FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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令和になって一発目の投稿です!


第85話  エルフマンVS.バッカス

 結局、僕はただウェンディの治療を見ているだけに等しい状態だったな…二人とも彼女が治療してしまった。僕はただロメオやイーロンと同じように傍観していただけである。

 

「ふぅ…!」

 

「お疲れ、ウェンディ」

 

 タオルを手渡し、循環の結界(サイクル)を使って魔力を回復しておいた。これでまたウェンディは治療前と同程度まで回復したはずだ。

 

「うん、ありがと!もう大丈夫だよ!」

 

「お疲れ様ッス、お二方!」

 

「いや、僕は何も…」

 

「そんなことねぇって、ゴーシュ兄!それよりさ、二人ともバトルパート見てきたら?まだ本選出るかも知れないんだろ?」

 

 確かに、ロメオの言う通りだ。僕達はリザーブ枠を使用しているわけだから、もしも今出ているメンバーが怪我をした時とかは僕らが代わりに出場することになる。そうなった場合の為に、他ギルドの情報を集めておくべきか。

 

 でも、ウェンディは残るって言うだろうし…よく考えたら魔水晶(ラクリマ)ビジョンもここにあるんだから観戦は出来る。

 

「私はもう少し残るね。二人ともすぐ目を覚ますだろうし」

 

「…今から行っても途中から観戦になっちゃうだろうから、このままここで観戦するかな」

 

「まあ、それもそっか」

 

 というわけで、このまま医務室で試合を見ることにしたのだった。

 

 

 第一試合は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)が勝った。蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のトビーさんも頑張ったようだが、相手の…クロヘビだったか。マックスさんと同じ砂魔法で戦っていた。トビーさんは近距離戦しか出来ないので、遠距離攻撃で負けたようだ。

 

 あのクロヘビという男、競技パートでも思ったけど中々強い。しかし、試合後にトビーさんが首にかけていた靴下(?)をビリビリに破いた。トビーさんは三ヶ月程前から首にかけているのに気づいていなかったようで、見つかった時には大喜びしていたのだが…人が大切にしている物を壊すだなんて。やっぱり、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)にはまともな奴がいない。

 

 

 

 そして今行われている第二試合、エルフマンさんとバッカスさんの試合…なんだが、何か試合開始前に賭けをしたらしい。何でも…バッカスが勝ったらミラさんとリサーナさんを自分の物にするとか。エルフマンさんはそれに激怒した。

 

 しかしエルフマンさんはただ冷静さを失うのでは無く、今までのパワーが主体の戦闘ではバッカスには勝てないと思ったのか、新たな接収(テイクオーバー)で素早さを使ったりして戦ったりしていたのだが、バッカスは全て紙一重で回避。打撃による多彩な攻撃をエルフマンさんに悉く当て続け…

 

 

 

 そして今、片膝をついてボロボロのエルフマンさん。殆ど一方的な試合だ。

 

「エルフマンさんが…」

 

「あんなにボロボロで、相手は傷一つ無いなんて…」

 

 今もまた、虎のような姿――獣王の魂(ビーストソウル)、ワータイガーで果敢に攻めるも、赤子の手をひねるようにバッカスは連撃を当て続ける。これでは、エルフマンさんが先に倒れてしまう。

 

 実況席にいる週間ソーサラーの記者さんの話によれば、バッカスは劈掛掌という武術を操るそうだ。掌に魔力を収束させるという割とオーソドックスな魔法を最大限に生かせる掌打を得意とする武術。しかも、酔・劈掛掌という酔拳を合わせた武術も編み出しており、変則的で予測が出来ず、威力も倍増するという。

 

「あれ、でも…」

 

「うん。まだ、あの人は酒を飲んでいない」

 

 酒瓶は持ち歩いているようだが、フィールドに入ってきた時に置いたままだ。つまり、本気でも無いのにエルフマンさんを完封しているということ。流石はS級魔道士、と言った所か。

 

 魔力の消耗も激しく、エルフマンさんはまたしても接収(テイクオーバー)が解けてしまった。

 

 

 

「エルフマンさん…」

 

『ほう?立つのかい…漢を連呼するだけあるじゃねぇの』

 

『そういや決めてなかったな……猟犬。賭け……俺が勝った場合』

 

『もう絶対むりだから。いいよ~何でも言ってみ』

 

『俺が勝ったらお前らのギルド名…大会中四つ首の仔犬(クアトロパピー)な』

 

「…え?パピーって…仔犬?」

 

「…どうやら、まだ何かあるみたいだね」

 

 何か作戦があるらしい。エルフマンさんはその豪快な戦い方が目立つけど、機転が回るのだ。

 

 そして、バッカスはついに酒瓶を手に取り、一気に飲み干す。ここからが本気…どうするんだ、エルフマンさん。

 

 

 

