FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

81 / 96
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!今年もこの作品を読んで楽しんでいただけるよう頑張っていきます!不定期更新ですが、よろしくお願いします!





第81話  ゴーシュVS.ジュラ

 バトルパート第一試合は、Aチームのルーシィさんと大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のフレア=コロナ。ルーシィさんは二体同時開門が出来るようになり、星霊同士の力を掛け合わせてユニゾンレイドを発動させたりと善戦していた。

 

しかし、フレアは赤髪という炎の髪を操る魔法で姑息な手段…本選出場ギルド用の観客席にいるアスカちゃんを人質に取り、ルーシィさんを追い詰めた。

 

ナツさんが観客席に向かいフレアの髪を焼き尽くしたことで逆転し、ルーシィさんは大魔法を発動させる。六魔将軍(オラシオンセイス)のエンジェル戦で見た、星々の大魔法であるウラノ・メトリアだ。ルーシィさんはジェミニを呼び出すことで、二人分の魔力を掛け合わせて自力で発動が可能となったのだ。

 

 だが、ルーシィさんの攻撃は外部からの干渉によって不発に終わってしまう。証拠はないが、十中八九あのイーロンとウェンディを襲った奴だ。ウラノ・メトリアが発動直前に掻き消されたのだ。

 

 今日一日で、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)にどれだけ怒りを覚えたのか分からない。きっと、ギルドマスター達なら何が起こったか分かっただろうから、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の印象は最悪だ。しかし、観客達にはルーシィさんが自爆したようにしか見えなかったようで…ここでも罵声を浴びせていた。

 

 

 

 第二試合は青い天馬(ブルーペガサス)VS.人魚の踵(マーメイドヒール)、第三試合は剣咬の虎(セイバートゥース)VS.四つ首の番犬(クアトロケルベロス)と、両試合ともそれ程時間をかけることなく終了した。残るは僕らBチームと蛇姫の鱗(ラミアスケイル)だ。こっちには頼りになるメンバーばかりだし、あの人(・・・)と当たらない限りは大丈夫だろう。ちなみに第二、第三試合の勝者はそれぞれ青い天馬(ブルーペガサス)剣咬の虎(セイバートゥース)だ。

 

『本日の最終戦!バトルパート第四試合!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、ジュラ=ネェキスVS.妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、ゴーシュ=ガードナー!!』

 

「…え゛」

 

 変な声が出た。マジか…ジュラさん以外なら何とかなると思っていたのに。しかも、僕が二連戦になる確率は低いと思っていたんだけど…。

 

「あらら…ゴーシュ、無理しないでね?」

 

「こりゃ、負けたな」

 

「ガジル君、なんてこと言うんですか!」

 

 いや、ガジルさんの言う通りだろう。流石に勝つのは無理だと僕も思う。

 

「あのおっさんが相手か…勝敗は気にしなくて良い。全力で行ってこい」

 

「ラクサスさん…分かりました。行ってきます!」

 

 勝つのは無理…だったら、引き分けを目指すとしよう。今の僕なら、それくらいいけるかもしれない。

 

 

 

 ジュラさんは、この七年で聖十大魔導《せいてんだいまどう》の序列5位にまで上り詰めていた。聖十大魔道とは、このイシュガル大陸で最も強大な魔力を持つ10人の魔導士のことを指す。七年前の時点で既にこの聖十大魔道の序列10位にいたジュラさんなら納得の強さだろう。

 

「ゴーシュ殿、以前よりも強くなられたな」

 

「ジュラさん…ありがとうございます。よろしくお願いしますね…手加減はなしで、お願いしますよ?」

 

「…本気で戦え、と?」

 

 ジュラさんがその膨大な魔力を放ちながら、僕を威圧してくる。もしかしたら、マスター・ハデスとも良い勝負出来るんじゃないだろうか。経験の差で及ばないかも知れないけれど、多分一人でもハデスを追い詰めることくらいは出来そうだ。

 

 でも…何故だろう。これ程に圧倒的な魔力を全身で感じているのに。三ヶ月前の僕であればきっと戦意喪失し逃走を決断するだろう程に強大なのに。

 

 

 

「…はい。勝負というからには、全力でやりたいんです。相手がジュラさん程の方なら、尚更」

 

 

 

髪を緑色(・・)に変化させて僕はそう言った。これは緑竜の力を発動させると起こる現象。髪が青緑色だったのは、緑竜の魔力が微弱に漏れ出ていたことで元の紺色の髪を染めてしまっていたらしい。出来れば相手に気取られないように髪の色を変えないようにしたかったんだけど…どうすれば良いのか分からなかったので仕方ない。

 

 

 

「…了解した。では、真剣勝負といこう!」

 

 

 

 戦いの途中まで出し惜しみなんてことはしない。最初から…全力で行く。一応、手はいくつか用意してあるんだ。

 

 

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、ジュラ=ネェキスVS.妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、ゴーシュ=ガードナー!!本日の最終試合、開始―っ!!』

