FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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前回の更新からかなり時間が空いてしまいました!お待たせしてゴメンナサイ!


そして今回は少し短めです。


第77話  大魔闘演武に向けて

僕らは三ヶ月の修行を終え、大魔闘演武まで残り一週間という日にギルドへと戻って来た。

 

「皆さん、お久しぶりです!」

 

「久しぶり、ウェンディ!そっちも修行は上手くいった?」

 

 たった三ヶ月だというのに、本当に久々な気がする。皆から感じる魔力も桁違いだし、充実した修行をすることが出来たようだ。こちらに駆け寄ってきてくれたキナナさんがそう尋ねてくる。

 

「そんなこと、聞かねぇでも分かるぜ!」

 

「ゴーシュ達、なんかもうブランク感じないかも…」

 

 しかしそんな修行の日々を送っていたのは僕らも同じ事。きっと他の皆より充実していたんじゃないかとも思っている。あまり無益な争いは好まないけれど、ちょっと力比べをしてみたいが…マックスさんやラキさんはヘコんでしまっているし、見た所ここに戻って来ている天狼組は僕らと…って、誰も帰ってきてないし。

 

「お前ら、ナツ達も一緒じゃなかったか?」

 

「そういえば、見当たらないわね?」

 

「あ、そのことですか…」

 

 事の経緯を完結に説明する。といっても、途中から別行動をしたということだけ言って、星霊界がどうのという話は伝えていない。余計な不安を与える必要もないし。

 

「じゃあ、お前らは何処で修行していたんだ?」

 

「天狼島です」

 

「天狼島ぁっ!?」

 

「俺達だって入ったのはあの時だけだってのに…ってちょっと待て。ロメオとイーロンも行ったのかよ!?」

 

「へっへーん!」

 

「その通りッス!」

 

 そう、天狼島こそ僕らが新たな修行場所に選んだ場所だ。あそこならばデジモン達や僕らが本気を出しても何の問題も無いし人目を気にする必要が無い。修行をするにはうってつけの場所である。

 

「おい、どういうことだよ!」

 

「いや、そんなこと言われても…ちゃんと行く前にマスターの許可は取りましたよ?」

 

 マックスさん達から集中砲火を受けそうになった…S級試験に参加したこと無い人達は羨ましがるだろうとは思っていたけれど、ここまでとは…ロメオとイーロンが自慢するから、思わぬとばっちりである。

 

「それよりさ、俺達と勝負してくれよ!」

 

「今なら良い勝負が出来ると思うッスよ?」

 

「ほーう、言うじゃねぇか!」

 

 この会話の後、ギルドの裏で僕らは模擬戦をすることになった。

 

 

 何でか分からないけどその後、マックスさん達…っていうかそれから次々と帰ってくる天狼組までもが模擬戦に参加し始め、数日に渡る喧嘩大会になってしまった。皆がどれだけ強くなったのかも知ることが出来たのだから、良しとするべきなのかも知れない。でもだからといって、総当たり戦みたいにする必要は無いと思う。絶対そうだ。

 

 

 

 さて、ここで僕らの現在の戦力を確認しよう。

 

 

 

 まずはイーロン。造形魔法が豊富になり、単純に作った物の強度も増した。元々武器を扱うセンスはズバ抜けていたが、さらに技術も磨きをかけることが出来たようだ。マックスさん達に勝利し勢いづいていた所を天狼組に敗北した。まあ十分にレベルアップ出来ているようだ。

 

 

 

 次はロメオ。彼も七色の炎魔法、中でも紫の炎(パープルフレア)の扱いは既にマカオさんと同等かそれ以上だ。僕も全部は見たこと無いけれど、七色の炎全部を扱えるようになったのではないかと思う。模擬戦では青と黄色と紫しか使っていないけど。戦績はイーロンと大体一緒だ。

 

 

 

 意外なのはシャルルだ。彼女は世界図書館で変身魔法に関する魔導書を手に入れ、秘密裏に習得しようとしていた。持続時間は今の所数秒程度ではあるものの、既に人型にはなれるようだ。今後は変身の持続時間を延ばすことが課題だと本人が話していた。確か、彼女が人型に変身できるようになるのはこの時期では無かったはずなので、これは喜ばしいことだと思う。もしかすると彼女は変身魔法の適性が高かったのかもしれない。

 

 

 

