「…………」
目が覚めた……僕の視界には見慣れない天井が映る。目覚めたばかりでまだ思考も視界をもまだボヤけている。そしてまだ眠い。夜遅くまで起きていた代償が僕を襲う。シャワーでも浴びてスッキリしようと思い、僕は起き上がろうと身体に力を込めた。そこで初めて気づいた……右腕が動かない事に
隣を見てみると鞠莉姉さんが僕の右腕を抱き枕にして寝ていた。とても心地良さそうに眠っていらっしゃる。
鞠莉姉さんの寝顔を見るなんていつぶりだろう?……本当に僕等は成長したと思う。昔の幼さなどなく今目の前で寝ている幼馴染は間違いなく一人の女性だ
「一体どこのラノベ主人公何だか…///」
本当に異常だよ!ラノベだよ!全く……鞠莉姉さんは無防備すぎる////…こんな姿を全国にいる男性が見たら殺意持つよ。目の前で僕の心情を読んでいる君も殺意が湧くだろう?…誰に問いかけているのだろう?
まあいいや、それよりも鞠莉姉さんを起こそう。残念ながら時間と言うのは待ってくれないからね
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「ふぁ〜……眠いわ」
「僕だって眠いよ……」
眠ったのが3時だったからね、そりゃ眠くて当然だよね。今日の授業まともに聞ける自信ないなぁ
「おはようございます。優奈、鞠莉さん」
「おはよう優奈、鞠莉」
校門前にたどり着いた僕らを待っていたのは果南姉さんにダイヤ姉さん。二人ともちょっと不機嫌そう
「おはよう、果南姉さん、ダイヤ姉さん」
「グッモーニング、ダイヤ、カナン」
「優奈、鞠莉さんに何かされていませんか?」
「大丈夫だよ」
「本当に?」
「チョット!何で疑ってるの?昨日約束したでしょ!?」
「いや〜…だって鞠莉だし」
「前科もありますわ!」
約束?…ああ、過度なアプローチをしないとかっていう約束か。昨日電話でそんなような事を言っていた
「本当に大丈夫だよ」
「そのとうり!如何わしい事など一つもありまセーン!」
「そうですか、ならば安心です」
「そうだね、じゃあそろそろ教室行こうか?」
話はひと段落し僕等は足を学校へと運び廊下でダイヤ姉さん達と別れた。そして僕は二年生の教室へ向かう。
その途中で昨日の事を思い出す。僕が恋に苦しむ理由……一つの要因はバレンタイン。それともう一つある。
このもう一つは……って、気がついたら既に教室前に到着していた。今日もこの重いドアを開けて自分の席に向かう。僕が来ると周りがちょっとざわつくの、嫌なんだよなぁ…まあ数日の我慢か
席にたどり着くと、何やら梨子が俯いてちょっとだけモジモジしている。そして高海さんと渡辺さんがニヤニヤしている。一体何があったのだろうか?
「おはよう……三人ともどうしたの?」
「おはヨーソロー!優奈くん!」
「おはよう、優奈くん!」
「あれ?二人とも……」
「うん!これから一緒に活動するからさ、苗字呼びだと少し距離が遠すぎる気がして…嫌だった?」
「いや、そんな事はないよ。それにその意見には賛成だよ」
「良かった〜…もちろん私達の事も名前で呼んでね?」
「うん、改めてよろしく。千歌ちゃんに曜ちゃん」
「「うん!」」
おお…この二人の笑顔は眩しい。何というか元気がない朝にこの二人の笑顔を見るとこっちも元気が不思議と湧いて来る。本当にアイドル向きだなぁと改めて思う
……それで梨子は一体どうしたんだろう?ずっと俯いてるけど……と言うか中学の時もこんな事があったきがする。確か声をかけても全然聞こえてなかったな
「それで二人とも、梨子は一体どうしたの?」
「それはちょっと」
「私達からは言えないかなー」
ふむ、どうやら二人から言ってはいけない事のようだ。ならば本人から直接聞くしかない。さて…声をかけても無駄ならこれしかない
「梨子」
「ひゃっ!?……ゆ、優奈//////」
僕は梨子の頭に自分の右手をポンと置いた。僕に気が付いた梨子と目が自然と合う。するとどうしたのだろうか?梨子の顔がみるみる赤くなっていく
「おはよう梨子。顔が赤いけどもしかして風邪?」
「お、おはよう///……」
「大丈夫?保健室に行くかい?」
「う、ううん!?///だ、大丈夫!大丈夫だからー!//////」
「梨子!?」
「ちょ!梨子ちゃん!?もうすぐHR始まるよー!」
梨子は顔を真っ赤にしたまま教室を出て行ってしまった。あれだけ走れるのなら風邪ではないのかもしれないけど……一体どうしたんだろう?放っては……置けない…か。仕方ない
「千歌ちゃん、曜ちゃん。梨子を追いかけてくるからHR適当に言っておいてくれるかい?」
「了解であります!」
「任せておいて!」
「ありがとう」
二人にお礼を言って僕も教室を出た。さて…確か職員室は向こうだから、行くなら反対側の道だよね?僕は右側へと歩みを進める事にした。
