FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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第66話  動き始めた刻

 マリー=ヒューズとの激闘の末、時計の部品を回収することに成功した僕達は予定通りナツさん達がいる最後の部品があるとされている砂漠地帯へと向かうことになった。

 

『これ、時計のパーツなんだよね?』

 

「そうだけど…どうしたの?急に」

 

『これ、どの辺のパーツなの?』

 

 デジヴァイスの中にいるドルモンがそう聞いてきた。そういえば、考えたこと無かった…こんな球みたいな部品、時計にあったかな?僕達は揃って首を傾げる。

 

「そもそもこの時計って柱時計なのかしら?」

 

「さぁ…?でも針が人の大きさなんだから、本体はもっと大きいですよ、きっと」

 

「うわ、運ぶの大変そう…小さくて良かったね、エルフ兄ちゃん!」

 

「いや、どれだけデカかろうとこの腕一本で運ぶ!それが漢!」

 

 いやいや、多分無理。腕の長さ的に無理。もし本体部分を回収する班は大変そうだな…どうやって運ぶんだろう?ナツさん達の所が大きな部品だと楽だから、そうだといいな。

 

「っていうか、そっちはどうなの?」

 

『今の所大丈夫だよ~』

 

 今度はパタモンの声が聞こえる。プロットモンが話に参加してこないってことは…そういうこと?大丈夫かな…少し不安になる。

 

『それよりさ、あの人はそのままにしてて良かったの~?』

 

「マリー=ヒューズのこと?」

 

「気絶していただけで特にひどい怪我とかしてなかったし、良いんじゃない?」

 

「精神的に大丈夫かは保障しかねるけどね…」

 

 僕が小声で言った内容に、エルフマンさんが何度も頷く。ミラさんのこと見たら絶対思い出すよ、あの光景。まあ、最後の方は戦闘に参加する必要無かった気がするけど…多分ミラさんだけで良かった。起きてなかった場合しか考えていなかったから、仕方ないんだけどね。

 

「というか、マリー=ヒューズがあの場所にいたってことは他の場所にもレギオン隊の誰かが向かっていた可能性が高いですよ。今は早く合流して情報を集めるのが最優先です」

 

「ああ…特にバイロとかいう奴はギルダーツと互角だったって話だしな」

 

 そう、バイロが戦闘に参加した場合どの班であっても敵わないかもしれない…今は戦力がバラバラになってしまっているんだから、回収できたなら急いで合流地点に向かうべきだ。

 

 …そういえば、バイロってどんな魔法を使うんだっけ。ギルダーツさんの話だと魔法を無効化するって聞いたけど、多分それだけじゃない。レギオン隊のリーダーなのだから、他にも魔法を扱えると考えた方が良い。

 

魔法を無効化というのも十分強いんだけど…当然だけど魔導士とは魔法を駆使して戦う。近接戦闘が主体のナツさんとかも、魔法を力の源として身体能力を底上げして戦っている。つまり魔法を無効化されてしまった場合は正真正銘、格闘だけで戦わなければいけない。勿論他にやりようはあるだろうけど…それは多対一の時の話が殆どだ。どのように魔法を使ったとしても、バイロの観察眼が優れていれば問題なく対処されてしまうだろう。

 

「ゴーシュ、焦り過ぎても良くないわ。確かに急いだ方が良いかもしれないけれど、皆そう簡単に倒されるほど弱くない、でしょ?」

 

「…そうですね。すみません」

 

 焦って行動して、急いで合流地点に着いたとしてもそこで体力が尽きていたら意味が無い、ということは分かっているつもりなんだけど…何でか、落ち着かない。変にソワソワしてしまっているのが自分でも分かる。

 

どうして、こんなにざわつくんだろう…?

 

 

 

 辺り一面が砂、砂、砂。そんな光景が広がる中、不自然にポカンと大きな穴が空いている。下を覗き、人工物らしきものが見えた。

 

「ナツ達、こんなとこを降りたの?」

 

「随分深ぇな、こりゃ…」

 

「行きましょう。他の皆も中に入ってるはずよ」

 

「それじゃ早速…」

 

「ちょ、ゴーシュ!?」

 

 僕は戸惑うこと無くその穴へと飛び降りる。確かに結構な高さではあるけれど、穴の底は砂みたいだし。まあ着地の衝撃で靴の中だけじゃなく服の中まで砂が入ったりするのは嫌なので、弾性結界(バウンド)を展開して着地する。

 

 やっぱりそうだ。石の扉みたいな物がある。多分ここから入れるはずだ…にしても、この扉を潜ったら聖堂に辿り着くことが出来るのかな…今の高さから横に広がっているのか、地下に広がっているのか…どのくらい広いんだろ。

