FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回はOVA第四弾のお話となっています。




第74話  海合宿一日目

 ユニモンに浮遊結界(バルーン)を引っ張って貰ってしばらく経って、ようやく視界に目的地であるアカネビーチが見えてきた。リゾート地として有名で、海の家も結構な数があるし観光客もかなりの数がいる。

 

「やっと見えてきたッスね!」

 

「ナツ兄達、どこにいるかな」

 

「すぐに分かるさ。ナツさん達はやることが派手だから」

 

「皆、あれを見て!」

 

 ミッシェルさんの指さす方向を見ると、海で炎の…何だろう。海を炎の帯が走っている…と表現すれば良いのかな?多分、ナツさんがあそこで炎出しながら泳いでいるんだろう。ということは、あの周辺を探せば合流できるはずだ。

 

 

 

 無事にナツさん達と合流し、三ヶ月お世話になる民宿(ギルドの状況から値段はお察し)に荷物を置いて水着に着替える。今日一日はオフらしく、ナツさんやグレイさんは早速海を満喫していた。結構遠くまで泳いでいたし。そんな彼らに追いつくため、先程イーロンとロメオ、プロットモンは飛び出して行ってしまった。デジモン達は基本外に出さないようにしているんだけど…最初の一時間くらいは大目に見てあげよう。

 

『皆元気だね~』

 

「ごめんね、パタモン。ここまで運んでもらっちゃって」

 

『大丈夫だよ~。でもちょっと疲れたからしばらく休んでるね~』

 

 ドルモンもその内戻ってくるだろうけど、疲れてるだろうな…今度二体には何か労いの品を贈ろうかな。

 

「おーい、ゴーシューっ!」

 

 こちらに手を振っていたのはウェンディ達。勿論、これから海で遊ぶわけで水着に着替えているわけだけど…

 

「あれ、ロメオ達は?」

 

「……」

 

「ゴーシュ?」

 

「…え?あ、ロメオとイーロンはもう海に走って行きました」

 

「じゃあ、私達も行きましょうか」

 

「ええ。ウェンディとゴーシュ、全員分の飲み物でも買ってきてくれる?」

 

「へ…?」

 

「そうだね、結構暑いし…行こっか、ゴーシュ」

 

「あ、うん…」

 

 レビィさん達が海の方へと向かったのを見てから、シャルルの言葉に賛同したウェンディに手を取られて近くにある海の家へと向かうことになった。来たばっかりだからまだいらないと思うんだけど…

 

 どうしよう…正直言って落ち着かない。好きな女の子が水着で、ポニーテールも凄い似合っているし…っていうか、ウェンディはどんな髪型も似合うし髪も綺麗だから余計可愛く見えるんだけど…って、僕は何を考えているんだろうか。

 

「ゴーシュ、ここはどうかな?」

 

「ん…良いんじゃない?ジュースとかソフトクリームもあるし」

 

 とにかく、今は変なこと考えていたらウェンディに失礼だ。サッサと目的を果たすとしよう…海の家ってやっぱり焼きそばとかビールとか定番なんだな。焼きそばって日本の文化では…?

 

「ねぇ、ソフトクリーム食べていかない?」

 

「そうだね…味はどれにする?」

 

 バニラ、チョコ、ストロベリー、抹茶…抹茶?えっと…あれ?また日本…?いや、きっと東の方の人達が焼きそばとか抹茶味とかの食文化を伝えたんだ。きっとそうだ。そうだと思い込もう。

 

「うーん…私はストロベリーかなぁ」

 

「じゃあ僕は…抹茶にしようかな」

 

「抹茶って珍しい味だね~…結構チャレンジャーなんだね」

 

 いや、本当に抹茶味なのか確かめたくなっただけです、前世日本人として。一番好きなのはシンプルにバニラだけど、抹茶味とか転生してから初めて見たからつい…

 

 とりあえずジュースを買う前にソフトクリームを二つ買ってみる。そして店員さんから受け取ってみると…確かに、抹茶色だ。僕の右手には抹茶色のアイスがある。とりあえずストロベリーの方をウェンディに渡す…その哀れむような視線を止めて下さい。

