色々大変ですが、少しでも皆様の楽しみになれば幸いです。
大魔闘演武もついに四日目の夜を迎え、それぞれが英気を養っている頃。ナツさん達はガジルさんの案内でドラゴンの墓場へと向かった。ウェンディ達にもそちらへ向かって貰っている。ミルキーウェイがないとジルコニスと話が出来ないからね。
「マスター、初代。お話があります」
「なんじゃい、いきなり」
僕はこの二人にも僕の前世の話をしないといけないので残ることにした。
正直、ルーシィさんの危機に何もしないというのは思うところがあるのだけど…何も出来ない可能性が高い。というか原作でのナツさんと同じ結果になるとしか思えない。魔法使ったら魔力持って行かれるって、それなんてチートだよ。
勿論、作戦は一応考えた。成功すれば、ナツさん達に加えてユキノさんも一緒に来るはずだ。
「今日、僕の過去を全て思い出しました」
「何!?」
「…確か、貴方はプレヒトの具現のアークで造られた存在、でしたね。そしてウェンディとミストガンに出会うまでの五年間の記憶が無かったと聞きましたが…それを思い出した、ということですか?」
マスターが話しておいてくれたんだろうか。話が早くて助かる。初代が一瞬だけ苦々しい顔をしたのに僕は気づいた。
「いえ、それだけではないんです…長くなるのですが、聞いて下さい」
☆
「……俄には信じがたいですね。この世界の未来を知っているとは…」
「正確にはパラレルワールドの知識です。もうこの世界の未来とは言い難い」
「しかし、限りなく近いのは確かじゃ…それで、儂らに話しておきたいこととはその事か?」
「え?は、はい…参考程度ですが、今から僕は未来に何が起こるのかを全て、これから話そうと思います」
……あの二人もそうだったけど、皆すぐ信じてくれるんだよね。もう少し疑っても良いと思うんだけど。
「その前に聞きたい……この話を他に知っている者は?」
「ウェンディとシャルルだけです。まだ未来の知識は話してませんけど…いえ、敵も含めるなら僕の記憶を奪った者、その仲間も含まれるでしょう」
そうだ、あいつはゼレフと…アルバレスと繋がりがある。これから先の展開…恐らく、
「敵の話は良い。ガキ共には話せんのか」
「…まだ、今はまだ出来ません。大魔闘演武が終わった頃には、必ず」
「そうか…いや、急ぐ必要は無いぞ。お前さんが話したい時で良い」
「…ありがとう、ございます」
僕がまだ気持ちに整理をつけ切れていないのを察してくれている…この人のギルドの一員になれて、本当に嬉しい。
「それと、どうしても今すぐに教えて欲しい魔法があります…このままでは、明日…命を落としてしまう人が大勢出てしまう」
「命を落とすじゃと…!?」
「話してもらえますか?明日、私達に何が待ち受けているのか」
僕はひとまずとして、大魔闘演武編の話をした。このままいけばどのような未来が待ち受けているのかを。今を取り巻く複数の未来の話を。
ドラゴンの大群によって攻め込まれたクロッカス。
さらにややこしいことだが、未来ローグが干渉した未来と干渉しなかった未来がある。干渉した未来というのはつまり、原作が辿った未来だ。
一方、干渉しなかった未来、つまり未来ルーシィさんがエクリプスを閉じたことで未来ローグが生まれた未来だ。経緯は不明だが、この未来ローグが生まれた世界線ではアクノロギアが世界を支配している。分かっているのは、グレイさんがローグの相棒であるフロッシュを殺してしまうということ。それが原因で闇墜ちしたローグが今の時間軸に来た。
僕が辿り着きたいのは、当然だが原作が辿った未来だ。しかし、これにはどうにかしなければならない問題がある。それは…未来ルーシィさんが殺されてしまうこと、そしてウルティアさんが寿命を使い果たしてしまうことだ。
僕が今やらなければいけないことの最優先、それはウルティアさんがそんなことにならないように代用の魔法を身につけること。実はこれは僕が記憶を取り戻す前から計画していたことだ。つまり、魔法の構想自体はもう粗方固まっている。その魔法を完成させる為の最後の一手、それが――
「…
「はい。正確には、
「…成る程。読めてきたわい」
「貴方の魔法を使って、クロッカス全域にいる者達を守るつもりですね。ですが、それは莫大な魔力の消費、加えて寿命を削ることにもなるでしょう…」
「…覚悟は、出来ています。前々から準備はしてきました」
「…初代、ここはお任せ願えますかな」
マスターが僕の目の前までやって来ると…僕を真っ直ぐと射貫くような目で見つめた。同時に発せられたその膨大な魔力に、冷や汗をかき始める。
「お前の覚悟は分かった…が、認めるわけにはいかん。子供が命を賭けるなど、許す親がいるものか」
「…僕は本気です。これは僕がやりたいことなんですよ、マスター」
「命を捨てるのがやりたいことじゃと…!!」
マスターの魔力の放出が、一段と強まった。顔も…怒りに染まっているようにも、その目は悲しんでいるようにも僕には見えた。
「違います、命を捨てるわけじゃない…守りたい人達がいる、それだけですよ。それに自己犠牲は…もう止めたんです」
僕の覚悟を示す為に、僕は
「何、じゃと…!?」
「これは…!」
「これが、準備の成果です。この結界魔法…
三ヶ月間欠かすこと無く、限界ギリギリまで魔力を注いだ
「これ程の魔力があれば、寿命を削られるとしてもほんの少しでしょう。さらに
「では…!」
「ゴーシュ、こちらへ。早速魔法術式を構築しましょう」