 

 

 

 そのアナウンスから、さっきまで騒がしかった観客の声が殆ど聞こえなくなった。良い感じに集中できているのが分かった。

 

 

 

「緑竜の咆哮!!」

 

「岩鉄壁!!」

 

 まずは初手で出来る最大の遠距離攻撃。緑色の竜巻がジュラさんの前に立ちはだかった岩の壁をドリルのように削っていく。しかし、このまま続けても何かしらのカウンターの準備をされる可能性がある。そう考え、僕は弾性結界(バウンド)を足場に大きく跳躍する。

 

「崖錘!!」

 

外殻の結界(シェル)!!」

 

 地面から隆起した複数の岩の柱が、空中にいる僕に向かって一直線に伸びてくる。それを球体状に展開された外殻の結界(シェル)で防ぐ。岩の柱が砕け散った直後、ジュラさんは巨大な岩の腕を使って連続で攻撃を始めた。このまま防ぎ続けると、多分魔力量で勝負することになるが…その展開は望ましくないな。

 

循環の結界(サイクル)!!」

 

「!」

 

 朱色の手裏剣のような結界を手に持ち、外殻の結界(シェル)ごと岩の腕を切り裂く。結界から落ちる僕を見て隙が出来たと考えたジュラさんが、岩の腕の向かう方向を変えて襲いかかってきた。それらを同じように真っ二つにしつつ、闘技場内を動き回って少しずつ接近を試みる。

 

 ジュラさんの魔法は、大地を操る魔法だ。七年前もそうだったけど、遠距離でそれらを操作して戦うのが基本だ。その守りが強固だったこと、守りを破ったとしてもジュラさんの応用力の高さによって彼に攻撃を与えることすら敵わない。すぐに思いつく対策はジュラさんの守りを大幅に上回る攻撃力か、守りを追いつかせない程のスピードを持っていれば可能だろう。

 

「緑竜の咆哮!!」

 

 緑竜の魔力で身体能力を高め、高速で縦横無尽に駆け回る。ジュラさんの攻撃を手裏剣で切ったり結界で防いだりしながら、何とか徐々に近づくことが出来ていた。そこから隙を見て遠距離攻撃を仕掛けるが…やっぱり咆哮じゃ、守りを一瞬で打ち砕く事も、守る前に攻撃が到達することも無理か…よし。

 

 

 

「…む」

 

『これはどういうことだ!?いつの間にか、ゴーシュの姿が見えません!』

 

 

 

 ここで、僕はある魔法を発動させた。周囲から姿を隠す魔法…即ち、隠匿魔法(ヒドゥン)だ。

 

覚えているだろうか、数ヶ月前…じゃない、七年前にマグノリアで起こったあのドラゴノイド事件。あの事件の犯人である研究者、ダフネが使っていた魔法だ。物体の姿を隠すことが出来るし、勿論自分を隠すことも可能だ。さっきの競技パートではこの魔法を使っていたから、空に浮かんでいてもバレること無く攻撃することが出来ていたわけだ。

 

 どうやら僕はこの魔法との相性が良かったようで…というか、これもダフネの実験体だった影響だろう。まさか、この三ヶ月の間に自力で習得できるとは思っていなかった。自力なので、多分音無の町の人達には及ばないかもしれないが、今でも十分活用できている。

 

 

 

 隠匿魔法(ヒドゥン)を発動させたままなら、僕の存在自体を感知することは困難だ。出来るだけ気配を消し、僕はようやくジュラさんの懐へと飛び込むことに成功した。

 

「…!」

 

「緑竜の…斬撃!!」

 

「ふっ!」

 

 …………え?躱、された?暗殺に近い攻撃なんだけど…一体、どうやって…?

 

 

 

「ふん!!」

 

「くっ!?」

 

 あぶなっ!?今、上から手刀が振り下ろされたんだけど!あんなの食らったら、気絶じゃ済まない気がする…なんか、背が縮みそう。5センチくらい。

 

 って、そんなアホな考えをしている場合じゃ無い。すぐさま僕はジュラさんから距離をとる。流石にあんな至近距離で攻撃が当たらなかったからって、あの場面で思考している場合では無かったな…反省。

 

 

 

「まさか、今の攻撃が躱されるとは思ってませんでした」

 

「それはこちらの台詞だな。一撃も入れることが出来ぬとは」

 

 いや、明らかに小手調べでしょ。本気で戦ってとは言ったけど、流石に最初から全力を叩き込まれるようなことはしないみたい。まだ僕のことを試しているのが分かる。

 

 どうやって僕の居場所を探知したのか分からないけど…隠匿魔法(ヒドゥン)を使った攻撃は探知されるような気がする。もう通用しないと考えた方が良いな…さて、どうしたものか。

 

 

 

「……」

 

 

 

「来ぬのなら、次はこちらから行くとしよう」

 

 

 

「…これは」

 

 

 

 今までの巨大な岩での攻撃ではなく、無数の岩の礫のカーテン。緻密に操作しているその攻撃は、全方位から僕を襲う。

 

