ちょっと遅くなりすぎですよね…すみません。
というわけで、いっそのこと年末ということで初めての二話連続更新です!
『さあ、今年もやってまいりました!年に一度の魔法の祭典、大魔闘演武――!!』
実況の声が、ドムス・フラウ中に響き渡る。予選を勝ち抜いた8チームがこの本選に参加でき、僕ら
あの予選の内容、強さよりも魔法の応用力とか機動力を試されている気がする。地形や方角を把握したりとかマッピングに便利な魔法や、仲間を運んだりする移動系の魔法の使い手がいるチームが勝ち抜きやすいと思う。
案の定、Aチームは予選8位だったようだ。同じギルドとはいえ、今回はマスターから秘密にするように言われていたのでギルドの皆とも連絡を絶っている。だからAチームが勝ち残っているかどうかも分からない状況だった。ただ、マスターからある知らせは届いていたので正直かなり不安だったんだ。
「良かった…ちゃんと勝ち残っていたようで」
「グレイ様なら当然です!1位もあり得たでしょうに…きっと、ルーシィとかが足を引っ張ったんでしょう」
「どうせ手当たり次第に喧嘩吹っかけたんだろ」
確かに、ナツさんにグレイさん、何気にエルザさんも喧嘩仕掛けやすいからなぁ…一緒に仕事行ったら大変なんだよね。ルーシィさんの苦労を、身をもって知った。で、その喧嘩の過程で色々壊れるし。
「大丈夫?ゴーシュ」
「ミラさん…大丈夫です。ありがとうございます」
どうやら表情に出てしまっていたようだ。気を取り直して、実況の声に耳を傾ける。
そしていよいよ、僕らが本選会場に入場する番が来た。こんな大観衆の前に出るなんて初めてだ。でも、この緊張はそれだけではない。もしかすると、今回出場している魔導士で…僕らを標的とした奴がいるかもしれないのだ。
☆
時は遡って、大魔闘演武予選である
ゴーシュと別れた後、ウェンディとシャルル、イーロンの三人は真っ直ぐにAチームの指定宿に向かっていた所を何者かに襲われていた。イーロンが二人を庇うようにして前に出た直後、彼が倒れたのだ。
「イーロン君!?」
「ちょっと、どうしたのよ!?」
イーロンの傍には、黒い小さな生き物。真夜中の暗がりに紛れ、自分達を襲ってきたということを認識した二人だったが、臨戦態勢に入る前に飛びかかってきた。この時、ある人物が助けてくれたのだ。
「ブレビー」
突然彼女達の目の前で爆発が起こった。小規模だった為、彼女達に怪我はなかったが、黒い生き物は爆発に巻き込まれ大きく吹っ飛ばされる。だがそれは決してやっつけたからではなく、その生き物は敢えて爆風をその身に受け、そのまま何処かに隠れ逃げおおせてしまった。
「大丈夫か?」
「アズマさん!」
「アンタ、まだこの辺にいたのね…助かったわ」
アズマ。元
そのことをエルザから聞いていたゴーシュは、ある魔法を使った。世界図書館にあった魔導書を参考に
「そうだ、イーロン君!」
「恐らく今のが、俺が感じた“異様な魔力”だろう」
アズマはこの町でジェラール達を探していた。元々は闇ギルドに所属していたこともあり、どうするか路頭に迷っていたようだったのでゴーシュが提案したのだ。ナツ達からジェラール達と接触した話も聞いていたし、マスターにもアズマや
「…!ウェンディ、あれ!」
その時シャルルが見たのが、予選開始前に出てきたあの巨大なカボチャ頭の人の立体映像。指定宿までまだ少し距離があったので、ウェンディは予選参加出来ず…代わりに予選開始時偶々Aチームの宿にいたエルフマンが参加することになったのだ。
☆
ウェンディを守ってくれたイーロンは魔力欠乏症――1度に大量の魔力を失った為に全身の筋力が低下する症状――になってしまった。今はウェンディとシャルル、それと応援に駆けつけてくれていた
元々はウェンディを狙ったのだろう…恐らく一人になった瞬間を狙っていたのだろうが、ギリギリまで一人になることはなかったので人数が少なくなったのを好機と見て仕掛けた、と言うところか。犯人の目的も、多分だが僕らの戦力低下…その場合、本選参加ギルドの中に今回の犯人がいる確率が高い。一番確率が高いのは、マスターの息子・イワンのギルド、
