許嫁と幼馴染と同級生と後輩   作:kikukiri

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お待たせしました!鞠莉姉さん回をようやく投稿する事が出来ました


幼馴染と恋の試練

夕焼けに黄昏て数分、国木田さんがヒョコッと視界に入って来た。特になんの前触れもなかったあたり僕を軽く驚かせようとしていたのだろう。少しドキッとしたかな?

 

「お待たせずら、先輩」

「うん…ここで話すと旅館のご迷惑になるしどこか行こうか?」

「近くに公園があるのでそちらはどうずら?」

「構わないよ。行こうか?」

「はいずら」

 

僕らはゆったりとした足取りで公園へと向かう。こうして辺りを見ながら歩いてると本当に変わらない街並みだなぁと感じる。都会と比べて静かでやんわりした雰囲気がある気がする

 

「先輩は……」

「ん?」

 

隣で歩く国木田さんがふと上目遣いでこちらを振り向き声をかける。国木田さんの整った顔立ちが僕の目にダイレクトで映り込む。……ついつい見とれてしまいそうになる

 

「先輩はダイヤさんの事…好きですか?」

「それは…恋……的な意味かい?」

 

国木田さんは静かに首を縦に降る。やっぱり…………

 

「…………」

「…………」

 

沈黙した。どうゆう理由か定かではないが沈黙してしまった。僕がダイヤ姉さんを好きかどうか……すなわち僕がダイヤ姉さんに恋をしているかどうかという事だろう

 

「マルにはダイヤさんと先輩の関係が成立してるとは思えないずら」

「……うん、成立してないよ」

「やっぱり」

 

僕とダイヤ姉さんの関係は許嫁となっている……でも…

 

「…………」

 

何故だろう?国木田さんに理由を話そうとしてるのに……話さなきゃいけないのに言葉を発せない。どうしても口が開いてくれない

 

「……先輩?」

「ごめんよ…」

 

僕の様子が変だと察したのだろう。国木田さんはキョトンとした表情を見せる。多分疲れてしまったんだと思う。今日の出来事に昨日の出来事全てに……恋という試練に…人の『好き』という想いに

 

「うぐっ…」

「先輩!?」

 

視界が一瞬ボヤけ、足がふらつく。あれ……?参ったな…立ってるのが辛いや。こんな状態の僕を察して国木田さんがとっさに寄り添ってくれた。僕の体を軽く支えてくれる小さな手を見て申し訳なさが込み上げてくる。女の子の…それも後輩の前で情け無いな

 

「先輩!まだ怪我が!?」

「はは…多分貧血かな?ごめんよ国木田さん」

「マルは大丈夫ずら!でも先輩が…」

「これくらい少し休めば大丈夫だよ」

 

焦っている国木田さんを安心させるために僕は強がる。でも実際のところ結構辛いな…だって立ってるだけでやっとだし。さて、どうしたものかと考えてると黒いリムジンが僕と国木田さんの前で止まる。こんな高級な車を所持してる人なんてここら辺では一人しか思い当たる節がない。この車から出てくる人物はもちろん

 

「大丈夫⁉︎ユウナにマル、一体どうしたの?」

「鞠莉さん!先輩が貧血になって…」

「はぁ…全く無理するからよ?マル?ユウナは車でホテルまで送って行くわ。マルも家まで送ってあげるわ。乗りなさい」

「いやでもマルは家近いし…ご迷惑は」

「私はノープロブレム!近くてもいいから乗って行きなさい。昨日は危険な目に遭ってるんだから今日は安全に家まで帰りマショ?ネ?」

「わ、わかったずら」

「ありがとう、鞠莉姉さん」

 

 

こうして僕らは小原家のリムジンで帰ることになった。人生初のリムジンは言葉も出ないくらい凄かった。

国木田さんは「未来ずら〜」を5、6回くらい言っていた気がするな

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「はい、ここがユウナの部屋よ」

「ありがとう鞠莉姉さん」

 