 

「うわぁ…」

 

「いや、そんな顔しないでよ」

 

「だって、何か、その…あ」

 

 ウェンディが次の一言を言う前にソフトクリームを一口食べる。

 

「……」

 

「ご、ゴーシュ…?大丈夫…?」

 

「…抹茶だ」

 

「え?」

 

「本当に抹茶味だよ、これ…」

 

 凄い懐かしい味…!前世はそこまで抹茶味のアイスとかそこまで好きじゃなかったんだけど、ちょっとした感動が…!しかしウェンディは僕の方を見て、コイツ大丈夫かって感じの目をしている。

 

 

 

 あ、いいこと思いついた。

 

「ウェンディ、ちょっと食べてみる?」

 

「え…」

 

「大丈夫だって、美味しいから」

 

「いや、でも…」

 

 うん、目に見えて困ってる。スイーツ好きとしては食べたいだろうけど、得体の知れない物を食べる怖さで葛藤が生まれている。ちょっとした仕返しのつもりだったけど、実際はただウェンディにも食べてみて貰いたいだけ。

 

「じゃあ、ちょっとだけ…」

 

「ウェンディもチャレンジャーだね」

 

「だって気になるもん…それじゃ、いただきます」

 

「どうぞ」

 

「あー…むっ」

 

 僕の持つソフトクリームを一口食べるウェンディ。恐る恐るといった感じだったけど、次第にその表情が笑顔になっていく。

 

「ホントだ、美味しい!」

 

「でしょ?意外と美味しいよね」

 

 良かった、気に入ってくれたみたいだ。ウェンディが甘いもの好きなのは知っていたけど、抹茶味ってどうなんだろうと少し思ってしまったし。僕も前世で抹茶味食べるようになったのは成人してからで、小っちゃい頃は少し毛嫌いしてた。

 

 その後僕らはソフトクリームを食べ終えてからジュースを買ってシャルル達の元へと戻ることにした。そしてその事をシャルルとかハッピーにからかわれた。

 

 

 

 グレイさんが海を凍らせたり、それをナツさんが吹っ飛ばしたことで氷塊が海の家が並ぶ砂浜へと降り注ぎそうになったけれど、皆が特訓の一環として壊したり、取りこぼしを僕が結界で守ったり…途中から修行になったけれど、久しぶりに遊んだ気がする。明日からはちゃんと修行しないとな。

 

『へー、そんなことがあったんだ』

 

「うん、明日ドルモンにもソフトクリームあげるね」

 

『えー、ドルモンだけ?』

 

「はいはい、ちゃんとパタモンとプロットモンの分も買うって」

 

「お前ら、飯行くぞ!」

 

「もう空腹で死にそうだぜ」

 

 すっかり日も暮れて、僕らは民宿へと戻って来た。部屋に備え付けられている浴衣に着替えて、ジェットさんとドロイさんの声かけで夕飯を食べに行くことになった。因みに今僕らは男性7人、女性6人とかなりの大所帯なので食事は少し広めの大部屋を借りて一緒に食べることになった。ハッピーとシャルル、デジモン達は計算には入れていないけど、まあ問題ないだろう。

 

「しっかし、ボロい民宿だなぁ」

 

「そういや前にアカネビーチに来た時って、すっげぇホテル泊まったよな!」

 

「忘れたのか?あれはロキがチケットくれたから泊まれたんだろうが」

 

 僕らが加入する前の話か…良いな、高級ホテル。一度でも良いからそういう所に泊まってみたかった……あ、そういえば思い出した。お花見の時のペアチケット、まだ家にあったな…いつかのんびり出来るようになったら行ってみたいなぁ…

 

「まあ、今の内のギルドじゃ予算的にここでも一杯一杯だよ…」

 

「んなことより腹減ったぞ」

 

「俺も!」

 

「同じくッス!」

 

「よっしゃ、食いまくるぜ!」

 

 

 

 大部屋の襖を勢いよく開いたナツさんとグレイさん。しかしそこで待ち受けていたのは…混沌だった。

 