本当は本選開始の前に医務室に向かおうとしていたんだけど…マスターからイーロンの伝言を聞いたんだ。「俺は大丈夫だから、兄貴も頑張って下さい」だって。昼間の王都見学で勘づかれていたらしい。Bチームの宿にどうやって行こうかと、かなりソワソワしてただろうし…マスターからも事情は説明したって。ここまで言われたら、本選に集中しなきゃね。
『予選2位通過!おーっと、これは以外!墜ちた羽の羽ばたく鍵となるのか!まさかの、まさかのー、
そんなアナウンスと共に、会場へ入場するBチームの5人。Aチームの皆を始め、他のギルドの面々や観客も驚いている。良かった、Aチームの時みたいに罵声じゃなくて。ブーイングなんてされたら萎縮してしまっていただろうから。
観客はともかく、他のギルドの面々はちゃんと2チーム制度を知っていたようだ。中には知らずにいた人達もいたようだけど。ちゃんとそこら辺は実況で説明してくれた。ドッキリに成功したマスターは高笑いをしている。他の皆も最初は驚いていたが、嬉しい誤算として盛り上がっていた。
「冗談じゃねぇ!!」
実況で、個人競技でも手を組んで戦えるという話をしていた時にナツさんが声を張り上げた。別チームとして出場したのだから、正々堂々勝負すると。実況を聞いていてそれもアリだと思っていたけど、やっぱり勝負事でそんなことをしたりはしないよね。こっちも望むところである。
…というか、スルーしかけていたけど何で初代いるの?天狼島から出てきたのだろうか?別に良いけど…これは、無様な所は見せられないな。
良く見たら、
「エルザさん!」
「ゴーシュ、お前もBチームだったとはな…イーロンの件だが」
エルザさんの見立て…というか、やっぱり
『さあ、いよいよ予選突破チームも残すところあと1つ!そう、皆さん既にご存じ!最強、天下無敵、これぞ絶対王者!
観客の盛り上がりも頂点に達しているようで、これまでとは比較にならない程の歓声だ。さすが、フィオーレ一のギルドというだけのことはある。出場してきた面々も自信満々といった立ち振る舞い。威風堂々、そんな言葉がよく似合う印象だった。
「出てきたか」
「楽しもうぜ、ナツさん?」
「何ガン垂れてんだゴラ」
「ガジル…」
早速、
そしていよいよ、大魔闘演武七日間のプログラムが発表された。会場のど真ん中に大きな石版が地面から競り上がってきたのだ。しかし、発表されたとは言っても殆どが“???”で埋め尽くされており、1~4日は前半に競技名、後半はバトルと書かれているのみ。ここも1日目以外の競技は分からなかった。これじゃ、プログラム発表とは言わないんじゃないか…?5~7日目は何をするのかも良く分からない。
ここで、大魔闘演武のルールを簡単に整理しよう。
まずは競技パート。これは成績を争うようなもので、1~8位にそれぞれポイントが割り振られる。1位が10p、2位が8p、3位が6p、4位からは4pから1pずつ減っていく。つまり8位は0p、無得点だ。この競技パートは競技名だけ先に教えられて、出場者はこちらで自由に選べるらしい。
次にバトルパート。こっちは主催者側で出場者を決められている。ファン投票がどうとか言っていたが、大体国王とかの意見通りになるんだろう。一日に一対一で4試合、勝ったら10p、負けたら0p、引き分けだったら両者に5pずつ入る。
問題なのは、競技パートとバトルパートの両方に出ることになる人もいれば、バトルパートのみに参加する人もいるということ。競技パートでは魔力温存も考慮に入れなければいけない。
『ではこれより、大魔闘演武オープニングゲーム、
各チームが続々と参加者を決めていく。
『
「あ~ん、グレイ様が出るならジュビアも~♡」
「ちょっと待って下さい!ここは僕に行かせて下さい!」
「…ま、
「頼んだわね、ゴーシュ!」
「もう決定ですか!?」
やっぱり全員ジュビアさんが出ることに少し不安があったようだ。グレイさんが出るのだから、ジュビアさんがそっちに気をとられるのは分かりきっているしね。
「それじゃ…行ってきます!」
落ち込んでいるジュビアさんを皆に任せて、僕は競技に参加する為に歩き出した。
あっさり出てきたアズマさん。あの人、エルザに斬られて死んだっていうより大樹のアークに取り込まれて木になっただけだったので、このタイミングで復活させました。斬られた傷も取り込まれた影響で回復したというご都合主義ですw
結構グリモアの人達の中でもアズマが好きなんですよね。武人って感じがよく似合う。