FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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二話連続投稿です!まだ読んでない方は前話を先に!


第80話  隠密

「各チーム、隠密(ヒドゥン)の参加者は前へ!」

 

 僕以外の参加者は、さっきアナウンスで言っていた通りAチームからグレイさん、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からはリオンさん、青い天馬(ブルーペガサス)からはイヴさんが参加するようだ。他のギルドは関わりが無かったからどういう人達なのか分からないけど…なんか、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の参加者は人に見えないんだけど。他の種族だと言われた方が納得出来る。肌が紫色だし、背が低すぎるし。

 

「よう、ゴーシュ」

 

「グレイさん…そういえば、最強チームの皆さんと戦うって初めてかもしれないですね。エルザさんとはありましたけど」

 

「だな…ってか、お前エルザと戦ったのか?」

 

「はい、天狼島で一次試験の時に。言ってませんでしたっけ?」

 

「そういや、聞いたような…ま、まあお互い手加減はなしだ。全力で行くからな」

 

「はい!」

 

 グレイさんは若干顔を引きつった後、気を取り直してそう宣言してくれた。エルザさんに対してそんなに怯えなくても…まあ、いつも武力行使で喧嘩を止められていたから仕方ないかもしれないけど。

 

「…つーか、予選の時から気になってたんだが…お前、何?」

 

「み、見ての通り~、カボチャです~」

 

「マスコット…何ですか?」

 

「あれ…質問した俺が悪いのか?」

 

 予選の時に立体映像で映し出されていた、あのカボチャ頭さんを見てそう尋ねたグレイさん。マスコットってもっとこう…いや、止めておこう。カボチャを被った二頭身くらいの人でも、この世界ではマスコットで通じるんだろう。そう、思うことにしよう。

 

「毎年のことだからね。余り気にしてなかったけど…」

 

「多分、主催者側の役員だと思うの」

 

「「キャラ作り、ご苦労様です!」」

 

「ノンノン!楽しんでやってるから良いんだカポ~」

 

「無理矢理キャラを濃くすんなよ…!」

 

「まあまあ…」

 

 こういうことは暗黙の了解ってことで。着ぐるみとかの中身を気にしては負けだ。子供の夢を壊してはいけない。

 

「ちょっと待って下さいや。これから始まる隠密(ヒドゥン)って競技、どんなモンか知りやせんがね…いいや、今後全ての競技に関してですがね?どう考えても二人いる妖精さんが有利じゃありませんかねぇ?」

 

「あ?」

 

 などと、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の紫色の人がカボチャ頭さんにいちゃもんをつけ始めた。この人…明らかに僕らの邪魔をしようとしているな。イーロンのことといい、手段選ばずに僕らを潰すつもりか。何だかやっていることが小悪党っぽいんだけど…どうも小物って印象を受けてしまう。

 

「仕方ありませんよ、決勝に同じギルドが2チーム残るなんて凄いことなんですから、カポ~」

 

「良いのではないかな。私の記憶が謳っているのだ…二人いることが、必ずしも有利とは言えないと」

 

 剣咬の虎(セイバートゥース)のルーファスがそう言う。他のギルドの人達も大鴉の尻尾(レイヴンテイル)みたいな小物の考えではないようだ。流石は大魔闘演武本選出場ギルドのメンバーだ。

 

「流石だねぇ…それが王者の余裕ってやつかい?」

 

「仲間は君にとっても弱点になり得る。人質、脅迫、情報漏洩…他にもいくつか不利的状況を構築出来るのだよ…記憶しておきたまえ」

 

「…忘れなかったらな」

 

「…内のギルドに、そんな考えの人はいませんよ」

 

 この人の考え方…仲間を足手まといとしか思っていないようだ。あまり好感が持てるものではない。

 

 

 

「フィールド、オープン~!」

 

 

 

 いよいよ競技開始の時間らしい。突然、カボチャ頭さんがそう大声を出したかと思いきや、僕らの周囲に次々と建物が出現し始める。この闘技場の中に町が具現化されているようだ。気づいたら、どこかさっきまでいた場所とは別の地点に転送されたらしい。

 

「…皆、別々に転送されたのか」

 

 いつの間にか僕一人しかいない。それに、さっきまで観客の声で騒がしかったのに…町の中は静まりかえっていた。音の遮断もされているようだ。

 

 町の具現化、しかも防音とかそういう特殊能力が付与されている…一体、どれだけ魔力を消耗するんだろう。そう考えると、主催者側にとんでもないレベルの魔導士がいることは想像がついた。出来れば、敵対とかしたくない相手だろうな。

 