僕は鞠莉姉さんに軽く支えてもらいながらホテルの部屋まで案内してもらってた。リムジンに乗ってる間休めたから大分楽にはなってるんだけどね。それでも鞠莉姉さんが念の為と言うから甘えることにした

 

部屋のドアを開けた先には、流石高級ホテルと言わんばかりの高価そうなソファやベット、カーテンなどが目に飛び込んでくる。ここでずっと生活できたら幸せだろうなぁとか思う。でも一つだけ気になる部分があるんだよね…

 

「ねぇねぇ鞠莉姉さん?」

「ホワイ?」

「あの、僕の目が正しければなんだけど、一人用にしてはやけに広い部屋に二つのベッド……ここって二人用の部屋だよね?明らかに一人用とは思えないんですが……」

「That’s right!見たとおりよ?ここは二人部屋デース!」

「鞠莉姉さん?僕はシングルルームを取るようにお願いしたと思うんだけど?」

「そうヨ?」

 

……鞠莉姉さんにはちゃんと僕のお願いが伝わっていた。となると導き出される結論は一つ!もう既にシングルルームは予約済みで部屋の空きがなかったという事か。まあ人気のホテルだし仕方ないか

 

「違うわよ?」

「へ?僕何も言ってないよ?」

「なんか勘違いな事を思ってそうな気がしたから」

「……女の勘というものかな?」

「YES!」

「そうかい」

 

……女の勘とやらは相手の思考まで当てる事ができるようだ。で、一体僕の考えの何が違うと言うのだろうか?ご説明を求めるとしよう

 

「で、なんでダブルルームなのかな?」

「私もここに泊まるから」

「……はい?」

「だから、私も今日はここに泊まるのよ」

 

ふむ、僕の耳はどうやら重症のようだ。正常に機能していない。さて、近くの病院にでも行こうかな?

 

「この近くに病院ってあったかな?」

「何言ってるの?それよりも早く荷物を下ろしましょ?」

「あ、はい……いやいやそうじゃなくて!どうして鞠莉姉さんまでホテルに泊まるの?」

「貴方を放って置けないからよ」

「へ?」

「二人を出し抜こうだなんて気持ちは一つもないわよ。ユウナ、さっき倒れそうになってたじゃない?それで急遽私もホテルに泊まる事にしたの」

「いや、でも……」

「大丈夫、ちゃんとダイヤとカナンにも許可貰うから。それにね__

 

鞠莉姉さんは自分の荷物を降ろしてから僕の瞳を真っ直ぐに見る。その表情を見て僕は彼女の心情を察した。

そして鞠莉姉さんが僕のほおをペチっと優しく叩く

 

「本当に…本当に心配でたまらないのよ」

 

ああ…僕はこんなにも…こんなにも鞠莉姉さんに悲しい想いをさせていたんだ。それは鞠莉姉さんの悲しそうに、静かに流れる涙か物語っていた

 

「……ごめん」

「…分かればいいわ。さぁ今日はゆっくりくつろぎマショ?」

「そうだね」

 

僕も部屋に荷物を降ろしてゆっくりと過ごすことにした。因みに連絡を入れたダイヤ姉さんと果南姉さんから怒号の電話が来たが理由を話したら渋々受け入れてくれたらしい。かなり唸っていたらしいけど

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

あの後食事をして温泉に入って、僕らは寝支度を済ませた。食事は本当に豪華だった。場所はホテルにあるバイキングだったけど鞠莉姉さんが来たせいか、鞠莉姉さんの好みの物がやけに多かった。急に泊まる事になったのだからコックさん達も大変だったろうと思う。

温泉は疲れた身体を癒してくれた。昨日は出会い、再開、そして後輩を救出した。今日は警察に事情聴取した後に部活、そして恋の試練……恋に関しては自分の問題だけど………まあそれらの疲労が少し癒えた気がする

 

 

「さて、今日は疲れたでしょ?もうsleepにしましょう?」

「そうだね」

 

