」
「――いや、まだだよ」
ロメオ君の全力の一撃だったけど、きっと彼なら真っ直ぐに来ると思った。だって、彼が憧れているであろう人なら必ずそうするだろうから。僕が小さく展開した
「がっ……!」
そしてこの瞬間、僕は安心してしまった。刹那の、全力の僕らの攻防。これで彼らの手は尽きたと、
「――いっただきぃっ!!」
「いてっ」
僕の背中に乗っていたプロットモンに、耳を噛まれた。
☆
ドルガモンがイーロンと
「と、こんな風に勝ったと思った瞬間に逆転されることもあるから、最後まで油断禁物だよ…分かってると思うけど」
「肝に銘じとくッス!!」
なんで負けた僕が、負けた原因について教えなければならないんだろう…イーロンやロメオが自信を持ってくれるんだったら、それでいいか。情けないことこの上ないんだけどね…僕も頑張らないと。今はまだ昼だけど、ウェンディ達が行ったのは朝早くだ。そろそろウェンディ達が戻ってくるだろうしギルドで待ってた方が良い――――
「皆ーっ、何処にいるのーっ!」
「あ、ウェンディの姉御!」
「あれ…そういえばゴーシュ兄、安静にって言われてたような…」
「…ロメオ、イーロン、僕は家に戻るから上手く誤魔化しといて。行くよ皆」
「え、ちょっと…」
ギルドの方からウェンディとシャルルが来ているので、家で安静にしているフリをしに行こう。さすがにこんなに早く戻ってくるとは思ってなかった…デジモン達を素早く回収した僕は、身を隠しながら移動する。
『ねぇ、ゴーシュ』
「何?」
『これ意味ないんじゃ無い?ゴーシュがロメオとイーロンを連れ出したの、皆知ってるでしょ?』
「……」
そうだとしても、戦闘訓練をするとは言ってない。言ってないんだけど…僕の直感が、ドルモンの言う通りだと告げていた。
そのすぐ後、ロメオとイーロンのどちらかが言ったのか分からないけどウェンディに速攻で捕まり、ギルドに戻るまでの最中ずっと小言を言われ続けていた。