「はい!!」
唖然としているマスターを置いて、僕は初代の後を追った。
「今ので一部じゃと…?確かに一瞬だけだったが…儂の魔力を上回っておったぞ…?」
☆
やがて、ドラゴンの墓場に行っていたナツさん達が帰ってきて…原作通り、ルーシィさんだけがいなくなっていた。今グレイさんとエルザさんがマスター達に事の次第を報告している所なので、僕も一旦休憩ということで、別室でウェンディとシャルルに話を聞くことにした。
ジルコニスからの話で滅竜魔法を使いすぎるとドラゴン化してしまうことや、アクノロギアによってドラゴン達が滅ぼされた戦争の話…竜王祭のこと。そしてその後アレクセイという騎士とユキノさんによってエクリプス計画について聞かされ、そこに大臣らしき人物によって罠にかけられたこと。そこで…ルーシィさんとユキノさん、アレクセイが捕らえられてしまったらしい。僕が考えた作戦は失敗したということだ。
「ゴーシュ、ごめんね…」
「ううん、大丈夫。ウェンディ達のせいじゃないよ」
言ってしまうと、今ルーシィさん達を助けてもあまり
なので、ウェンディが落ち込む必要は無いという意味で言ったのだが…しかしウェンディは首を横に振る。
「違うの、そうじゃなくて…」
「違うって…?あれ、そういえば」
「気づいた?あの子ならきっと、今頃ルーシィの服のポケットの中よ」
若干ドヤ顔気味のシャルル、そして苦笑いしているウェンディを見て、気づいた。これは多分…勝手に作戦変更したんだ。
「えっと…どうなったの?」
「今ルーシィ達を助けてもあまり変わんないじゃない?だったらいっそ、明日救出に向かう時に暴れて貰った方が簡単に合流できるんじゃないかしら」
「それに、あそこで暴れてたら大魔闘演武が中止になっちゃうかもって思って…それでシャルルと相談してルーシィさんのポケットにこっそり入れておいたんだ」
二人にはもう大魔闘演武編の話はしてある。言ってないのは大魔闘演武の結果くらいだ。
ちょっとビックリしたけど…確かに、そっちの方が楽に事が進むと思う。臨機応変に変更してくれて良かった…無事、結果オーライだ。
「三体とも入れたの?」
「それが…一体だけなの。ルーシィさん達、牢屋に連れて行かれたと思うんだけど、他の子達は大きすぎて…」
「あー…確かに。地下どころか、城や町に被害出ちゃうかもしれないね」
「やっぱりその辺考えて無かったのね…どっちにしろ、一体しか出せなかったわね」
「そうだ、二体とも返しとくね」
ウェンディからサイコロくらいの大きさ・形状の黄色い結界を二つ手渡される。僕はそれを受け取り、デジヴァイスを準備する。
「
二つの結界が大きくなっていき、中の二体が解放された瞬間にデジヴァイスへと吸い込まれていく。その直後、デジヴァイスから声が聞こえた。
『ふぁ~…ただいま~』
『今戻ったよ、ゴーシュ』
「お帰り。パタモン、ドルモン」
これでルーシィさんの所にいるであろう残り一体は予想通りだということが証明できた。いや、この三体の完全体の姿を考えれば分かりきっていたんだけど。ホントにデカすぎるんだよな…特に、ドルモンはなぁ。パタモンの方もそこまで大きくは無いんだけど、牢屋…そして地下ということを考えるとミスマッチだ。
とにかく、後はタイミングを見て僕がルーシィさんの方の
☆
ナツさん達の方は話が進んでいて、今は大魔闘演武のチームメンバーにジュビアさんが立候補している所だった。
漫画で読んでてもこの場面は少し予想外というか…ナツさんの離脱は予想できたけど、ジュビアさんだとは思ってなかった。ミラさんだと予想してたけど、まあそうだよね。ミラさんの魔法、潜入には持って来いだよね。
「お、ゴーシュ!何処行ってたんだよ!」
「今、ルーシィ救出組と、大魔闘演武に出る最後の一人を決めてるんだけどよ!」
「マスター、ここはジュビアに任せて下さい!」
「あー、えっと…」
…なんて言おう。まだ皆には僕の事情知らないし。何も考えて無かったな…そうか、僕がどっちかに加わるというのは考えられる話か。一応大魔闘演武にも出たし、ちゃんと戦力として役立てるのは嬉しいんだけど…
そんな風に僕が考えを巡らせていると、マスター達が助け船を出してくれた。
「ゴーシュには、別にやってもらうことがあります」
「何だよ、別にやることって?」
「それはまだ言えん。極秘じゃ」
「気になるッス~!」
助かった…皆不満そうにしているけど、マスター二人がそう言うのならと渋々納得してくれているようだ。
僕はもう、修行に費やすことに集中するしかないんだ。どちらかに加わる余裕はない。大魔闘演武は原作通りジュビアさんに任せるとして…救出組ならまだ、戦力増強出来るかもしれない。
「マスター、提案が――」
「私を、救出組に入れて下さい!!」
僕の声が、叫ぶような悲痛な声で掻き消された。
久しぶりなのでリハビリ気味。ようやくこっちのモチベが回復してきました。
以下、新しいゴーシュの結界魔法の設定です。
圧縮の結界(コンプレッション): 黄色いサイコロのような立方体の結界。触れたものを縮小し結界内に収納する。換装に使われる魔法空間よりも数倍収納が可能で、物だけでなく生物や魔法も取り込むことが可能。強度はそこまで強くない為、魔力を込めて衝撃を与えれば中身が外に飛び出るようになっている。ダンの槍からヒントを得て連想したもの。
名前の案が色々ありましたが、最終的にこうなりました。
例)暴食の結界(グラトニー)、門扉の結界(ドア)など