『観客の皆さんは、町の中の様子を魔水晶(ラクリマ)ビジョンにてお楽しみ下さい!参加している8名は互いの様子を知ることは出来ません!隠密(ヒドゥン)のルールは簡単、互いが鬼であり追われる側なのです!この町の中で互いを見つけ、どんな魔法でも構いません!一撃を与える!ダメージの有無を問わず、攻撃を与えた側が1p獲得です!』

 

 さっきまで殺風景だったのが、周囲がいきなり光り出し…大量の、僕らのコピーが出現した。この中に紛れ、そしてこの中から他の参加者を探し出し攻撃しろということか。

 

『これは、皆さんのコピーです!間違えてコピーに攻撃した場合、1pの減点となります!さあ、消えよ!静寂の中に!闇夜に潜む黒猫が如く!隠密(ヒドゥン)、開始―っ!!』

 

 何故か音を遮断しているはずのこの町に、開始の合図の銅鑼の音が聞こえた。

 

 

 

「さて、どうしようか…」

 

 これだけコピーがいて、しかもコピー達は動作の途中…まるで写真をそのまま実体化させたような状態で固定されている。試しに自分のコピーを押してみると動きはするが…こんな中で動いたらすぐにバレてしまう。とりあえず、半径10mくらいで索敵結界(サーチ)を発動させておくか。それだけあれば結界の外から攻撃されても感知して防御出来る。

 

 これ、ジュビアさんが出てたらヤバかったな…グレイさんがこんなにいたんじゃ、間違いなく抱きつくなりしている。自分のコピー以外は触るだけでも攻撃と見なされるかもしれないし。

 

 

 

 この競技なら、魔法がバレることもないかも知れない。魔法がバレたら対策されるのは間違いないので、バレずに済むならそれが一番だ。そう考えた僕は、ある魔法を発動させた。

 

『おーっと!グレイがコピーへの攻撃で減点1です!この場合、10秒後に他のエリアからリスタートとなります!また、他の魔導士に攻撃された場合も1p減点され、他エリアから10秒後にリスタートです!時間があれば、リスタートは何回でも可能です!制限時間は30分、一番得点を稼いだチームが1位です!』

 

 どうやら、グレイさんの方で動きがあったようだ。この闘技場、凄く広いから探し回るだけでも一苦労だ…30分で足りるかな。

 

 っていうか思ったけど、この競技一日目に持ってくるには地味すぎない?こんな競技だったらこの隠れている間の時間の方が長いよね?こんな状況が殆ど動かない絵面なんて楽しくないよ、絶対。

 

「…!」

 

 結界内に魔力の反応を感知し、僕は真っ直ぐにそちらへ向かう…なんてことはせず、浮遊結界(バルーン)で上を目指す。浮上している間に水晶結界(クリスタル)を石ころくらいの大きさで作り、周囲の建物よりも高くなった所で感知した場所を攻撃した。真っ直ぐに攻撃するのではなく、地上からコピーの間を通って、ターゲットに気づかれないように。そして、攻撃する時は服とかを狙って――!

 

「え、あれ!?」

 

 知らない魔力だったから、グレイさんとかではないのは気づいていた。上から視認できたのは、人魚の踵(マーメイドヒール)の人だ。何が起きたか分からず、別の場所へと転移されたようだ。

 

 とりあえず、これで1点!

 

 

 

 その後、同じような戦法を繰り返して順調に点数を稼ぐ。相手には一度も気づかれることなく(・・・・・・・・・・・・)、何が起こっているのか分からないで転移させられる。反撃も出来ないのだから、減点は今の所一度もない。おかげで4pくらいにはなったはずだ。しかし…終了まで残り5分を切った所で状況が変化した。

 

「なんだ、これ…」

 

 空が突然暗くなり、心なしか体が少し光っているように見える。これでは、他の参加者に攻撃されやすくなってしまう。でも、こんな魔法は今まで一度も見ていない。今回参加している人達の魔法は大体確認出来たので、誰の魔力とも違っていたのだ。つまり、今まで一度も参加していなかったあの人…剣咬の虎(セイバートゥース)のルーファスの魔法、なんだろう。

 

 索敵結界(サーチ)を一瞬だけ全開し、ルーファスの居場所を突き止めた。思ったよりも距離があったが、このままでは格好の餌食。そう考えて、僕は浮遊結界(バルーン)から降りて、屋根を飛び移りながら少しずつ接近を試みることにした。

 

 そう決めた瞬間だった。ルーファスから7つの光が飛び出し、その内の1つが僕の方へと向かって来た。

 

外殻の結界(シェル)!」

 

 相手はフィオーレ最強ギルドの魔導士。防御結界(ディフェンド)では防ぎきれない可能性も考えて外殻の結界(シェル)を発動させる。難なく攻撃を防ぎきった僕は、水晶結界(クリスタル)を多数飛ばして攻撃した。