「……何処に行ったんだろう?」
風邪ではないかも知れないけど、保健室が一番可能性が高いかな?保健室に向かおう
「失礼します」
「ピギッ!」
「ん?」
今の特徴的な悲鳴をあげる人物なんてたった一人しか僕は知らない。赤いツインテールをビックと跳ねさせた人物は保健室の椅子にちょこんと座っていた。
「ゆ、優奈さん…」
「おはようルビィちゃん。その怪我どうしたんだい?」
「えっと…廊下で転んじゃって」
ルビィちゃんの膝は軽く擦りむけ出血している。梨子がまだ見つかってないけど怪我人を放置する事なんてもちろん出来ない。
「ルビィちゃん、消毒してあげるからちょっと待ってて」
「だ、大丈夫です!これくらいなら一人でも…それにもうHRの鐘もなりますよ?」
ルビィちゃんがそう言った時、まるで計ったかのように学校の鐘が鳴り響いた。いわゆるフラグ回収と言う奴だね。
「あ…」
「HRは時間切れだね。大丈夫、HRに出れない事は任せてあるから。それにAqoursメンバーが怪我をしたら僕が治療する。これもマネージャーの務めじゃないかい?」
そう言いながら僕は救急箱を手に取り、消毒液、わた、ピンセット、絆創膏を準備する。どれも切らしてなくて助かった
「ふゅ…」
「ちょっと我慢してね?」
「っ……」
「………………はい、終わったよ」
最後に絆創膏を貼って作業を終える。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、それより保健室の先生は?」
「それがルビィが来た時にはいなくて…」
「そっか、まあ職員室かな?…ところで梨子を見ていないかい?」
「梨子さん?ルビィは見ていないです」
「そっか、ありがとう」
ふむ…じゃあ何処に向かったのだろう?HRに間に合っていたらいいんだけど…
「あの、梨子さんがどうしたんですか?」
「それが、HR前に急に走り出して何処かに行ってしまって…」
「え?」
「顔が赤かったから熱でもあるのかと思ってね。僕も保健室まで来たんだ」
「そうだったんですね…心配ですね…」
「うん…」
本当にどうしてしまったのやら……はぁ…
「あの…優奈さん?ルビィ一つ気になってる事があって」
「ん?なんだい?」
「…優奈さんは……お姉ちゃんのこと、好きですか?」
「…………」
…想い…恋愛……感情………恋
「優奈さん?」
「恋はしていない……けど、ダイヤ姉さんは大事な人だ。これだけは言える」
「……やっぱり、そうなんですね」
ルビィちゃんの表情は曇ってしまう。大切なダイヤ姉さんを想うからこそ…本当に仲の良い姉妹だ。片方が傷つけばもう片方も傷つく。片方が笑えばもう片方も笑う。二人はそんな時間や感情を共有できる姉妹なのだ
「お姉ちゃんは…ずっと優奈さんの事を想っています。優奈さんのいなかった6年間もずっと…ずっと…本当に優奈さんが好きで…大事で…だから……!」
真剣に想いを、感情を僕に伝えてくれるルビィちゃんの頰には涙が伝っていた__
ああ…本当にこの娘はダイヤ姉さんが好きなんだ
だから僕の選択次第ではこの娘まで傷つけることになる
ああ___また恋が遠く…愛しく…切なく…醜く…愚かで……そして___
「僕は……ここで恋ができれば良いなと思ってる」
「……お姉ちゃんにですか?」
「わからない……僕が誰に恋をするかなんてこの先の俺にしかわからない」
「………」
「でも_____
僕が言葉を言いかけたタイミングでHRの終わりを告げる鐘が響いた。
まるで僕の失言を妨げかの様に__
ならば……今はそれに従おう
「そろそろ教室に戻ろうか?」
「え?……でも…今」
「……これだけはもう一度だけ言っておくよ。僕はここで恋ができれば良いなと思ってる」
「優奈さん…どうして…どうして___
ルビィちゃんの言いたい事が分かってしまった。でも今はその問いに答えられない。いや、答えたくないと言う方が正しい。今答えてしまったら僕は…俺は…
「ルビィちゃん?それ以上は止めにしよう」
「……どう…して…?」
「……今は答えたくない。今答えたら俺は_」
恋……できないかもしれない
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優奈さん……どうして……どうしてそんなに…
辛そうな顔をしてるの?
悲しい顔をしてるの?
ルビィはどうすればいいんですか?
優奈さんのため出来ることをしてあげたいです
例え、涙を流した本当の理由が伝わらないとしても
私が辛くなるって知っていても
私は優奈さんに幸せになって欲しいです。お姉ちゃんと一緒に___
なんかここ最近暗い話が多いですね。何が日常編なのかよくわからないですね。もしかしたら章タイトルを変えるかもしれません。変えた時は最新話の前書きでお知らせします。
それでは感想などお待ちしています