バトルパート第一試合は、Aチームのルーシィさんと
しかし、フレアは赤髪という炎の髪を操る魔法で姑息な手段…本選出場ギルド用の観客席にいるアスカちゃんを人質に取り、ルーシィさんを追い詰めた。
ナツさんが観客席に向かいフレアの髪を焼き尽くしたことで逆転し、ルーシィさんは大魔法を発動させる。
だが、ルーシィさんの攻撃は外部からの干渉によって不発に終わってしまう。証拠はないが、十中八九あのイーロンとウェンディを襲った奴だ。ウラノ・メトリアが発動直前に掻き消されたのだ。
今日一日で、
第二試合は
『本日の最終戦!バトルパート第四試合!
「…え゛」
変な声が出た。マジか…ジュラさん以外なら何とかなると思っていたのに。しかも、僕が二連戦になる確率は低いと思っていたんだけど…。
「あらら…ゴーシュ、無理しないでね?」
「こりゃ、負けたな」
「ガジル君、なんてこと言うんですか!」
いや、ガジルさんの言う通りだろう。流石に勝つのは無理だと僕も思う。
「あのおっさんが相手か…勝敗は気にしなくて良い。全力で行ってこい」
「ラクサスさん…分かりました。行ってきます!」
勝つのは無理…だったら、引き分けを目指すとしよう。今の僕なら、それくらいいけるかもしれない。
☆
ジュラさんは、この七年で聖十大魔導《せいてんだいまどう》の序列5位にまで上り詰めていた。聖十大魔道とは、このイシュガル大陸で最も強大な魔力を持つ10人の魔導士のことを指す。七年前の時点で既にこの聖十大魔道の序列10位にいたジュラさんなら納得の強さだろう。
「ゴーシュ殿、以前よりも強くなられたな」
「ジュラさん…ありがとうございます。よろしくお願いしますね…手加減はなしで、お願いしますよ?」
「…本気で戦え、と?」
ジュラさんがその膨大な魔力を放ちながら、僕を威圧してくる。もしかしたら、マスター・ハデスとも良い勝負出来るんじゃないだろうか。経験の差で及ばないかも知れないけれど、多分一人でもハデスを追い詰めることくらいは出来そうだ。
でも…何故だろう。これ程に圧倒的な魔力を全身で感じているのに。三ヶ月前の僕であればきっと戦意喪失し逃走を決断するだろう程に強大なのに。
「…はい。勝負というからには、全力でやりたいんです。相手がジュラさん程の方なら、尚更」
髪を
「…了解した。では、真剣勝負といこう!」
戦いの途中まで出し惜しみなんてことはしない。最初から…全力で行く。一応、手はいくつか用意してあるんだ。
『
そのアナウンスから、さっきまで騒がしかった観客の声が殆ど聞こえなくなった。良い感じに集中できているのが分かった。
「緑竜の咆哮!!」
「岩鉄壁!!」
まずは初手で出来る最大の遠距離攻撃。緑色の竜巻がジュラさんの前に立ちはだかった岩の壁をドリルのように削っていく。しかし、このまま続けても何かしらのカウンターの準備をされる可能性がある。そう考え、僕は
「崖錘!!」
「
地面から隆起した複数の岩の柱が、空中にいる僕に向かって一直線に伸びてくる。それを球体状に展開された
「
「!」
朱色の手裏剣のような結界を手に持ち、
ジュラさんの魔法は、大地を操る魔法だ。七年前もそうだったけど、遠距離でそれらを操作して戦うのが基本だ。その守りが強固だったこと、守りを破ったとしてもジュラさんの応用力の高さによって彼に攻撃を与えることすら敵わない。すぐに思いつく対策はジュラさんの守りを大幅に上回る攻撃力か、守りを追いつかせない程のスピードを持っていれば可能だろう。
「緑竜の咆哮!!」
緑竜の魔力で身体能力を高め、高速で縦横無尽に駆け回る。ジュラさんの攻撃を手裏剣で切ったり結界で防いだりしながら、何とか徐々に近づくことが出来ていた。そこから隙を見て遠距離攻撃を仕掛けるが…やっぱり咆哮じゃ、守りを一瞬で打ち砕く事も、守る前に攻撃が到達することも無理か…よし。
「…む」
『これはどういうことだ!?いつの間にか、ゴーシュの姿が見えません!』
ここで、僕はある魔法を発動させた。周囲から姿を隠す魔法…即ち、
覚えているだろうか、数ヶ月前…じゃない、七年前にマグノリアで起こったあのドラゴノイド事件。あの事件の犯人である研究者、ダフネが使っていた魔法だ。物体の姿を隠すことが出来るし、勿論自分を隠すことも可能だ。さっきの競技パートではこの魔法を使っていたから、空に浮かんでいてもバレること無く攻撃することが出来ていたわけだ。
どうやら僕はこの魔法との相性が良かったようで…というか、これもダフネの実験体だった影響だろう。まさか、この三ヶ月の間に自力で習得できるとは思っていなかった。自力なので、多分音無の町の人達には及ばないかもしれないが、今でも十分活用できている。
「…!」
「緑竜の…斬撃!!」
「ふっ!」
…………え?躱、された?暗殺に近い攻撃なんだけど…一体、どうやって…?