獣王の魂(ビーストソウル)――』

 

 

 

『無駄ぁっ!!!』

 

 

 バッカスが一瞬でエルフマンさんに掌打を当てた。魔水晶(ラクリマ)を通してでは完全には捉えることは出来なかったか、それとも僕の目には捉えられなかったのか…少なくとも、五発以上当てている。

 

「今、何が…え!?」

 

「これは…」

 

 バッカスさんの両手に傷が出来ている。そしてエルフマンさんの体は全身が緑色になっていた。

 

『リザードマン!!当てられねぇなら当てて貰えば良い!!』

 

 恐らく防御用であろうその接収(テイクオーバー)を持ってしても、痛々しい傷が出来ているが…その固い無数のトゲのような皮膚によって初めてバッカスにダメージを与えた。

 

 

 

 そして、ここからは我慢比べだ。バッカスさんの腕が果てるのか、エルフマンさんの体が壊れるのが先か――

 

「エルフマンさん…!」

 

「無茶だよ…こんなの」

 

「ウェンディ…見届けよう、エルフマンさんの覚悟を」

 

「…うん」

 

 

 

 そして。

 

 

 

『ワイルドォォーーーーっ!!!!』

 

 エルフマンさんのテイクオーバーが解け、バッカスも全身がボロボロになるまで攻撃を続けた。そして、バッカスは立ち上がり叫ぶ。

 

 

 

「そんな…」

 

「……!いや、まだだ!」

 

 バッカスはそのまま、後ろに傾く。そのまま、地面に寝転がるように。

 

 

 

『お前、さ…漢だぜ』

 

 

 

 倒れた。勝ったのは、エルフマンさんだ…!

 

「やった!」

 

「これで、Aチームも10Pゲット。やったね!」

 

「これで俺達のチームは12Pだ!!」

 

「ギヒッ…すぐ追い抜くさ」

 

「ナツさん、ガジルさん!」

 

 どうやら結構前から起きていたようだ。二人とも元気に喧嘩している。あれ?そういえばロメオとイーロンがいない…?

 

 

 

「兄貴―っ!!」

 

「二人とも、その人達どうしたの!?」

 

「コイツら、武器持ってやがったんだ!俺達を襲うつもりだったんだよ」

 

「アンタ達、気づいてなかったでしょ」

 

 ……何か、試合に集中し過ぎた?

 

 

 

「私は、エルフマンという漢を少々見くびっていたようだな。その打たれ強さと強靱な精神力は、我がギルド一かも知れん。お前が掴み取った勝利は、必ず私達が次に繋ごう」

 

「エルザにそこまで認めてもらえるなんてね!」

 

「それだけのことをしたってわけだ」

 

「マジで震えたぞエルフマン!!」

 

「止めろよ…死者を惜しむような台詞並べんな」

 

 試合後、すぐにこの医務室へと運び込まれてきたエルフマンさん。魔力の消耗は僕が回復出来たが、それよりも肉体的ダメージの方が酷く…全身包帯でグルグル巻きになっている。

 

 

 

 あの医務室に侵入しようとしてロメオとイーロンに掴まった連中は、仕事を頼まれただけだと言っていた。雇い主は、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)。医務室にいた少女を攫おうとしたらしい。

 

 ウェンディを狙ってきたのだと身構えたのだが、医務室にいた(・・)少女だから本当の狙いはウェンディじゃなく、競技パート後にナツさんを連れてきたルーシィさんだった可能性が高い。

 

 とりあえずその連中は憲兵に引き渡しておいた。

 

「お前たちもお手柄だったみたいだな」

 

「ま、俺がいた時点でさっきの奴らの作戦も無意味だがな」

 

 まあ、ナツさんとガジルさんもいるし…そもそもウェンディだけでもあの程度ならどうってことはないと思う。

 

「俺は情けねぇがこのザマだ…後は頼んだぞ、ウェンディ」

 

「はい!任せて下さい!」

 

 本当なら僕やウェンディで治療しようとしたんだけど…エルフマンさん本人の希望だ。本選に出るかもしれない僕らに負担はかけたくないって。元々、ウェンディの魔法は怪我の治療には向いていない。吐き気とかそういう内面的なものを治すのは簡単なんだけど。僕の魔法も言わずもがな。

 

「ほら、さっさと行きな。敵の情報を集めるのも勝利の秘訣だよ」

 

 ポーリュシカさんの言に従って、僕らは観客席へと急ぐ。医務室には雷神衆の皆さんが警護に入ってくれることになったし、心配はいらないだろう。

 

 

 

 せっかくエルフマンさんが流れを作ってくれたんだ。きっと、これからが逆転劇の始まり。気を引き締めていかなければ!

 

 




この回が放送された時、何か来るあったな…皆さんはどの回が好きでしょうかね?

次回はバラエティパートです。
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