 そしてウェンディ。いくつか攻撃用の魔法を習得し、付加術も強化されている。僕ら四人の中で接近戦が一番強いのは多分彼女だと僕は思っている。勿論、滅竜奥義も二つとも習得することにも成功したようだ。まあ、片方はまだ使ったことが無いので分からないと言っていたけれど。あまり模擬戦には参加しないようにしていたが、天狼組の皆にも勝利することが出来ていた。S級のミラさん相手には戦おうとは思えなかったようで棄権していたが。怖がりが直ったわけではなかったようだ。

 

 

 

 ついでに、デジモン達だが…天狼島での特訓により、全員が完全体へと進化出来るようになった。ちゃんと完全体の状態での戦闘訓練も何度もやっている。彼らも模擬戦に参加しようとしていたんだけれど…人目につくから僕が止めた。必殺技の威力で余波が…っていう理由だったけど、そこは別に問題なかった。フリードさんの術式や僕の結界があったし。問題は姿が大きすぎること。マグノリアに近い場所で戦っていたので、何度もクドいようだが町の人に見られてパニックになる恐れがある。過敏に反応しすぎと思われるかも知れないけど、本当に人に見られたら大変だ。高確率で討伐対象として依頼が貼り出されたりするかもしれない。

 

 僕の予想では、天狼組の皆とも良い勝負出来るんじゃないかと思う。相性によっては勝てるかもしれない。

 

 

 

 と、最後に僕。特訓の成果は、新たな結界魔法が外殻の結界(シェル)を含め六つ。そして“緑竜”の滅竜魔法をかなり高いレベルで扱えるようになったおかげで接近戦もこなせるようになった。実はもう一つ結界魔法を習得しようとしていたんだけれど…完成するのが間に合わなかった。あと一歩で完成しそうなんだけれど、失敗の理由が分からないんだよなぁ…

 

 出来ないのは仕方が無い。で、僕の模擬戦の結果は大体ウェンディと一緒。天狼組の皆にも何とか勝利することが出来た。ミラさん相手にも戦ってみたけど、攻め手が足りずこっちが途中で降参した。緑竜の滅竜魔法という攻撃手段を得たとはいえ、僕の本質はやっぱり防御なんだなと実感したよ…でも、加減されていただろうけれど全ての攻撃を防ぐことが出来たのは嬉しかった。

 

 

 

 とまあそんな感じで、数日に及ぶ模擬戦という名の喧嘩大会はようやく終わった頃…ようやく、ナツさん達が帰ってきた。

 

「皆さん、無事だったんですね!」

 

「心配をかけたな、ウェンディ。お前たちの修行は上手くいったか?」

 

「勿論だぜ、エルザ姉!」

 

「俺達、マックスの兄さん達なら勝てるようになったんスよ!」

 

「凄いじゃない!マックス達だって強くなってるのに」

 

「ロメオ君もイーロン君も、随分強くなれたのね」

 

「俺達だって強くなってる…はずだ」

 

「…?はずって?」

 

 予想通り、バルゴの星霊界の危機という話は嘘だったらしい。七年の凍結封印からルーシィさんが帰ってきたことを星霊達も祝いたかったらしく、ナツさん達はその宴に行ってきたようだ。星霊界で宴会という、普通ならば絶対にしない体験。ルーシィさんが星霊に愛されていたからこそ出来た貴重な体験だが、その代償は大きかった。星霊界で一日を過ごすと、アースランドでは三ヶ月経つのだ。というわけで、ナツさん達がアースランドのアカネビーチに戻って来たのは五日前。

 

絶望しかけたが、そこで思わぬ出会いがあり光明が見えた。ジェラール…あ、勿論アースランドの方のジェラールと、元悪魔の心臓(グリモアハート)のウルティアとメルディが接触してきた。彼らはこの七年で牢から脱獄し、完全独立ギルド・魔女の罪(クリムソルシエール)を結成した。彼らはゼレフの手がかりを探しているとのことで、ナツさん達にある調査を依頼し、その前払いの報酬として誰でも持っているという魔力の器、第二魔法源(セカンドオリジン)を解放して貰ったそうだ…かなり痛かったらしい。

 

 で、ある調査というのは、毎年開かれる大魔闘演武の開催中に妙な魔力を感じるそうだ。妙な魔力というのは、ゼレフに似た邪悪な何か。その魔力を探りできる限りの調査はしたが何も得られず、残るは大魔闘演武の会場のみ。目立つ場所は避けなければならない為、ナツさん達に依頼してきたということだ。