今日は疲れた…明日は金曜、学校もあるしそろそろ眠りに着こう。瞼が重いや。部屋の明かりを消して僕らはベットについた

 

「おやすみ鞠莉姉さん」

「おやすみ…ユウナ」

 

「…………」

「…………」

 

 

………瞼は閉じているもののすぐには眠りにつけないな…やっぱり恋の試練は重い……そんなことを思わず考えてしまう

 

「…………」

「ねぇ…起きてる?」

「起きてるよ」

「そっちのベットに行ってもいい?」

 

……?"今"の鞠莉姉さんならばそんなことを聞かずに問答無用で来るんじゃないかと思ってだけど……この感じ

 

「……いい?」

 

顔を横に向けて鞠莉姉さんを視界に入れる。そこには不敵に笑う訳でもなく、イタズラをする時みたいな笑顔でもなく……

 

一人の"少女"が不安げな表情でこちらを見ていた。なんで…なんでそんな顔を今みせるのだろう?そんな顔をされたら

 

「……いいよ」

 

断れないに決まってる。本当はダメだと思う。でも…あんな表情されたら断らなきゃならない事も断れない。ズルい

 

鞠莉姉さんは自分のベットを出て僕のベットに。至近距離で見たらいろいろ大変な気がするので鞠莉姉さんとは反対の壁際に寝返りを打つ

 

でも僕の行動をまるでわかってたかのように鞠莉姉さんは背中に抱きつてきた。

 

「ごめんなさい…」

「?…なんで謝るの?」

「いろいろ背負ってるでしょ?」

 

「………」

 

「無言は肯定の返しよ」

「……」

「肝心な事はいつも隠して……私はもっとユウナのホンネが聞きたいと思ってるわ」

「…」

 

 

「覚えてる?…前私に言ってくれた事?ユウナは私に__

 

『困ってたら力になりたい、悩んでたら一緒に悩みたい、泣いているのならその涙を拭いたい、落ち込んでいるなら励ましたい、一緒に笑顔を分かち合いたい、幸せでいてほしい……マリー』

 

_________こういってくれた事」

 

「覚えてるよ…マリー」

「貴方があの時励ましてくれたおかげでまた私は立ち上がる事が出来たの…だから今度はマリーが貴方を励ます番」

「ありがとう…鞠莉姉……そうだね………正直辛いかな………でもそれは鞠莉姉も一緒じゃないか」

「ううん…私は今凄く充実してるわ。カナンやダイヤとまたスクールアイドルができて…貴方が帰って来てくれて……今はこうして近くにいる…今はそれだけでいい」

 

ああ______本当に優しいな。でもやっぱり不器用だ。今はその不器用さに甘える以外の選択を取ってしまったら僕は壊れるかもしれない。情けないのは誰よりも自分自身が理解してる。でも…

 

「本当にいいの?」

「いいも何も貴方次第じゃない?だからマリーは貴方の選択をずっと待ってるわ…ずっとずっと待ってる」

 

本当に鞠莉姉さんは……もう自然に涙が出ていた。静かに、静かに涙は頬を伝う。鞠莉姉さんの優しさが僕に響いた事を証明している

 

「だから…貴方に何があったか話してくれないかしら?どうしてそんなに苦しんでるのかを?」

 

…僕の不感情の根源……話していいだろうか?……そんな問いに答えはない。分かってる。でも今日はもう我慢とかできなさそうだ…

 

僕は鞠莉姉さんと向き合う。ここで初めて彼女の表情を見た。本当に僕は…僕は……幸せ者だと自負する。ベットから腰を上げて僕は問いかけた

 

 

 

「もう眠れそうにないや…少し長くなるかもしれないけど……それでも聞いてくれるかい?」

 

「…もちろんよ」

 

「………僕は______________」

 

 

僕は初めて語った事ない恋の過去を語った

 

 




いかがでしょうか?優奈くんの過去は過去遍(番外編)でいつか語られます。知りたい方はその来るべき時まで待ってほしいです。

それでは感想などお待ちしております
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