 

 

「だ、誰だ…女達に酒飲ましたのはぁ!」

 

 そう、酒。部屋に酒瓶が5,6本は転がっていた。エルザさんは悪酔いしていて、ジュビアさんはずっと泣いている。反対にレビィさんはずっと笑っていて、ルーシィさんは…なんか喋り方が子供っぽくなっている。で、ウェンディは目を回して横になっていた。

 

「りょ、料理が…」

 

「全部食ったのか!?」

 

「し、信じらんねぇ…」

 

「何でこの部屋に酒が…」

 

「女将ぃ!何でここに酒が――ぐはっ!?」

 

 その時、グレイさんの頭にお猪口が直撃。どうやらエルザさんが投げたらしい。

 

「うるさいぞグレイ…お前もこっち来て飲め。そして酒を注げ…ってか酒を注げぇい!!」

 

「超絶めんどくせぇ…がっ!?」

 

 あ、今度はエルザさんが持っていた酒瓶がヒットした。

 

「駄目ですぅ!グレイ様はジュビアのもの、ジュビアのものなんですよぅ!」

 

 既に女性達は出来上がってしまっているようだ…そういえば、シャルルとミッシェルさんは?あの二人なら止めてくれるはず…!?

 

「こらぁ!ちゃんと走りなさい、アンタは馬なのよ!」

 

「オイラ猫だよ…」

 

 まさかシャルルまで飲んでいるなんて…さては、エルザさんとかに飲まされたか?で、ミッシェルさんは…

 

「ムニャ……姉さん、大好きぃ…」

 

「おい、ミッシェル!起きろって!」

 

「こんなトコで寝たら風邪ひく…んぐっ!?」

 

「ちょ、おい!」

 

「フフフ…幸せぇ…」

 

 寝ているミッシェルさんを起こそうとしたロメオとイーロンが、反対に彼女の抱き枕になってしまっている…ミイラ取りがミイラになるとはこのことか。

 

「ウェンディ、大丈夫?」

 

「目が回る~…」

 

 …うん、ウェンディが一番平和的だな。っていうか、まだ未成年(この国では15歳からお酒が飲めるが、ウェンディは12歳)なのに飲ませたら駄目だよ…あ、もしかしたらウェンディの魔法で酔いを覚ますこととか出来るかも…!

 

「ウェンディ、ウェンディ!」

 

「んぁ……ゴ、シュ?」

 

「そうだよ、ゴーシュだよ。ちょっとお願いがあるんだけど…」

 

「ぅん…頑張、るぅ…」

 

「え、ちょっと…うわっ!」

 

 ウェンディは立ち上がろうとしたがすぐによろけてしまい、今度は僕のいる方へ倒れそうになる。咄嗟に支えようとしたが、自分の浴衣を踏んでしまったのか体勢を崩し、僕は背中から倒れウェンディは僕の上に倒れ込んでしまう。

 

「ウェンディ、怪我は…」

 

「クラクラする~…」

 

 …これはしばらく動かさない方が良かったか。無理させちゃったな…仕方ない、しばらくこのまま休ませてあげよう。僕動けないけど。

 

「ん……んぅ…」

 

「!?ちょ、ウェンディ…!」

 

 なな、な、何で僕の首に手を回して抱きついて…!ま、まさか抱き枕か何かと勘違いしている…!?この体勢、色々と辛い…!

 

「だぁーーっ!!これは妖精の尻尾(フェアリーテイル)存亡の危機だ!男共集まれ、作戦会議だーっ!」

 

 …ごめんなさい、ナツさん。多分今無事なのはナツさんだけだよ…グレイさんはジュビアさんに捕まってるし、ジェットさんとドロイさんはエルザさんに伸されているし、ロメオとイーロンはミッシェルさんに捕らえられて、ハッピーはシャルルの乗り物扱いだ。僕も動きたくても動けないです。

 

「全…滅……!?」

 

「おんぶして、おんぶ~」

 

 ナツさんの背後から抱きつくルーシィさん。ああ、遂にナツさんにも魔の手が…。

 