 

 

 

 まあとにかく、ナツさん達もちゃんとパワーアップしてきたということだ。僕達と同じようにナツさんと戦ったマックスさんが秒殺されていたから間違いない。けど、どうやらまだ実感はないそうだ。

 

「俺達も一度アカネビーチに戻った方が良かったんじゃね?」

 

「そんな方法があるなら、俺達もパワーアップしたかったッス…」

 

「こらこら、二人とも!楽してパワーアップなんて考えたら駄目だよ!」

 

「ああ、それにあれは…興味本位で受けるもんじゃねぇ。生半可な覚悟じゃ耐えきれねぇ痛みだ」

 

 グレイさんに諭されて、ロメオとイーロンも馬鹿な考えは止めてくれたようだ。確かに第二魔法源(セカンドオリジン)の解放なんてウルティアさんじゃないと出来ないだろうし、一度解放出来れば格段に強くなれるのは間違いない。でも、こういう地道な努力を度外視した方法なんて本来はとるべきではないのだ。まだまだ強くなる余地があるなら尚更だ。

 

「おお、ナツ達も戻って来たか」

 

「お、じっちゃん!」

 

「とりあえずギルドに集まってくれぃ」

 

 マスターの呼びかけに答えて、僕らは全員ギルドの中へと移動する。そして遂に、大魔闘演武に出場するメンバーが呼ばれた。

 

「ナツ!」

 

「よっしゃ!」

 

「グレイ!」

 

「当然だな」

 

「エルザ!」

 

「お任せを」

 

「そして、ルーシィにウェンディ!」

 

「「ええ!?」」

 

 最後の二人が何故か驚いている。そしてウェンディはマスターの目の前まで移動する。

 

「無理ですよ!ラクサスさんやガジルさんもいるでしょう?それにゴーシュだって…」

 

「だってまだ帰って来ないんだもん…」

 

「大丈夫だって、ウェンディ。一緒に修行して、僕とウェンディはほぼ互角。だったらまだ攻撃用の魔法も習得しているウェンディが出るべきだよ」

 

 僕は相手の攻撃を防ぎきる自信はあるけど、どうしても攻め手に欠けるのは間違いない。

 

 エルザさんの掛け声で他の皆も鬨の声を上げる。きっとこのチームなら、勝ち抜いて行けるだろう。ウェンディも最初こそ緊張した様子だったけれど、やる気の方が勝っているようだし大丈夫だと思う。

 

「ゴーシュ、ちょっと来てくれる?」

 

「はい?」

 

 他の皆は王都へと向かう準備を始める為解散したんだけど、ミラさんから突如呼び止められた。他に残っているのはマスターとジュビアさんくらいしかいない。

 

「どうしたんですか?」

 

「うむ、実はな…お主ら三人にも大魔闘演武に出て貰おうと思うのじゃ」

 

「え?それはグレイ様やルーシィが出るのでは…?」

 

「ルールブックを見る限りだと、一つのギルドに対してチームを二つ出場させることが出来るみたいなの」

 

「まだガジルとラクサスは帰ってきておらんが、奴らが間に合うようであればお主らもBチームとして参加して貰う!」

 

 僕がBチームに…エルフマンさんやカナさん、雷神衆の三人の誰かとかの方が勝てる気がするんだけど。本来は誰が出ていたっけ…カナさん?

 

「僕じゃ攻め手に欠けるのは間違いないと思いますが…」

 

「ゴーシュは十分強いわよ?私でも勝てなかったし」

 

「お前さん達の模擬戦は見ておった。今のお前さんなら、S級魔道士を相手にしても十分戦えると判断したということじゃよ。ナツ達Aチームには内緒じゃぞ?」

 

「…マスターがそう言うなら従いますけど」

 

 というわけで、僕も大魔闘演武に参加することになってしまった。こうなったら大魔闘演武までの間にもっと特訓しておかなければ!

 

 

 

 




更新ペースを安定させるって難しいですね…というか安定することって僕の場合なさそうです。

あと、前話で出した新しい結界の詳細を書いておくのを忘れていたので書いておきます。



外殻の結界(シェル):表面がゴツゴツとしている青色の結界。魔力量によって強度や範囲を変えることが出来るが、ドームや球形にしか展開することが出来ない。イメージはゼルダの伝説BotWのダ〇ケルの守りを青くしたような感じ。

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