後輩の涙
「……?……ここは?」
…………状況確認しよう。
和室、布団、頭に巻かれた包帯、頰に貼ってある湿布。
そして、最後に見た後輩二人と住職さん達の姿___
どうやら意識を失っていたらしい。そしてここに運ばれ、今目覚めた
んだね。多分ここは花丸ちゃんのお家かな?
「……ご厄介になっちゃったみたいだね」
とりあえず誰かを__
「…先輩」
「…国木田さん」
「先輩……先輩!…先輩!!」
「へ?」
うん、皆にはわからないだろうから説明しよう。
花丸ちゃんがいきなり抱きついて来た。て、照れてしまうのと同時に
困惑してしまう。目覚めたばかりで頭が回りづらい
「ふぇぇん!良かったずら〜!心配したずら!もしかしたらもう
目覚めないんじゃないかって……凄く怖かったずら〜」
「…ごめんね、心配かけて」
「…ズズ…ヒック……本当にマル…心配で…心…配で…たまらなくて…
心がはち切れそうで」
……僕は涙を流している後輩を軽く抱きしめて頭に手を当てて、
ゆっくりなでなでした。
「…本当にごめんよ?僕は大丈夫、大丈夫だからどうか泣き止んでくれないかい?」
「………もう…ズズ…もうちょっと待って…ずら」
「そうかい…」
…もっと僕に力があれば国木田さんを泣かずに済んだのかもしれない。
いや、そんな事を今考えても仕方ない。今は目の前の後輩を笑顔にしてあげたい。
ただそれだけ、ただそれだけだ
「ごめんなさい先輩…もう大丈夫ずら」
「落ち着いたかい?」
「はい」
花丸ちゃんはちょっと名残惜しそうにしながらも、そっと離れた。
頭を撫でてあげたのが良かったのかな?
「先輩、助けてくれて本当にありがとうずら…」
「お礼はいいよ、先輩が後輩を助けるのは当然さ」
「…そう言う風に思ってるのきっと先輩だけずら」
「……そうかもね」
東京にいた頃、困っている人がいても見て見ぬ振りをする者ばかりで溢れていた。
だから当然とは言えないのかもしれない。
でもさ……放っておくなんて僕にはできない、できなかった
「……先輩って変な人ずら」
「おやおや、僕は面白い人じゃなかったのかい?」
「面白くて変な人ずら…」
「……面白くて、は別として、変な人だとはよく言われるよ。あ!つい最近「頭お
かしいんじゃないの?」とかも言われたよ」
最近というか今日言われたんだけどね。とある堕天使さんに
「それはきっと先輩の別の一面ずら……」
……明るく茶化す感じで言ったつもりだったんだけどね。
それで国木田さんが微笑でもしてくれれば勝ちだったんだけど…
花丸ちゃんの表情はあまり変わらなかった
「先輩…ごめんなさい。もう一回、もう一回だだけ泣いていいですか?」
「あ………」
国木田さんの表情を見て気付いた。さっきの涙は僕に、僕だけに流してくれて
涙なんだと
あんな怖い人達に腕を掴まれ、無理矢理車に乗せられようとされたら
誰だって怖い。凄く怖いはずだ、女の子ならなおさらだ
「先輩…」
「いいよ」
俺は両手を広げて国木田さんを抱きとめた。
「怖かった、怖かったずら……もしもあのまま連れて行かれたらと思うと
体が震える…震えて仕方がないずら。止まらないずら!」
俺のために泣いてくれた時とは違い、静かに涙を流しながら自分の感情に
そって「恐怖」を吐き出している。
今だって震えてるこの娘に出来ることは優しく抱きしめ、頭を撫でてやる事。
これ以外出来ることなどない__
「心の中で必死に叫んでた!助けてって必死に呼んでたずら!でも本で現れる
様なカッコイイヒーローなんていないって、現実ではいない……ずっとそう
思ってました。だから無駄だと思ってたずら___
『離してください!』
『暴れんなよ、別に悪くはしないさ』
『嘘ずら!こんな事してる時点で…』
(ダメ…振りほどけない、このままじゃルビィちゃんまで)
『誰でもいいから……助けて』
『ここは田舎だぜ?さらに人通りもないと来た。助けなんか来なねぇよ」
男は腕に力を込めて無理矢理腕を引っ張り出す。
ああ…助けてよ…お父さん、お母さん、じいちゃん、ばあちゃん…
アクアの皆んな……………先輩
いろんな人達の顔が浮かんでく中には先輩の顔も浮かんでくる。
今日会ったばかりなのに一番強く頭に思い浮かぶ…どうして?どうして何だろ?
ああ…ああ…わからない…どうして先輩に期待してしまうのだろう?
『い、嫌ずら!』
『花丸ちゃん!』
『まだ言うか』
『だから丸は嫌ずら!」
『そんな事言わずにさ』
きっとヒーローなんて来ない
現実にカッコよくピンチを救ってくれるヒーローなんていない
いないはずなのに____________
「そこにはカッコイイヒーローがいたずら」
「……」
「無駄じゃなかったずら_
「国木田さ…ん?あれ?」
「スゥ……スゥ……」
……泣き疲れたのだろう。国木田さんは可愛い寝息をしながら安心した顔で
眠っていた。
僕はと言うと__
「…////」
照れやら嬉しさやらで頭がパンクしそうだ。
もう僕のキャパシティの限界を軽く超えている。
正直もうどうしたらいいかわからない…この感情をどう表せばいいかわからない。
混乱しそうだ……それくらいの嬉しさと照れが僕の思考を縛ろうとしてるが、それ
に負けては拉致があかない
「……と、とりあえず///…とりあえず家の人にお礼を言おう」
花丸ちゃんをそっと離そうするとギュッと右手で征服を掴まれる。
…できればこのまま側にいてあげたいが、それじゃあいつまでたってもこのままだ。
少し罪悪感があるけど国木田さんの右手を離し、そっと布団に寝かせた
「……先輩」
「!…………寝言か」
本当にドキッと来る、止めてもらいたいね
後輩ばかりの話ですね笑
次は後輩メインではないので楽しみにしててください