 

「ぐげっ!?」

 

「え…」

 

 しかし、それは思わぬ形で阻まれてしまう。さっきの光の攻撃を躱した、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔導士であるナルプディングが大きく跳躍してルーファスを攻撃したのだ。距離的に僕の攻撃の方がほんの少し遅くルーファスに直撃するはずだったのだが、ナルプディングの攻撃はルーファスが霧のように消えた事で失敗。そして彼の後頭部に水晶結界(クリスタル)が突き刺さった。

 

 ま、まあ得点にはなったから良しとしよう。問題はルーファスだ。本体はどこに――

 

「私ならここだよ」

 

「っ!…やられました。流石は王者、ですね」

 

 声が届く距離にまで接近されているとは。しかも、僕は既に攻撃されていた(・・・・・・・・・)。ちゃんと、索敵結界(サーチ)を常に発動させておくべきだったんだ。そう考えながら、僕は転移の光に包まれた。

 

 僕の身につけていた服…というか、靴か。凄く小さな、本当に良く見ないと気づかない傷跡が足首の辺りについていた。これまでの僕のやり方を真似されたらしい。さっきの光の攻撃は囮で、何らかの魔法で気づかれないように攻撃されたんだ。正直、悔しいが…チャンスを窺うしかないか。

 

「…!ラッキー!」

 

 僕は思わず口に出してそう呟いてしまった。転移先で再度索敵結界(サーチ)を発動させると、運が良いことに、まだルーファスを捉えられる距離だったのだ。これなら、すぐに反撃できる。もう終了間近、急がないと!

 

「ふざけんな!隠密(ヒドゥン)ってルールを守りやがれ!」

 

「今のは…っ!!」

 

 グレイさんの叫びが聞こえ、ルーファスの方を見るとグレイさんが彼に飛びかかっているのが見えた。そのまま攻撃しようとしていたグレイさんだったが、そこに第三者…ナルプディングが横やりを入れた。グレイさんを死角から攻撃してきたのだ。姿をさらしているルーファスよりも、グレイさんを潰すことを優先して。

 

水晶結界(クリスタル)(レイ)!!」

 

「ぐほっ!?」

 

 グレイさんを攻撃した直後のナルプディング目がけて、光線を発射。回避も出来ずに撃墜することが出来た。

 

 こんな奴…普通の戦いだったらグレイさんが遅れを取ることなんてあり得ないのに。本当に、忌々しい…!

 

 

 

『ここで終了―っ!!順位はこのようになりました!』

 

 観客席の方を見ると、ランキングが映し出されていた。結果は――

 

 

1位 剣咬の虎(セイバートゥース) 10p

2位 蛇姫の鱗(ラミアスケイル) 8p

3位 妖精の尻尾(フェアリーテイル)B 6p

4位 大鴉の尻尾(レイヴンテイル) 4p

5位 青い天馬(ブルーペガサス) 3p

6位 人魚の踵(マーメイドヒール) 2p

7位 四つ首の番犬(クアトロケルベロス) 1p

8位 妖精の尻尾(フェアリーテイル)A 0p

 

 ―となっていた。グレイさんは、ナルプディングによる集中攻撃のせいで思うように行動できていなかったので仕方ない。

 

 周囲からの歓声は、Aチームへの罵倒が中心となっていた。こういう時、罵声を浴びせてくる連中ってちゃんと物事を見て、考えて発言しているんだろうか…僕はそれなりの順位だったのでそこまでではないけれど…やっぱり仲間が馬鹿にされるっていうのは不快だ。まあ良い。その内、目にもの見せてやる。

 

「ゴーシュ、お疲れ様!」

 

「すみません…1位狙ってたんですけど」

 

「気にする必要はねぇさ」

 

「3位か…ま、上々ってとこだな」

 

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)…絶対に許しません!!」

 

 ジュビアさんが燃えている…!もう他のことなんて眼中にないようだ。ナルプディングって人、闇討ちされたりしないと良いんだけど…犯人候補には厳重に注意しておかないと。

 

 でもジュビアさんほどではないけれど、ホント…大鴉の尻尾(レイヴンテイル)許すまじ。ここまで僕が怒ったのは初めてかも知れない。胸の中に渦巻く怒りの感情を押し殺し、続くバトルパートへと意識を集中させることにするのだった。

 

 

 




自分の魔法を使って狙撃し続ける主人公、ちょっと見方を変えるとこっちも卑怯かもしれませんが、それでもレイヴンは許さない。



今年はかなり激動な年だったので、来年はもっと平穏であって欲しいです。
皆さんはどうでしたか?来年は少しでも良い年になりますように!来年もよろしくお願い致します!
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