「ふん!!」
「くっ!?」
あぶなっ!?今、上から手刀が振り下ろされたんだけど!あんなの食らったら、気絶じゃ済まない気がする…なんか、背が縮みそう。5センチくらい。
って、そんなアホな考えをしている場合じゃ無い。すぐさま僕はジュラさんから距離をとる。流石にあんな至近距離で攻撃が当たらなかったからって、あの場面で思考している場合では無かったな…反省。
「まさか、今の攻撃が躱されるとは思ってませんでした」
「それはこちらの台詞だな。一撃も入れることが出来ぬとは」
いや、明らかに小手調べでしょ。本気で戦ってとは言ったけど、流石に最初から全力を叩き込まれるようなことはしないみたい。まだ僕のことを試しているのが分かる。
どうやって僕の居場所を探知したのか分からないけど…
「……」
「来ぬのなら、次はこちらから行くとしよう」
「…これは」
今までの巨大な岩での攻撃ではなく、無数の岩の礫のカーテン。緻密に操作しているその攻撃は、全方位から僕を襲う。
僕は咄嗟に
だから、僕も
「何と…!」
パァン!!という音が響く。ジュラさんが驚いたような、感心したような声を出した。ようやくしてやったっていう気持ちになるが、すぐに気を引き締めた。
会場の地面を砕いて出来た岩の礫による攻撃。
縦横無尽に動き回りながら地面に小さな
「
空中にある大量の小さな
「巌山!!」
と、思っていたんだけど…ジュラさんが岩の巨人のようなものに全て防がれてしまう。魔力光線が何十本もあったし、全て収束させて一点のみを攻撃してみたりしたが…それでも岩の巨人はビクともしない。こういう時の為に岩の内側を破壊するつもりだったんだが…まさか、
ジュラさんが腕を動かし、その直後僕の周囲をまた岩の瓦礫が浮かび始める。それに合わせて
「覇王岩砕!!」
「外殻の結界《シェル》!!」
ジュラさんが合掌し、礫が僕を押し潰す。ギリギリ
ジュラさんの攻撃は防ぐことが出来ているが、こちらの攻撃も殆ど通じていない。一進一退の攻防をしているように観客からは見えるかも知れないけれど、僕は殆ど手を出し尽くした。対してジュラさんはまだ余力が残っているだろう。あと残っている手は…あるにはあるんだが。
…いや、形振り構わっている場合じゃないか。
「
球体状に展開されている
「ジュラさん、今の僕では貴方に勝つことは出来ないみたいです。ここからは、僕の
「成る程、それがゴーシュ殿の最強の盾ということか…では、儂も全身全霊の一撃を見せよう!!」
ジュラさんは合掌したまま目を閉じ、魔力を高め始める。やがてその魔力の高まりによって、大気や大地すらも振動し始めた。これが、ジュラさんの本気か…!でも、絶対に受けきってみせる!
そう覚悟を決めて、僕も魔力を高めて結界を更に強化させる。
そして。
「鳴動富嶽!!!」
巨大な爆発が、僕を飲み込んだ。
ミストガン(ジェラール)の代わりに出てるので、こうなるのは予想ついた方が殆どだと思います。この展開は前から決めていたので、ようやく書けて嬉しい。