「い、嫌、だ…」

 

「おトイレ行きたい~、連れてって~」

 

「ナツー、いっそげーっ!頑張れーっ!」

 

「だぁーっ、くっそ!めんどくせぇーっ!!」

 

 

 

 結局僕らが解放されたのは、二時間ほど後のことだった。

 

 

 

「気持ち良い~…!」

 

「はぁ~…やっと目が覚めてきました」

 

「全然記憶に無いのだが…なぜ男共はあんなに怯えていたのだ?」

 

「さっぱり分からないわ」

 

 ルーシィ達女性陣は酔いを覚ました後、温泉に入っていた。先程までのことは全員が殆ど覚えておらず、男性陣の怯えように疑問符を浮かべていたのは言うまでも無い。

 

「そういえばルーちゃん。さっきのナツとのおんぶ、なんか良い感じだったね!」

 

「おんぶ?…もしかして、ナツと!?」

 

「何今更赤くなってんの!」

 

「そういえば、ウェンディちゃんもゴーシュ君と良い雰囲気でしたね。二人とも顔を真っ赤にしてて可愛かったわ」

 

「い、言わないで下さい~……頑張って、思い出さないようにしてるんですから!……なんで私、あんな恥ずかしいこと…」

 

 ウェンディは顔を真っ赤にして、温泉に顔を半分ほど沈めている。シャルルはその横で彼女を落ち着かせるように頭をポンポンと撫でる。

 

 記憶が少しあるのはレビィ、ミッシェル、ウェンディの三人。レビィとミッシェルは単に飲んだ酒が少なかったから、ウェンディは酔いが覚めたときにゴーシュが自分の下敷きになっていたからである。

 

「はいはい、ご馳走様!それより今はルーちゃんだよ!」

 

「いや、別にあたしはナツとはそんな関係じゃ…」

 

「え?だってナツとルーちゃんって…」

 

「お互いに好き、ですよね?」

 

「はぁっ!?」

 

 レビィとジュビアの発言に、ルーシィもまた顔を真っ赤にする。それからルーシィは必死に否定し、以前ナツの家まで仕返しにつけていったという話をしたが、結局は惚気を聞かせただけだとレビィに指摘されて何も言えなくなってしまう。

 

「ウェンディは何か無いのか?」

 

「へ?」

 

「そうよ、あたしもウェンディの話聞きたい!」

 

 ルーシィは自分に向いている矛先をウェンディに変えようと必死でそう言った。

 

「ルーシィみたいな話を期待しているのなら無駄よ?この二人、家でもいつもと同じような感じだから。それでいてこの子は今で十分幸せとか言うんだから」

 

「ちょ、ちょっとシャルル!」

 

「…それは問題だな」

 

「え…?」

 

「うん…好きな女の子と一緒に暮らしているのに、何も変わらないなんて」

 

 エルザとレビィの言葉で、ウェンディの心は不安で押しつぶされそうになる。その様子を見て、シャルルは慌てて弁解する。

 

「で、でも私やイーロンとか、ロメオにデジモン達もいるから、二人とも恥ずかしくてそんな雰囲気にはなりづらいのかも知れないわね」

 

「なるほど…そういえば、まだお前たちは同棲して間もなかったな」

 

「ま、まあそんな落ち込まないでウェンディ!まだ二人は小さいんだし、これからだって!」

 

「は、はい…」

 

 どうやら何とか持ち直したようだ。ウェンディの表情を見てシャルルはそう思った。

 

「とにかく、明日からは特訓頑張るのみ!」

 

「そうですね、ジュビアも頑張ります」

 

「私も!」

 

「私も、もっと強くなります!」

 

「ああ、まだ合宿は始まったばかりだ」

 

「目指せフィオーレ一、ですね!」

 

 こうして女性陣は士気を高めつつ、各自部屋で休息をとることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 因みに、男性陣の暴走は一人の少年によって事前に食い止められたということは、彼女達は知らない。

 

 

 




かなり久しぶりに恋愛っぽいのを書いた気がします。

そして今更ですが、感想や指摘などいつでもお待ちしています!



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