 僕は咄嗟に外殻の結界(シェル)を使おうとしたが、思い直してそれを中断した。この岩の礫は当然ながら大地を細かく砕いた物だ。結界の中の地面から攻撃することも可能だろうし、さっきみたいに空中で球体状に展開しようにも、空中に飛んだ時点で既に宙に浮いてしまっている岩の礫が、展開前に牽制される。そのまま結界を使う暇すら与えずに連続で攻撃され続けるだろうから。相手の防御を掻い潜る搦め手で、小さな一撃から絶え間ない連続攻撃に繋げる。それは、強固な防御力を持つような相手に有効な策だ。

 

 

 

 だから、僕も同じ手を使おうとしていた(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

「何と…!」

 

 

 

 パァン!!という音が響く。ジュラさんが驚いたような、感心したような声を出した。ようやくしてやったっていう気持ちになるが、すぐに気を引き締めた。

 

 

 

 会場の地面を砕いて出来た岩の礫による攻撃。仕込み(・・・)が終わっていなかったら負けていたかもしれない。

 

 

 

 縦横無尽に動き回りながら地面に小さな水晶結界(クリスタル)を大量に埋め込んでおいたんだ。それがジュラさんの岩の礫の中に紛れ込んでいたので、内部から破壊させて貰った。本当はジュラさんが防御に回った隙を突いて攻撃するつもりだったんだけど、まあ結果オーライ。それにこれは攻撃に繋げられる。

 

水晶結界(クリスタル)(レイ)!」

 

 空中にある大量の小さな水晶結界(クリスタル)を操作し、ジュラさんに魔力光線の雨が降り注ぐ。この三ヶ月の修行、主にアズマさんとの対人訓練の成果で水晶結界(クリスタル)を使用した技の攻撃力も底上げされている。たとえ小さくとも、(レイ)を集中砲火させればジュラさんの岩鉄壁でも穴を開けられるはず!

 

 

 

「巌山!!」

 

 と、思っていたんだけど…ジュラさんが岩の巨人のようなものに全て防がれてしまう。魔力光線が何十本もあったし、全て収束させて一点のみを攻撃してみたりしたが…それでも岩の巨人はビクともしない。こういう時の為に岩の内側を破壊するつもりだったんだが…まさか、水晶結界(クリスタル)の仕込みがバレてた?

 

 

 

 ジュラさんが腕を動かし、その直後僕の周囲をまた岩の瓦礫が浮かび始める。それに合わせて水晶結界(クリスタル)を操作し、そのままぶつけるか(レイ)で粉砕していくが…一向に減る気配が無い。徐々に水晶結界(クリスタル)を岩二つで砕かれ、さらに礫が増え続けていた。それに危機感を覚えた僕がジャンプするのとジュラさんの攻撃が襲いかかるのはほぼ同時だった。

 

 

 

「覇王岩砕!!」

 

「外殻の結界《シェル》!!」

 

 

 

 ジュラさんが合掌し、礫が僕を押し潰す。ギリギリ外殻の結界(シェル)を球体状に展開するのが間に合い、九死に一生を得る。しかし、正直現状は最悪に近い。

 

 ジュラさんの攻撃は防ぐことが出来ているが、こちらの攻撃も殆ど通じていない。一進一退の攻防をしているように観客からは見えるかも知れないけれど、僕は殆ど手を出し尽くした。対してジュラさんはまだ余力が残っているだろう。あと残っている手は…あるにはあるんだが。

 

 

 

 …いや、形振り構わっている場合じゃないか。

 

 

 

円環殻(リングシェルター)!!」

 

 球体状に展開されている外殻の結界(シェル)の表面に、全部で4つの循環の結界(サイクル)が展開された。これが、今の僕の使える最強の防御形態(・・・・)だ。つまり、奥の手。こんな観衆の前で見せるべきではないかもしれないが、これもギルドの為だ。

 

 

 

「ジュラさん、今の僕では貴方に勝つことは出来ないみたいです。ここからは、僕の得意分野(・・・・)で戦わせてもらいますよ!」

 

「成る程、それがゴーシュ殿の最強の盾ということか…では、儂も全身全霊の一撃を見せよう!!」

 

 

 

 ジュラさんは合掌したまま目を閉じ、魔力を高め始める。やがてその魔力の高まりによって、大気や大地すらも振動し始めた。これが、ジュラさんの本気か…!でも、絶対に受けきってみせる!

 

そう覚悟を決めて、僕も魔力を高めて結界を更に強化させる。

 

 

 

 そして。

 

 

 

「鳴動富嶽!!!」

 

 

 

 巨大な爆発が、僕を飲み込んだ。

 

 

 

 




ミストガン(ジェラール)の代わりに出てるので、こうなるのは予想ついた方が殆どだと思います。この展開は前から決めていたので、ようやく書けて嬉しい。

循環の結界(サイクル)の説明は次回に回します。今月中には出しますので!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。