 

「もう!ビックリしたでしょ!」

 

「え?あ、すみません」

 

 三人とも僕と同じように弾性結界(バウンド)に着地し、リサーナさんからいきなり小言を言われた…確かにこういう魔法を使えるとしてもちゃんと言っておくべきだった。僕でも目の前で仲間が急に何の躊躇も無く飛び降りとかしたら焦って止めるだろうし。

 

「ふんっ!び、ビクともしねぇ…!」

 

 エルフマンさんが早速扉を開けようと押したり引いたり、上下左右にスライドしようとしたりと色々試してみたけど反応なし。何か特別な仕掛けがしてあるとか…?

 

「どうやったら開くのかな、これ?」

 

「困ったわね…」

 

「…………!そうだ、良いこと思いついた!皆さん、ちょっと離れていて下さい!」

 

 全員が扉から距離をとったのを確認した後、人の大きさくらいの水晶結界(クリスタル)を展開する。それを高速で回転させ、扉の真横(・・)の壁に突き立てる。ドリルのように壁を抉っていき、扉の向こう側に当たるように軌道を曲げ調節する。それほど時間をかけることなく、狙い通り奥の通路と繋がった。

 

「考えたわね、ゴーシュ!」

 

「さ、行きましょう!」

 

「…良いのかな、これ?」

 

「良いんだよ、豪快さを持ってこそ漢!」

 

 扉の向こう側には巨大な顔面の石像が四つと、部屋の中央にゼントピアの紋章のモチーフ…そして床にはまた不自然に開いた巨大な穴があった。

 

「さらに下りるのか…」

 

「これ、もしかしてナツ達?」

 

「きっとルーシィさんじゃないですかね」

 

「バルゴね」

 

 これ、本当にどこまで広がっているんだろう…重力とか強くなったりしないよね?

 

 っと、そろそろ戦闘準備しておかないといけないか。デジヴァイスを操作し三体を目の前に出現させる。

 

「あれ?もう出番?」

 

「そういうこと。ここから先は敵がいるのは間違いないと思う。だから今のうちに三体とも進化するよ」

 

「了解!」

 

「待ってました!」

 

「オッケ~」

 

 三体とも進化の光をその体から放ち、僕もデジヴァイスを目の所まで持ってくる。

 

「ドルモン、進化――ドルガモン!」

 

「プロットモン、進化――ブラックテイルモン!」

 

「パタモン、進化――ユニモン!」

 

浮遊結界(バルーン)!皆さん、これに乗ってください!」

 

 浮遊結界(バルーン)に乗り込み、防御結界(ディフェンド)を…馬車のあの、馬が引っ張っている部分?名前が分からないけど、ユニモンが引っ張りやすいように部品の形に展開。

 

「ドルガモンとユニモンは僕らを引っ張って、ブラックテイルモンは――」

 

「すごーい、毛並みがフワフワしてる~!」

 

「ホントね~」

 

 後ろを見ると、既にリサーナさんとミラさんに撫でられているブラックテイルモンがいた。ま、まあいいや。

 

「それじゃ二人とも、頼んだ!」

 

「任せて!」

 

「ああ!」

 

 バルゴが掘ったと思われる穴の中に入り、縦に広がった洞窟のような場所へと出る。多分ナツさん達の場合そのまま落ちただろうから、そのまま降下してもらう。結構な速さで、まるでジェットコースターみたいで少し楽しい。

 

 少しすると、棺のような物が左右の壁一面にズラッと並べられた広い空間へと出る。後ろの方には上へと続きそうな通路、その反対側には…またしても下に続きそうな巨大な穴が。

 

「まだ下があんのかよ!」

 

「どっちかしら?」

 

「うーん…」

 

 と、その時だった。途轍もなく膨れ上がる魔力を感じたのは。

 

「これって…!」

 

「下の方からね…」

 

「…急ぐよ、ユニモン!ドルガモン!」

 

「「ああ!」」

 

 さっきよりさらにスピードを上げ、一気に地下へと進んでいく。そして、辺りには地下都市のような場所へと辿り着いた。魔力を感じる方角を目で追うと、光を放っている部分がある。きっと、あそこで戦闘が始まっているんだ。

 

 

 

「あれ…?」

 

 

 

「感じていた魔力が…」

 

 

 

「消えたぞ…?」

 

 

 

 光を放っていた場所から一直線上にある建物が壊れていく。これは…何らかの魔法が放たれたのは間違いないけれど、不発したのか?っていうか、外れた?

 

 

 

「あ!あそこにナツ達が…!?」

 

 

 

 ナツさん達を発見出来たが、すぐ傍にはレギオン隊のダンとココ、バイロがいる。けれど少し様子がおかしい。ダンはナツさん達のすぐ傍にいるし、ココはバイロに何かを言っているように見える。

 

 

 

「…!まずいっ!」

 

 

 

 直後、先程と同じ光がバイロの持つ杖から放たれる。あれ程の魔力をまともに食らってしまったら、ただじゃ済まない。でも、僕の扱える魔法の中にはあれを受けきれる結界はない。

 

 

 

 最早直視することも困難な程に光が強まり、バイロとすぐ傍にいたココの姿が見えなくなる。そしてバイロの持つ光の槍が放たれる直前、どこかから現れた白い何かを視界に捉えた。

 

 

 

「貴様は…!」

 

「いつぞやは剣を交える暇も無かったが…ようやく会えたな、バイロ=クラシー」

 

妖精女王(ティターニア)…」

 

「気安く呼ぶな!逆上して仲間に矛先を向けるとはな。反吐が出る!」

 

「弱い者いじめしてんじゃねぇよ、ゴラァ!」

 

 エルザさんが金剛の鎧で防いでくれたようだ…辺りを見渡すと、グレイさんやガジルさんといった他の皆も集まっていた。どのチームも、時計の部品を持っている。っていうか、何でグレイさん達の傍にリオンさんがいるんだろう…後で聞けば良いか。

 

「っていうかゴーシュ!その馬なんだ!?」

 

「説明は後でします!今はバイロを!」

 

 他にも何人か気になっているようだったけど、今はそれどころではないので注意をバイロに向けるように伝える。

 

「というわけで、我々は五つの部品全てを手に入れた。残るは、貴様達がルーシィから奪った針のみ。渡して貰おう」

 

「…ならば取り戻すのみだ、妖精女王(ティターニア)

 

「この人数を相手にか?時計は我らが全て集めて封印し、管理する。大人しくそれを渡せ!」

 

「渡すわけにはいかんな。無限時計は元々ゼントピアの所有物、我らが管理する宿命にある」

 

「え!?」

 

「ほほう…」

 

「そうだったの!?」

 

「うんや。今初めて知ったぜよ」

 

「貴方方はこれに深入りしすぎた…覗いてはならぬ闇を覗いてしまった。最早、生きて帰ることも許されぬ!」

 

 

 

「抜かせ!行くぞ!!」

 

 

 

「皆ちょっと待って!アイツに魔法は―――」

 

 

 

「…笑止!」

 

 

 

 全員がバイロに向けて遠距離攻撃を放った。しかしバイロは慌てることなく右手に持っていた杖を振るい全ての魔法攻撃を無効化した直後…後方へと大きく吹っ飛ばされた。

 

 

 

「何っ…!?」

 

 

 

「当たった!?」

 

 

 

 ルーシィさんや、他ならぬバイロ本人が驚愕する。僕はバイロに接近し水晶結界(クリスタル)(ブレイド)で攻撃するも、バイロはもう一度魔法無効化を行う。それによって僕の結界は消されてしまう。

 

 

 

「ネコパンチ!!」

 

 

 

「ぐっ…!」

 

 

 

 僕の背中にくっついていたブラックテイルモンがバイロに殴りかかるが、二度目の奇襲は通用せず受け身をとられてしまった。

 

 

 

 バイロが無効化出来るのは魔法だけ。だったら魔法以外で攻撃すればいい。僕のパートナー達なら魔法では無い強力な攻撃が可能だ。さっきの全員での一斉攻撃は囮に使わせて貰って、本命はその遠距離攻撃の中に紛れていたドルガモンとユニモンの必殺技、パワーメタルとホーリーショットだ。そして今の近接攻撃も、無防備になったと思わせてブラックテイルモンに一撃を入れて貰う為だった。

 

 

 

「き、貴様…!!」

 

 

 

「キャッツアイ!」

 

 

 

「っ!これは…」

 

 

 

「パワーメタル!!」

 

 

 

「ホーリーショット!!」

 

 

 

柱百烈拳(ハンドレッド・トーティスト)!!」

 

 

 

 上からドルガモンとユニモンの必殺技が、そして正面からは僕の攻撃がバイロへと襲いかかる。ブラックテイルモンのキャッツアイで動けなかったはずだから、全て直撃したはず…これで、終わりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わった、はずだったんだ。

 

 

 

 




入り口の横穴作戦は狩人の漫画のネタです。

そして突然ですが、次回急展開。一週間以内には投稿する予定です。
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